やろう会   作:A i

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チラシをチラリ

 退屈な入学式を終え、教室へと戻った俺は机の上に先ほどもらったチラシを広げていた。

 

 やろう会

 新入会員募集!!来たれ若人!!

 活動時間 放課後 

 活動場所 東棟3階 第3会議室

 

 黄色やピンクといった明るい色が散りばめられた、やたら「!」の多いチラシだ。

 まだ会って間もないけれど、あの少女の溌剌とした元気が伝わってくる。

 

 そういった意味で、このチラシは良いものだと言えると思う。

 

 しかし、決定的な欠陥が一つだけあるのだ。

 

 それは……。

 

 「何する同好会だよ……」

 

 なぜかこのチラシにはこの同好会の活動内容が一切表記されていないのだ。

 裏面も一応めくって見てみるが白紙。

 やはりどこにも書いていない。

 

 まあ、たしかに、名前からしてどんなことをするかわかる部活や同好会であれば百歩譲って許すことができる。

 サッカー部とか野球部みたいにな。

 

 だけど、そもそも「やろう会」という名前の意味がわからない。

 

 大抵、どんな同好会であっても名前というのは極めてわかりやすくされているものだ。

 キャップ投げ同好会だとかポ○モン同好会みたいに。

 

 まあ、パッと浮かぶ意味としては「野郎会」だろうか?

 漢の流儀を学ぶ同好会みたいな感じ。

 毎日、喧嘩しては「お前、いいパンチ持ってんな……」「お前こそ……」みたいなやりとりしてそう。

 絶対、お近づきになりたくない。

 

 しかし、そんな男臭い同好会にあんな女子が入っているだろうか?

 ふつうに考えてありえないだろう。

 であれば、「野郎会」ではないはずだ。

 

 でも、だとすると、何をする同好会なんだ?

 

 

 うーん、と腕を組み首をひねっていたが何も出てこない。

 

 何気なくふと窓の外を見ると、春らしい霞みがかった青空が見える。

 果てしなく広がる青。

 その清々しさはどことなく彼女を思わせる。

 

 「ふっ……」

 

 空を見て、柄にもなくそんなことを考えていたことに苦笑する。

 ほんと今日の俺はどこかおかしいみたいだ。

 

 それにしても、俺はなぜこんなにも悩んでいるんだ。

 たかだか一枚のチラシにここまで真剣に考え込むなんて馬鹿らしい。

 別にあいつがどんな同好会をやっていようと関係ないじゃないか。

 どうせそういう面倒なものに所属するつもりもないんだし。

 

 そこまで考えた俺はチラシを折り畳み、カバンにそれを乱暴に突っ込む。

 

 「ふう〜……これで一件落着」

 「何が一件落着なんだね、色無?」

 「へ……?」

 

 間の抜けた声を上げながら、顔を上げるとそこには鬼の形相をした担任教師の三門菫(みかどすみれ)先生がいた。

 

 「先生どうされたんですか?」

 

 俺がそう聞くと、先生は一枚の紙を見せる。

 

 「これについて、あとですこーし話をしようか?」

 

 にこりと笑った先生の笑顔はやけに可愛らしい。

 嫌な予感しかしなかった。




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