ストーリー展開的には、昔コロコロで連載していた『ヴァンガード ザザ』をイメージしてます。うる覚えだけど。
2018/4/8 コクリュウマルの名前を『獄炎馬帝 コクリュウマル』から『獄炎馬王 コクリュウマル』に変更。
◻天地 島波家領地のとある街道
その日、島波家に使える武芸者・宮元小次郎が道端に倒れてるその少女を見つけたのは全くの偶然であった。普段なら通らぬその道を、たまたま遠くに用事があったため通りかかり、気持ちの良い陽射しを浴びて馬車の中で微睡んでいた時になにげ無しにふと見た道端に、その少女は倒れていた。和服の類いが一般的である天地において、珍しいアルター王国風の簡易鎧を身につけ、来ている服はレジェンダリアなどで作られる、魔力を秘めた魔道具。極めつけは、左手の紋様。そう、倒れているこの少女は不死の存在たる“マスター”であった。
「行き倒れか・・・? 死んでは・・・いないな。マスターなら、死んだら光になって消えるのだから」
そう呟きながら、馬車から降りた小次郎は少女に近づく。すると、それに気がついたのか、少女が身動ぎした。そして、顔を少しあげて呟く。
「お・・・」
「なんだ? どうしたのだ? 」
「お腹すいた」
「えっ? 」
「お腹すいた」
小次郎は無言で、腰のアイテムボックスに手を回し、その中から干し肉を取り出す。本来なら、消化に悪いものをいきなり胃に放り込むと不味いのだが、この少女はマスターなので、問題ないだろうと、小次郎は取り出した干し肉を目の前に掲げた。
「ありがとう、そしていただきまふ」
「!? 」
干し肉ごと、手を噛まれた。
「痛ぁっ!!? 」
後に【
◻島波領 お食事処『満腹』
「ありがとうなのだ、こじろー。おかげで餓死せずにすんだのだ」
ガツガツ、むしゃむしゃ、と
「いや、礼にはおよばぬ。君のような幼子が腹を空かして倒れているのを見過ごすようでは、我のみならず、我が主の名まで貶めてしまう。当然のことをしたまでよ」
と、頬を染めながらうそぶく。俗に言う、『ツンデレ』と言う奴である。男のツンデレとか誰得なんだ。
ふーん、とそれを聞き流した少女は、口に食べ物を放り込みながら小次郎に話しかける。
「改めて自己紹介するのだ。自分は『めぐる』というのだ。改めて、よろしくなのだ」
「あぁ、よろしく。しかし、君はなぜあのようなところに倒れていたのだ? リルだけは持っていたようだが」
「おうまさんと追いかけっこしてたのだ。食べれるアイテムをそのときに全部なくなっちゃったのだ」
めぐるはしょんぼりとした様子で、小次郎の質問に答える。なお、食べる速度は全く落ちていない。
「次は絶対自分が勝つのだ・・・! 」
めぐるは、メラメラと瞳に炎を灯しながら、バクバクと料理を食べ続ける。
(『おうまさん』? まさかな)
一瞬、小次郎は脳裏に一体のモンスターを思い浮かべ、即座にその考えを捨てた。めぐるが倒れていた街道の周辺には、そこまで強くない馬型モンスターも多数生息している。大方、そのうちのどれかだろうと、当たりをつけた。
そのとき、ゴーンと、鐘の音が町に響いた。夕方の、6時を知らせる鐘の音だ。
「おっと、もうこんな時間だ。もう行かねば」
そう言いながら、小次郎が立ち上がる。
「そうなのか~」
「うむ。では達者でな」
「またなー」
小次郎は、未だにもっきゅもっきゅと食事を続けるめぐるに別れを告げると、その場から立ち去っていった。
小次郎はまだ知らない。この少女との出会いが、己の運命を破滅の道から救っていたことなど。
◻島波城
「単刀直入に言おう。八代領が消滅した」
島波家当主、島波権左衛門が二つ隣の大名家が滅んだことを告げた。
「な・・・ 」
「そんな馬鹿な・・・ 」
「殿、ご冗談・・・ ですよね?」
色めき立つ家臣達の言葉に、ゆっくりと首を振り権左衛門はそれを否定する。
「冗談ではない。真のことだ」
「殿、原因は・・・ 」
小次郎が、静かに疑問を放つ。それを待っていたかのように、権左衛門はゆっくりと口を開く。
「『獄炎馬王 コクリュウマル』。黒馬塚に封印されていた、古代伝説級の宝物獣だ」