少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
〇月A日
今日は楓様のために神社にお参りに来た。
確か一般的なやり方は二礼二拍手一礼だった気がする。
――――どうか楓様の身体が良くなりますように。どうか楓様の身体が良くなりますように・・・・・・楓様とデート出来ますように。楓様とイチャイチャ出来ますように。
どれだけ願いを心の中で呟いたかは分からないが、少し時間をかけ過ぎたかもしれない。
所詮、こんなものは気休めなのだと思っているが、楓様の事を思ったら真剣にならずにはいられない。
・・・・・なにか力になれないかと楓様の居る病室を訪れてみた。
もちろん、お見舞いの品を忘れずに。
病室の扉を開けると見たことのない女性が楓様の隣の椅子に腰掛けていた。
女性は私を見て『いつも息子がお世話になっております』と立ち上がってご丁寧に頭を下げてご挨拶をしてくださった。
・・・・・・やはり楓様のお母様だった。
楓様のお母様――――――その事を意識した瞬間、身体がいつも以上に緊張し心臓が早くなるのを感じた。
そんな緊張している私を気使ってか、お母様が『こんな息子ですが末永くよろしくお願いします』と言って部屋を出て行かれた。
これは、もしかしてそういう意味なのだろうか・・・・・。
ふと、楓様の顔を見ると赤くなっていた。・・・・・おそらく私も顔が赤くなっているだろう。
・・・・そこからは先の事は余り覚えていない。
――――気がつくと教会に帰って来ていた。
なんだか今日は色々と緊張して疲れた。
――――お風呂に入った後、睡魔に誘われるようにベッドに倒れこんだ。 あぁ、こんな風に疲れるのも悪くないなぁ・・・なんて思いながら意識を手放した。
〇月B日
目を覚ますと、昨日の疲れが嘘のように回復していた。
きっとアーシアが気を利かせてくれたのだろう。 後でお礼を言っておこう。
さて、今日は何をしようかしら・・・・。
・・・・・・アーシアから悪魔の気配がする?
私は取り敢えずアーシアに、昨日どんな人物と出会ったのかを聞いてみた。
アーシアの話を聞くと、優しくて一緒にいて楽しい男性らしい・・・。
――――本音を言うと、アーシアが不安で仕方ない。 アーシアは純粋無垢で疑う事を知らないから・・・・。
それにアーシアは『聖母の微笑』の所有者だ。 アーシアの神器を狙って近付いて来ているのかも知れない・・・。
そんな事ばかりを頭の中で考えてしまう。 相手は悪魔なのだから無理もない、か。
アーシアは今日、その悪魔と遊びに行く予定らしい。
・・・・・シスターが悪魔と遊ぶ、ね。
私の杞憂であってくれれば良いのだけど、やはり不安なのでミッテルトを護衛に付ける事にした。
残った二人に外出するとだけ告げて、お見舞いの品を忘れずに持って楓様のいる病院へと向かう。
楓様の病室に着くと、ちょうど楓様がベッドから起き上がろうとしている所だった。
え、無理に起き上がったらダメですよ!! きちんと寝ていて下さい!
