スーパーロボット大戦OGs~獅子の牙~   作:Mk-Ⅳ

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お久しぶりです。
天獄編発売記念に投稿しました。一体どんな展開になるか楽しみですね。


第十九話

DC戦争が終結して間もなくL5宙域に突如として天体規模の人工物が転移出現し、連邦軍はそれを”ホワイトスター”と呼称した。

そして、ホワイトスターは世界各地にバグズの大群を送り込んで来たことにより、エアロゲイターが遂に侵攻を開始したことを地球人へと告げたのである。

空間転移による波状攻撃により苦戦を強いられる連邦軍。そんな中ハガネは攻撃を受けている北京への救援に向かっていた。

 

ハガネ格納庫

 

「R-3とR-GUNも実戦投入するのかぁ」

 

格納庫にはR-1と同列機であるR-3とR-GUNに、DC残党掃討時にロールアウトしていたR-2が並んで配置されていた。

その側でリュウセイらSRXチームが話し合っており、そこから少し離れた位置でイサムやキョウスケ達が機体を眺めていた。

 

「わお、こうして見ると壮観ねぇ」

「これでSRX計画も本格的に始動する訳だな」

 

RシリーズにはEOTの他に最新技術がふんだんに取り入れたれているが、その調整に手間取り先のDC戦争では、比較的調整しやすかったR-1のみがロールアウトするに留まっていた。

 

「あたしらの方にも新型の試作機でも回して欲しいぜ」

「今の状況だと、ゲシュペンストに乗れるだけ幸いだと思いますよカチーナ中尉?」

 

現在主力PTであるゲシュペンストはEOT特別審議会の妨害により、30機程度しか量産されておらずAMの配備も始まったばかりなので、連邦軍の主戦力は今だに戦闘機や戦車と言った現行兵器が担っているのである。

 

「何ならレオに乗ります?中尉なら相性いいと思いますよ?」

「いや、あんなの乗りこなせるのはお前かキョウスケくらいなもんだろ…」

 

イサムの提案に苦笑いしながら遠慮するカチーナ。

DC戦争時大破した以前のイサムの愛機、量産型ゲシュペンストMK-Ⅱ・カスタムことレオは、予備戦力として修復されハガネに配備されていたのだ。

流石のカチーナもあのぶっ飛んだ仕様は扱いきれないと判断した様である。ちなみに以前にたコンセプトのアルトアイゼンに、ブリットがシュミレーターで搭乗したらGに耐え切れず体調を崩したそうである。

 

「それにしても。ここら辺は全然被害を受けていないな」

「各地の首都への攻撃は、今の所殆ど確認されていないみたいだよブリット」

 

リョウトの言う通りエアロゲイターが目標としているのは、地方の都市を中心としており、軍事基地やホワイトスターに近いコロニーと月は攻撃を受けていなかった

 

「それって普通逆じゃね?」

「タスクの言う通りだがエアロゲイターは、意図的にこちらの戦力を削らない様にしていると見るべきだろう」

「つまり手加減してるってことですか?何のために…」

「占領後のことを考えているのか、あるいは別の目的があるのかもしれんが…いずれにせよ」

「舐められてるってことか!クソッ!」

 

怒りにませて左の手の平に右拳を打ち付けるカチーナ。他の者も同じ様な気持ちなのだろう、皆怒りを滲ませた表情をしていた。

 

「お前らそろそろ戦線に着くぞ!出撃準備に入れ!」

 

イルムの号令にそれぞれ己の機体に搭乗していく。

 

「(遂にエアロゲイターとの戦いが始まったんだ。敵がどんなに強くたって、皆で力を合わせて生き残るんだ!)」

 

レオーネに乗り込んだイサムはそう願った。仲間と共に無事戦い抜くことを。

 

 

 

 

 

しかし、その願いは最悪の形で裏切られることとなるのだった――

 

 

 

 

 

北京

 

戦場へ到着したハガネを中心として機動部隊を展開し、それぞれにエアロゲイターを迎撃していた。

その中でイサムはATXチームと共に先陣を切っていた。

 

「うらああああああ!」

 

レオーネがブレードで、蜘蛛型の陸戦機”スパイダー”と呼称されている機体を次々と薙ぎ払っていく。

アルトアイゼンやヴァイスリッターを始めとするATXチームや、他の機体も次々と撃破していくが、次々と敵機が転移によって現れ続けていた。

 

