スーパーロボット大戦OGs~獅子の牙~   作:Mk-Ⅳ

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第三話

北米ラングレー基地

ジョナサンらテスラ研の人々に見送られ、北米方面軍司令部が置かれているラングレーの地へと降り立つイサム。

機体の搬入等の必要な手続きを終えると、スペースノア級用のドッグへ足を運ぶ。

従来の艦船よりも巨体な船体は、遠目であっても目につきやすく、白銀の船体は己の存在を誇示するかのような威容を放っていた。

 

「お~本当に直ってる」

 

ドッグに納められているシロガネを見上げながら、ハガネもいいけどこっちもかっこいいなぁと、年相応な反応をしていると、迫る気配を感じ本能的に一歩ズレると、ひゃっほー!と抱き着こうとしてきた女性がぶべらっと情けない声を漏らしながら地面とキスしながら滑っていく。

 

「…ぐすんっ…」

「あ、ごめんエクセ姉、つい…」

 

無様な姿で動かなくなるエクセレン・ブロウニングに頬を掻きながら謝るイサム。

 

「…………撫でて」

「はいはい。よ~しよしよし」

 

微動だにせず甘えてくる姉貴分に、慣れた様子で応えてあげると、うへへ、と犯罪じみた声を漏らされる。

 

「…………何、年甲斐のないことしてるんですかエクセレン少尉…」

「女はいつでも乙女に戻る権利を有してるのよブリット君」

 

そんな上官に冷めた目を向けるブルックリン・ラックフィールドに、よくわからん理論がぶちかまされる。

 

「ああ、そうですか」

「…可愛げなくなったわよね君」

「ふっ、自分も大人になったてことですよ少尉」

「うわ、女ができたからってキメ顔しおった」

 

ナマイキーとぶーたれつつ、起き上がるとイサムに後ろから抱き着きながら撫で回し始めるエクセレン。

 

「おーおーこの感触たまらんわい。よーし、よしよしっ、わしゃしゃ」

「変わりなくて何よりだぁね。ブリットさんも元気そうで良かったです~」

「ああ、先生も変わりないかい?それと…」

「お爺ちゃんもクスハさんも変わりないですよ~。あ、クスハさんから栄養ドリンク渡してほしいって預かってるんで後で渡しますね~」

「ほ、本当か!ありがとう!」

 

やったー!と諸手を挙げて喜びそうな後輩に、エクセレンはちぇーとつまらなさそうな顔をする。

 

「純情ボーイねぇ。それに比べてウチのはそういう面白味み欠けんのよね~」

「お前と違って年を考えるんでな」

 

司令部に出向いていたキョウスケ・ナンブが合流すると、彼に呆れた目を向けられるが、エクセレンは気にした様子も見せずイサムを撫で回している。

 

「あ、お帰りキョウスケぇ。新しい上司さんとの顔合わせは終わったのぉ?」

「ああ。――久しぶりだなイサム、また頼りにさせてもらう」

「うっす!こちらもお世話になりやす!」

 

イサムがビシッと元気良く敬礼していると、荷物を運んでくれていたレオが戻って来るのだった。

 

『ガ~ウ~』

「お疲れ様、ありがとうね」

『♪~』

 

労いを兼ねて頭を撫でると、レオは嬉しそうに鳴きながら尻尾を振っている。

そんな彼にエクセレンが目を輝かせていた。

 

「あらあらまあまあ。いかつい見た目に反して、愛らしさ満点の子はどうしたの?」

「新しくなったレオーネの支援ユニット用のAIのレオだよエクセ姉。ほらレオ、この人達がATXチームの皆さんだよ、挨拶して」

 

イサムの言葉に、レオがどこからともなく『レオです。よろしくお願いします』と書かれたプラカードを尻尾で取り出して掲げた。

 

「わーお、いい子ねぇ。よ~しよし」

 

エクセレンが撫でると、レオは嬉しそうに腹を見せて寝転がった。

 

『ガ~ウ~♪』

「わしゃわしゃ。よ~しよし、お手」

『ガウ!』

 

差し出された手に手を乗せるレオ。

 

「3回回ってワン!」

『ガガウ!』

 

言われた通り回るレオ。

 

「ちんち――「やめろ」あうちッ」

 

キョウスケに後頭部をひっぱたかれるエクセレン。それをキョトンとした様子で見ながら首を傾げるレオなのであった。

 

 

 

 

中国

「はいでは、皆さんブリーフィングを始めますよ」

 

DC所属ストーク級サエーナ内のブリーフィングルームにて、モニターの前に立つ男――アーチボルド・グリムズが、眼前に居並ぶ配下のパイロットらに、教壇に立つ教師のような仕草で語りかける。

 

「もうじき最後に回収予定の部隊の皆さんと合流します。ただ、敵の増援も向かって来ているそうなので、皆さんには援護をお願いしますね」

 

