――――私はその日、彼と出会えた。心の底から傍で支え続けたいと思える人に。
〇月〇日
今日、私は地上を歩いていたら一人の少年とぶつかってしまった。
全く何をしているのやら、私は。
ぶつかってしまった少年に慌てて謝ると笑顔で許して貰えた。
・・・・・・不覚にも、彼の儚げな笑みを見て少しときめいてしまった。
それから私たちは、たわいもない雑談をした。
雑談をしていて気が付かなかったが、周りを見ると既に夕方になっていた。
――――こんなにも時間が過ぎるのが早いと感じたことがあるだろうか。 きっと彼と話をしているのがとても楽しかったからだろう。
――――もっと彼と話をしていたい。彼の声を、笑顔を側で見ていたい。 気が付けば強くそう思うようになっていた。
あぁ、これが――――――――“恋”か。
そう自覚した途端、身体が急に暑くなって心臓の鼓動も早くなっているのが分かった。
彼は生まれつき身体が弱くて入院と退院を繰り返しているらしく、近くの病院に今は入院しているらしい。
『また、僕とお話ししてくれますか?』と上目遣いで聞かれて一瞬思考が止まってしまった。彼を不安にさせたくないので慌てて「大丈夫です」と返事を返した。すると彼は心底安心した様に顔を綻ばせた。
――――それは反則だろうと思ってしまった。堕天使である私が完全に彼に魅了されてしまう程の微笑みだったのだから。
「また明日会いに行きます」と言うと『楽しみに待っています』と返してくれた。その光景に、なんだか子犬みたいで可愛いと思ってしまった。
それから彼を病院まで見送って私も帰る事にした。
病院に着いた時に彼に『まだ夕方ですけど気を付けて帰って下さいね』と心配されてしまった。話をしている時にも思ったが、彼は本当に心の優しい少年なんだという事を改めて思った。
そんなに心配されたら――――――ますます好きになっちゃうじゃないですか。
ふふっ。
◯月×日
彼の名前は神崎 楓。
今日は昨日聞いた彼がいる病院にお見舞いに行く事になっている。
定番だけれど、林檎やバナナなどの果物を持って教会を出ようとした所でミッテルトが不思議そうな顔をしてきた。
な、何よ・・・・・・べ、別になんでも無いわよ!!いつも通りよ、いつも通り!!
全く、人の事を気に掛けてる暇があるんだったら見回りでもして来なさいっての。
ねぇ、殿方ってどんな風に呼べば良いか知ってる?
昨日聞いた彼の病室を訪れると彼は暇そうに横になっていた。
そんな表情も素敵だと、見惚れてしまっていた。
彼は私が来たことに気付くと、いつもの笑顔で出迎えてくれる。
やはり恋をしている相手だと、どんな表情でも素敵に思えてしまうのだろうか・・・。
今日も楓様とお話が出来て良かった・・・・・。
――――この呼び方で良かったのかしら?
〇月△日
今日、アーシア・アルジェントというシスターがやって来た。
なんでも『聖母の微笑』の所有者らしい。
この子にお願いしてみようかしら。
どうか彼の病弱な身体が少しでも良くなるように協力してくれないかと。
〇月□日
今朝、アーシアに事情を説明したら快く受け入れてくれた。なので今日はアーシアを連れて彼のいる病院までやって来いる。
アーシアは病院は初めてらしく目を輝かせていた。
そんなアーシアを微笑ましく思いながらも彼がいる病室の扉を開く。
ここからは私の賭けだ・・・・・どうか彼の身体が少しでも良くなりますように。
いつか彼と・・・・・・デートが出来ますように。
・・・・・楓様とデート、したいなぁ。
――――明日、神社にお参りに行こう。
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