「ふぁ~…ねむ…」
「あら夢月、目が覚めたのね。」
「うん。…おはよ。」
私ははしゃぎすぎて疲れていたのか、いつのまにか眠っていたらしい。それにしてもまだ眠い。ストレスでも溜まっているのだろうか…。
「今度マスターに頼んでひと暴れする許可もらおうかな…。ストレス発散として。…ま、どうせダメだって言われるか…。」
「あ!夢月さん!」
私が今後のことについて考えていると…誰だったか…あぁ、ルーシィが話しかけてきた。
「はぁい、ルーシィ。あと、「さん」付けしなくていいわよ。夢月でいいから。」
「う、うん!ありがとう。あ、夢月、みて!
そういい、ルーシィは右手の甲を見せてくる。確かにそこには
「そう。じゃあ正式にルーシィは私たちの仲間になったんだね。改めてよろしく、ルーシィ。」
「うん!よろしく!そういえば夢月さ…夢月はどこにギルドマークをつけてるの?」
「私?私は左腕の肘に近いところにつけてるわ。」
そういい、私は服の袖をめくる。そこには、紫色の
「あ、ホントだ!あ、あともう一つ夢月に聞きたいことがあるんだけど…」
「ん?何を?」
「このギルドって…「父ちゃんまだ帰ってこないの?」
「!」
…今の声は…そうだ、マカオの息子のロメオだ。なにかマスターに話してる。
「くどいぞ、ロメオ。貴様も魔道士の息子なら親父を信じておとなしく家で待っとれい。」
「だって…三日で戻るって言ったのに…もう一週間も帰ってこないんだよ…?」
そういえば帰ってきた時からマカオの姿が見えなかった。仕事に行ってたのか…道理で見当たらない訳だ。
「探しに行ってくれよ!!心配なんだ!」
「冗談じゃない!!!貴様の親父は魔道士じゃろ!?自分のケツも拭けねぇ魔道士なんぞこのギルドにはおらんのじゃあ!!!帰ってミルクでも飲んでおれいっ!!」
いや、もうロメオはミルクっていう年ではない気がするが…。そもそもマスターは心配をしていないのか?いや、おそらくしているだろう。だが、ロメオはまだ子供だ。マスターが心配していることなんてわからないだろう。…ほら、体が震えている。するとロメオは耐え切れなくなったのか。
「バカーーーーーッ!!」
「おふっ…」
「!?…ふふっ」
いかんいかん、つい面白すぎて吹き出してしまった。ロメオがマスターを殴ったのだ。今のは写真を撮っておくべきだった。…あ、ロメオが出て行った。……実際のところ私が探しに行ってもいいが、まぁ足手まといだろう。ふむ。ならば…。私はギルドの入口の方に向かう。
「…。」
「え!?夢月、どこ行くの!?」
「?んー、暇つぶし?」
私はそうルーシィに伝えて姿を「消した」。さて、ロメオは今どこにいるだろうか…。
「え、夢月ちょっと________!?」
なんということだろう。夢月が突然消えた。私は今の現象が理解できていないせいで体が動かない。
「あぁ、夢月は瞬間移動の魔法を使うのよ。夢月は物心つくころからあれが出来ていたらしいわ。だから、夢月は目を離したすきにいつのまにか消えていたっていうこともあってね。まぁ、不思議ちゃんみたいな________ズシ!
____いきなりギルド内に鈍い音が響いた。
「おい、ナツ!リクエストボード壊すなよ!!」
どうやら今のはナツがやったらしい。するとナツもギルドの出口の方向へと向かっていった。…ついでにハッピーも。
「マスター、夢月とナツのやつ、ちょっとヤベェんじゃねぇの?」
「あいつらマカオを助けに行く気だぜ。」
「え?」
どうやら、あの二人はマカオという人を助けに行ったらしい。だが、マスターはそんなこと気にしてないとでも言うようにタバコを吸う。
「ナツは助けに行ったじゃろうが…。夢月は行かんじゃろ…。おそらく本当にブラブラしてると思うぞ。…あいつが一番わかっとると思うしな…。ま、放っておけい、両方とも。」
そう言いマスターは再びタバコを吸う。どうやら本当に気にしていないらしい。
だが私は、やはり二人共心配だった。
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次の日
私は今、ロメオの家の玄関前にいる。あたしは目の前のドアをノックした。
「ロメオー。いる?おーい、ロメオ少年~。」
返事がない。…が、気配はあるので多分家の中にいる。
「ロメオ?いるんでしょ?開けてくれないかしら?私は泥棒ではないわよ。」
「…わかってるよ。夢月姉でしょ?帰って。」
やはりロメオはいた。そして帰れと言われた。だが、ここで帰るほど私は甘くはない。
「やだ。それじゃここに来た意味ないもんッ。というかあけてくれないなら無理やり入るわね。」
「え?ちょっ_____」
バキンッ!!
私は無理やりドアの鍵を壊した。後でマカオに怒られるかもしれないが知ったこっちゃない。
「ちょ!?何鍵壊してるのさ!夢月姉!」
「知らないよ。開けなかったロメオが悪い。」
「はぁ!?」
ロメオが冷たい目で見てくる。
「…冗談よ。弁償はするからさ。悪かったわね。それじゃ、行くわ。」
「…え、どこに行くのさ?」
「…さぁ、考えてなかったわ。」
本当に何も考えてなかった。どうしたものか…。
「そうだ。昼食を奢ってあげようではないか。」
「いや、まだ11時だけど…。」
「どうでもいいじゃない。ほら、行くわよ。」
そう言い私は私はロメオの手を無理やり引っ張った。
「ご注文はお決まりでしょうか。」
「…そこまでお腹すいてないから…ショートケーキにオレンジジュース。」
「オレも…それでいいです。」
「かしこまりました。」
そういい店員は奥の方へと去っていった。
「それにしてもロメオ、お腹すいてないの?もっと高いもの選んでも良かったのに。」
「ううん、いいよ。最近あまり食欲がわかないいんだ。」
確かに今のロメオは元気がなさそうだ。そんなにマカオが心配なのか?私には分からない。
「お待たせいたしました。」
店員が再び来て、注文した品が並べられていく。私はケーキを一口食べる。…うん、おいし。私がしばらくケーキを堪能しているとロメオが唐突に喋りだした。
「…父ちゃんが帰ってこないのは俺のせいなんだ。」
…なんかよくわかんないこと言い出した。ロメオは別に何もやってないはずだ。それとも実は僕がマカオを殺しましたとか?…正直笑える。その展開。
…まぁなにか話してくれるようだし少しは退屈しのぎにはなるだろう。