原作であるゲームが、公式から何も情報が発信されないので、書きたくても我慢していましたが。八房龍之助氏の漫画版のOG2編が遂に完結が見えてきたので、とりあえずそこまでは書いてもいいかと思い、今回からOG2編を初めていきます。
プロローグ
???
とある一室にて、20代と見られる男が瞑想しながら立っており。その手には日本刀が握られていた。
「――――!」
その正面に離れた位置には、鉄の塊が固定されており、カッ!と目を見開くと男は
「チェストォォォオオオッ!!!」
裂
「…………」
男が残心を残していると、背後から手をたたく音が聞こえてくる。
「流石だなヤイバよ」
「ヴィンデルか」
ヤイバと呼ばれた男が刀を鞘に納めながら振り返ると、語り掛けてきた男に応える。
「何か変事か?」
「いや、レモンからお前の機体の修復が終わったので、調整に付き合えだそうだ」
「それなら通信で呼べば済むであろう?お前が出向くことはあるまい」
「お前の様子を見るがてらな。その様子では傷は癒えたようだな」
ヤイバに斬られた鉄の塊の断面は、まるで鏡のように淀みなく反射しており、その仕上がり具合にヴィンデルは満足そうな笑みを浮かべる。
「うむ。あの魑魅魍魎の
静かにだが、周囲の大気を――いや、部屋そのものを震わせんばかりに闘志を漲らせるヤイバに、ヴィンデルは諭すように話す。
「ああ、我らは必ず
「承知している。それで首尾は?」
「問題ない。間もなく
「任せてもらおう。我が刃に二度目の敗北はない」
期待しているぞ、と告げてヴィンデルが出ていくと、ヤイバは胸元からロケット状のペンダントを取り出した。
中身を開くと、ヤイバと彼に甘えるように抱き着く、似た顔立ちの少年が映った写真が収められていた。
「
写真の少年に何か語り掛けようとしたが、ヤイバは栓のないことと切り捨てるようにペンダントをしまうと、部屋を後にするのだった。
新西暦187年・中国 山東地区
L5戦役にて人類は、異性からの脅威であるエアロゲイターを撃破することに成功し、平和を享受――することはなく、戦後は連邦政府へ抵抗活動を続けるDCの残党との戦火が世界各地で散発していたのだった。
中国大陸も例外でなく、山東地区へ終結を始めた残党と、それを討伐しようとする連邦軍との戦闘が勃発していた。
『各機へ、地上部隊の支援に向かうぞ』
連邦軍の識別が刻まれたAM部隊が空を駆け、隊長機のガーリオンが僚機のリオンに伝達する。
爆撃しようと降下を始めようとした矢先、それを見越したように地上から放たれた無数のビームに数機のリオンが貫かれ爆散していく。
『!?砲撃ッ。散開しろ!!』
奇襲を受けて陣形が乱れたAM隊に、索敵の死角から飛び込んできた機体が襲い掛かる。
『何だっ、こいつ!?動きが――!?』
リオンがロックオンしようとするも、補足する直前にモニターから敵機が消えしまう。
まるで幻のように消えてしまったことに、パイロットが動揺している間に、死角から肉迫した敵機が振るった
『ベックがやられた!』
『駄目だ、こいつ、速すぎ――』
他のリオンも、敵の機動力に翻弄されれいき。まともな抵抗もできず、両手にそれぞれ保持したブレードによって次々と斬り捨てられていき、接敵して数分も経たずに、隊長機を残し部隊は壊滅してしまうのだった。
『――ッおのれェ!!ブレイク・フィールドオン!』
激昂したガーリオンのパイロットは、部下の仇を取らんとフィールドを自機の周囲に展開し、突撃を敢行する。
『砕けろッ!ソニック・ブレイカー――』
加速しようとした瞬間、既に懐に潜り込んでいた敵機は。同じようにフィールドを纏わせたブレードを突き立てていた。
その刃は、ガーリオンのフィールドの真芯を捉えると、機体の胸部ごと難なく貫いた。
『フィールドの発生と加速のタイミング、どちらも付け焼き刃が過ぎるな』
接触回線から流れてくる敵機のパイロットの声は、まだ若さこそ残るも、歴戦の兵の威厳を備えた重みが感じられるものであった。
そして、結果的に動きが止まった敵機の姿に、連邦兵の目が驚愕に見開かれる。
自機と同じ、ガーリオンの風貌を残すも、まるで羽のようなバックパックに、各部に鳥類を思わせる改修がなされた外観は、連邦兵にとっては今や恐怖の象徴となっていた。
『――アリオール…。『烈風』…』
己を討った敵の異名を呟いている間に、アリオールはブレードを引き抜きながら後退すると、ガーリオンは被弾個所からショートを起こし、内部からの爆発で藻屑となって散っていく。
『…サエーナ。こちらストーム1、目標を撃破』
『サエーナ了解。周囲に他の敵影見られず、状況終了。帰投されたし』
『了解した』
アリオールに乗るケン・トウゴウは、通信を終えると、次に僚機に通信を繋ぐ。
『ストーム2帰るぞ』
『ああ、可愛い娘愛でてぇ…。ラトちん、ラトちんはどこぉ?お姉ちゃん匂いを嗅がないと、ああ…ああ…』
禁断症状でとち狂った――物凄く切なげな声しか聞こえてこないので、躊躇いなく通信を切った。
そして、何もなかったように、ある方角に機体ごと視線を向けた。
『俺はここだ、ここにいるぞ。早く来いイサム』
誰もいなくなった空の下。まるで恋焦がれるかのように、ケンは宿敵の名を呼ぶのであった。