ヒトナツの物語   作:カサス

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リアルが忙しい。すまない、更新が遅れてすまない。

お気に入りが100こえて内心驚いています。有難うございます!


07 天災は120%割増で余計なことをする

 朝、清々しい陽光に目が覚める。少しはマシな気分だ。今日もルーチンワークな一日が始まる。

 

(今日の予定は……無しか)

 

 一日オフの日というのは普通なら、素晴らしいものだが一夏にとっては最も避けたいことだった。

 

(学園に一日いなきゃならないとか……憂鬱だ……?)

 

 そう思い、身を起こして見ると―――

 

 

 

 

 

 

 

 白い箱にピンクのリボンが巻かれた如何にもプレゼントボックスのような物体Xがあった。

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………」

 

 一夏はその横に置いてあるステッカーを見て、無言である場所に連絡をいれる。

 

「あ、ちー姉?朝早くに御免、実は朝起きたら不審物があってな。とにかく来てくれ」

 

 

 

 

 

 

 ―――ラビットサンタより、良い子のいっくんにプレゼントだよ!―――

 

 

 

 

 

 

 

「あのバカ……なんつーもんを……」

 

 一夏から事情を聞いた千冬は謎の物体Xを調べた後、今頃、束さん良いことしたな!ブイブイ!等とダブルピースしているだろうアホに青筋を浮かべていた。

 

「今度あったら、秘技、九十九折(つづらおり)でも叩き込んでやろう」

 

「で、これ(・・)どうするよ?」

 

 整備室の一画で、一夏に届けられたものを見て微妙な顔をする二人。

 

「一応聞くけど、これって他国でも作れるものなのか?」

 

「無理に決まっているだろう……電磁砲と荷電粒子砲を兼ね備えたリボルバー等聞いたこともない」

 

「ですよねー」

 

 一夏に届けられた物はスイッチ一つで電磁砲と荷電粒子砲を使い分けることができるリボルバー型のハンドガンだった。

 

「一応、取説によると、そのシリンダーで使い分けられるようになっているらしいな。お前の機体のコアナンバーにしか取り付けられないようだが……どうする?一夏?お前が嫌ならこれは厳重に保管するが……」

 

「……多分それしたら、『あんなガラクタじゃいっくん満足しないか!失礼なことしちゃったね、よし!じゃあ、束さんがもっと凄いのを送ってあげよう!』……とか言って、核融合炉とか何かとんでもないものを送ってきかねん気がするのだが……そのたびに隔離してたら、IS学園(此所)が一瞬でオーバーテクノロジーが集まる魔窟の火薬庫になると思うに一票」

 

「……いかん、容易に想像出来てしまうな。あと、上手いな物真似」

 

「特技、声帯模写だから」

 

「「……はぁ」」

 

 結局、関係各所に連絡してこの装備を認めるしかないという結論になる。仮に政府がこれを研究のために取り上げたとしても、恐らく国の研究機関では束のカオス謎理論は一ミリも解けないだろうし、一夏から取り上げるなんてそんなことしたら束がどんな行動に出るかわからない。政府もそれは充分分かっているだろうから、恐らく今後の対応で頭を抱えることになるのだろうということは容易に想像できた。

 

「何かお偉いさん達に申し訳ない……ん?」

 

 念のため自分も読もうと、束が用意したりどみ……取説に触ると何か違和感を感じた一夏。

 

「ちー姉、これ紙の材質変じゃない?」

 

「……何?」

 

 試しに色々してみると、光にかざすと文字が透けてくるではないか。今まで見えていなかった……正確には透けていない文字で一文が出来るようになっていた。

 

「ひらがなとカタカナと漢字が混じって読みづらいな……何々……『追伸、最大出力で放つとIS学園のアリーナのバリアやISの絶対防御を貫通できるよ!』…………」

 

 沈黙すること五秒…………そして

 

 

 

 

 

「何、一番大事なこと隠してるんだぁ!あの腐れ兎ィィィィィィ!」

 

 

 

 

 世界最強の怒号が鳴り響いた。当然、これはIS学園の粋を集めて厳重にロックされた。が、当然封印してしまってはあの兎が何をしでかすかわからないため、一夏が持つことになり、心の平穏が乱れたとか。

 

 

 

 

 

 さて、そんなこんなで、あの代表戦から数日が経過していた。

 彼、織斑一夏の学園生活だが、大多数が見れば彼は、常に女子にサインやらインタビューやらなんだの迫られ一夏はそれに辟易するも、暴力等したらどこから漏れるかわからずそうなれば即、スキャンダルなため、長い時間の休みの際は人気のいないところで一服するのが日常であると認識されている。

