原作開始。
・夜明け前の出会い
「―――何してるんだ? そんなところで」
いきなり声をかけられて、アリーシャは心臓が止まるかと思うほど驚いた。
スレイにここまで―――イズチまで連れられて来て。先に行って待っていてくれと、スレイは何処かに行ってしまった。
その間、村を見ていることにして。
景色は綺麗なのに、誰かが暮らしているようにはとても見えなくて、スレイ以外に誰もいなくて。
そんな中で声をかけられれば、誰だって同じようになると思う。
「あ、悪い! 驚かすつもりじゃなかったんだけど」
赤い服を着た、鳶色の髪の青年。スレイよりも少し年上、というところだろうか。両の腰には剣が下げられていて、その立ち振舞いに隙がないことをアリーシャは見てとった。
「もしかして、あんたがスレイが連れてきたって人か?」
「あなたは、スレイとここに?」
「ああ! っと、まだ名乗ってなかったな。俺はロイドって言うんだ」
ロイド。記憶をたどって、思い出す。そう言えば遺跡を歩いていたとき、スレイが何度か口にしていた名前だ。
「スレイならジイジに捕まってるから、まだちょっとかかる筈だ。それで、俺が様子を見に来たんだけど………」
そこでロイドはアリーシャの横の方をちらりと見て。
「随分長いこと、景色に見入ってたんだな」
苦笑されてしまった。しかし、なぜそんなことを知っているのだろう? アリーシャとスレイがここに来たとき、この人はいなかったはず。ならばアリーシャがどのくらいここにいたのかなんて、知るはずはないのに。
ロイドがアリーシャの隣に来て、笑った。
「良いところだろ、イズチは」
「………ええ。神秘的で、美しくて」
本当に、天族が暮らしているような。
ロイドがぱあっと顔を輝かせた。
「だろう! 俺もこんなに綺麗な場所は知らないんだ。すごい場所なら他にも知ってるけど、神秘的っていうんなら、やっぱりイズチが一番だな!」
「あなたはここの出身なのですか?」
「いいや。俺の故郷はイセリアって村だよ」
イセリア。聞いたことがないし、カムランでもない。
「………みんな、どうしてるかなぁ」
少しだけ、寂しそうな声。
「―――ロイド! 帰ってたのか!」
振り替えれば、村の奥の家から駆けてくるスレイ。
「お、スレイ。早かったな。ジイジの雷が聞こえたから、もう少しかかるかと思ったのに」
「へへ、ジイジが許してくれたんだ。―――あ、ごめん! お待たせ。楽しめた?」
「ああ。だが、ずっと誰かに見られてるようで、なんだか………」
もしかするとそれはロイドの視線だったのだろうか。違う気がするが。
スレイがロイドと同じような顔をする。苦笑い。
「―――!」
アリーシャのお腹がなった。………恥ずかしい。
スレイもロイドも、微笑んだ。
「ゴハンにしよっか。ロイドも来る?」
「いや、俺はジイジに呼ばれてるんだ。またな」
「そっか………わかった。じゃあ後でね!」
ロイドはスレイが向かった奥の家へと。
「………スレイ、彼は」
「ロイドは、俺の親代わり兼、兄さん兼、友だち………かな。俺が小さいときからここで暮らしてる」
「そう、なのか」
――――――
昔はゼンライ、と呼んでいたが、スレイ達を育てるうちにジイジと呼ぶように。
ついでにロイドの肉体成長は止まってたりする。理由? オリジンの仕業ってことで一つ。
だからミクリオは「ロイドって、本当に人間なのか?」って思ったことは何度もある。スレイは………どうなんだろ。
――――――
・数日間のミクリオ曰く
ジイジに言われて、遺跡を巡る。
小さい頃から遊び回った遺跡だが、未だに全てを発見したとは言えない。それほどに巨大な遺跡なのだ。
そもそも遺跡を探検するようになった切っ掛けは、ロイドを探してのことだった。
ロイド。親で、兄で、友人の、人間。
そのロイドがいなくなるから、追いかけて探して、そのうちに遺跡に入るようになった。勿論遺跡を好きになったのも興味が湧いたのにも別の理由はあるが、ロイドが切っ掛けの一つであったことは確かだ。
けれどまだ、ロイドを見付けたことはなかった。………逆に遺跡で迷って帰れなくなった所を迎えに来てくれたことは何度もあるけれど。だからいつかこっちがロイドを見付けに行くのだと、目標のひとつになっていた。
………その答えを、まさかこんなところで得るなんて。
「…………」
あの日見付けた橋の向こう。大きな石像の横。上に向かえばイズチ、というその階段を逆に降りた場所。
そこにある扉の前で、ロイドが立ち尽くしていた。
「ロイド」
「分かってる」
声をかけられて、ロイドはそれでもしばらく扉を見ていた。
――――――
あの扉、多分アリーシャと会えた日に偶然に見付けたんだよね? それまでどうやって遺跡に潜ってたんでしょうか。………って答えはアニメがくれた!
