吉井明久に憑依してしまったので、原作みたいな扱いにならないよう、頑張る。   作:はやえもんさん

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 吉井明久が消えてからもう一年が過ぎた。

 『僕』という存在は誰からも気づいてもらうことなくこのまま過ぎていくのだろうか。

 誰もわからないまま今日という一日がまた終わる―――


第十二問目/前哨戦

 Aクラスで試召戦争についての作戦会議をした三日後。

 

 僕たちAクラスの前には、これまでにEクラス、Dクラス、そしてBクラスを倒してきた坂本雄二が率いる、Fクラスがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――― Fクラスが来る一時間前 Aクラス教室

 

 僕こと吉井明久は考えていた。それは言わずもがな、試召戦争についてのことだった。

 

 Fクラスはやはり雄二の作戦により次々とほかのクラス倒していった。そして一昨日、僕たちが作戦会議をした次の日に、雄二はBクラスに戦争を仕掛けた。Bクラスの代表こと根本が、卑劣な戦法を使いFクラスを苦しめたのだが、雄二はそれを切り抜け勝利したという。

 

 ……別にそこまではおかしいことじゃない。いや、Fクラスが勝ったというのがおかしいとも思うが、そこは問題ではないんだ!

 

 おかしいと思ったのはFクラスとBクラスとの戦後対談なんだ。雄二はこれまで設備の交換ということをせず、試召戦争の手助けをしてもらうことを条件に設備の交換をしなかった。この条件は両クラスにとって、メリットがある。

 

 まず、敗戦したクラスは設備を交換しなくて済む。これはあたりまえのことだ。そしてもう一つ、クラス代表の信頼を失わずに済むことだ。下位クラスに負けたことで多少白い目で見られはするものの、設備を交換したことに比べればずっとましだ。

 

 そして、勝利したクラス……つまり雄二たちのクラスだが、これは言わずもがなで良い設備を、と思ってる人にとっては、代表の言い方次第でモチベーションを上げることができる。言い方が酷くなるが、Fクラスはバカの集まりだ。だからある程度頭のまわる人間が説得すれば簡単に納得してしまい、モチベーションも上がる。

 

それにFクラスという劣悪な環境での学校生活。そんなところで耐えられるよく出来た生徒は、Fクラスにはいないはずだ。

 

尤も、普通の生徒でも耐えるのはキツイだろうが。

 

 もう一つは、試召戦争を進めやすくできるということだ。敗戦したクラスはもちろんいうことを聞かないといけないので、従わざるをえない。また、相手クラスも他のクラスが、邪魔をしてくるとは思わないので、不意をつくことができる。

 

 最後に一番重要なことなのだが、普通、敗戦したクラスは設備を交換し、泥沼状態へとならないように三か月の準備期間を経てから試召戦争ができるようになるのだが、敗戦したクラスはいずれも『和平交渉にて終結』となっているんだ。これは裏を返せば、どのクラスも試召戦争によって負けてはいないことになるので、三か月の準備期間を経ず、戦争ができるということである。これを使えば、他クラスへの脅しにもなるため、最大のメリットともいえる。

 

 このように両クラスにとってメリットのあることなのだが、雄二は設備の交換をするまでとはいかないまでも戦争にまったく関係ないことを頼んだらしい。

 

 残念ながらそこまではわからなかったが、何かをたくらんでいるのは間違いないだろう。

 

 ……なんて僕は深く考え込んでいたのだが、そんなものはただの稀有だったということに気づかされる。

 

 

 

 そしてそんなことがあってから二日がたちました。つい昨日にCクラスの代表である、小山友香さんが、

 

『木下優子!!あんたさっきはよくも私のことをバカにしてくれたわね!?絶対に許さないんだから!私たちCクラスはあなた達Aクラスに試召戦争を仕掛けるわ!!!開戦は午後一時から!いいわね!?絶対に一泡吹かせてやるんだから!!!!!』

 

とか何とか言って宣戦布告してきた以外には何にもありませんでした。

 

 結局、その勝負は僕達AクラスがCクラスに押し込んだらすぐに終わりましたよ。小山さんもがっくりとしていましたが、戦後対談で話し合ったらどうやら優子さんが言ったというのは、すべて秀吉が言ったということが判明しました。その後は二人とも仲直り?をしてさらに仲が良くなったとか。

 

 小山さんが、設備を落としてくれて構わないといったが、結局は勘違いだったのでそれはかわいそうだと僕が思ったので、介入して『和平交渉にて終結』にしました。もちろん条件付きですけど。

 

 話を戻すと、FクラスとBクラスの試召戦争から二日がたちました。おそらく、僕の予想だと昨日戦争で失った点を回復し、今日あたりにでもくると思うんだよね。なにか秘策でも持ってさ。

 

 でも雄二。

 

 僕もね、ただ一年間勉強をしてきただけじゃないんだよ。

 

 

 

 ……さて、Fクラスが来るまでの間、僕は作戦でも練ることにするよ。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

ガラッ

 

 そんな音とともにAクラスの扉が開けられる。

 

 普段は人が来ない時間に扉が開けられたせいか、クラス全員の視線が扉に集まる。だが、扉を開けた男とその仲間と思われる人たちはそんな視線なぞ気にもせず、要件を言う。

 

「このクラスの代表はいるか?話がある」

 

 その言葉に答えるようにAクラスの代表である、霧島さんが向かおうとするが、優子さんがそれを止め、代わりに向かう。

 

「なにかようかしら、Fクラスの代表さん?」

 