「くっまだ増えるのか!?」

 

津波の様に押し寄せてくる敵に疲労の色を滲ませるイサム。

戦闘を開始してからかなりの時間が経つが、今だに敵の勢いが衰える気配は無かった。

 

「これは、ちょっと厳しいわねぇ」

「覚悟はしていた。やるだけだ」

「右から敵群体来ます!」

 

今まで正面からのみ敵が来ていたが、新たに右からの攻撃に晒される先陣部隊。

 

「私が迎撃します!マキシ・ブラスター!」

 

援護のために合流していた、クスハの乗るグルンガスト弐式が胸部から放った高出力ビームが、敵の群体を焼き払う。

 

「ラトゥーニ少尉、戦況はどうか!」

「敵が我々を包囲する様に展開し始めています。また各部隊の損耗率も増加しています」

「空はマサキさんとタスクさんがMAPW(大量広域先制攻撃兵器)で抑えてくれてますけど…」

「流石にそろそろ限界よねぇ」

 

エクセレンができるだけ士気を下げないために軽い口調で言うが、このままでは全滅の可能性が高いことは皆理解していた。

それでも諦めずに奮戦するが、敵に変化が見られた。ブルックリンが駆るヒュッケバインMk-IIが放ったフォトン・ライフルが、スパイダーに当たる前に何かに弾かれたのだ。

 

「!?バリア・フィールドだと!」

「そんな情報なかったぞ畜生が!」

「奴らめ新たなカードを切ってきたか」

「わお!そんなサプライズお断りよぉ!」

 

敵が見せた新たな機能にも即座に対応するも、次第に押し込まれていってしまう。

 

『スティール2より各機へ!これよりSRXチームがパターンOOCを実行する、可能な機体は援護せよ!』

「パターンOOC?確かSRXチームの特殊フォーメーションか!」

「各機聞こえたな。ここが賭けどきだ行くぞ!」

「了解です!キョウスケ中尉!」

 

SRXチームの進路を確保するためにルート上の敵機を撃破していくイサム達。

援護を受けたR-GUN以外のRシリーズが変形し合体を開始した。

だが途中でフォーメーションが崩れ、三機共墜落してしまう。

 

「ッ!失敗したのか!?」

「エクセレン。SRXチームのフォローに入る先行しろ」

「おーらいッ」

 

リュウセイらを援護するために急行するイサムら――

 

 

 

 

――そこでR-GUNがR-3を撃つのを目撃した。

 

 

 

 

「何だ?R-GUNがR-3を撃った様に見えたが、誤射か?」

「いえ、違います」

こっち()からは見えてたわ。確実にロックオンしてから撃った」

 

 

 

 

「故意よ、あれ」

 

 

 

 

「そんなッ!そんなのある訳ない!だってあんなにアヤさんのこと大切に…!」

 

イサムの脳裏には不器用ながら、アヤのことを気にかけていたイングラムの姿が思い起こされていた。

そんなイングラムアヤを傷つけたことが、イサムには信じられなかった。

 

「俺がこちら側でやるべきことは終わったか。状況を次の段階に進めるとしよう」

 

イングラムがそう言うと、R-GUNの背後に未確認の人型機動兵器が多数転移出現し、R-GUNの合図と共に一斉に射撃を開始した。

イングラムの裏切りに動揺してしまっていたイサムは回避できず、G・テリトリーでかろうじて受け止める。

 

「ぐぅあああああ!」

「イサム!」

 

ラトゥーニのビルドラプターが援護射撃を行うも、人型もバリア・フィールドを展開し防がれる。

一方でアルトアイゼンがステークをR-GUNに打ち込もうとし、後方に飛び退き回避させた所をヴァイスリッターが狙撃するがこれも機体を回転させながら避けられる。

 

「敵対異星勢力に、交渉が可能な人型生命体が存在していることは、南極会談の時点で分かっていた。地球側の技術の分が悪いこともだ。異星勢力に寝返ろうと言うのか、イングラム・プリスケン」

「――薬が効き過ぎたか、読みが足りんぞキョウスケ・ナンブ。まだお前達に与えられてない情報は多い。例えば――」

 

 

 

 

