幻徳「とても凄かったですよ、皆さんの激闘ぶりは」
一海「あ、イケメン……じゃなかった。氷室か」
幻徳「僕はISを動かせても体が持たないから……とても残念だよ」
一海「ホントかぁ?クラス代表なんてなったら大変なんてもんじゃないぞ。辞退して良かったと思う」
一夏「簡単に言えるな、そんな事!」
一海「あ、クラス代表」
一夏「その呼び方やめろ!」
幻徳「……仲良いね、君達。第5話、始まるよ!」
「ア?中国の代表候補生がIS学園に転校する?」
俺と三羽ガラスはいつも通り教室でたむろっていた。そこで黄羽が先程の情報を教えてくれだのである。
「そーなんだよ。昨日友達に教えてもらったんだ」
成程、流石聖吉だ。情報の集める速さなら三羽ガラス一のスピードだろう……ん?友達?
「なぁ、その友達って誰なんだ?」
「ん?普通の女の子だけど」
ガタガタッ
勝と修也が一瞬で聖吉を取り押さえた。
「チョッ、何で!?」
「うっさい、裏切り者」
「あの世で悔いる事を推奨するぞ」
勝と修也はかなりドスの効いた声で脅しかける。正直2人が怖い。すると、一夏がこっちにやって来た。
「おう、一夏」
「よお、一海……って何で黄羽が取り押さえられてるんだ?」
「アイツが勝と修也の2人を裏切っただけだ。俗に言う自業自得」
「お、おう……?」
一夏に説明をするが、一夏は何処か理解出来ていないような反応をする。
教室はクラス代表戦の事で大賑わいだ。優勝したクラスは学食デザートの半年フリーパスが貰えるとか。女の子は好きだからな、甘いもの。
「そういや、クラス代表戦がもう少しで始まるな。気張っていけよ」
「お、おう……」
俺は一夏を応援するが、一夏はやるせない返事をする。まぁ、クラス代表決定戦があったのに一夏に任せっきりになってるからな。
「出来るだけお前の力になれるようにするぜ」
「大丈夫だよ、いっちゃん!専用機持ちのクラス代表は1組だけだから!「言いたい事は言ったか?」えっ、ちょっ、待って!」
俺と聖吉がフォローするが、聖吉は修也のほっぺた引っ張り地獄をくらってしまった。聖吉、お前の事は忘れない(適当)。
「ーーその情報、古いよ」
俺達の会話にドアの方から水を差す人物が現れた。小柄のツインテールの女子だった。見慣れない女子だな。クラスメイトでは無さそうだ。
「中国代表候補生、鳳鈴音。今日は宣戦布告にきたってわけ」
なんと目の前にいるのは先程の話に出てきていた代表候補生の転校生だった。こんなちんちくりんが代表候補生だったとは……
「鈴……」
どうやら一夏は彼女の知り合いらしい。一夏の知り合い多くないかこの学園。こっちは肩身狭くて辛いのに。
「……お前、カッコつけるのに合わないぞ」
「んなっ……!?余計な事言わないでよバカ!」
うわっ、突然キャラが代わりやがった。どうやら元の性格は今の状態らしい。
「えっと……鈴音で良かったか?俺は猿渡一海。後ろの3人は三羽ガラスの赤羽の勝、青羽の修也、黄羽の聖吉だ。よろしく頼む」
「一海だか克己だか夏海だか知らないけどヤジは引っ込んどいて!私は今一夏と話してるのよ!」
うおっ、こいつもまた一夏に惚れた連中の1人か。どれだけモテるんだよアイツ。その魅力俺に寄越せ。……無理か。
「どけ、馬鹿者」
冷酷に言われて出席簿アタックを鈴音を当てられる。勿論織斑先生による一撃だ。
「おはようございます、先生」
「「「おはようございまーす!」」」
俺が挨拶すると、三羽ガラスも共に挨拶をする。うん、礼儀正しい子分で何よりだ。
「もうSHRの時間だ。さっさと教室に戻れ。猿渡と三羽ガラスも席に座れ」
「は、はいっ!」
「「「「はーい」」」」
鈴音がビビりながら2組に直行する。すごいな織斑先生。流石に出席簿アタックをくらいたくないので3人を連れて席に座る。