モニターに映された戦域図を用いて作戦を伝えるアーチボルドに、AM隊であるカルタチュラ小隊の隊長であるユウキ・ジェグナンが発言を求めるべく手を挙げる。

 

「どうぞ、ユウキ君」

「敵の推定規模は」

「スペースノア級のシロガネを旗艦に、ストーク級が2隻程だそうです。どうやら向こうさんは本気で僕達を潰しに来たようです」

 

告げられた規模の大きさに周囲がざわつくと、鎮めるべくアーチボルドが数度手を叩いた。

 

「まともに戦りあったら勝ち目なんてないので、収容したらさっさとずらかります。なので撤退のタイミングを誤ると置いていくしかないので、各自気をつけるように。――特務大尉からは何かありますか?」

 

 

アーチボルドが視線を向けると、腕を組んで壁に背を預けて立っているケンが、目を閉じたまま口を開いた。

 

「増援の機動部隊に、近接特化型の黒のRTX(ヒュッケバイン)タイプがいたらのなら俺が相手をする。お前達は手出しなくていい。死にたくなければな」

「ああ、例のライバルさんでしたっけ。それはありがたいですが――一ついいですか?」

「何だ?」

「特務中尉殿があなたに引きずられて来たまま動かないんですが、大丈夫なので?」

 

ケンの隣で床に伏したまま寝転んでいるエールを指さすアーチボルド。萌え萌え萌え萌え萌えラトちんラトちんラトちんラトちんラトちん――とぶつくさ呟いているかと思えば時折すすり泣く声が漏れてくるので、正直言って気味が悪かった。

 

「ただセクハラの禁断症状が出ているだけだ問題ない」

「問題しかない気がしますけど…。まあ、仕事をしていただけるならいいんですが」

「戦場に放り込めば勝手に暴れる」

「パワハラ、ブラックだぁ~」

 

足元の阿呆が何やら愚痴りだすが無視されると、えーんえーんとわざとらしく泣き出した。そして、それも無視される。

 

「ま、いずれにせよ。あなた方については、バン大佐から好きにさせてやってくれと頼まれているのでお任せしますが」

「そうさせてもらう」

「では、解散で。皆さんの健闘に期待してますんで、頑張って下さいね」

 

アーチボルドの宣言に合わせ人々が動き出すと、ケンは阿呆の足首を掴むと引きずりながら歩きだす。

 

「働きたくないでござる~!働きたくないでござる~!」

 

じたばたと無駄な抵抗をされるが、意に介さず通路に出ると、ユウキに呼び止められる。

 

「特務大尉」

「どうした少尉?」

「先ほどの手出し無用と話された件ですが、本当によろしいのですか?」

「一度は負けた身で大層なことを言われても信用できん、ということかね」

 

ケンからの返答に、ユウキは意図せぬ受け止められ方をされたのかいえ、と即座に訂正の言葉を発した。

 

「申し訳ありません。そのようなつもりはなく、ただ、L5戦役を終結に導き、人類を救った英雄であるあなたはDCになくてはならない身です。御身を大切になさるべきかと…」

 

ユウキの言に、ケンは気づかれないよう意識しながらも僅かだが不機嫌そうに眉を潜ませる。

いつからかDC内では、ケンは兵器化したメテオ3を撃破し、エアロゲイター打倒に多大な貢献をした英傑として組織の精神的支柱として扱われるようになっていったのであった。

当人としては甚だ遺憾でしかなかったが、現在のDCの統括者といえるバン大佐こと、バン・バ・チュンからは『君が快く思わない気持ちは理解しているつもりだ。しかし、ビアン総帥という心の拠り所を失った我々には未来を示す希望は必要なのだ。どうか、恥を忍んでくれまいか』と申し訳なさそうに頭を下げられた手前、明確に否定することも能わず、かといって役者にもなりきれないでいたのである。

そして、引きずられている相方は、そんな四苦八苦する恋人の姿に、どうしても笑いの感情が勝るのかぶふっと吹き出すのを堪えるような声を漏らしていた。

 

「気持ちはありがたいがな少尉。あの大馬鹿(イサム)に勝ちたいがためだけに、生かされておきながらも恥しらずにDCに戻ってきたのでな。みっともなく見えるだろうが、これだけは譲れんのだよ。迷惑をかけるが許してもらいたい」

「いえ、こちらこそ差し出がましいことを言って申し訳ございません。お邪魔にならない範囲で支援させていただきます」

「当てにさせてもらう。貴官の武運を祈る」

「特務大尉もお気をつけて」

 

互いに敬礼を交わした後別れると、格納庫に向かうケン。

そして、ハンガーに納められているディバイソンのコックピットにエールを雑に投げ入れた。

 

「ふぎゃん!?」

「オペレーター。いつも通り放り出してくれ」

『了解しました。特務大尉』

「嫌じゃあああああああ!誰か労基を呼んでくれ――」

 

喚く阿呆を無視して外部操作でハッチを閉めると、隣のハンガーの愛機の元に向かいコックピットに乗り込むのであった。

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