F@te/ball of angelous   作:金管飴

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第5話 流星

「我が旗は我が同胞を守る聖なる旗!『私と貴女の誓いの旗(オンリーマイフラッグ)』!」

 

ライダーを押しつぶそうとしたツタの下に旗が突き立てられ、旗の上に円形の魔力障壁が生成される。衝撃と轟音が響き渡った。が、その障壁はツタによる攻撃をしっかりとうけとめている。

 

「ライダー!今のうちにあなたのマスターを回収して安全な場所へ!」

ライダーが押し潰されようとした数秒前、ランサーはツタの下に潜り込み宝具を展開したのだ。

「あ、ああ!感謝する!」

ライダーはその場を離脱。藍子を抱えバーサーカーのレンジ外へ。

そこへ文香とセイバーが駆けつける。

 

「すまねぇ。勝てなかった…。」

ライダーは藍子を丁寧に地面に下ろしセイバー達を見る。

「ええ。でもまだ負けてはいません。3騎の力を合わせれば勝てるはずです。その為に助けたのですからきちんと仕事はしていただきますよライダー。私の作戦に従っていただきますよ。」

「ああ。勿論だ。」

文香から説明を受けたライダーは立ち上がりバーサーカーの方を見る。

「ああわかった。任せてくれ。」

 

「私もそろそろいくよ。ランサーが辛そうだしね。マスター。ちょっと負担かけるけど耐えてね。」

セイバーは加蓮が頷いたのを片目に剣を抜き、その刀身に蒼い炎を宿す。魔力放出。魔力によるジェット噴射。

 

セイバーが駆ける。

ツタとの距離を一気に詰め、炎を纏った剣はツタを焼き切った。本体から切りはなされたツタは黒い砂のようなものになり消える。

「おつかれランサー。」

セイバーは剣を構え直す。

「遅いです。まあいいです。あとでマスターに褒めてもらうので。それよりあれ、みてください。」

地面から抜いた旗先で空中をさす。セイバーに切断されたツタはみるみるうちに元の形に戻っていっているようだ。

「自己復元能力…。とんだ化け物だねあのサーヴァント。いや、使い魔、と言ったほうがいいか。」

セイバーは遥か上、星の下に咲き誇る花弁を見る。

「ええ。このツタの魔物、サーヴァントの魔力のタイプとは違う。本体はあの花の上にいますね。それを倒さない限りこの怪物はいくら切っても燃やしても元に戻るだけでしょう。」

「悔しいけど警戒状態の中私達の敏捷、突破力じゃあ頂上まではたどり着けそうも無い。危険を承知でライダーを助けた甲斐があったね。」

「ああ、アタシに任せてくれ。絶対に作戦は成功させる。」

2騎の元へ駆けつけたバイクを再召喚したライダーがセイバー達と顔を見合わせた後、爆音をたてながらツタの怪物へ向かって行く。

 

バーサーカーは近づいてくるライダーを確認した。

自由自在に操れる魔植物のツタをライダーに向け振るう。

しかし、蒼白い炎がぼんやりと見えた後、ライダーは潰されずこの魔植物の中心。すなわち幹に向かってくる。

ツタをライダーに振るい続ける。魔植物はいくらでも修復可能だが本体である自身が叩かれては魔植物も消える。ここに到達させてはいけない。単純だが、強力な攻撃。並のサーヴァントでは受け止めることすら難しい。

だが、ライダーの魔力反応が消えない。ツタの攻撃全てが他の2騎によって防がれている。炎による草の性質を利用された攻撃と、ランサーの受け流し。その2つがライダーへの攻撃を押しとどめる。

 

ライダーは速度を最大にし、魔力でバイクを強化する。そして、ほほ垂直に立っている幹にタイヤを合わせるようにしてジャンプ。そのまま幹を駆け上がる。重力に逆らって、バイクは高速で頂上を目指す。

 

バーサーカーはライダーが幹を登ってくるのを感じとる。もうこうなっては他の2騎に構っている暇はない。自分の幹にツタを叩きつける。

が、魔力だけを頼りにしているため狙いが定まらない。ライダーはさらに近づいてくる。

 

そして

 

ライダーが宙を舞う。幹を登りきり、バーサーカーと魔植物の上をとる。

「見えたぜ!バーサーカー!これで終わりだ!」

ライダーはバイクから飛び、バーサーカー本体めがけて鉄パイプでなぐりかかる。

 

「…。」

 

バーサーカーめがけ飛んでくるライダーの行く手に、闇が広がる。

魔植物の花弁。空中で大きく進行方向を変えられないライダーの目前に大きく開かれた底なしの口。バーサーカーはニヤリと笑う。これでここに到達できる敵はいない。勝ちを確信する。

 

しかし

 

