スーパーロボット大戦OGs~獅子の牙~   作:Mk-Ⅳ

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お久しぶりです。
OGシリーズの新作が発表されたし。何よりこの作品を放置してから1年が経とうとしていたので、更新しようとしていたら。仕事や諸々のためにモチベーションが上がらず、手間取ってしまいましたが、なんとか1年以内に更新することができました。
…と言っても戦闘部分は長くなりそうだったので、会話部分だけなんですけどね。申し訳ありません。



第二十話

クロガネ 個室

 

「ねえ。あのまま帰ってきてよかった訳?」

 

艦内に割り当てられた部屋の椅子に腰掛け、背もたれに両腕を乗せ、その上に顎を乗せているエールが部屋の主に話しかける。

 

「構わん。ビアンやマイヤーのおっさんを倒した連中が、あれくらいで潰れるものか」

 

話しかけられたケンは、頭の後ろで両手を組みベットの上で寝転びながら、気楽そうに答える。

彼らは北京での戦闘後、甚大な損害を被ったハガネ・ヒリュウ隊に、最低限の支援をしただけで離脱したのである。

 

「それでもイサムって子くらいには、声かけてくべきだった思うけどなぁ。家族なんでしょ?」

「昔の話だ。あの日俺が過ちを犯した日から、俺はトウゴウの名を捨てた」

「それはあんたが思っているだけで、他の人達はどう思っているのかは聞いてないんでしょ?」

「……」

 

エールの言葉に口をつぐむケン。

 

「『あの人』はもう話せる状態なんだから、いっぺん話してみなよ」

「不要だ。何も話すことはない」

 

そう言って姿勢を変えて背を見せるケンに、軽く溜息をつくをエール。

 

「ホントは話したいんでしょ?やれる内にやっとかないと後悔するわよ」

「……」

 

返事をする気が無いケンにヤレヤレと言った顔で、もう一度溜息をつくと、椅子から立ち上がりベットに近づき潜り込んだ。

そんなエールを上半身を起こして億劫そうな目を向けるケン。

 

「…何をしている?」

「疲れたからもう寝る~」

「なら出て行け」

「嫌で~す。人の話を聞かない奴の言うことは聞きませ~ん」

 

エールの言い分にぬぅ、と言い返せないケン。そんなケンを他所に1つしかない枕を占有してくつろぐエール。

 

「知るか。狭いんだよボケ。さっさと…」

「zzz」

「もう寝やがったこいつ」

 

相変わらず早いなと呆れているケン。こうなったら最早何をしても無駄なので、放置することにする。

 

「たくっ、ホントにお節介な奴だ」

 

呆れ顔で軽く溜息をついて呟くと、横になるケン。しかしその口元は笑っているのであった。

 

 

 

 

伊豆基地 医務室

 

「ぐぅう…」

 

イサムが目を覚ましたのは医務室のベットの上であった。

 

「イサム!」

「ラト…。ここは?」

 

ベットの側に設置された椅子に腰掛けていたラトゥーニが、イサムが目を覚ましたことに気がつき安堵した顔をしていた。だが、身体の所々に包帯を巻いており、痛々しい姿をしている。

 

「ここは伊豆基地の医務室。北京での戦闘後、あなたは気を失っていたの」

「北京…」

 

ぼやけていた意識が覚醒していく中で、ラトゥーニの言葉によって意識を失う前の記憶が呼び起こされていく。

エアロゲイターとの激戦の中。戦況の打開を図りSRXチーム『パターンOOC』を実行するも、失敗してしまう。

 

 

 

 

そして、イングラムがアヤを撃つ瞬間を思い出す――

 

 

 

 

「ッッッ!!!」

 

急速に意識が覚醒し、反射的に上半身を起こすイサム。動悸が激しく呼吸さえままならず、苦しさの余り胸を強く抑えるが。身体はふらつき今に倒れてしまいそうであった。

 

「イサム!大丈夫!?」

 

そんなイサムの様子に、慌てて身体を支えるラトゥーニ。

 

「大丈夫。大丈夫だから…」

 

ゆっくりと深呼吸しながら息を整えるイサム。そしてある程度落ち着いたところで、ラトゥーニと視線を合わせながら口を開いた。

 

「それより、ラト…。イングラム少佐は…?」

 

イサムの問いに言葉を詰まらせるラトゥーニ。真実を告げるべきか迷うが、イサムの真っ直ぐな瞳に、誤魔化しは効かないと悟った。

 