「ああ、俺たちFクラスはAクラスに一騎打ちを申込みにきた」

 

「一騎打ち?」

 

「そうだ、俺たちFクラスの代表とAクラスの代表で一騎打ちをするんだ」

 

「あなたたち、何が狙いなの?」

 

「もちろん、Fクラスの勝利だ」

 

「面倒な試召戦争を手早く終わりにできるのは魅力的だけど、そこまでリスクを冒す必要がないのよ」

 

「まあ、それが普通の判断だよな」

 

 そう言って、雄二は何かを考え込んだ後、昨日のことについて話し始める。

 

「そういえば、昨日のCクラスとの試召戦争はどうだった?」

 

「ええ、貴方たちのお蔭で、操作に慣れることができたわ」

 

「どうやら、俺達がやったってのはばれてるみたいだな」

 

「ええ、彼がきちんと話した方がいいって言うんですもの」

 

「彼?」

 

「あら、貴方たちの親友でしょ?明久・・くんは」

 

 雄二の後ろでざわめく声が聞こえる。だが雄二はまるで最初から分かっていたかのようにまったく動じない。

 

「やっぱ明久はここに居やがったか」

 

 その声とともに僕は雄二たちの前に出ていく。

 

「久しぶり……ってほどでもないか。やあ雄二、よく来たね。それにみんなも」

 

 僕は雄二だけでなく、後ろにいたムッツリーニ達にも、声をかける。

 

 みんなの信じられないといったような視線にちょっと泣きそうになる。

 

 そんなにバカっぽかったかな……僕……

 

「で、話を続けるがこの条件を飲んでくれないのなら、俺達にも考えはある」

 

 落ち込んでいる僕を放っておいて、雄二は話を続ける。

 

「DクラスとBクラスとやりあう気はあるか?」

 

「DクラスとBクラスは負けたはず……なるほどね、『和平交渉にて終結』ってこと」

 

「その通りだ。つまり、いつでもそちらに兵を送ることができるってわけだ」

 

 雄二は先ほど僕が考えていたことをそのまま言ってくれる。だが、伊達に僕たちもCクラスと試召戦争をしたわけじゃない。

 

「そうかしら?貴方の作戦にはミスがあるわ」

 

「ミスだと?そんなものは無いはずだ」

 

「Cクラスよ」

 

 そう、僕たちはただ和平交渉をしたのではない。あの時、いつでも試召戦争をできるように準備をして置いて欲しいと頼んだのだ。

 

 つまり、いつでも防衛できるようにしておいたってことなんだ。

 

「っ!!そういうことかよ。つまりあんたらも兵を持ってるってことか…っ!」

 

「そういうことよ。で、どうするの?」

 

「くっ!だが俺の意思は変わらねえ、それにまだEクラスもいるしな」

 

「貴方たちもしつこいわね、わかったわ、一騎打ち受けてもいいわ。ただし、一騎打ち五回で三回勝ったほうの勝ちよ」

 

「なるほど、姫路を考慮してのことか」

 

「ええ、代表である貴方がでてくるとも限らないし」

 

「わかった、ならあんたの言うとおりの方式にしよう」

 

「ほんと?よかった」

 

優子さんは提案を飲んでくれたことに一安心する。……かわいいな、優子さん。

 

「そのかわり、科目選択権は俺達がもらってもいいか?」

 

「え?うーん…」

 

「…優子、その提案、受けてもいい」

 

 優子さんが雄二たちからの提案をどうするか考えていると、霧島さんが来て、あっさりとその提案を飲んでしまう。

 

 本当ならもう少し考えた方がいいんだけど、霧島さんはどうやら自信があるみたいで特に考える様子も無い。

 

「代表…いいの?受けても」

 

「…いい」

 

「代表がいいならいいけど……じゃあ科目選択権の二つは私たちにくれない?それなら私も受けるわ」

 

「ああ、それならオーケーだ。……お前もそれでいいよな?翔子」

 

「…いいけど、条件がある」

 

「条件だと?」

 

「負けた方が勝った方の言う事を一つ何でも聞く」

 

 何でもという言葉に反応したムッツリーニが、素早くカメラの手入れをしだす。恐らく、霧島さんが、姫路さんに手を出すとでも思っているのだろう。

 

だがいくら霧島さんに百合の気がある、なんていう根も葉もない噂をこのムッツリは信じ切れるのだろうか。健全な男子ならもしかしたら自分にもチャンスが―――

 

という希望を打ち砕かれてショックを受けるのではないだろうか。

 

でもこの学校なら仕方ないか。

 

「ああ、そんくらいならいいぜ。じゃあ開戦は十時からで、このAクラスでな」

 

そんな僕の愚問を他所に対談はいつの間にか終わってしまう。

 

 開戦時間と場所を告げると雄二たちは帰って行ってしまった。

 

 僕たちも選抜メンバーを決めないとね。Fクラスだからって、油断してるようじゃすぐ負けちゃうかもしれないし。

 

それに向こうのFクラスには秘策があるしね。

 

 

 

 

そんなこんなでいよいよ、僕達Aクラスと雄二達Fクラスとの試験召喚獣戦争――通称、試召戦争――の時間となった。

 

向こうも本気で勝利を獲りに来ているからね。僕達はAクラスの誇りと、実力でもってねじ伏せてやらねばならない。

 

 

 

 

 

 

……俺・というイレギュラー相手に君達はどう戦うのかな。楽しみだよ。

 

僕は僕だけしか知らない――いや、知ってはいけないこの知識で戦わせてもらうよ。

 

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