「そもそも俺は、地球側へ潜入してきた異星人のスパイ(・・・・・・・・・・・・・・・・・)であるとか、だ」

 

 

 

 

『!』

 

イングラムが放った言葉は、聞いていた者全てに衝撃を与えるには十分過ぎるものだった。

 

「そんな、教官が…異星人?それじゃ俺に…俺達に強くなれって地球を守れる力をつけろって、教えてくれたことは全部嘘だったのかよ!?」

「いいや、それは本当だ。お前達をそれだけの力を持った兵器(・・・・・・・・・・・・)として完成させようとしていたのは事実だからな。だが――」

 

言葉の途中で飛来したビーム・チャクラムを避け、R-2の右腕を切断するR-GUN。

 

「そう言った試作兵器に失敗作はつきものだ。アヤ・コバヤシがそうであったように。ライディース・F・ブランシュタインがそうであるように」

「少佐ッあなたはッ」

「ヒュッケバインのブラックホールエンジン機動試験をしくじり。テクネチウム基地をその職員共々消滅させた負い目が、貴様を奮起する糧となると踏んだのだがな。やはり念動能力者でもない貴様に、R-2のシートは荷が重すぎたようだ」

 

イングラムの言葉に言い返せずに、歯を噛み締めるしかできないライディース。

 

「くッそおおッ」

 

リュウセイが叫びながら、G・リボルバーは放つも碌な狙いが定まっていないため、簡単に避けられてしまった。

 

「だがリュウセイ。お前にはまだ見込みがある。作動不良を起こした部品を廃棄し、新しい部品を集めろ。念動力能者の候補にはこの部隊でなら困らない筈だ。そして俺を追って来い。今度は敵として俺がお前を鍛えてやる。お前をよりハイクラスの念動駆動兵器として完成させてやる。そして――」

「イングラムウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥッ!!!」

 

レオーネが上空からR-GUN目掛けて、ブレードを振り下ろすも読まれていたかの様に回避されてしまう。イサムの怒りに比例する様に、叩きつけられてブレードによって、地面にクレーターができていた。

 

「イサム、貴様も非念動能力者として興味深いサンプルだ。お前もリュウセイと共に鍛えてやろう」

「信じてた!皆あんたを信じていた!仲間だと思っていたんだ!」

 

ブレードを下段から振り上げるが、機体を僅かに逸らして回避するR-GUN。

すかさず振り上げた勢いを利用して回転しながら横薙ぎに振るうが、R-GUNは跳躍して避けるとレオーネの顔面を蹴りつけその反動を利用して距離を取った。

蹴られた衝撃で態勢を崩してしまうが、直ぐに立て直し、再びR-GUNに突貫するレオーネ。

R-GUNが足を止めようと放たれたツイン・マグナライフルをG・テリトリーで強引に受け止めながら突き進む。

そのまま肉薄すると、怒りに我を忘れてブレードを振るうイサム。無論そんな攻撃がイングラムに通用する筈もなく、軽々とあしらわれている。

 

「そう思っていたのはお前達だけだ。俺にとってお前達はただのサンプルに過ぎん」

「アヤさんは、アヤさんはあんたを――!」

「奴の感情は実に利用しやすかった。せっかく手塩をかけて育ててやったが、期待外れだったな」

「貴様アアアアアアアアアァァァァァァァァッ!!!」

 

なおもがむしゃらにブレードを振るうが、逆に右肩にビームカタールソードを突き立てられてしまう。

 

「オオオオオオォォォォォォォ!!!」

 

片手になってもブレードを振るおうとするも、重量のあるシシオウブレード改を片手ではまともに振るえる筈も無く、あっさりと左腕を切断されてしまう。

 

「いいぞ、その獣ような闘争本能は実に興味深い。もっと怒れ、そして俺を憎め。それがお前の力となる」

「イングラム・プリスケンッッ!!!」 

 

武器を失ってもイングラムへ迫ろうとするイサム。だが敵人型が進路を阻むように並び、一斉に銃口をレオーネへと向けると発泡した。

 

「イサム、だめ!」

 

レオーネに迫るビームをビルドラプターが身代わりとなって大破してしまった。

 

「ラト!?」

 

崩れ落ちるビルドラプターを受け止めて呼びかけるも、返事は返ってこなかった。

 

「ラト!返事をしてくれラト!」

 