とりあえず、ロイドは天使ではありません。天使の羽は出せません。
が、エクスフィアによる身体能力強化があるので大抵のことは出来ます。エクスフィアは布巻いて隠してます。
遺跡から帰ったら二人がいない!? 遺跡にとって返して探して、二人を背負ってイズチに帰る、なんてことを何度か繰り返して、二人はロイドに心配をかけないように日帰りで少しずつ探検をするようになったのでした。
――――――
・最初の、
ジイジの領域に入り込んだ憑魔。
いくら気配を隠そうが、殺気が隠しきれていない上にロイドには『精霊王オリジン』がついている。
マイセンが喰われかける寸前で割り込んで、吹き飛ばす。………一瞬遅くマイセンの片腕は喰われたが、体は無事だ。
生きてさえいれば、なんとかなる。
動けないマイセンを背に庇い、ロイドはその憑魔を相手した。
「まだ、やるか?」
「ぐぅ………お前さん、何者だい………?」
ロイドは一度として攻撃を喰らわない。だってこれくらいの相手なら、あの旅で何回もした。もっと強い相手を、ロイドは知っている。
何よりもロイドには相手を倒すつもりはなかった。『憑魔を倒せるのは浄化の力を持つものだけ』。倒せない相手なら、死なないように立ち回ればいいだけのこと。
「ひとに名前を訪ねるときは、まず自分が名乗るものだろ?」
「くくっ、違いない。だが、殺す相手に名乗る暗殺者もいないだろう?」
「………」
いたけどな。昔、殺す相手に勢いとはいえ思いっきり名乗って、終いには絆されて祖国を裏切ってしまった、情に篤い暗殺者が。
意識がとんだ一瞬で、そいつが一気に踏み込んできた。が、―――ロイドの師匠よりは、遅い。受け止め、振り払い。踏み込まず、踏み込ませず。
昔はこんな戦い方が苦手だったのに。突っ込んでばかりでいつも諌められていたのに。
「―――マイセン、ロイド!」
駆けてくる、スレイとミクリオ。その向こうから、近づいてくる数多くの気配。
「………ちっ」
「どうする。これ以上続けて、俺たち全員を相手にするか?」
駆けつけたスレイとミクリオが、ロイドの横に並んで構えた。
「腕一本じゃあ、腹も脹れない。そっちのガキも美味そうだが………」
腕一本。片腕がない、血塗れのマイセン。
「お前、まさかマイセンの腕を………!」
一歩踏み出すミクリオを、スレイが制して背に庇う。その二人をさらにロイドが守るように立ち、そこで、ジイジたちが追い付く。
「………つまみ食いにかまけて、主菜(メインディッシュ)を逃すのは面白くない」
――――――
・マイセンは腕一本で済みました。逆に言えば、腕一本は喰われて片腕ですが。
・ルナールって、どういう憑魔なんだ? キツネっぽくて、火の術が使えて。天族を喰う憑魔はルナールくらいだった気がするんだが―――そしてベルセリアプレイすると………。ルナールは最後まで残った憑魔だし、真面目にアフターエピソードの続きってどうなるんですかね?!
――――――
・旅路の夜明け
「え、スレイもう行ったのか?!」
スレイとミクリオはもう山を降りた、と聞かされて、ロイドは仰天する。
「うわぁ、うわぁ!! またかよ………!」
これでは、まるであの旅立ちの朝みたいじゃないか!
ロイドは慌てて自分の家に飛び込むと、纏めてあった荷物をつかんで飛び出した。
「ジイジ、皆! 行ってくるなー!」
「………やれやれ、ようやく行ったか」
「まったく、相変わらず世話のかかる奴だな」
「スレイとミクリオを―――頼んだぞ」
――――――
ロイドはイズチで一番腕がたちます。なのでまた変なのが入ってこないよう、徹夜でジイジの加護領域を回って警戒してたのでした。
というわけで、ロイドは数時間くらい遅れて出発。魔物との戦いは慣れてるし、何度かレディレイクには行ったことある(カムラン時代のおつかい含む)ので迷わない。
――――――