「イングラム少佐はエアロゲイターと共に、私達を攻撃した。彼はエアロゲイターのスパイだった」

「やっぱり。あれは夢じゃなかったのか…」

「うん」

 

ラトゥーニの言葉に俯くイサム。そんなイサムの手に、ラトゥーニは自身の手を重ねた。

 

「あの人はぶっきらぼうだったけど、アヤさんや皆のことを大切にしてくれていた」

 

 

 

 

夢であってほしかった――

 

 

 

 

「どんな時でも俺達を信じて一緒に戦ってくれた」

 

 

 

 

信じていた――

 

 

 

 

「あの人となら、エアロゲイターにだって勝てると思っていたんだ」

 

 

 

 

仲間だと思っていた――

 

 

 

 

――なのに、それは偽りのものだったの?

 

 

 

 

拳を握り締めているイサムの言葉を、静かに聞いていたラトゥーニ。涙を流したイサムを彼女はそっと抱き寄せた。

 

「なのに…。なんで、なんでだよぉぉぉおおおおおおおお!!!」

 

ラトゥーニの胸に顔を埋めて泣くイサム。そんな彼の頭を優しく撫でるのであった。

 

 

 

 

暫く泣いた後、イサムはラトゥーニから離れると。みっともない姿を見せてしまったと思っているのか、気まずそうに視線を泳がせていた。

 

「変なところ見せてごめん…。それと、ありがとうね」

「ううん。大丈夫」

 

照れくさそうに頬を掻くイサムに、微笑むラトゥーニ。

 

「そう言えば皆は?」

「負傷者はいるけど、皆無事よ。でも、エクセレン少尉とクスハ曹長が連れ去られてしまったの…」

「エクセ姉とクスハさんが!?」

 

ラトゥーニから告げられた内容に驚愕するイサム。

 

「そんな…。俺のせいだ…」

「イサム?」

「俺があの時イングラムを止められていれば、こんなことには…!」

「それは違う!イサムは精一杯のことをした!あなたのせいじゃない!」

 

再び拳を握り締めて苦悶の表情を浮かべるイサムを、どうにか宥めようとするラトゥーニ。

 

「それに、君を守るって約束したのに。俺が我を忘れたせいで君を傷つけてしまった…。俺にもっと力があれば!」

「お前だけのせいじゃないさ」

 

不意に聞こえてきた声のした方を向くと、イルムガルトが部屋の入口に立っていた。

 

「イルム兄…」

「今回の件は、イングラム少佐…。いや、イングラムの正体の見抜けなかった俺達にも責任がある。俺なんか奴の部下だった時もあったのにな…」

 

イサム達の側まで歩み寄ったイルムガルトは、そう言って自嘲気味に笑った。彼はかつて、イングラム・プリスケンが隊長を務める、PTXチームと呼ばれる特殊部隊に所属していたのだ。

 

「俺達大人がもっと早くに、イングラムの奴の正体に気がついていれば、こんなことにはならなかった。だからそんなに自分を責めるな」

「でも…!」

「イサム」

 

イサムの言葉を遮ったイルムガルトは、目線を合わせながらイサムの頭に手を置く。

 

「お前の責任感の強いところは悪いとは言わん。だけどな、俺達はそんなに頼りないかく見えるか?」

「そんなことない!そんなことある訳ないじゃないか!」

「だったら1人で背負い込もうとするな。俺達仲間にも責任を背負わせろよ」

 

言いながらイサムの頭を、多少乱暴にだが撫でるイルムガルト。

 

「うん、そうだね。ありがとうイルム兄」

「ま、たまには兄貴分らしいことをしないとな」

 

撫でていた手を話して二カッと笑うイルムガルト。それに釣られて笑うイサム。そんな2人の姿は、血の繋がりは無くともまさしく兄弟であると、見守っていたラトゥーニは思うのであった。

 

「お取り込み中のところ申し訳ないが、失礼するよ」

 

そう言って部屋に入ってきたのは。アイドネウス島での戦いの後、本来の所属である情報部へと戻っていたギリアム・イェーガーであった。

 

「ギリアム少佐。なんであんたがここに?」

「ああ。彼に用があってね」

 

ギリアムの登場に訝しんでいるイルムガルトに答えると、イサムの元にまで歩み寄り、1枚の用紙を懐から取り出すギリアム。

 

「イサム君。連邦軍参謀本部の命令によって、スパイ嫌疑で君を我々情報部の監視下に置かせてもらう」

 

ギリアムの口から放たれた言葉に、イサム達は言葉を失った。




続きは今月中には投稿する予定なので、どうかお待ち下さいませ。
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