一夏「まさか鈴がスマッシュにされるなんてなぁ」
鈴「しょうがないじゃない!スタークが私を巧みに騙したのよ」
一夏「どうやって?」
鈴「そ、それは……一夏の声を真似して、『大事な話があるー』って……」
一海「(告白と勘違いしんだろうなぁ……)」
鈴「その『あっ…(察し)』みたいな反応やめなさい!ぶちのめすわよ!」
一夏「鈴に大切な話しても言いふらされそうだしなぁ」
鈴「アンタらホント何!?あーもー!さっさと始めるわよ!」
鈴のスマッシュ事件から数日後、IS学園は多くの人で賑わっていた。それもそもはず、今日は学園祭。生徒達が招待券を渡した人達や企業の者達などが集まっていた。
そして、1年1組の開くメイド喫茶にて、奮闘する男が1人。
「いらっしゃいませお嬢様。さぁ、こちらのテーブルへ」
言わずもがな、我らが猿渡一海である。
普段のような荒っぽさは影もなく、キザで物腰柔らかな好青年になっていた。
「こちらメニューです。お決まり次第お呼びください」
一海はそう言うと迷わず裏方に足を進めていく。裏方に回った一海は直後にネクタイを緩めて普段通りの性格になった。
「あー、疲れるわこれ……」
「大盛況すよね!」
すると、三羽ガラスが一海の元に来る。三羽ガラスは裏方に回ってクラスメイト達のサポートをしている。正直一海も裏方に回りたかったが、そんな事は女子達が許さないだろう。
「そもそもなんだよ接客時の対応とか。ただのキザ野郎じゃねぇか」
「でもキザな性格も何故か似合ってたよね!カシラ、ホストとかになってみたら?」
黄羽の言葉に一海は「やらねぇよ」と言いながらトレイで黄羽のデコを軽く叩く。
「とは言え、あともう少し乗り越えたらピーク過ぎて楽になりますし、頑張ってくださいよ」
「やるっきゃねぇか……よっし、行ってくる!」
一海は緩めてたネクタイを締め直すと、再び接客へと向かう。
「折角俺や一夏の為に来てくれたんだ。全力でもてなさねぇとなぁ!」
一海は改めて気合を入れ直すと、仕事を再開した。
***
「ちょっと、一海くん」
一海の肩に手が置かれる。一海は声で誰なのかすぐに理解した。
「その声は……みーたん!」
「勢いよく振り返らなくていいから気持ち悪い!」
振り返えろうとする一海を美空が手で抑える。一海は一歩下がって改めて美空と向かい合う。
「何の用……って、その姿は!?」
美空の服装はちょうど自分達と同じデザインのメイド服だった。それを見た一海は膝をつき、手を合わせて擦り合う。
「女神はここにいた……」
「ちょっと変な事しないでよ!」
一海の反応に美空は一海の頭を叩く。一海は小声で「ありがとうございます!」と言いつつも、少し痛がりながら立ち上がった。
「それで、何のようすか?」
「何って、楯無がこっちに様子見に来たついで。おまけみたいなものかな」
美空が指さす方向には鈴の接客中の一夏と一緒にいる楯無だった。それを見て一海は少し微妙な反応をする。
「やーっぱり仲直りできてない。君最近トラブル起こしすぎじゃない?」
「すいません」
「謝ってもどうにも出来ないでしょ?一夏くんの方はマシになった様子だけど、楯無とはまだ進展無しって所かな……」
図星の一海はぐうの音も出なかった。まさか、自分の推しにダメ出しされる時が来るとは思ってもいなかった。
「どうもー、新聞部でーす。話題の一夏くんと一海くんを取材しに来ましたー」
すると、新聞部の薫子が教室にやってきた。騒がしい客に店員や来客の一部が薫子を見ている。
「薫子先輩」
「あ、一海くーん!って、みーたんもいるの!?」
「みーたん呼びあんまりされたくないのに何で沢山の人に呼ばれちゃうかなぁ……」
薫子は一海と美空の方に気づく。美空は呼ばれ方に呆れていた。
「兄貴系イケメン男子とダウナー系可愛い女子……良いねぇ、良い並びだねぇ!ささっ、撮るよー」
「えぇー撮るのー?」
「え、撮るの!?」
撮られる事自体を嫌がる美空に対して、一海は美空とツーショットが出来ると驚いていた。