鈴音は2組のクラス代表と自称していたな。一夏のヤツ、大丈夫だろうか。
***
放課後、俺は三羽ガラスを引き連れて廊下を歩いていた。目的は更識先輩にとある場所へ来るように言われたからだ。
とは言え俺は方向音痴。しょうが無しに三羽ガラスと共に行く事になった。
「カシラ、ここですね」
勝が指さしている方向を見ると、1つの扉が。俺は扉の前に立つと、三羽ガラスにアイコンタクトをとる。3人は頷いてくれた。
コンコンとノックをすると、聞き慣れた声がしたので部屋へ入った。
「いらっしゃい、一海くん。……あら、三羽ガラスの皆もいるのね」
最初に出迎えてくれたのは更識先輩である。まぁ、大体理解出来た。
「ようこそ、生徒会へ」
更識先輩は生徒会長。なら、ここは生徒会だと考えるのが妥当だった。とは言え、改めて言われるとビックリする。
「黛先輩から生徒会長なのは聞いてましたよ、俺」
「薫子、余計な事を……まぁ良いわ。今回来てもらったのは生徒会の事を知ってほしかったし、いちいち練習の度に一海くんの所に行くのめんどくさいから一海くんから私の方に来てほしかったから。一海くん方向音痴だから来れる保証は無いけど」
酷い言いようである。まぁ、こっちだって教えてもらっている立場だし、文句は言えないが。だだ方向音痴はちょっぴり傷ついた。
「カシラ、凄い人にISの乗り方教えてもらっているんだね!」
「んだよ、カシラもカシラで女子と仲良くなってるじゃないか」
聖吉は目をキラキラさせて俺の事を見るが、修也は羨ましそうな目で見ていた。修也、騙されるなよ。あの人は悪魔みたいな人だからな。
「あれー?カズミン来てたんだー?」
聞き慣れた伸びすぎた声を聞いて後ろを見てみる。そこには見知った顔ともう1人上級生の人がいた。
「あ!のほほんさんだ!イェイ!」
「黄羽っちだー。イェーイ」
黄羽とのほほんさんがハイタッチをする。
布仏本音。1組のクラスメイトだ。のほほんさんはあだ名である。ってか、今回が初登場か。出す機会が少なくてゴメンな、のほほんさん。
「ん?今誰かがメタい事を考えていたような……」
「気のせいだ勝。気のせいだ……」
「それをカシラが反応しているあたりバレバレだけどな。カシラ嘘つくの下手なんだよ」
勝が変な電波を受信しているのでフォローをしていると、修也がツッコミをいれてくる。俺そんなに誤魔化すの下手?
「本音の姉の虚です。妹がお世話になってます」
リボンからして3年生だ。メガネのせいかお堅い仕事が出来るイメージが強い。内海さんもそんな感じだよな。山田先生?あの人はキャラが違う。
「いえいえ、こっちも三羽ガラスの3人が仲良くさせてもらえてるのは感謝なんすよ。なんか困った事があったらアイツらにバンバン言ってやってほしいっす。馬鹿だけどそれなりに働くので」
「フフフ、そうさせてもらうわ」
……ヤベーイ!マジでタイプだわ。頼られるのは嬉しいけど、時々甘えたくなってしまうお年頃な俺にこんなお姉さんタイプの素敵な人と出会わせてくれるとは……神よ、貴方は俺を見捨てていなかったようだ。
ホウジョウエムゥ!\アイガッタビリ-/
……何か聞こえたが気にはしないぞ、俺は。
ギリリリ
「イタタタタ!?」
突然頬をつねられた。しかも凄い強さで。つねった相手を見ると、更識先輩……いや、これからは会長と呼ぼう。会長が思いっきり俺の頬をつねっていた。
「一海く〜ん?私みたいな素敵なお姉さんを差し置いて私のお手伝いさん相手に鼻の下を伸ばしているのは、どういう事かな〜?」
会長が年上なのに甘えさせてくれるどころか俺を振り回してくるからだと思いまーす。ってか、会長絶対面白半分でやってるだろ。俺一夏と違ってそーゆーの分かるもん!
