イサム「のわりにはテンション低いな」
Mk-Ⅳ「中身のデータが逝ってしまわれた…」
イサム「…バックアップ取ってなかったのか」
Mk-Ⅳ「うん…」
イサム「まあ、諦めろとしか言えんな」
Mk-Ⅳ「皆さんは取っておこうね、意外とこれ大事」
イサム「それでは本編をどうぞ!」
ハガネ 格納庫
「う~んとここはこうして、これはこうっと」
「どうだ?イサム」
Mk-II カスタムのコックピットで、機体の整備をしているイサムにロバートが覗き込みながら尋ねる。
「よし、OSも問題無しっと」
「お疲れさん、ところでラトゥーニが来ていないんだが何か知らないか?」
パネルを操作しながら異常が無いことを確認すると、体を伸ばして一息つくイサムに、ロバートが問いかける。
「ラトゥーニが?何かあるの?」
「あの子の機体の調整作業をしたいんだが…」
「OK、俺が探してくるよ」
「悪いな、頼むよ」
困ったように頭を掻くロバートに、コックピットから出て自分が探しに行くことを伝えるイサム。
「さてと、とりあえす部屋に行ってみようかな」
リフトから降りて、いる可能性の高い場所から探す為に歩き出すイサム。
ハガネ 通路
「自分の部屋にいないならここかな?」
ラトゥーニの部屋にいなかったので、次に可能性が高いガーネットの部屋の前に立っているイサム。
呼び出そうとすると突然ドアが開き何かか飛び出してくる。
「うおぉっと!?」
驚きながらも咄嗟に受け止めるイサム。
「って、ラトゥーニじゃん、どうしたのさ?」
「い、イサム?」
よく見てみると何時もの軍服ではなく、いわゆるゴスロリ服と言われる物を着ていた。
「わお、すごい格好してるね」
「あ、あぅ」
余程恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして俯いてしまうラトゥーニ。
そこにガーネットが顔を出す。
「あら、イサム君ちょうどよかった。こっそりと持ち込んでおいたんだけど、似合うでしょう?」
「ええ、よく似合ってますよ」
「ほ、本当?」
自信満々に感想を求めるガーネットに思ったことを告げると、ラトゥーニが恐る恐る尋ねてくる。
「うん、すげー似合ってるよ」
「そ、そっか。えへへ」
嬉しそうにはにかむラトゥーニを見ていると気恥ずかしくなってしまい、思わず視線を逸らしてしまうイサム。
「ふふ、よかったわねラトゥーニ」
「うん!」
「えーと、そういや何でその服を?」
ふと疑問に思ったのでガーネットに問いかけるイサム。
「イサム君以外の人とも仲良くなる切っ掛けになるかなって思ったの」
「ほうほう成程、いい考えですな。じゃあ皆にも見てもらおうよラトゥーニ」
「で、でも…」
「大丈夫だよ、皆も気に入ってくれるって」
自信が無い様子のラトゥーニの背中を押して行こうとすると警報が鳴り響く。
「チッ空気が読めない連中だ。先に行ってるから着替えてから来いよ!」
「でも…」
「その格好のままは不味いだろ!ガーネットさんお願いします!」
「ええ、わかったわ!」
ラトゥーニをガーネットに任せ格納庫へ急ぐイサム。
Mk-II カスタムに乗り込み起動させると、ロバートから通信が入る。
「すまない、イサム!他の機体が発進出来るまで敵機を抑えてくれ!」
「あいよ、任せんさい!」
機体をカタパルトに固定させ、発進準備に入るイサム。
「進路クリア!発進どうぞ!」
「Mk-II カスタム、イサム・トウゴウ行くぜ!」
リオの指示を受け、スロットルを全開にし機体が加速するに伴いGが体全体に圧し掛かるが、気にすること無く発進するイサム。
続いてイルムガルドのヒュッケバイン009とリュウセイのビルドラプターも発進する。
「出れるのは俺たちだけなのかよ!?」