 だが、友人の鈴や比較的長くいる一組や簪から見ると彼の違った一面が垣間見える。

 

「ねぇねぇ、一夏君!この前出てた秘境飯の旅って……」

 

「ああ、アレか……此所だけの話、オンエアされてなかったけど実はあのときバスがエンストして、急遽、半日徒歩で帰る破目になってな、その時、農家のおばちゃんから差し入れにおにぎり貰ったんだ」

 

「へぇ~」

 

 

 

 

「あ、一夏君! ファントムプロダクションってどんなところ?」

 

「入りたいのか?なら先ずは、履歴書と万が一合格したときのために遺言か、遺書か、辞世の句用意しとけ」

 

「りょーかい……え?」

 

「え?」

 

 

 

「イッチー、今度TRPGやろー」

 

「舞台は?」

 

「クトゥルフ」

 

「オッケー……KPは?」

 

「イッチーがしてほしいなーって」

 

「よし、ガチガチの縛りとダイスロールと選択肢ワンミスで邪心降臨するクソ卓にしてやろう」

 

 このように、鬱陶しく、しつこくさえなければわりと付き合いが良かった。此所だけの話な番組の裏話等も話してくれるし、相談も受けてくれたりする。そういった、一夏の印象は普通の対応をすれば面倒見の良い人となっておりクラスメイトも彼との接し方が徐々に分かり始めており、他のクラスの生徒が押し入って来るときは、第六感でも働いているのか、必ずその前に姿を消す彼を見て、苦笑しているくらいだ。

 一応、一夏派、秋正派、中立派の三つにクラスが割れているが険悪と言うわけではない。あくまで好みの関係である。秋正派はクラス対抗戦での優勝商品がデザートのフリーパスのためそれが目当てである場合と秋正が今は弱いけど、自分達と一緒に上達していって最終的にくっつくラブロマンスをしたいという生徒がいた。

 一方、一夏派は、主に初日で彼に言われたことが原因で尻に火がついた女子である。普段は他の生徒と同じだが、授業や自習の時は浮わついた雰囲気は鳴りを潜めて、真面目に授業を受け、放課後に疑問に思ったことを質問しに来てくる姿を見て千冬と真耶が素直に感心したくらいだ。

 

(まぁ、時折私の弟を見て頬を染めるのは……いや、心の中で止めておくとしよう)

 

 

 

 

 

 

 

 

「所で、一夏さんはどうして食堂で食事なされないのですか?」

 

 いつものお気に入りの場所で、新たに加わった住人の一人。セシリアがサンドイッチを食べている一夏に質問した。

 

「セシリア、コイツの職業をよく考えてみろ」

 

 もう一人の新住人。箒は、なんとなく、一夏が食堂を避けている理由を察していた。正確には、そんなことしてほしくないという願望からだが。

 

「アイツの職業は役者だからね。こんな女の花園に放り込まれて問題起こしたら確実に身の破滅だからね。一夏は普段、こういうときはもっとはっちゃけてるし」

 

「……因みに具体的に言うと?」

 

「台詞の練習で乙女ゲーの台詞を言ってたわよ?中学の時は」

 

「「マジで(すの)!?」」

 

「台詞とはいえ、告る台詞聞いたときは……ウェヘヘヘヘ」

 

「おい、顔がとんでもないことになっているぞ。mad動画のネタになるくらいの顔だぞ」

 

 そういえばと、セシリアが疑問に思ったことを口にした。

 

「一夏さんと鈴さんはいつ頃からお知り合いに?」

 

「あー、確か、箒の奴が小四辺りで転校した後だから……小五になるかならない「い、一夏!今なんていった!?」……か?」

 

 箒が身を乗り出して一夏に問い詰めた。何か逆鱗に触れるようなことでも言ったのだろうか?

 

「小四辺りじゃなかったっけ?」

 

「いや、合ってはいるが。そうじゃない、その前だ」

 

「んだよ、名前で呼んだだけだろ?」

 

 一夏はそう言ったが、箒にとって名前で呼ばれることは大きな前進である。

 

「(ふーん)そうか、篠ノ之は名前で呼ばれるのがお気に召さなかったらしい。済まなかったな」

 

「え!?」

 

 がっ!残念……っ!昔話を遮られ意図せず威圧してしまったことで一夏の中で箒に対する上がっていた好感度が下がってしまい元の状態に戻ってしまった……っ!

