【凍結】ご注文は転生者ですか?   作:のろとり

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眠くなりながらも投稿。

起きたら内容忘れてそう。


第七十六羽 演劇?陰キャには無理です。

リゼ「演劇部の助っ人頼まれたから、またバイト休むかも」

 

ラビットハウスで皿洗いをしていると、リゼがバイトを休むと言った。

そうえばこの前も部活の助っ人すると言ってたな。

 

チノ「時々助っ人してる部活って、演劇部だったんですね」

 

リゼの演劇かぁ……

『大丈夫か!?』『傷は浅い、しっかりしろ!』

何故だろう、奴ら呼ばれる者達と戦うイメージしか出来ない。台詞はイメージだけど。

 

チノ「演劇……童話とか良いですよね」

 

ロン「童話かぁ……」

 

リゼに似合いそうな童話は……

桃太郎か?鬼と戦う部分とか合いそう。

でも、確かこの前テレビで桃太郎の内容が変わったとかやってたな。

 

ココア「どんなダークメルヘンやるの?」

 

リゼ「どうしてそうなる」

 

ロン「えっ、違うのか!?」

 

リゼ「違うからな!」

 

てっきり、バ○オとかの演劇かと思っていた。

もしくは龍玉……いや、実写のことを考えるのは止めよう。

 

ロン「役は何をするんだ?」

 

リゼ「わ、笑うなよ……」

 

リゼはそう言うと一呼吸置いた。

そうして、洗っている皿で口元を隠しながらこう言った。

 

リゼ「オペラ座の怪人のヒロイン……クリスティーヌだ」

 

ほぉ、オペラ座の怪人とやらは初耳だけどヒロインか。

ヒロインという立場はリゼに合いそうだな。

この前だって可愛い服が自分に似合うか試してたし。

……あぁ、覗きじゃない。

店の外に置いてある服を似合うか、試してたのを偶然見ただけだ。

当然写真に納めたから、ラリトに送った。

 

チノ「嬉しそうですね」

 

ロン「そんなにヒロインがしたかったのか」

 

リゼ「違うからな!?」

 

そんな真っ赤な顔で言われても説得力が無い。

まるでトマトのようだ。

●三二一

今トマトを飛ばしたのは誰だよ。

それはそうと、恥ずかしさのあまり皿の持つ力が強くなっている。

 

ココア「落ち着いてクリスティーヌ! 力み過ぎてお皿が割れそう!」

 

あぁ、ココアがまた余計なことを!

口を塞いで止めたいけど手に洗剤がついてからできねぇ……!

 

リゼ「日常でその名を使うな!?」

 

リゼが恥ずかしさのあまり、皿を割った。

っ!ビックリした、本当に皿が割れるとは思ってなかった。

偶然にも客が居なくて良かった……それにしても、ココアは何がしたかったんだよ。

 

ロン「ココア、何やってんだよ……」

 

俺がそう言うと、ココアが『私のせい!』と言いたそうな表情で見てきた。

割ったのはリゼだけど、結果としてはココアが悪いだろ。無意識だろうけど。

 

ロン「そうだ、リゼ怪我してないか? 皿の破片が落ちてるかもしれないから、箒と塵取り持ってくる」

 

俺は倉庫に向かい、箒と塵取りを取りに行った。

その後、千夜におしとやかさのアドバイスを教えてもらうことになった。

だがココアが『特攻しに行く』とメールを送って、勘違いされたりもした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロン「ココア、この店を最も繁盛させるにはどうしたら良いと思う?」

 

リゼが千夜のところに、演劇の勉強をしに行ったので三人で働いている。

それで特に客も居ないので、どうすれば店が盛り上がるか話していた。

 

ココア「夜のバータイムでカッコよく踊れば、お客さん集まるかな?」

 

チノ「カッコいいんですかそれ?」

 

……あれ、でも厳しくないか?それ。

 

ロン「ココア、それ現実的に無理だぞ」

 

ココア「えぇ、何で!?」

 

ロン「踊るとしたら、誰が踊るんだよ」

 