「しゃあないでしょリュウセイさん。他の機体は整備中なんだから」
「そ、文句はDCに言えよ」
不安を隠せない様子のリュウセイに対し、落ち着いた様子のイサムとイルムガルド。
そこに量産型ゲシュペンストMk-IIが一機発進して来る。
「ん、あれはラトゥーニか、って誰!?」
モニターに表示されたラトゥーニの姿に驚愕するイルムガルド。
「お前着替えて来なかったんかい!!」
「着替えるのに時間が掛かるから…」
ゴスロリ服もままのラトゥーニに思わずツッコムイサムに、訳を伝えようとするラトゥーニ。
「いやだからって…」
「お、おいイサムその子ってもしかして…」
「え、ラトゥーニだけど何だよイルム兄」
「な、何だってーーっ!?」
「マ、マジ!?」
「いや、何でそんなに驚いてるんだよ」
驚愕しているイルムガルドとリュウセイに、呆れながらツッコムイサム。
「な、何でそんな格好してるんだ!?」
「細かい話は戦闘が終わったらな!」
「あ、ああ…(なんてこった…。この俺としたことが、まったくのノーマークだったぜ…)」
ラトゥーニのことを見抜けなかったことに、動揺している様子のイルムガルド。
「んじゃま、行きますか!」
気合を入れなおしてリオン部隊に突撃するイサム。
迎撃しようと弾幕を張られるが、シシオウブレード改と装甲で弾きながら肉迫するMk-II カスタム。
「オラオラオラ!!」
シシオウブレード改で次々とリオンを切り伏せていくMk-II カスタム。
他の機体が陣形の乱れたところを追撃していく。
「っと、一通り片付いたかね」
「みたいだが、相変わらずお前の戦い方は危なっかしいな」
周囲に敵機がいないか確認するイサムに、同意しながらも戦い方に呆れた様子のイルムガルド。
「いいんだよ、これが一番合ってるんだから」
「だからって援護する身にもなれよ」
「無論感謝してますよ、お兄様」
「やめろ、見た目が女の奴そんな言い方されると余計気持ち悪い」
「んだとコラ!!」
いつものようにじゃれあうイサムとイルムガルド。
そうこうしている内にレーダが新たな機影を捉える。
「来たかって、人型もいやがるな」
敵の増援の中に、この前遭遇したガーリオンの色違いを見付けるイサム。
「……。この時を…、連邦軍との戦いの場へ赴ける時をどれほど待ち望んだことか。あれから16年…。レイラ、アンナ…お前達の無念を俺のこの手で晴らしてやる」
憎悪の炎を燃え上がらせ、ハガネを睨み付けるテンペスト・ホーカー。
「エルザム・V・ブランシュタインじゃないみたいだが…」
「それでもエースパイロットっぽいな。敵さんも次から次へと面倒な相手を送り込んでくれるもんだぜ、まったく」
ガーリオンを警戒しながら迎撃態勢に入るイサム達。
「連邦軍に与する者には死を…!我が妻と娘に対する最初の手向けとなるのは…。お前だ!」
「!来る…!」
ラトゥーニ機にバーストレールガンを放ってくるが、寸前で回避する。
「その機体の動き、データで見た記憶があるわ…」
「あの機体、子供が乗っているのか…!」
自分が攻撃した機体に乗っているのが、子供であることを知り、驚きを隠せないテンペスト。
「…あなたはエルザム少佐と同じ、元教導隊のメンバー…」
「あいつも教導隊…!?」
「へえ…」
相手が元教導隊であることを知り、驚くイルムガルド達だが、イサムだけは興味を持ったような笑みを浮かべていた。
「(…あの声…アンナが生きていれば、同じ年頃か…?…俺は…あのパイロットを撃てるのか?)」
ラトゥーニに娘の姿を重ね迷いが生じ攻撃を躊躇うテンペスト。
「いや…慈悲の心はとうに捨てた。俺は連邦軍の人間を一人で多く血祭りに上げるために…。16年目の復習を果たすために、鬼となる!」
「…復讐…!」
