【完結】猫娘と化した緑谷出久   作:炎の剣製

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更新します。


NO.105 回想《10》 走る出久達

 

 

 

…………結果論から言わせてもらえれば、出久達の行動はすぐにヴィラン達に知られる事になった。

隔壁を下ろされてしまっていて、どこを進めばいいのかという事になり、峰田が不用意に非常階段のレバーを捻ってしまったためにすぐさまに出久達はモニターで確認されてしまった。

それでも先に進むしかない出久達の中で、峰田は一人「みんな、ごめんよー」と呟いていた。

 

「気にしないで! でも、困ったね、隔壁が次々と閉まっていく!」

「シャッターが閉まっちゃうよ!」

「ッ! 轟くん!」

「わかった!」

 

閉まっていくシャッターの向こう側に扉が見えたのを確認した出久の叫びに、同じくすぐに察した轟が閉まっていくシャッターにめがけて氷を伸ばしていき、なんとか完全に締まる前にわずかな隙間が残っていた。

 

「飯田くん!」

「あぁ! レシプロバースト!!」

 

すぐさまにその隙間に飯田が飛び込んでいき、扉を自慢の足で蹴破った。

そのまま全員は扉の中へと入っていく。

そこにはさまざまな植物が生えている光景があった。

 

「ここは!?」

「植物プラントだわ。個性での研究のための―――」

「待って!」

 

耳郎がメリッサの説明に待ったの声をあげて、わずかな音に警戒するように前に出る。

見ればこのフロアに設置されているエレベーターであろう場所から、よく見れば階数を示す表示がどんどんとここへと昇ってきているのだ。

 

「まさかヴィランに!?」

「ひとまず隠れよう!」

 

それで草の茂みの中に隠れる出久達。

そしてエレベーターから二人組の男が出てきた。

 

「ガキどもはどこにいる?」

「まったく、面倒な場所に隠れやがって……」

 

どんどんと近づいてくる男達。

出久達はそれで「来るな、来るな……」と祈り続けていた。

だが、

 

「見つけたぞ、ガキども」

 

という言葉とともに出久達に緊張が走る、のだが、そこで思いがけない方から違う声が聞こえて来た。

 

「あぁ? いまなんつったテメー?」

「あ、おい、爆豪!」

 

そこにはなぜこんな場所にいるのかいささか疑問ではあるが、爆豪と切島の姿があった。

切島は事情をまだ知らないために男達の事を警備員か何かかと勘違いしたのか、

 

「すみません。俺達道に迷っちまって……レセプション会場はどちらにいけばいいんですかね?」

 

と、一緒に聞いていた出久達……特に峰田は「なんで道に迷って80階までこれるんだよ!?」と突っ込んでいた。

それで案の定男たちは切島の言い分に腹を立てたのか、

 

「見え透いた嘘をついてんじゃねーよ!!」

 

と言い放ち、なにかの個性を切島めがけて放った。

出久達も思わず立ち上がるが、最初に動いたのは轟だった。

氷を展開して切島へと迫ってきていた攻撃を何とか防ぐ。

 

「こいつは!?」

「轟か!?」

 

爆豪と切島も気づいたのか驚いた顔をしている。

だが、時間が惜しいのを察したのか、

 

「お前たちは先に行け!」

 

そういって轟は出久達の地面に氷柱を生やしてどんどんと上昇させていく。

 

「俺達が時間を稼ぐからなんとか、上に行く道を探せ!」

「轟くんは!?」

「大丈夫だ、後から必ず追いかける」

「……はい!」

 

それでその場に残された轟、そして轟に事情を説明してもらった爆豪、切島の三人はヴィランとの戦闘に移るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

三人の心配をしながらも、出久達は上層部に到着したが、やはり隔壁はしまっていて先に進めなかった。

 

「これからどうする!?」

「これじゃ袋の鼠だぜ!」

「どうすれば……どうすれば……」

 

出久は必死に周りを見回した。

するとある所に自慢の視力強化で見えた天井に小さい扉が見えるのを確認して、

 

「メリッサさん。あの天井の扉は使えそう?」

「日照システムのメンテナンスルーム……」

「あれなら非常用のはしごがあるのでは!?」

 

と、全員は希望を抱くが、問題があった。

それは誰があそこまで、しかも外側から開けるかだ。

もちろんそんな都合のいい個性など持ち合わせていない。

希望は絶たれたかに思われたが、八百万が「まだどうにかなりますわ」と言って、個性で作った小型爆弾をハッチに向かって投げた。

爆発とともにハッチの蓋が外れてダクトが顕わになった。

そう、通風口から外に出て外壁を伝って上の階にいくというものだ。

しかし、ここで問題になってくるのがどうやって小さい穴から外に出て、さらには上まで登っていくのか……。

身体が小さくて、さらには自力で上に登っていけるような個性を持っているのは……そう、小柄な峰田に白羽の矢が立てられた。

 