ココア「私と、チノちゃんと、リゼちゃんと、ロン君だね」

 

俺も入っているのかよ……

だけどその計画には、一つ無理な点が一つある。

 

ロン「なら、ココアは夜中起きれるか?」

 

そう、夜中起きれるかどうかが問題なのだ。

ラビットハウスのバータイムは、基本的に深夜営業である。

つまりは、深夜起きてダンスが踊れるかって話だ。

それにチノをあまり夜更かしさせるのも気が進まない。

 

ココア「うっ……そ、そうえばチノちゃんは、劇で何の役やったことある?」

 

話をそらしやがった……まぁいいか。

 

チノ「木の役を積極的にやりました」

 

『渋い!』

 

俺は前世の小学校では、一つの人物を何人にも増やしてたな。

主人公A、主人公B……みたいな感じに。

 

チノ「木は良いです。ふどーのあり方は、心が現れます」

 

木かぁ……でも実際木に顔があったら怖いな。

SAN値がかなり減りそう。

 

ココア「そっか、踊る木っていうのも斬新かも」

 

ロン「普通木は踊らないぞ!?」

 

チノ「木は動かないから良いんです」

 

心が落ち着くのか?

植物のような人生でも過ごしたいのか?

やめとけ!やめとけ!

そんなことすると失敗するんだ……

 

ロン「あ……盛り上がる方法考えるの忘れてた」

 

『あ……』

 

三人とも忘れていた。

リゼが居ないから気が抜けてるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ココア「……ねぇ、チノちゃん。ロン君」

 

チノ「どうしました?」

 

改めて盛り上げる方法を考えようとしたら、

ココアが真剣そうな。でも何処か寂しげな表情で俺たちを呼んだ。

 

ココア「思ったんだけど……リゼちゃん、本当は演劇部に入りたいんじゃないかな?」

 

リゼが、演劇部にか……

なんだか合いそう。特にスコップ持ってそうな所が良さそうだな。

 

チノ「それはありえますね。そしたら、ここのバイト止めてしまいますね」

 

ココア「そ、そんなの寂しいよ!」

 

ロン「確かにそれは……悲しいな」

 

そんな話をしていると、俺の脳内にリゼとの思い出が。

リゼがこのバイトを止める、かぁ。

『ロン、少し手伝ってくれ』『なぁロン。チノに何かプレゼントしたいんだが、何が良いと思う?』

…………。

 

ココア「私、CQCなんて出来ない! リゼちゃんの代わりに、この喫茶店守れないよ!」

 

チノ「リゼさんはガードマンですか」

 

ロン「多分、大丈夫だろ」

 

『え?』

 

俺のそんな言葉に反応し、此方は向いた二人。

その二人の目にはうっすらと涙があった。

 

ロン「リゼお前らのことが心配だから、そんなことは無いだろ」

 

それに……チノやココアに気を使ってプレゼント用意したり、

チノを妹のように思っているリゼが、そう簡単に止める訳無いだろうからな。

妹と言っても、ココアとは違う感じだが。

 

ロン「そんなに心配なら、甘兎行くか?」

 

その言葉に二人は大きく頷いた。

そうして俺たち三人は甘兎に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ココア「リゼちゃんの本心を危機に来たよ!」

 

ココアはドアを急いで開けた。

いや、ゆっくり開けろよ。甘兎の客が驚くだろ。

そしてティッピーも来た。よく分からないが、来たかったそう。

 

ココア「あれ、ロゼちゃんだ!」

 

チノ「ロゼさんです」

 

俺たち三人と一匹の目線の先には……

リゼのような髪の色をしているが、リゼのような『逞しさ』は一切感じられず『おしとやかさ』をイメージさせるような人がいた。

へぇ、あの人はロゼさんって言うのか。

そうえば前にココアとチノから聞いたな。

『ロゼさんって綺麗な人がいる』と。それがあの人か。

でも、何処かリゼに似てるな……

 

ロゼ「お久しぶりです。魑魅魍魎も恥じらう乙女、ロゼです」

 