薫子はお構い無しに2人を並ばせるとカメラを向けた。
「はいチーズ!」
「ちっ、チーズ!」
「はいはいチーズチーズ」
緊張したままの一海とやる気皆無の美空のツーショットが撮られる。薫子は撮影の出来に満足したのか頷いた。
「仕事中失礼したね!じゃあ一夏くんの方行くから、頑張ってねー!」
嵐のように去っていく薫子。それを見た一海は「いつも通り凄い人だなー」と思いながらその様子を見ていた。
「ねぇ、私が楯無に説得してもらう様に言っておくから休んできたら?」
「え、良いんすか?」
「感謝するなら私じゃなくて楯無にしてね。あ、ついでにいざこざも解決してね」
それだけ言うと、美空は手伝いに行ってしまう。一海はどうしようと頭をかくが、折角受けた厚意を無下にするつもりは無い。ましてや推しの厚意なのだから。
「みーたんに感謝しねぇとな」
一海はネクタイを弛め、上着を脱ぐと裏方に向かう。三羽ガラスは仕事を続行するだろう。自分だけ何も言わずには可哀想だ。
「お前ら、休み大丈夫か?」
「うす!一段落の目処が立ったら休むので!」
「裏方らしく図太くやってやりますよ」
「男子にしか出来ないパワフルな働きを見せてあげるよ!」
疲れてるどころかむしろ楽しんでる様子なので一海は3人の働きに感心しつつも教室を出る。
「今から休みか?」
「うわぁっ!?」
すると、教室と教室の間にある壁に背もたれて立つ男が一海に話しかけてきた。一海の地元から何故か付いてきた自称・世界の破壊者である士である。
「折角様子を見に来てやったのに驚くとは失礼な奴だな」
「いや士さんみたいな人がお祭りイベントに来るイメージ無かったので……」
「ま、俺もそこまでこの騒ぎに混ざる気は無いがな。用があるのは、話しておきたかった事があるからだ」
「『話しておきたい事』?」
復唱する一海。士は踵を返すと、歩いていく。
「あっ、ちょっ、待ってくださいって!」
一海は士を追いかけていった。
***
鼻歌が喧騒の中に溶けていく。
シャルロットは1人鼻歌を歌いながら短い休憩時間を楽しんでいた。
「料理部、かぁ……」
シャルロットはパンフレットに記載されている料理部に興味があった。元々料理は好きだし、腕には自信がある。しかし、レパートリーは自分の故国であるフランス料理しかない為、増やしてみたいという気持ちがあるからだ。
「和食とか作れるようになったら、皆に振る舞いたいなぁ。ラウラや一海や………幻徳」
幻徳の事を思い出してしまう。元々料理部に入りたいと思ったのも、日本人である幻徳の為に和食を作ってあげたいと言う気持ちがあったからだ。
「ダメだよ。幻徳は敵、なんだから……」
パンフレットで顔を隠して自分に言い聞かせる。頭で分かっていても、心のどこかでは幻徳が戻ってきてくれる事を信じてやまなかった。
「わっ」
と、そんな事を考えていると、誰かとぶつかってしまった。パンフレットを落としてしまい、ぶつかった相手もスマホを落とした。
「す、すみません!」
「あぁ、こちらこそ悪かった」
シャルロットは慌ててぶつかった相手のスマホを拾い、相手はパンフレットを拾った。
立ち上がって落し物を渡そうとする……その時、互いの顔を見て硬直した。
「……シャルロット」
「幻、徳……!?」
シャルロットがぶつかったのは、先程まで考えていた氷室幻徳その人だった。変装の為なのか、中南米風の民族衣装にサングラスを掛けており………
「って、ちょっと待って」
あまりのクソダサファッションに今時JKシャルロットは待ったをかける。折角のシリアスな空気が台無しである。
「何だ、感動の再会だぞ」
「再会も何も無いよ……何なのその服!」
「何って、変装だ。どうだ?似合うだろう?完全に中南米人として溶け込めている」
「無いからね!?ダサいからね!?むしろ目立ってるし、良くバレずにいれたね!?」
「ダサいだと!お前、このファッションをダサいと言うか!オーダーメイド品だぞ!?」
「作らされた人に申し訳ないくらいだよ!」
