独占と嫉妬と……   作:はるのき

6 / 9
書き直ししてから一気に投稿すればよかったのではないかと思った。まぁ、時すでに何とやら...


看病

俺がお嬢様と再開してから一か月が経った。いつも通り学校に通っている。何か変わったことと言えば学校で簡単な仕事は済ませるようになったことだ。熱が冷めたのかお嬢様に生徒が話しかけてくる頻度は減った。正直欲求が刺激されにくくなってありがたい。

 

この日は何事もなかった。しかし翌日。

 

「...ぅ、...る、晴!」

 

「...ぉ、嬢様?」

 

意識が朦朧とする。目の前にはお嬢様の顔。あぁ、欲しい...

 

「大丈夫!?」

 

「えぇと、私は...」

 

「大丈夫、安静にしていればいいから」

 

どうやら俺は熱を出してしまったらしい。時計を見ると8時を過ぎている。

 

「あ、も、申し訳ありません!今支度をしますから!」

 

「学校には欠席するよう言っておいたから。もちろん私もね」

 

「そんな...私など放っておいてよろしいのですよ?」

 

俺は嘘をついた。本当はずっといてほしい。お嬢様にずっとそばにいてほしい。けど自分のためにお嬢様を縛るなど執事として、人としてしていいはずが...

 

「駄目。私が看病するから、いいね?」

 

「は、はい...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「駄目。私が看病するから、いいね?」

 

本当はただ、一緒にいたいだけなのに。そういえばいいのに。でもなんでできないんだろ。そんなこと許されないからかな?何も変われてないなぁ。まだ再会するには早すぎたかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...お嬢様、少し睡眠をとってかまいませんか...?」

 

「うん、もちろんいいよ、ずっとそばにいるから」

 

意識が暗闇に落ちていく。

 

(高嶺ガ欲シイノダロウ?奪ッテシマエバ良イダロウ?)

 

(そんなことしていいはずがないに決まっている...俺は執事なのだから。お嬢様の執事なのだから)

 

(イツマデ耐エテイラレルカ見物ダナ?)

 

(うるさい。黙れ。失せろ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寝てる晴、かわ...いぃ...なぁ。私もつられて寝てしまぃ...

 

暗い水底。何もない水底。なんだろう。声が聞こえる。

 

(晴ガ他ノ人ト話シタリ他ノ人ヲ見テルノガ嫌ナンダネ?)

 

(そうだけど...)

 

(ナラ自分以外ト交流デキナイヨウニ首輪ヲツケテ私ノ部屋カラ出ラレナイヨウニ鎖デ繋イデ置ケバイイジャナイ!) 

 

(そんなことしていいはずがないよ...)

 

(晴ハ私ノ執事ダヨネ?ナラ私ノ所有物ダヨ?)

 

(所有物なんかじゃない!)

 

(マァ、頑張ッテ心ヲ抑エルコトダネ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん~」

 

「お目覚めになられましたか?お嬢様?」

 

「う、うん?あっ、ごめん!看病するつもりだったのに...」

 

「構いませんよ」

 

「うぅ~」

 

そんな拗ねたような顔をされたら...奪いたくて仕方がなくなってしまう...あっ、もう12時、お昼かぁ。

 

「熱は下がりましたから、ほら、お昼にしましょう」

 

「動いちゃダメ。熱が下がってても身体は弱ってるんだから!」

 

「ですが...」

 

「菜月たちに手伝ってもらってお粥か何か食べやすい物作ってくるからまだ寝てて?ね?」

 

「は、はい...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね?私の我儘に付き合わせちゃって」

 

「いえいえ、私たちはお嬢様のメイドであり友人なのですから構いませんよ」

 

菜月と彩月に手伝ってもらってお粥を作る。普通の女の子ならこれくらい、一人で作れるんだろうなぁ。こんなんじゃ、立場や嫉妬なんて関係なく釣り合えないね、あはは...

 

「できた!」

 

「ではお嬢様。如月様の元に」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「晴、作ってきたよ!」

 

「ありがとうございます、私などのために...」

 

「晴~?自分を下に見過ぎだよ?」

 

「私などそんな大した人間ではありませんよ?」

 

「むぅ~」

 

あぁ、この顔だ。欲しい。欲しい。

 

「では、いただきますね?」

 

「どうぞ、召し上がれ!」

 

「美味しぃ。流石です。お嬢様」

 

「ふふ。ありがと。さっ、冷めないうちに食べきって!」

 

今まで気づかなかった、というより気づく機会がなかったがお嬢様って料理センスあるのかも。お粥って結構料理センス見にくいようで見やすいからなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「完全、とまではいかないけどほとんど治ったね、良かったぁ...」

 

「ご心配をおかけして申し訳ありません。お仕事しなくてはいけないでしょうし」

 

「うぅん、晴には悪いんだけど...」

 

「手伝いますよ?」

 

「ごめんね?」

 

「いえ、私はお嬢様の執事なのですから当然です」

 

手伝ってもらいたいなんて嘘でただ一緒にいたいだけなのに、それだけなのに、晴に負担をかけて、病み上がりっていうことくらいわかっているのに...いや、わかってても私には、意味ないの、かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校がある日だったから仕事の量はいつもと変わらず仕事を始めた時間もいつもより早かったため早い時間に終わった。お嬢様に、少し明日の仕事もしておきますか、と言ってみたが、私はそこまで鬼畜ではありません!と拗ねられてしまった。そんな姿が愛おしく?て、欲しくて、自分のものにしたくて、ほかの人になど見せたくなくて、そんな抱いてはいけない、大切な人に対して抱いてはいけないと思っている感情が湧き出てしまう。あの孤立の意味ってあったのだろうか...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晴に迷惑をかけて喜んでしまっている自分が憎い。でも、私だけを見ていてほしい。この気持ち、晴に言ったら私のことどう思うだろうか。考えるまでもないか。嫌われるだろうな。そして嫌われてなお、晴が私の「執事」という立場を利用して縛り付けるんだろうな。そんなのは嫌だ。大切に思ってるのになんでそんなことを考えるんだろ。本当に...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。