似てはいるけど、何処か違う感じがするな……

声か?女性らしさ……はリゼにもあるか。この前縫いぐるみを店で見てたの見つけたし。

まぁ深くは考えないでおくか。

 

ロン「初めまして、【虎尾阿(こびあ) ロン】です」

 

先ずは自己紹介しておかないとな。

だけど、やっぱり何かが引っ掛かるなぁ……何か怪しい事を企んでる訳では無いみたいだが。

 

ロゼ「初めまして」

 

チノ「じっ、実はうちの喫茶店に来てくれるの待ってたんです」

 

へぇ、チノがここまで興味がわく人物か……

それに尊敬してるのか?

なんだかココアが、妹を取られたような顔してるし。

 

ココア「そっか……チノちゃんは私より、

 

シャロちゃんはロゼちゃんみたいな人に憧れるんだね」

 

ココアはそう悔しげに、そしてしょんぼりとした顔で……

 

ココア「自分を磨いて出直します!」

 

ラビットハウスへ走っていってしまった。

チノもティッピーがあんこに追われてると思い、急いで店を出た。

そうえばいつの間にか、ティッピーが居なくなってたな。

 

シャロ「一体何しに来たのかしら?」

 

ロン「リゼについて少しな……」

 

千夜「リゼちゃんについて?」

 

俺はロゼさん含めて、三人に事情を説明した。

 

 

 

ロゼ「そういうことだったんですね……」

 

シャロ「リゼ先輩なら大丈夫だと思うわ」

 

千夜「そうよ。リゼちゃんはバイトを続けると思うわよ」

 

やっぱりみんなそう思うか……

なら、ロゼさんにも詳しく聞くか。

 

ロン「ロゼさんはどう思いますか?」

 

俺がそう聞くと、ロゼさんは少し驚いたような動きをすると目を閉じた。

そして数秒後、再び目を開けて話し始めた。

 

ロゼ「そのリゼという方がどのような人物かは分かりませんが、

 

自分が妹のように可愛がっている人物を見捨てたりはしないと思いますね。

 

それに、お菓子のプレゼント等したりしてることも彼女たちを心配してでしょう。

 

ですので、そのリゼさんはとても言い方だと思いますよ」

 

ロン「ありがとうございます『リゼ』さん。なんで正体隠してんだよ……」

 

俺はロゼさんが、リゼだと言うことに気づいた。

 

ロゼ「え、えっーと人違いでは?」

 

人違いだとしたらプレゼントの中身がどうして『お菓子』だと知ってんだ。

これは相談に乗った俺と、選んだリゼと、貰ったココアとチノしか知らない筈だ。

危ない、危ない……この事に気づかなかったらロゼさんだと思い込んでたぜ。

 

ロゼ「い、いえそれはリゼさんに聞いた話で……」

 

まだ誤魔化そうとするか。

なら最終手段だ。

 

ロン「あ、でっかい虫」

 

ロゼ「うわぁぁぁぁぁ! って、あれ?何処にも居ないじゃないか!」

 

前にラビットハウスに虫が偶然入ってきたとき、リゼが異様に驚いてたから虫が苦手だと思ってたらビンゴか。

……あ、ラビットハウスに入ってきたのはドアを開けたからな。ボロいからじゃねぇよ。

そこにはもう『ロゼ』ではなく『リゼ』になっていた。

口調も、声もリゼになってるからな。

 

ロゼ「……あ!」

 

ロン「やっぱりリゼか……

 

まぁいいや、チノとココアに連絡入れておけよ。

 

かなり心配してるからな」

 

そうして、俺は甘兎から出た。

後日、リゼが演じたクリスティーヌの写真を見せてもらった。

中身を見ると、怪人に銃を持って戦いを挑んでいた。

理由としては、最初からリゼのキャラに合わせて脚本を作りたかったからだそう。

そうしてリゼがおしとやかのコツを学び、別の役を希望しようとするがチノとココアに止められてた。

別にやってもいいと思うが、心配かけないでくれよ。


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