廊下のど真ん中で口論をするシャルロットと幻徳。我に返った幻徳は持っていたパンフレットを見る。
「お前、料理部に行くつもりなのか?」
「えっ、うん……」
幻徳はシャルロットの手を引いた。
「えっ、幻徳!?」
「少しだけ付き合ってやんよ」
メイド服と民族衣装と言う珍妙なカップルの2人は調理室へと入っていった。
***
「次元の歪み、すか?」
士から一通り話を聞いた一海はそのワードを口にした。
「ココ最近、次元の歪みが大きくなってきている。俺はその手がかりを探す為にこの世界に来た。何か心当たりは無いか?」
「心当たり、ですか……」
異世界云々の出来事は過去に何度もあった。龍我の1件や、雪兎の1件。どちらも大事にはなったがすぐに解決できた。
「来たのはいつなんすか?」
「お前達が里帰りする数週間前だ」
「となると雪兎の件じゃ無さそうすね……」
雪兎が来たのは夏休みの直前だ。士が来るには遅すぎる。となると、自分達が知らない陰で何か大きな陰謀でも動いてるのだろうか。
「もしかして、難波がまた何かしようとしているのか……?」
「葛城にも聞いてみるつもりだ。何か気づくことがあったらすぐに言ってくれ」
士はそう言うと、飲み物を1度飲んだ。
「……で、何でアタシん所で真剣な話してるのよ!」
一海と士のテーブルの所に来てそういったのは鈴だった。そう、ここは2組がやっている中華喫茶である。
「良いじゃないか。休めるし、ゆっくり話もできる」
「一海のツレな癖に年上にしては中々に態度デカいわね」
「すまねぇ。俺に免じてここは見逃してくれ」
一海が謝る素振りをすると、鈴はやれやれと首を横に振った。
「んで士さん、あの青色のライダーって……」
「僕の事かい?」
不意に聞こえた別の隣からの声に、一海と鈴がそちらを向く。士は「来やがった」と手で顔を覆った。
「この姿では初めまして、だね」
別のテーブル席に座っていた青年は立ち上がると、一海達のテーブルの方に歩く。
「貴方、は……?」
「僕が何者かって、さっき話してたじゃないか。あ、これを見せた方が早いかい?」
青年はクルクルと回しながらそれを取り出すと、それを見せた。青い銃……それは、故郷での戦いで現れたライダーと同じ銃だった。
「お前、まさか!?」
「そいつが仮面ライダーディエンドだ」
「海東大樹だ。あらゆる世界を渡る怪盗と言った方がいいかい?」
「ただのコソドロだろ」
「酷い言い様だね、士。折角の再会を喜べないなんて、冷たいなぁ」
海東は軽そうで、掴みどころのない反応をする。一海は士と海東が知り合いだと直ぐに気づいた。
「お前、ボトルを返せ!」
「ボトルかい?返して欲しければ力づくで奪うといいさ……こんなことろで戦いなんて出来れば、だけどね」
周りを見渡しながら海東は呟く。一海も指摘されて気づいた。周りには無関係の人々がいる。もし変身なんてして騒ぎを起こせばパニックになるし、被害も出てしまうだろう。
「話を分かってくれて嬉しいよ。君も忙しい身だろう?自分の仕事に戻るといいさ」
海東は銃ーーディエンドライバーをしまうと、2組から出ていった。
「気をつけろよ。海東も十分強敵だぞ」
「難波に、ディエンドに……驚異まみれすね」
この世界の存在である難波は兎も角、海東は別世界に逃げられる前に海東が所持するフルボトルを回収しなければならない。
「とりま、十分休憩したんでまた仕事に戻りますね」
「おう、働いてこい」
一海は仕事を再開する為に隣の1組に戻った。
ライダー密集地帯と化したIS学園。最早手遅れですね。
今月はVシネグリスの配送日ですね。年末年始はグリスパーティです!やっふーい!
ちゃんと続きは書いて投稿します。ハイ、約束します。
冬映画の予告も解禁され、年末特撮ラッシュが始まりそうですね。ピッカピカのバッタちゃん楽しみ。
次回はお待ちかね(?)のシンデレラ。果たして男子二人は王子様を演じれるのでしょうか。
海東、幻徳も動きを見せ始めます。学園祭の結末や如何に。
次回、駆けろシンデレラ