吉井明久に憑依してしまったので、原作みたいな扱いにならないよう、頑張る。 作:はやえもんさん
3月上旬、いつの間にやら冬は去っていてここ、私立文月学園にも春が訪れようとしている。3月最大の行事と言えば、一般的には卒業式だろうが、僕にとってはそれ以上に大きな行事がある。
そう。学年度末に行われるクラスの振り分け試験だ。ここで僕の行くクラスが決まる。できれば設備の良い、Aクラスに入りたい。
正直僕はこの1年間、と言うよりかはある日を境に今日まで、死に物狂いで勉強した。1年の最初こそテスト前にやれば良いだろと言う安直な考えで、テストで痛い想いをした。
そして、頭の良いやつとの差を見せ付けられFクラスでなければいいとAクラス入りを諦めようともした。
でもそれは、頭の良いやつから、逃げようとしているみたいで。
Aクラスに入る、そんな大層な言葉を、ただの上辺だけの薄っぺらい言葉にしたみたいで。
どうしても諦める事は出来なかった。
その日からは毎日、学校でも、家でも、平日でも、土日でも、祝日でも、どんな日だろうと勉強した。自分で出来ない所でも、優子さんに聞いたりしてできる様にした。得意な科目はもっと伸ばす様に努力した。
今日、この振り分け試験ですべてが決まる。泣こうが笑おうが、出た結果は全部僕の実力だ。それを受け止める覚悟位、とっくに出来ている。
優子さんへの恩返しの為。雄二達への努力の証を見せてやる為。
……僕は絶対にAクラスに入る!
ーー---
4月上旬/私立文月学園 始業日
「あ、優子さんおはよう」
「あら明久君じゃない。今日は速いのね」クスッ
「うん、今日は僕のクラスが分かるからね。そりゃ速く来たくもなるよ」
「明久君、ずっと頑張ってたものね」
「……うん」
ギュッ
優しく、優しく優子さんは僕の手を握ってくれた。
「心配しないで、明久君。あなたの努力は私が1番知ってる。その私が言うんだから間違いないわよ」
優子さんの手を握り返し僕は言う。
「ありがとう」
ありがとう。何の変哲も無いごくありふれた言葉だけど、僕は知っている。知識豊富に言葉を使ったお礼よりも、何度も言い続けるよりも、飾らないたった一言で言う
「ありがとう」
の言葉が1番相手に伝えられる事を。
「…そろそろ行こっか♪手は繋いだままで良いよね?」
「明久君が繋ぎたいなら…もうっ!気が済んだら、離してよね!」
「冗談だよ」
パッ
「あっ…」
「ん?どうかしたの?」
「な、何でも無いわよ!それより速く行きましょ!」
「?うん」
◆◆
「「西村先生、おはようございます」」
「おお、おはよう」
原作……いや、もうここは現実世界と何ら変わらないんだ。原作とか比べるのはこの世界を架空の世界と認めている様な物だ。そういう表現は控えようか。で本件だが、実は僕は西村先生からの評価は高い。それもそうですか。1年間、僕はまじめに過ごしてきたし。そういう訳で朝のあいさつもこんな感じです。
「じゃ2人とも、この封筒を受け取ってくれ」
「「ありがとうございます」」
…ついにきた。これで僕の努力の成果がわかる。
……大丈夫だ。優子さんがいる。何も恐れる事は無い。
「…私はAクラスみたいだわ。……もうっ、そんな辛気臭い顔しないでよ。大丈夫よ」
「うん、そうだね。僕は…」
『吉井明久
Aクラス』
どうも読んでくださりありがとうございます。
今回で1年は終わりです。次回からは2年ですので、またよろしくお願いします。
※前話にデートシーンを書きいれました。気になる方は読んでみてください。