「ラトゥーニ、その敵はヤバい!離れろ!」
テンペストがラトゥーニに、狙いを定めたことを察知したイルムガルドがラトゥーニに警告する。
「恨むなら、連邦軍に身を置いた己を恨め!」
「来る…!」
バーストレールガンを放ちながらラトゥーニ機に接近し、アサルトブレードを構えるテンペスト機。
マシンガンで迎撃しながら後退するが、一瞬で接近されてしまう。
アサルトブレードが振るわれるが、間に影が割って入る。
「おいおい、俺も混ぜてくれよ!」
「また子供だと!腐る所まで腐ったか連邦め!!」
「少なくとも俺は好きでここにいるんだ!勘違いしてんじゃねえ!!」
子供が戦場にいる事に憤怒するテンペストに、怒鳴り返しながら受け止めていたアサルトブレードを弾くイサム。
「イサム!」
「お前は下がってろ!コイツには言いたいことがあるんでな!」
ラトゥーニに下がるように指示し、テンペスト機に向き直るイサム。
「ならばお前も家族への手向けとなれ!」
「なるかよ!」
互いに振るったブレードがぶつかり合い火花が散る。
「何が復讐だ笑わせんじゃねえ!」
「だまれ!貴様に何がわかる!」
「わかんだよ!憎しみだけで戦おうとすることの虚しさがな!」
「!貴様は…」
イサムの発言に動揺した隙に、踏み込まれ右腕を切り落とされるテンペスト機。
すぐにバーストレールガンを連射しながら距離を取る。
「誰かの未来を奪うことが、あんたの家族が望んだことなのかよ!!」
「!?」
「恨むことしかしないで前に進まないあんたに、笑っていてくれてるのかよ!!」
「黙れ、黙れ!!!」
激昂したテンペストは機体を上昇させ、ブレイクフィールドを展開させる。
「砕け散れ!!ソニック・ブレイカー!!」
前面にブレイクフィールドを纏ったガーリオンが、Mk-II カスタムに突撃する。
危険を察知し咄嗟に回避するも、ガーリオンが通り過ぎた地面が抉り取られていた。
「ありゃ、テスラ・ドライブの圧力場を応用してやがるのか」
冷静に分析しながら再び突撃してきたガーリオンを回避するイサム。
「(AMのジェネレーターじゃ長くは続かないだろうが…。それじゃ逃げに撤されたらきついな。だったら!)」
恐れることなくガーリオンへ向かって、突撃するMk-II カスタム。
「正面からだと!?舐めるな!!」
「チェストォォォォォォオオオ!!!」
すれ違い様に振るったシシオウブレード改が、ブレイクフィールドとぶつかり合う。
「うらぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
「何!?」
咆哮とともに振り抜いたシシオウブレード改が、フィールドごとガーリオンの右肩を切り落とす。
「馬鹿な…!」
「少佐、ハガネから後続が!」
ハガネから出撃準備が完了した機動部隊が、展開されていく。
部下の報告を聞き戦況を確認すると、レーダーに友軍機が次々と撃墜されているのが映る。
「…潮時か、全機撤退せよ!」
引き時と判断し、撤退を指示し一度Mk-II カスタムを見た後、自身も離脱を開始するテンペスト。
「……」
「おい、大丈夫かイサム?」
「ああ、レオには無茶させちまったがな…」
イルムガルドからの通信に答えながら機体の状態を確認すると、負荷が掛かりすぎて各間接部が損傷していた。
「一人で戻れそうか?」
「問題無い、これから帰還する」
ハガネ 格納庫
「驚いたわ…。ラトゥーニがあそこまで変わるなんて」
「素材もいいけど…あたしのコーディネートも中々でしょ?」
賞賛するアヤに自信満々に答えるガーネット。
「ああ。眼鏡を取った可愛い子ちゃん…っていうお約束をあそこまで地で行くとはね」
「俺もあの子を見たときは、自分の目を疑ったよ」
