【完結】猫娘と化した緑谷出久   作:炎の剣製

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更新します。


NO.011 訓練終了後と放課後の一幕

訓練終了後に出久たちはモニター室へと移動していた。

そこで反省会とも言うべき話し合いがされていた。

 

「さて、それでは今回のベストは誰だと思う!?」

 

と、わざとらしくみんなに聞いてくるオールマイト。

それに八百万が挙手をして、

 

「間違いなく緑谷さんだと思います」

「その通りだ! ちなみに理由とかはあるかい?」

「はい。緑谷さんは屋内に入ったと同時にすぐに爆豪さんと飯田さんの居場所を特定していました。そして流れるような戦闘のすえに無傷で爆豪さんを制覇しました。

高速移動での屋内での確保テープの使い方はとても良かったと思います。

その後も飯田さんとのやり取りでお茶子さんと一緒にスマートにやっていたものは良かったと思います」

「概ねその通りだ」

「次に飯田さんはヴィラン役としてしっかりと行動が出来ていましたので良かったと思います。麗日さんも緑谷さんの指示をしっかりと守って身を潜めていたのもいいですね。

最後に、逆に言わせてもらえば爆豪さんは私怨丸出しで飯田さんとの連携プレーも出来ていませんでした。独断先行に加えて緑谷さんの機転の攻撃が功をそうしたものの屋内での大規模な攻撃でもしかしたら大怪我を負っていた可能性がありますのでマイナス点だと思います」

「う、むぅ……(思っていたより言われた)……まぁ大体正解だ。ありがとう!」

「いえ……」

 

そんな感じで評価も終わったので次の人達の訓練を見ようとしていたんだけど、出久は爆豪の顔を見ることが出来なかった。

茫然自失の様なその俯いた顔。

あんな自信を無くしているような顔は出久は一度も見た事がなかったからだ。

 

 

 

爆豪は出久との試合を思い出しながら、八百万の評価を黙って聞いていた。

そのほとんどが反論も出来ない程に滅多打ちしてきて爆豪の自尊心に傷をつけた。

 

「(俺は……確かに全力で戦った……それでも……デクには敵わなかった……。

それに、デクの奴は決して爪での攻撃をしてこなかった。

もし、もし……これが本当の戦闘だったら俺は……やられていた……?)」

 

爆豪の脳内では自分が一番強いというヴィジョンが崩れてきていた。

それに追い打ちをかけるように次の戦闘訓練を見ていた時に、

 

 

『わりぃ、レベルが違い過ぎた』

 

轟によってビル全体が凍り付いてしまい悠々と回収している光景を見て、あいつには爆豪は勝てないかもしれないと……そう、一瞬でもそう思ってしまった。

 

「(俺は……俺は決してモブじゃねー!!)」

 

かろうじて心の中では自尊心を守るためにそう言い続けているしかなかった。

そして全訓練が終了して、

 

「みんな、お疲れさん!! 特に誰も大きな怪我をしなかったのはとても嬉しい事だ。初めての訓練にしちゃ上出来だったぜ!」

 

オールマイトの言葉に、

 

「相澤先生の後にこんなまっとうな授業……なんか、拍子抜けと言うか……」

「むむむ……相澤君はどんな訓練を……まぁそれぞれ個性的な授業があるさ。それもまた教師の自由という事さ。それじゃすぐに着替えをして教室に戻りなさい! ではッ!!」

 

そう言ってオールマイトは駆け足でその場を去っていった。

そんなオールマイトの姿に苦笑いを浮かべる出久は、そこで爆豪に話しかけようとして、

 

「その……か、かっちゃん……」

「………………」

 

爆豪は出久の声にも耳を傾けずにそのまま無言で更衣室へと向かっていってしまった。

そんな出久の姿になにかを感じたのか切島が出久に、

 

「緑谷! 爆豪の事は俺に任せておけよ! なんとかしておくからさ!」

 

親指をグッと出して切島は爆豪の後を追っていった。

 

「デクちゃん……今はそっとしておこう」

「うん……」

 

それで出久たちも更衣室へと向かっていくのであった。

そのまま時間は過ぎて行って放課後の事。

待ってました!と言わんばかりにみんなが揃って出久の周りに集まりだして、出久は困惑の表情をした。

 

「出久ちゃん! すごかったぜ!」

「そうだな。あんなものを最初に見せられたら燃えるよな!」

 

それでみんながそれぞれ名前を教えてくれたりして出久は一気に友達が出来た感じで嬉しく思ったんだけど、

 

「あ、あれ? ところでかっちゃんは……?」

「あぁ、爆豪か。ゴメン、緑谷。反省会に誘ったんだけど即行で教室を出て行っちまった……」

 

そう言って手を合わせて謝ってくる切島に出久は感謝しつつ、

 

「それじゃまだ敷地内にいるんだね!? みんな、ごめん! ちょっと事情は話すのを待っててもらってもいいかな!? かっちゃんのところに行かないと!」

 

出久はそう言って駆け足で出て行った。

そんな出久の姿を見て、

 

「邪険にされてるのになんだかんだで放っておけないんだな……健気だぜ!」

「聞くところによるとデクちゃんと爆豪君は幼馴染らしいんよ」

「なるほど……それじゃあれも仕方がないという事か」

 

と、話していた。

 

 

 

 

出久はなんとか爆豪が校門の前にいるのを発見して、

 

「かっちゃん!!」

「ああ……?」

 

なんとか引き留めたけど睨みを利かされてしまう。

それに少し怖気づいてしまうけども、

 