 

「ち、違……」

 

「いや、本当にすまない……俺に名前で呼ばれるのがそこまで嫌なことだったとは……すまない。お前の心情を汲めなくて本当にすまない。(面倒臭い)女子の心が読めなくてすまない」

 

「い、いや、そうじゃなくて……」

 

 一方でこの現状に疑問を感じる者もいた。

 

「あの……これは、何ですの?」

 

「ああ、あれね……一夏がすまないを連打しているときは大抵、ふざけているときか、遠回しに言いたいこと言っているだけだから……まぁ、今の箒じゃその意図理解していないでしょうけど」

 

 頭を下げている一夏に慌てて弁明しようとする箒だか元々コミュ障で対人関係がゼロの箒にこの状況を打開するのは不可能だった。

 そこで、鈴が箒に耳打ちした。

 

「り、鈴!!?」

 

(安心しなさい。一夏は空気読めるから、アンタの感情くらいは読めるわよ)

 

(そ、そうなのか?)

 

(ただ、さっきのアンタの詰め寄り方だと、名前で呼んだのが気に障った様にも捉えられるのよ、一夏は遠回しにそう言ってんの)

 

(?……何故そんな回りくどいことをする?)

 

(考えてみなさいよ、ここではっきりそう言ったら。アンタはそんなつもりはないと反発するだろうし、場の空気も悪くなるでしょ?だったらオーバーアクションで回りからはふざけているように見える方が空気を壊さずに済むのよ)

 

(だが、お前の言うとおり私はそんなつもりはない。だったらそんなことする必要もないだろう?)

 

(あのね……いくらアンタにその気がなくても、その態度をどう受け止めるかは相手次第なのよ。一世一代の告白だって、相手が買い物に付き合ってほしいと受け止めたらそれが相手にとっての答えなの……アンタだって相手の意思取り違えて誤解したことない?)

 

(グッ!?……そう言われると……)

 

 しかし、一夏が本気で愛想を尽かした訳じゃないと理解し、内心ホッとしている箒に鈴がライバルとして補足した。補足すると、一夏は嫌いな相手には、徹底無視を決め込むタイプである。

 

(まぁでも、今ので一夏の中で好感度下がったのは確かね)

 

(な、何故だ!?)

 

(まず一つは、話の腰を折ったから。そしてもう一つは、アンタにその気がないのは承知しても気分を害したのは事実だからね)

 

 鈴の言葉にそんなーとうなだれてしまう箒を尻目に一夏の代わりに鈴が話した。

 

「あの当時、転入したての私、友達とかいなかったのよ。外国人だからね。まぁ、その辺はよくあることよ。そんな中で、当時……何だったかなえーと、何かの博物館に見学に行くことになったのよ。それで班を作ったんだけど……私、今ほど日本語上手くなくてさ。てか、日本語難しすぎて喋ることすら儘ならない状態だったのよ」

 

 その言葉にあ~とセシリアが頷いていた。

 

「私も最初、日本語には苦戦させられましたからその気持ち分かりますわ」

 

(日本語ってそんなに難しいのか……)

 

 ショックから立ち直った箒は、前回の反省からか口には言わずそんなことを思っていた。

 

「(班の仲間に弾や数馬が居たのは幸いだったわ)そんで、意志疎通すら難しかったんだけど……」

 

『すいません、遅れました』

 

「一夏がやって来てね。そのまま班に組み込まれたんだけどアイツ中国語メチャクチャ上手かったのよ!思わずアンタ中国人!?って聞いてしまうくらいに」

 

「そういえば、一夏の奴、小学生の頃からやたらと英語の発音が上手かったが」

 

 チラッと箒が一夏の方を見ると一夏はハンバーガーを食べていた。

 

「当たり前だろ。中国語流暢に喋れなかったら中国人の演技出来ないだろ。因みにあれ以来、中国人の役は来ていない」

 

 つまり目の前にいるこの男は、たった一回の役のために中国語をマスターしたのであった。その事に鈴は半ば呆れていた。

 

「アンタの上昇志向には程々脱帽するわ。その役だって、確かチョイ役の父親の息子で、ありがとうって言うだけだったでしょうに。チョイ役のチョイ役でしょ…………話を戻すけど、それでコイツが通訳になってうちらの班が進んでいったわけ。その後も、国語の授業だけじゃなくて合間にも一夏に教えて貰ってね。今じゃこの通りって訳……まぁ、回りが基本、日本語だからかなり必死だったのもあるけど」

 

「そうなのですか」

 

「まぁ、それ以来の付き合いね。一夏も何度か家の中華料理店に足運んでたし」

 

「鈴の家の中華料理店には、世話になった。具体的に言うと五反田食堂の次くらいに」

 

((五反田食堂?))