気が付けば私は、無理に起き上がろうとしている楓様の両肩を押さえてベッドに寝かせていた。
――――こんなにも、愛しい人の顔が眼の前にあるのだ。
今なら言えるだろうか―――――――"好き"と。
――――この想いを口に出そうとした所で、病室の扉が開かれた。
入って来たのは楓様のご両親だった。 ・・・・・見られた、こんな光景を。
ご両親からの説明を聞くと、今日は楓様の退院の日だったらしい。
――――完全に私の早とちりではないか。
・・・・・・穴があったら引き篭りたい。 ・・・・・恥ずかし過ぎる。
端から見れば、私が楓様を襲っているみたいではないか。
いくら何でも、そこまでいくのは早過ぎると思う・・・・・。
・・・・・・まだ、デートだってしていないし。
私の勘違いだったという事は理解して頂けたようで、楓様の退院祝いに昼食でも一緒にどうか、と誘われた。
それから楓様のご両親と一緒にファミレスで昼食をご一緒させて頂いた。
――――楓様のご家族と一緒に昼食を食べれるなんて、まるで夢のようだ・・・・。
・・・・・それからの事は覚えていないが、気がつくと教会に帰って来ていた。
時刻は夕方になっていて、自室に戻ると倒れるようにベッドに横になった。
――――そのまま睡魔に身を任せて意識を手放した。
〇月C日
目を覚ますと、私の部屋に美味しそうな匂いが漂ってきた。
顔を洗い匂いのする方へ歩いていくと、アーシアが朝食を作ってくれていた。
本当に、アーシアは本当に凄い子だと感心した。
教会の主の私よりも早く起きて朝食の準備をしてくれているなんて。
そんなアーシアに感心していると、ミッテルト達がやって来た。
新人のアーシアが一番しっかりしている状況に落胆しつつも、アーシアの作ってくれた朝食を食べ始める。
私は、気になっていたアーシアに近づく悪魔の事について聞いてみた。
ミッテルトの話によると、名前は兵藤一誠。 只の変態らしい。
変態悪魔――――ね。 ミッテルトが変態というのだから、"ど"が付く変態ね。
・・・・・引き続き、ミッテルトに護衛を任させましょう。
そう心の中で思いながら、本人の意見を聞いてみる。
・・・・・アーシア的には良い人らしい。
そっか、アーシアは相手が悪魔だって事を知らないのよね。
アーシアは、悪魔を癒してしまった事で魔女の烙印を押されて此処に飛ばされた。
ここはアーシアの為にも真実を伝えるべきね。
――――私はそう決めてアーシアに真実を話した。
最初は落ち込んでいたアーシアだったが、それでもその悪魔と友達になりたいと言った。
分かったわ、アーシアを信じましょう。
私はアーシアを魔女だなんて思った事は一度もない。 だってアーシアの力は、全ての種族の者の傷を癒すことが出来るんですもの。
――――全ての者を救う、救いたいと思えるのが本当の聖女だと思うわ。
・・・・・そう伝えると、アーシアに泣かれてしまった。
慌ててアーシアを抱きしめる。 なんだか世話の焼ける妹みたいね、と思いながらアーシアが泣き止むまで抱きしめ続けた。
〇月D日
昨日は、アーシアを泣かせてしまった。
何かお詫びをしようと買い物に出掛けようとしたら、教会の側にある一軒家から楓様が出て来た。
慌てて表札を見ると『神崎』と、書かれていた。
表札を確認し終えると、楓様と目が合った・・・・それだけで私の心臓が早くなる。
その場で固まっている私を見かねたのか、楓様が買い物に誘ってくれた。
・・・・・・これは、デートのお誘いなのか?
え、待って・・・・・勝負下着穿いてない・・・。
と、とりあえず楓様をお待たせするのも申し訳ないので商店街へ歩きだす。
はぁ・・・・・幸せだ。
ただ楓様の隣を歩いているだけで幸せになっている自分がいる・・・・。
好きな食べ物の話や、雑談なんかをしながら商店街で買い物をした後、ショピングモールなどにも足を運んでみた。
ふとガラスに映った自分の顔を見ると、顔は耳まで赤く、口元はニヤニヤしていた。
非常にだらしない事この上なかった・・・・。
それに、少しはしゃぎ過ぎてしまっただろうか・・・・。
でも、楓様といると楽しくてしょうがないのだ。 子供のようにはしゃぎたくなってしまうのだ。
――――自分に言い聞かせるように、そんな言い訳をする。
時刻も夕方になり、楓様を自宅まで送ってお別れをした。
今日は、このニヤニヤが止まらないな・・・・なんて思いながら私も帰路に着くのだった。
こんな小説しか書けませんが、これからもよろしくお願いしますm(_ _)m
感想などお待ちしております!!