アヤ同様感心しているイルムガルドとロバート。
「正体がもっと早くわかってたら、口説いていたんだが…」
「口説くって…あの子、まだ14歳ですよ?」
「十分、守備範囲だね」
イルムガルドの発言に若干引き気味になる一同。
「ホント、節操が無いよなアンタ」
「ん、検査終わったのかイサム」
そこに無茶な戦闘をしたので、念のために検査を受けさせられていたイサムと、付き添っていたラトゥーニが入って来る。
「皆大袈裟なんだよ、ちょっと打ち付けただけでさ」
「そう言ってこの前、怪我をしていたのを隠そうとしてた…」
釘を刺すようにイサムに言うラトゥーニ。
「あんなの怪我の内に入らないって」
「……」
「やめて!その突き刺さるような視線地味に痛いから!」
無言で自身を見つめてくるラトゥーニに軽く恐怖を感じるイサム。
「そういえば、ラトゥーニ…もう着替えちゃったんだ?」
「…あんな格好じゃ艦内を歩けない…」
ガーネットが指摘すると恥ずかしそうに俯くラトゥーニ。
「服装は置いといてさ、眼鏡ぐらい変えたら?目が見えるようなのに」
「イサムは、その方がいいの?」
「うん!」
「…考えておく…」
イサムが笑顔で頷くと頬を染めながら答えるラトゥーニ。
「…ガーネット」
「しょ、少佐…」
「訳を聞かせてもらおう」
イングラムが現れガーネットを問い詰める。
「え、えっと…あの子に、皆と打ち解ける切っ掛けを作ってあげようと思って…」
「……」
「す、すみません……始末書ものですよね?」
「ガーネット…」
「…イングラム少佐、格好がああでも任務はやり遂げましたし…ガーネットの気持ちも…」
「(…一種のリハビリということか)いいだろう。今回は不問とする」
アヤが助け舟を出し、今回の件は咎めないことを告げるイングラム。
「あ、ありがとうございます!」
「では、以上だ」
「あ、少佐…あの子の服装、どうでした?」
「……」
「が、ガーネット?」
「(おいおい、それをおカタイ少佐に聞くかね)」
突然の質問に考える素振りをするイングラムと驚愕する一同。
「嫌いでは…ないな」
「そうですか。ありがとうございます!」
「(こりゃまた意外なお答えで…)」
「(私も…着てみようかな、あの手の服。でも…似合わないわよね~、きっと)」
イングラムの意外な一面を目の当たりにしさらなる驚愕に包まれる一同と、何かを考え諦める様子のアヤであった。
「そういやよ、イサム」
「何だい、イルム兄?」
「いや、お前は着ないのかと思ってな」
「突然何を言い出すのこの人?」
突然の発言に怪奇な表情を浮かべるイサム。
「あ、そうそうイサム君のも用意してあるのよ」
「何で用意してんのアンタ!?」
どこからともなくラトゥーニが着ていた服の、黒色のを取り出すガーネット。
「そういや昔はテスラ研の職員に、よく着せ替えさせられてたな」
「言うんじゃねえよ糞兄貴!!」
恥ずかしい過去を暴露したイルムガルドに殴りかかろうとするが、ガーネット達に取り押さえられる。
「ちょ、はな…ってラトゥーニまで!?」
「どんなの着てたんですか?」
「すんごい興味津々だこの子!?」
ラトゥーニの意外な反応に戸惑うイサム。
「ああ、今度アルバム持ってきてやるよ」
「や、やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
ハガネに一人の少年の絶叫が響き渡ったのであった。
Mk-Ⅳ「ラトゥーニ+ゴスロリは至高、異論は認めん」
イサム「それには同意するが、立ち直り早いな」
Mk-Ⅳ「過去は振り返らない、それが私だ!」
イサム「まあ、続きを書いてくれるなら、何でもいいが」
Mk-Ⅳ「というわけで、次回はついにイサムの因縁の相手が出る予定なので、お楽しみに!」