 

「(あそこは年期違いすぎでしょ)……コイツ、一時期、中華料理習う為に家で働いていたのよ。」

 

「え!?」

 

「まさかそれも……」

 

「当時、中華料理人で大成するのが目標の主人公の仲間役をすることになったから、本場の中華を習っておきたくてな。鈴の親父さんに免許皆伝を言われる程度に鍛えてもらった」

 

「程度で済ませていい次元じゃないぞ!?」

 

「あ、そうそう。お父さんとお母さんがアンタに感謝してたわ。お陰で、離婚せずに済んだって」

 

 その言葉に一夏はIS学園に来て初めて驚いた。少なくとも、鈴の家で働いていた時にはそんな雰囲気はなかったし噂もなかったからだ。

 

「何それ初耳!?お前ん家そんな世紀末修羅場環境になってたの!?」

 

「まぁね、中一の時には、かなり荒んでいたわよ。まぁ、プロ意識からか営業中は、二人ともそんなの微塵も出さなかったけどね」

 

「それが、何で俺に感謝するんだ?」

 

「アンタの家庭環境よ。仮に、離婚したら娘に負担がかかって迷惑になるからって、アンタは偶然天職見つけられたから結果オーライだけど、私にまでアンタと同じ苦労してほしくないんだと。それでギリギリ踏みとどまったわ」

 

「おおう、知らない内に俺ファインプレーかましてたよ。流石俺」

 

「そんなこんなで、中二の終わりまでよく絡んでいたわ。それで、その件とは別の件で国に帰ったわけ。クラスの皆とお別れ会したわよね?」

 

「ああ、したな。鈴の家、夜貸し切ってしかもタダ飯で。懐かしいな……最後は中華料理店背景に皆で写真撮ったな」

 

「写真今でも持っているわよ」

 

「何で持っているんだよ……」

 

「だって宝物だもん。しかもサイン付き」

 

「な、な、なんだと!」

 

 その言葉に箒が今度こそ驚愕した。逆にセシリアはサインくらい芸能人ならそんなに珍しくないじゃないかと疑問に思っていた。

 

「い、一夏のサイン?あの一夏がサインだと!?……ば、馬鹿な!!」

 

「本当よ。ほら」

 

 鈴が見せた写真には、中華料理店を背景に、中央には鈴親子が、そして回りに当時のクラスメイトと担任が写っており、その裏面には流暢な英語の筆記体で一夏のサインとデフォルメされた親指を立てた絵が書かれていた。それは間違いなく一夏のサインであった。

 

「そんなに驚く事ですの?」

 

「普通はそうだが、一夏の場合は違う。コイツは大のサイン嫌いで有名で、過去一夏がサインしたのは第一回初回アルバムCDのそれも抽選で50人にしか当たらない。超レア物だぞ!この前それがオークションで1000万で落札していたんだぞ!」

 

「1000万ですって!?」

 

 箒の説明に目を剥くセシリア。そして一夏も予想はしていたがそんな高値で取引されているとは知らずに驚いていた。

 因みに、この写真のサイン自体は、鈴が国に帰る事を聞いて、学校卒業したらもう皆に会えないからと当時の担任含めたクラスメイト全員にしているので鈴もサイン自体が特別だとは思っていなかったりする。

 

「私の時にはそんなのなかったのに……」

 

「だってそんとき、お前と俺別クラスだったじゃん」

 

 そんなことはわかっているっ!と頭では理解しているが不貞腐れて嫉妬してしまう箒なのだった。

 

「しかし、好きな事やらせたいと言って、その結果がIS操縦者じゃ両親も苦笑いしかでなさそうだがな」

 

「だが、謝らない。さんざん私に迷惑と心配かけたんだから我が儘しても罰当たらないでしょ?」

 

「違いない」

 

「所で、話変わるけど。弾とか数馬は進路どうしたのよ?」

 

「弾は、遠月茶寮学園にいったぞ。何でも厳爺さんが彼処の学園長と知り合いなんだと、数馬は箱庭学園行ったな。他にも当麻は学園都市に行ったし後は……」

 

 その直後、時間が推しているのもあって、雑談は終了となった。

 

 




因みにこのお別れ会の時、秋正くんは別のクラスだったのでお呼ばれされていません。
箒の時も立場が逆なだけで同じです。
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