「お、お手伝いさんってどーゆー意味っすか?」
「布仏家は代々更識家のお手伝いさんをしているんです」
会長は良い所の生まれなのだろうか?お手伝いさんなんて初めて聞いた。虚さんがお手伝いさんはまだしも、のほほんさんは大丈夫だろうか、超マイペースだぞ。
「お手伝いさんなんて初めて聞きましたね、カシラ!」
「あら?一海くんは農家の大地主の一人息子って聞いたから裕福な家庭で育ったのかとてっきり」
良く言われる。実家は農家の大地主をしているが、凄い!と言われる程裕福な家庭ではない。何より、俺の父親はかなり厳しい方で、あまり甘やかす事はしない。……まぁ、困っている人は別だが。
「さて。長話も終わりにして、早速鍛えるわよ、一海くん!」
「えぇ!?クラス代表決定戦終わってもするんすか!?」
「当たり前よ。一海くんはまだまだ伸び代があるんだから」
会長が俺の腕を引っ張ってアリーナへ向かおうとする。相変わらず力強さが半端ない。男の俺でも引き剥がせないってどれ程の握力があるんすか会長。
「会長、お仕事の方は……私達ですれば良いんですね」
虚さんが一瞬で諦める程のサボり癖ってえげつなっ。のほほんさんと虚さんの2人だけなのなら、虚さんだけが一苦労するタイプのパターンだ。
「じゃ、じゃあ、僕がお手伝いするよ!」
黄羽が電光掲示板……じゃなかった。電光石火が如く手を挙げた。いつもは事務系の作業を面倒くさがる聖吉が率先的なのは珍しい。
「黄羽がやるなら俺もします!」
「黄羽も赤羽もするってなったら、俺達3人でするような空気になっちまうじゃねーか」
勝も黄羽に釣られて挙手をし、修也も流れに合わせて手を挙げた。コイツら成長したな……カシラは嬉しいぜ。
「なら大丈夫そうね。さ、しゅっぱーつ」
「しまったー!そうだったー!」
会長が仕事をする必要が無くなるイコール会長は俺の特訓に付き合えるという事だ。しかし今更3人に仕事するな!なんて言えない。
「最悪だ……」
俺は肩を落とすしかなかった。
***
「あー、疲れた」
ネギの様な髪型をしている長身の少年・赤羽は現在廊下でノビをしながら歩いていた。ついさっきまで生徒会のお手伝いをしていたのだ。青羽と黄羽はすでに自室へ戻っている。
赤羽は飲み物を買うために自販機へと向かっていた。
「カシラ、頑張ってるんだろうなー……」
クラス代表戦が終了して何日かたった頃に三羽ガラスは内海にネビュラガスの注入が自分達に出来ないか聞いてみた。話を聞いた内海は少し考えた後にこう答えた。
『分かった。猿渡一海とは別のケースになるが、出来るように準備をしよう』
三羽ガラスは飛び跳ねて喜んだ。ネビュラガスの注入はクラス代表戦当日なので一海と共に観戦は出来ないが、一海の力になる為にはしょうがない事だと割り切る事にした。
「カシラ、ビックリするだろうなー」
一海の反応を思い浮かべながらニシシと笑う。すると、角から小さな影が現れた。小さな影は赤羽の腹に激突、赤羽の体はくの字に曲がった。
「グフゥ……だ、誰だ?」
腹を擦りながらぶつかった相手を見る。小柄な体型に猫みたいな瞳。ツインテールは激しい呼吸で揺れていた。赤羽は相手の事を覚えていた。
「確か……鈴音。そう、鈴音だ!どうかしたのか?」
赤羽は立ち上がると、鈴に手を伸ばしながら疑問を投げかけた。と、ここで赤羽は鈴の目が赤くなってウルウルとなっているのに気づいた。
「お、おい、どうした?大丈夫か?」
「う……うっさい!」
鈴は赤羽の手を払ってまた走り出すが、赤羽の横を通り過ぎた所で赤羽に後ろから襟を捕まれ、さながら首根っこを掴まれたネコのように宙ぶらりんの状態になった。
「泣いてるのにほっとけねぇよ」
「離して!バカ!のっぽ!ネギ頭!」
「誰がバカだ!」
「気にする所ソコ!?」
鈴は暴れるが、赤羽から離れる事は出来なかった。赤羽は空いてる手で困ったように頭をかくと、何か閃いて鈴をそのままどこかへ連れていく。
「離しなさいよ!」
「何かあったのは分かるし、相談なら聞くぞ?」
「聞いてほしくないからこうしているのよ!」