いくら呼びかけても返ってくるのはノイズだけだった。

 

「(俺の、せいだ…。怒りに任せて戦って、ラトを傷つけて…。守るって約束したのにッ!)」

 

悔しさの余り、歯を噛み締めて操縦桿を握り締めるイサム。

その間にも2機の人型が、ゆっくりとした足取りで二人へと迫って来ていた。

そして人型がレオーネを抑え込むと、1機のバグズがビルドラプターを抱えだした。

 

「ッ!?何…してんだよ…オイッ!!」

「サンプルをいくつか回収しておこうと思ってな。ラトゥーニ・スゥボータは、お前にとっていい起爆剤になるので適任だな」

「ふざ、けんなぁ!!!」

 

人型を振りほどこうとするも今のレオーネにその力は無かった…。

ゆっくりとビルドラプターを抱えながら、浮かび上がるバグズ。イサムにはそれを、ただ見ているしかできなかった。

 

「やめろ、ヤメロォォォォォォォォォォォ!!!」

 

イサムが叫んだ瞬間。ビルドラプターを抱えていたバグズが、飛来してきた影に両断された。

支えを失い落下しようとしたビルドラプターを影が片手で掴んだ。

 

「アリオールだと?」

 

イングラムが訝しげに影の名を呼んだ。流石にこの展開は予測していなかった様である。

アリオールはレオーネとR-GUNの間に降り立ち、ビルドラプターを地面へと降ろした。

 

「無様だなイサム。全くもって情けない」

 

アリオールから不機嫌そうなケンの声が響いた。今のイサムの姿に苛立っているのだろうか?

 

「ケン、どうして?」

「ビアンのおっさんに頼まれた仕事をしにきただけだ。こいつら(エアロゲイター)を潰せってな」

 

ケンがそう言うと周囲で激しい爆音が響く。イサム達から少し離れた場所で、ディバイソンが持ち前の火力でエアロゲイターの機体を殲滅していたのだ。

R-GUNが手で指示すると、レオーネを抑えていた人型がサーベルを構え、左右からアリオールへと襲いかかった。

 

「フンッ」

 

ケンがつまらなさそうに息を吐くと、同時に振り下ろされたサーベルを、その場でコマの様に回転しながら両手のブレードで弾いた。

そして一体目を、回転の勢いを利用し振り上げたブレードで両断すると、もう一体の頭部を右足の鉤爪で鷲掴みにしたら、地面へと勢いよく叩きつけてR-GUNへと投げ飛ばした。

飛んで来た人型を躊躇いなく切り落とすR-GUN。すると目の前にアリオールが両手のブレードを振り上げ様としていた。投げ飛ばした人型を目くらましにして接近したのだ。

迫る刃をバク転して飛び退いて回避したR-GUNはそのまま距離を取った。

 

「チッ」

 

攻撃を外したことに舌打ちしたケンが、再びR-GUNに突撃しようとするも、上空から降ってきたエネルギー弾に阻まれる。

上空から先程戦っていた人型の上位機種と見られる機体が、R-GUNを守るように降り立った。

 

「イングラム。サンプルの確保は完了した戻れるわよ」

「そうか。ならばもうこの場に用は無い」

 

イングラムがそう言うとR-GUNが飛び上がり、高度を上げていく。

 

「奴め、させん!」

 

イングラムが何をしようとしているか気がついたケンが追撃しようとするも、上位機種がライフルで足止めをしてきた。

 

「フフフ…。R-GUNメタルジェノサイダーモード…」

 

戦場を見渡せる位置まで上昇したR-GUNが変形を始めた。

 

「トロニウム・エンジン、フルドライブ」

 

機体そのものが銃と言える姿となったR-GUNが、銃口を真下の戦域へと向ける。

 

「デッド・エンドシュート…」

 

ハガネのトロニウム・バスターキャノンに匹敵するエネルギーが銃口から放たれ、イサムらのいる戦場が閃光に包まれた。

 

「う、うわアアアアアアアアァァァァァァァァ!!!」

 

衝撃からビルドラプターを庇う様に抱えていたレオーネだが、耐え切れずに吹き飛ばされてしまう。

 

 

 

 

閃光が収まると、エアロゲイターの姿は無く。甚大な被害を受けたハガネ隊のみが残されていたのだった…。

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