「聞いて、かっちゃん……僕は一年前までは本当に木偶の坊だった。だけど個性が発動して力を開花できた。そしてとても偉大な人に教えを乞うことが出来て今の僕があるんだ。今回は僕が勝っちゃったけど……かっちゃんの方が絶対強いと思う!」

「慰めてんのか貶してんのかどっちだよ!? 今日、てめぇに負けたのは確かな事なんだ! 半分野郎にも勝てないかもって一瞬思っちまった……。ポニーテールの奴の意見にも納得しちまった! くそッ……クソッ!!」

 

半分やけくそのようにそうぶちまける爆豪。

それに出久は「かっちゃん……」と言葉を零す。

 

「えっと……ね。だけど追い打ちをかけるみたいでいやだけど今度もかっちゃんに勝ちたい! だから、だからこれからも僕の憧れのままのかっちゃんでいて!!」

 

その告白まがいのセリフに爆豪はというと、出久の正面に振り返って目に涙を浮かべながらも、

 

「なぁ…! てめぇもだ! デク! こっからだ!!! 俺はこっから!! いいか!!俺はここで一番になってやる!! もう二度とてめぇにも負けねぇからな!! クソが!!」

 

爆豪なりのけじめの言葉と決意に、出久はこれでこそかっちゃんだねと思った。

そんな時に背後から、

 

「いたァァァァァァァァ……!!!! 爆豪少年!!!!」

 

突風とともにオールマイトが駆けてきて一気に爆豪の肩を掴む。

 

「ぜー……はぁ……言っとくけど自尊心ってのは大事なもんだ! 君は間違いなくプロになれる器を持っている! 君はまだまだこれからだかr―――……」

「離してくれ……オールマイト……歩けねぇ……言われなくても俺はアンタをも超えるヒーローになる…!」

「あれ?……あっ……うん……(すでに立ち直ってた……)」

 

そしてオールマイトは思った。

教師って難しいね!、と。

その後に出久と会話をしている光景を見ていたみんなはというと、

 

 

「あれって……どういう事だろう? 無自覚の告白……?」

「青春ね……いいものを見れたわ」

 

と、女子陣がキャイキャイしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後に出久は教室へと戻って爆豪以外のみんながまだいることに感謝しつつも、

 

「えっと……それじゃみんなに僕の内緒の事情を話そうと思う」

「待ってました!」

 

と、切島が叫んで、

 

「緑谷の秘密……なんだろう? この背徳感……?」

「女の敵!」

「ギャッ!?」

 

耳郎にすぐさまイヤホンを刺されていた峰田だった。

 

「それで緑谷……お前の事情ってなんなんだ……?」

 

轟がそう言って出久の言葉を促す。

出久はそれで覚悟を決めて、

 

「これは絶対にみんなに話しておかないとって思っていたんだ。と、その前にヘドロ事件の事を誰か知っているかな……?」

「ヘドロ事件……? あ、もしかして爆豪が人質になったっていう事件の事か!?」

「うん、そう。僕ね……その事件が起きるまでは自分の事を無個性だと思っていたんだ……」

『えっ……』

 

突然のカミングアウトによって静まり返る教室。

 

「医者にも無個性だって診断されてかっちゃんや他の人達にも馬鹿にされてきたけど、でも、ヘドロ事件の時にかっちゃんを助けたいって思って駆け出していたらその時に僕の中に眠っていた個性が発現して、僕は元々男だったのに女の子に性転換しちゃったんだ」

「性転換って……マジで!?」

「うっそぉ!? 緑谷って男子だったの!?」

「あ、それですと更衣室での反応も納得いきますわね。元は男性だったのですから罪悪感を感じてしまうのは当然の事ですわ」

 

それぞれが大なり小なり納得の頷きをしている中で、

 

「麗日さんにはもう話して受け入れてもらえたからよかったんだけど……聞いておきたいんだ。元は男だった僕の事、気持ち悪くないかな……?」

 

出久の必死のその言葉に一同は、

 

「……ったく、水くせぇぜ? 昔はどうあれ今はもう女の子なんだろ? だったらそれでいいじゃねーか?」

「切島の言う通りだよ! むしろ教えてくれてよかったって思う!」

「だな……。もしこのまま隠していたままだったらいずれは緑谷君に軽蔑の眼差しを向けていたかもしれないからな」

「でも、緑谷ちゃんはしっかりと話してくれた。それだけでもう信頼に通じるものよ」

「そうだそうだ!」

 

と、全員が出久の事を受け入れてくれていた。

あまり言葉を話さない轟や障子なども頷いていたのでいい事だろう。

しかし、そこで峰田がいやらしい目つきをしながら、

 

「それじゃ緑谷! 元男って事はおさわりオッケーってことか!?」

「ちょ!? なんでそういう結論になるの!? 嫌だよ恥ずかしい……」

 

思わず顔を赤くさせて胸を手で隠す出久の姿に全員は顔を赤くさせた。

そんな反応をされて、

 

「うぉっ……本当に元男かよ? しっかりと女の子してんじゃねーか……」

「もともと素質があったのね……」

「デクちゃん、カワイイよー!!」

 

と、放課後はそんな感じでみんなに受け入れられて出久は心から喜んだのであった。

 

 

 




政田正彦様より制服出久ちゃんの絵をいただきました。


【挿絵表示】




ありがとうございます!とても萌えました!
しばらくしたらトップに張らせていただきます。

暴露回でした!

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