赤羽が鈴を掴んだままやって来たのは休憩スペースの様な所だった。複数の自販機と、何人か座れそうなソファーがある。
赤羽はソファーに鈴を座らせると、リンゴとオレンジのジュースを買った。
「リンゴとオレンジ。どっちを飲みたい?」
「……オレンジ」
観念した鈴は赤羽からジュースを受け取った。赤羽は鈴の隣に座る。
「……何かあったのか?」
「……聞いても、笑わない?」
「笑わない」
「言いふらさない?」
「言わない」
鈴は1度深呼吸をすると、経緯を話し出した。
「アタシ、一夏に自分の料理が上達したら、毎日あたしの酢豚を食べてくれるって約束したのよ」
「……?酢豚?毎日?約束?酢豚を毎日は可哀想だと思うが」
赤羽は鈴の言葉の意味を理解出来ずに間違った方の意味で捉えてしまった。
「ちがーう!日本で言う味噌汁よ、味噌汁!」
「味噌汁……あー!婚やムゴゴッ」
「大声で言わないでよバカ!」
鈴のヒントで意味に気づいた赤羽は大声で答えを出すが、言い切る前に鈴に口を塞がれた。赤羽はもう言わないとジェスチャーで伝えると、鈴は赤羽の口を解放させた。
「プハァ!……で、その約束がどうかしたのか?」
「その約束を、一夏はアンタが最初に捉えた意味でずっと覚えていたのよ」
「あー、そうだったのか……」
赤羽はリンゴジュースを飲みほすと、容器をゴミ箱に入れた。赤羽はなにか懐かしそうに考えていた。
「カシラがさ、1週間の記憶を無くしちまうほどの出来事に巻き込まれてさ、俺との大事な約束を忘れてしまったことがあったんだ。何も知らずに俺はカシラに怒っちまってよ。拗ねてる俺にカシラは言ってくれたんだ」
『俺は1週間の記憶を失っちまった。お前の約束もその時に忘れたんだと思う。……だからよ、勝。互いに無くしちまったモンの代わりになるくらいこれから一緒にいようぜ。俺と、勝と、修也と、聖吉で』
一年近く前の出来事。だが、赤羽はあの時の一海の言葉を一言一句間違えずに覚えていた。
「……鈴音はさ、一夏に対する気持ちは消えてないんだろ?だったらさ、無くなっちまった約束の分を埋めれるまで一緒にいれば良いんだよ!そーすれば、いつか気づいてくれるさ、鈴音の思いにさ」
赤羽は恥ずかしそうにはにかみながら頭をかいた。鈴はポカンとするが、すぐに笑いだした。
「何がおかしいんだ?」
「おかしいわよ。バカが良いこと言ってるなんて、シュール以外の何者でもないじゃない。……でも、ありがと。元気出た」
「おう!それは良かった!」
赤羽は満足げになると、「じゃあな!」と別れの言葉だけを残して立ち去って行った。
「……よし!」
鈴は立ち上がると、何処かへと歩いていった。
***
クラス代表戦当日。
俺は一夏の元へと来ていた。
「よお、一夏。調子はどうだ?」
「おう、一海。……なぁ、一海、お前鈴に何かあったか知らないか?」
「?何かあったのか?」
一夏はすでに白式を纏っており、何時でも出れる状態だった。
「この前、鈴と喧嘩したんだよ。……でもよ、その数十分後には喧嘩なんて無かった様に俺の元にやって来て、『クラス代表戦でアタシが勝ったらアタシの言う事一つだけ聞きなさい!』って言ったんだよ」
「あぁ、だからあんなにやる気満々だったんだな」
鈴音は一夏に勝ったら告白するんだろうな。それかデート。にしても、数十分後には立ち直るとは凄いスピードだ。誰かからアドバイスでも貰ったのだろうか。とりあえず、俺が言えるのは一つだけだ。
「死なねぇように頑張れ、一夏」
「俺死ぬのか!?」
俺の応援に一夏は何故かビビっていた。しかし俺は気にしない。
さて、1巻も佳境ですよ。
そういえば、アーキタイプブレイカー限定のキャラを番外で出そうか悩んでいるのですが……まぁ、一海が変身してから考えようと思います。
てな訳で、次回予告
***
次回予告、INFINITE・GREASE!
謎の乱入者、現る!?
「コイツ、本当に人間か!?」
一海、絶体絶命!?
「ダメだ、歯が立たねぇ……」
そして、三羽ガラス、覚醒!
「行くぞ、テメェら!」
「「「おおー!」」」
第6話 飛べ!カラス達