〜side ライダー陣営〜
「チッ…。今日も駄目かぁ?」
バイクを走らせながらライダーは愚痴を吐く。同盟を結んでから3日。あれからというもの、少しも動きが無い。
「茨のサーヴァントはあれだけ大きな動きをしてしまっているのでむやみやたらに動けないのでしょうね。」
「茨のサーヴァントどころか他のサーヴァントもいないしよ。つまんねぇな。」
ライダーはいささか不満そうだ。
「ふふっ。ライダーは早く戦いたくてたまらないんですね。」
そう言った藍子はふと地面を見た。
「ッ!?ライダー!このまままっすぐいっては駄目です!逆方向へ逃げて!」
指示を受けたライダーはすぐに旋回しようとした。
だが、遅かった。
地面が盛り上がり、ツタのようなものがライダー達をバイクもろとも空中へ弾き飛ばす。
「マスター!アタシに掴まれ!」
ライダーは藍子を抱き抱えて空中でバイクに再度騎乗。地面に着地し、すぐに今来た方向へバイクを飛ばす。
藍子は加蓮達に連絡をするために携帯を取り出したが、通知が2件。他の2人も同じように攻撃を受けたようだ。ツタの追跡が終わった後に、連絡をとりあい3陣営は向かっていた方向とは逆方向に位置する公園に一度集合ということになった。
〜side セイバーランサーライダー同盟〜
公園についた3陣営は、茨のサーヴァント攻略に向け作戦を練っていた。
「ここ3日間動きは一切無かったのに急に茨のサーヴァントは私達を攻撃した。さらに恐らくこちらからは視認できない距離に本体はいたでしょう。茨のサーヴァントの魔力はどのサーヴァントも感知できていないようでしたので。」
文香は続ける。
「茨のサーヴァントがそのような、遠くを見通せる能力があれば、最初からそうしていたはずです。わざわざ探しまわられて見つかるリスクを負う必要はない。すぐに攻撃をする方がよっぽどいいでしょう。ですがそのようなことは起こらなかった。」
「今日になって、茨のサーヴァントはなんらかの形で私達を感知できるようになった…。ということですか?」
藍子は口を開く。
「ええ。もともと茨のサーヴァントにそのようなスキルが無かったのなら、恐らくそれは我々と同じ、同盟を結んだ結果でしょう。我々を監視できる能力を持ったサーヴァントがあちら側についたと考えられます。あくまで推測ですが…。」
「今攻撃がこないってことは今は監視されてないんだよね。」
加蓮が口を開く。
「ええ。恐らく。茨のサーヴァントが陣取っている付近のみ監視の目が行き届いているのでしょう。」
つまり茨のサーヴァントに近づいてもこちらが気付く前に茨のサーヴァントがこちらを攻撃できる。ということだ。絶望的な状況に全員口を閉ざしてしまう。
「そうなったら相手の攻撃が始まる前に突っ込んじまえばいいんじゃねぇか?このまま何もしないのが一番マズイと思うぜ。せっかく敵を見つけたんだ。次いつでてくるかもわからねぇぞ?」
ライダーはベンチに足を組み座っている。
「…。そうですね。今のところ攻略法はそれしか考えつかないですね…。強引ではありますが…。どうでしょうか。」
反対するものは誰1人としていない。強行突破。それが彼女らが導き出した答えだった。
「ただ突っ込むだけではまたさきほどのようになるでしょう。私に考えがあります。まずーーー。」
〜side ライダー陣営〜
「へっあの女。大人しそうな顔して結構思い切ったことするじゃねぇか。アタシ達の身の心配はないみたいだな!」
バイクを走らせながらライダーは言う。
「ライダー。言葉には気をつけなさい。適した者が適した仕事をする。当然のことです。」
藍子達の仕事。それは一足先に敵の本拠地に、茨のサーヴァントの陣地に突入。そして他の2陣営に突入指示。その後茨のサーヴァントを撹乱し他の2陣営への注意をそらすことだ。バイクでの突破力は他の2陣営には無い特徴であるため適任ではあるが、前情報無しに敵の本拠地に突っ込むのはあまりに危険。最悪2陣営以上に囲まれることになる。
「おっとそろそろくるぜ!」
コンクリートが盛り上がり、ツタが飛び出す。ライダーはそれらをかわし時には踏み台にしただ突き進む。
20秒ほど走り続けていると
「ッ!そろそろだぜマスター。前方に膨大な魔力を検知した!しっかり掴まってろ!」
ライダー達は速度を緩めることなく茨のサーヴァントのもとへバイクを走らせた。
〜side セイバーランサー陣営〜
「…。はい。わかりました。…。加蓮さん。茨のサーヴァントの場所は街のはずれのスーパー跡地。急ぎましょう。」
藍子達から連絡を受けた2陣営はライダー達のタイヤ痕を頼りに進む。
数分歩いた後、タイヤ痕が消える。その代わりに、粉々になったコンクリートが道を示す。セイバー達がそこを通ってもツタが飛び出す気配はない。恐らくライダーが交戦しているためこちらに気が向かない、もしくは攻撃している余裕がないのであろう。作戦通りだ。そう思ったのもつかの間。
