こんな感情を抱くようになったのはいつからだったかな。
私の父は電気に関する企業の社長だ。すなわち私は「社長令嬢」ということになる。だから周りから大切にされている。だけど学校以外で、いや、学校でも親しくなる人間はいない。大切にされすぎている。自分でいうのもなんだけど。ある日、私の家に同い年?の執事見習いの子がやってきた。遊べ...ないかな?そう思った。家には大人しかいなかったから。一応お父さんに遊びたいといった。数日後、その子がお仕事を終えたら遊びに来てくれることになった。
「あなたが一緒に遊んでくれるの?」
本当に遊んでくれるのか、不安になってしまった。
「はい、そうです、高嶺お嬢様」
私はむっとした。呼び捨てで名前を呼んでくれなかったから。だから私は、
「同い年なんでしょ?呼び捨てでいいよ」
「そういうわけにはまいりません。私は見習いと言えど『執事』なのですから」
「むぅ」
固い子だなと思った。また同時に同じ立場であえてたらよかったのかな、そう思った。それからその子は仕事を終わらした後、一緒に私と遊んでくれた。遊ぶ回数が増えていく毎に変な感情、また、恐ろしく感じる感情が心の中で動き出した。「この子に私だけを見ていてほしい」「私以外の人と話してほしくない」「私以外の人を見てほしくない」と。これを「嫉妬心」というのかな?
「お嬢様、今日は何をして遊ぶのですか?」
「うぅん、かくれんぼ!」
私はそう答えた。一回でもいいからこの子の困った顔が無性に見たかった。
「かしこまりました」
「晴が鬼ね!『もういいよ』っていうまで目を開けちゃ駄目だからね?」
「おおせのままに」
私は少し離れた登れそうな木に登って「もういいよ!」と叫んだ。その瞬間、風が吹いた。予想だにしていない風。私の体をふわっと木から飛ばした。私はとっさに木の枝につかまった。泣いてしまった。けどそのすぐあとに晴が来てくれた。
「お、お嬢様!?」
「うぅ、晴~助けてぇ~」
「今執事の人たちを呼んできますから!少々お待ちを!」
あぁ、晴が行ってしまう。いや、いやぁ。
「待って!行かないで!」
「しかし...」
「もう無理!だから受け止めて!」
「は、はい!」
私は手の力を抜いた。一瞬の浮遊感の後、晴の腕に包まれる。湧いてくる安心感とともに、さっき以上の涙があふれ出てくる。ずっとそのままでいたい。そう思ってしまう。だけどそれはできない。晴はわたしの執事でもなければ所有物でもない。だから今を楽しみたかった。
「大丈夫ですか、お嬢様」
「うん、ありがと、ごめんね」
「いえ、私の考えがいたらなかったのが悪いのです」
「そんな...」
そのあとお父さんに晴を怒らないで!とお願いしに行った。私があんなところに登らなければよかったのだから。それに私以外の人間とあまり一緒にいてほしくない。そう感じた。
「ねぇ、晴~」
「どうしました?高嶺お嬢様」
「晴は好きな人いるの~?」
いない、よね?
「私にですか?いませんが」
「そう、なんだ。ふぅーん。じゃぁさ、晴」
良かったと思ってしまった自分が嫌になる。
「はい、なんでしょう?」」
「もしさ、大人になって晴に大切な人ができなかったら...」
「はい」
本当は晴に私だけを見て、そう、言いたいのに、私は
「私の執事になってよ!」
「かしこまりました、高嶺お嬢様」
それから数日後、晴は見習いの期間を終えて桜城家から離れた。また独り。早く大人になって晴と再会したいなぁ。けどそれはできないんだろうな。晴みたいな優しい執事は私なんかよりもっと、
品の高い人の執事になるべきなんだ。でも、晴には私だけを見てほしい。でも、晴を縛っていいわけがない。まずはちゃんとお友達作りから始めようかな。ほどなくして、メイドとして菜月と彩月が私の家に来た。二人とは仲良くなれた。晴に対する思いも言った。それでも仲良くしてくれた。彼女たちは晴以外で唯一信じられる存在なんだろう。でも晴に会いたかった。お父さんの死などどうでもいいくらいに。菜月と彩月に相談したら晴を探してくれた。
そして、晴の学校に「転校」した。