「行け!セイバー!」

ライダーが号令をかけた。

 

セイバー?ここまで辿り着ける突破力は備えていないはず。それにツタや幹を登っている感覚もない。ブラフだ。薄い意識の中バーサーカーはライダーを飲み込もうとする。

 

「バーサーカー!後ろ!」

心の大声が暗闇に響き渡る。

 

「覚悟して!バーサーカー! これが私の全力の一撃!」

 

背後から爆音、蒼い光。そして、膨大な魔力量を持った何かが花弁とは逆方向から向かってくる。

 

一気に魔力放出することによる飛翔。強引に自分を一気に吹き飛ばす荒技。サーヴァントにはもちろん、膨大な魔力を必要とするこの動きにはマスターへの負担も計り知れない。危険な作戦だが、戦況をひっくり返すことのできる奥の手。

 

「これで終わりだ!」

 

蒼い光がバーサーカーを背後から貫く。 夜闇に輝く流星のように。

 

空に光がともる。

 

燃える。身体が崩れ落ちる感覚。

 

「もう…。終わっちゃうんだ…。」

 

悲しげな表情を見せ、バーサーカーが消滅した。

 

主人を失った魔植物も崩れ落ちる。

ライダーは減速したセイバーを受け止め空中のバイクへ再騎乗。

地面へバランスを保ちながら着地。

加蓮達と、目覚めた藍子が駆け寄る。

 

「ライダー!自分の身を捨てて私だけ助けるなんてこと、もうしないでください!私だけ生き残っても意味がない。2人で願いを叶えようって言ったじゃないですか!」

藍子が涙目でライダーに言う。

「チッ… すまなかったなマスター。これからは気をつけるぜ。」

面倒臭そうに、いや、恥ずかしそうにライダーは答えた。

 

「セイバー。お疲れ様…。 っ…。」

加蓮が倒れかけるのをセイバーが受け止める。魔力放出の負担は相当大きかったようだ。

「うん。マスターもお疲れ様。」

セイバーも相当ダメージが蓄積されているはずだがそのそぶりを見せず加蓮を支える。

 

「さて。あとは。」

文香は残った心の方を見る。心は視線がこちらにむくのに気づきギクっとする。

「ちょっと待てよ☆悪かった。悪かったから痛いのだけはやめてくれよ☆」

この状況でなおその口調なのか…。と文香は溜息をつきながら質問する。

「聞きたいことが1つあります。それを答えてくれればすぐに返して差し上げます。貴女の協力者を答えてください。今ここにはいないのでしょう?」

「も…もし答えなかったら?」

 

間が空く。

 

「わ、わかったよ答える 答えるから! 協力っていってもこの監視用のお札をキャスターから貰っただけ、姿も見てない!」

不思議な紋章が描かれた札を見せる。

 

「やはりキャスターですか…。厄介な能力ですね。」

文香は顎に手を当て考える。

 

「これでもうはぁとは帰るぞ☆ 言っとくけどはぁとはまたアイドルやりたかっただけだからな☆あわよくばプロデューサーと…なんて考えてないんだからな☆」

 

 

藍子は平常運転のまま暗闇へと走りぬけていく心を見送る。最後まで騒がしい人…だけど、楽しい人だ。少し微笑んでから立ち上がる。

 

 

藍子は息をゆっくり吐いた。

 

「さて、私達の同盟もここで終わりですね。次会った時は私が勝ち抜きますから」

 

宣戦布告。欲望や力に溺れたものではなく、かつて、トップアイドルをライバル達と競っていた時を思い出させるようなそんな爽やかさを感じるものであった。

 

 

 

〜side ???〜

「そうですか。バーサーカーが消滅したのですね。では、私達もそろそろ直接動き出しましょうか。よいですね?キャスター?」

 

「りょーかーい」

 

キャスター陣営が影で動き出す。

 

 

 




material
【クラス】ランサー
【マスター】鷺沢文香
【真名】橘 ありす
【性別】女
【属性】中立・善
【ステータス】筋力C 耐久D 敏捷A 魔力C 幸運D 宝具B
【クラス別スキル】対魔力 C
【固有スキル】戦闘続行 B 能力増強(苺) A 魔力放出(闇)E
【宝具】『私と貴女の誓いの旗(オンリーマイフラッグ)』
ランク:E〜A+++
種別:対人宝具
レンジ:1
最大捕捉:-
旗をつきたて魔力の壁を生成する。壁の強度はマスターの魔力量には依存せず、マスターとの信頼関係、絆によって変化する。マスターとの仲が悪ければ通常攻撃さえ防ぎきれないが、お互い信頼しあっていれば対界宝具ですら防ぎきる。旗を掲げ同胞を守るその姿はまるで神の啓示を聞き戦い抜いた聖女のようである。
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