「!?膨大な魔力量を検知!マスター!前!」
セイバーの声で加蓮は下がっていた目線を上へ上げる。
「な…。なんなのあれ…!」
加蓮達の目に映ったのは80mはあるであろう食中植物の姿をした怪物だった。
〜side ライダー陣営数分前〜
「アンタが茨のサーヴァントか!やっと会えたぜ!サーヴァントは…。一騎しかいねぇみたいだな!」
バイクをとばしながらライダーは周囲を確認、その後虚空から鉄パイプを取り出し一直線に茨のサーヴァントに殴りかかる。
「来たね。ライダー!」
茨のサーヴァントはふりさげられた鉄パイプを腕で受け止める。カン!と金属音がし、鉄パイプは90度折れ曲がった。
ライダーはそのまま茨のサーヴァントの背後へ走り抜ける。
「オイオイ一応魔力的な強化はしてあるんだけどな。相当な筋力だぜありゃ。」
ライダーは茨のサーヴァントの背後で旋回。もう一度鉄パイプを取り出し殴りかかる。
「何度やっても同じことだよ。ライダー。」
茨のサーヴァントは再び鉄パイプを受け止め、今度はバイクに蹴りをいれる。バイクは横へ大きく吹き飛ばされる。
そこへ藍子のもとに1人の女性が歩いてきた。
「おっ☆藍子ちゃんじゃん☆はぁとのこと、覚えてる?」
「忘れるわけないじゃないですか…。佐藤心先輩。」
微妙な顔つきで藍子は茨のサーヴァントのマスター。佐藤心を見る。
「オイ☆なんだその顔は☆喜べよ☆悲しいだろ☆あとシュガーハートって言えよ☆」
心は突っ込みを入れ、続ける。
「さて☆このままお話に付き合うのは藍子ちゃん達の思うつぼだよね☆3対1は避けたい!全力で!てか魔力使いすぎで長期戦はマジ辛いぞ☆バーサーカー!宝具の解放を許可する!力の差を見せてやれ☆」
心は呼びかける。
「いいけどマスター魔力不足で倒れないでよ!」
バーサーカーは魔力を貯めながら言葉を紡ぐ。
「その花弁は全てのものに救済を与える天使の如し。我が身を糧とし喰らい尽くせ。
『
「ッ!まずい!マスター掴まれ!」
ライダーは藍子の手を引きバイクを発進させる。
地面が揺れ、落ちる。そして、その怪物は姿を現す。天使とは程遠い、この世の終わりを知らせる悪魔の花が夜闇に咲き誇る。牙の生えた紫色の花弁が6枚。普通の花ならおしべ、めしべがある場所にはただ暗闇が広がるのみ。全てを無に帰すバーサーカーの宝具がその全貌を現す。そして、救済を、破壊を開始する。
ツタを地面に叩きつける。大地を崩し、揺らす。
ライダーはバイクを走らせ回避を試みるが地面が揺れ思うようにコントロールが効かない。無防備になったバイクに割られた地面の破片が突き刺さる。
バイクによる移動が不可能になった2人にツタが襲いかかる。この速度のツタは回避不能。まず助からないだろう。
「…。もうこのバイクは無理だ。マスター。アンタだけでも逃げろ。頭だけは守れよ。またアイドルやりたいんだろ。」
そう言ってライダーは藍子をまだバーサーカーの宝具の影響を受けていないところまで投げる。藍子は地面に叩きつけられ転がっていく。
体中が痛むが意識はある。顔をあげる。曇っていく視界。ライダーは安心した表情でこちらを見ている。
「(ああ。私の夢、ここで終わるんだ。3ヶ月前。デビューが決まって、嬉しかった。真っ先におばあちゃんに伝えに行った。でも…。もうその時おばあちゃんは…。おばあちゃんの最期に、私の輝く姿。見せたかったな…。)」
視界が、落ちる。
material
【クラス】バーサーカー
【マスター】佐藤心
【真名】相葉夕美
【性別】女
【属性】混沌・中立
【ステータス】筋力B 耐久C 敏捷C 魔力C 幸運D 宝具A+
【クラス別スキル】狂化 C
【固有スキル】植物会話 E:植物と意思疎通を図れるスキル。 植物が多くある舞台では植物は起き偵察として優秀であるが、バーサーカーとして召喚された夕美はマスター以外の話を聞こうとはしないのでほとんど使われない。
怪力D:本来魔物、魔獣しか持てないスキルだが、バーサーカーとして召喚されたときにはアルウラネの属性を付与されているため所持できている。
使い魔(魔植物)C:植物の怪物を使役できる。キャスターとして召喚された時には歩行型、飛行型など様々な魔植物を使役できるがバーサーカーとして召喚された時には単純な動きのみ可能なものしか使役できない。
【宝具】『
ランク:EX
種別:対城宝具
レンジ:1~90
最大捕捉:300人
地面から80mを超える巨大な魔植物を召喚する。この間バーサーカーとこの魔植物は一体化する。攻撃方法はツタの叩きつけと飲み込むことのみであるが、ツタによる攻撃は大地を砕き、この魔植物に飲まれたものは暗黒空間へ引きずりこまれ、出てくることは不可能になる。ただし一度根を張った場所からは消滅するまで動くことはできない。
消滅するには周りのものがすべて無くなる、魔力供給が切れる、バーサーカー本体の消滅という条件のいずれかが必要である。