「お、おいらかよ!?」

「お願い、峰田くん!」

「あんたが頼りなんだよ!」

「バカバカ! ここ何階だと思ってんだよ!?」

 

現実的には80階で命綱もなしに壁を伝っていくのは自殺行為だ。

だが、全員からの鼓舞の言葉に、そして上鳴の女子にモテモテになれるかも……と言う言葉でなんとかやる気を出した峰田は飛び出していった。

そしてさながらとある警察官が孤軍奮闘する映画『〇イ〇ード』みたいな無茶苦茶を峰田はなんとか個性である『もぎもぎ』で何度も意識を失いそうになりながらも登り切って全員にはしごを降ろしてやり切った顔のように、

 

「さぁさぁ! おいらを褒め称えたまえ、女子達!!」

 

それで出久、お茶子、八百万に耳郎……そして最後にメリッサに、

 

「すごいわ、峰田くん。さすがヒーロー候補生ね!」

 

と、褒められて峰田はまんざらでもない顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

出久達の活躍の裏でヴィラン達は出久達が雄英生徒だという事を知った上で、ウォルフラムはとある指示を出した。

それは、

 

「100階から130階までの隔壁をすべてあげろ」

 

と、すでに迎え撃つ作戦に切り替えたようであり、それを転がりながらも聞いていたオールマイトは生徒達の無事を祈らずにはいられなかった。

 

 

 

 

そして出久達も先を進みながらも隔壁が上げられている事に違和感を感じて、誘い込まれていると判断していた。

 

「それでも、先に進まないと!」

 

それで罠と知っている中でも先に進むしかないということで走っていくが、130階より上に行くフロアの前には警備マシンがたくさん待ち構えていた。

 

「こうなるのは予想済みだ! 上鳴くん!」

「おう!!」

 

そこで飯田と上鳴が即席でタッグを組み、それとは別に八百万が絶縁体のシートを創造する。

そして飯田が遠心力とともに上鳴を警備マシンのいる方へとぶん投げた。

上鳴は個性である『放電』を使おうとしていたのだ。

 

「くらえ! 無差別放電! 百三十万ボルトぉぉ!!」

 

とてつもない電気の放電が発生した。

だが、警備マシンも伊達に作られているわけではなく、地面に放電を逃していた。

 

「チッ! なら、二〇〇マンボルト!!」

「馬鹿! そんなことをしたら……!」

 

耳郎が叫ぶが時遅く、上鳴は「ウェーイ」とショートしてしまっていて腑抜け面を晒してしまっていた。

しかしなんとか停止したと思われた警備マシンだったが、再び起動してしまう。

 

「くっ! 仕方がない! プランBだ!」

 

その言葉を待っていたのか八百万が通信干渉入りの発煙筒を創造して警備マシンに投げる。

これで通信を阻害出来る事ができるために全員は何度も投げつけた。

そして上鳴を助けるために峰田がもぎもぎを投げまくっていた。

 

「ハーレムが待ってんだ! 上鳴を返しやがれ!」

 

地面へと付着するもぎもぎに警備マシンは足を取られている。

だが、無事な警備マシンはその上を通過してさらにやってくる。

 

「しつけーな!」

「いくぞ、緑谷くん!」

「うん!」

 

それで出久はメリッサから託されたフルガントレットを起動して、一気に飯田とともに駆ける。

30パーセントの力を開放して出久はスマッシュを放った。吹き飛ばされていく警備マシンたち。

 

「(よし! 痛くない!)」

 

メリッサには感謝しかない出久はなんとか上鳴の救出を成功しながらも、地面にイヤホンジャックを刺していた耳郎に飯田が叫ぶ。

 

「耳郎くん! 警備マシンは?」

「左から来る!」

「それでは右から行こう!」

 

上鳴を背負う飯田に続く一同。

そんな中で、

 

「デクちゃん、なんかいつもよりすごい威力だしていたね!」

「うん。メリッサさん、これとてもいいです!」

「そういえば付けっぱなしだったよね……」

「あはは……外し方がわからなくて……」

 

そう言いながらも、出久達は進みを止めないのであった。

現在、135階にいる。

あと、どれくらい掛ければ最上階までいけるのかは、まだわからない。

 

 

 




ほとんど原作再現でしかなかった気がするが、まぁしかたがない。
本番は屋上なのだから。

これで評価がもし下がってもしかたがないですね。

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