【完結】猫娘と化した緑谷出久   作:炎の剣製

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更新します。


NO.029 出久と飯田の戦い

 

 

少しの間、出久達の席周辺は微妙な空気になったが、ようやくステージが修復されて試合が開始される。

ただでさえ出久と轟の試合でステージが壊滅的被害に陥ったのだからセメントスには頭が下がる思いである。

そして始まる第二回戦第二試合。

これに関しては飯田とB組の塩崎茨の試合だったのだが、多くは語ることは無いだろう。

開幕で飯田がレシプロバーストをしてあっという間に場外へと投げ飛ばしたのだから。

 

第三試合の常闇と芦戸の試合も同じようなものでやはり常闇の黒影(ダークシャドウ)によって何度も場外まで持っていかれて酸攻撃もまともにできずに場外リタイア。

 

そしてあっという間に第二回戦第四試合。

爆豪と切島の戦い。

 

これは切島が持久戦をさせないために体を最大限硬化させて爆豪に挑んでいき、そのタフネスで耐えながらも仕掛けていたが、爆豪の爆破がそれを上回って気張り続けていた身体も耐えることが出来ずに最後には「死ねぇ!!」という言葉とともに爆破を食らってダウンしてしまった。

 

これによって、ベスト4の四人が揃った事になった。

出久と飯田、常闇に爆豪の四人である。

全員が1-AのためにB組の面々は心底残念がっていたが、こればかりは結果がすべてであるためにしょうがないという事だ。

 

しかし、そんな面々の中で残っているのは一人だけが女子なのでやはり注目を浴びている出久だった。

始まる第三回戦第一試合。

出久と飯田の試合。

 

『さーて、このまま最後までノンストップで行くぜ! 第三試合は第二試合の苛烈な戦いに生き残った唯一の女子であるヒーロー科、緑谷出久 VS その足は果たして緑谷より速いのか、ヒーロー科、飯田天哉!!』

『飯田は最初のスタートダッシュが要になってくるな。緑谷は瞬間的に加速できる術を持っているからな……』

 

その相澤の話を聞いて納得していた飯田も、

 

「確かに……俺は初動がエンジンゆえに遅れるかもしれないが……負けてやる気もないぞ緑谷君!」

「僕も頑張るよ飯田君!」

 

先程の観客席のダメージはまだ抜け切れていないものの、なんとかお茶子達の努力も甲斐あって落ち着いた出久であった。

 

『恐らくスピード対決になると思うから決着は早いかもな! 始めるぜ!!』

 

プレゼント・マイクのスタート!という言葉で二人は瞬時に瞬間移動を開始した。

出久はもうおなじみの三種の個性の重ね掛けで一気に飯田へと迫り、対して飯田は出久の脚力に加えての怪力も警戒してか大回りに移動をしていた。

 

『これは……! 緑谷の怪力を警戒しての隙をつく作戦か!』

『飯田は加速が要だが同じスピード系には慣れていないようだからな』

 

その評価通り、まだレシプロバーストを使うタイミングを計りかねている飯田だった。

そんな飯田に出久は先に仕掛けた。

足をいきなり止めて、飯田が走り抜ける場所を予測して照準を定めて空気を吸い込む。

飯田はくるか!と走りながら身構える。

 

「にゃあああああああ!!!!」

 

出久のハウリング・インパクトの衝撃が飯田へと迫る。

だが、飯田はこの瞬間を待っていた。

たとえ衝撃だと言っても当たらなければどうということはない。

なんとか掻い潜ってここでついにレシプロバーストを展開した。

 

「レシプロバースト! うぉおおおおおおお!!」

 

狙いはやはり出久の場外狙い。

すばやく服を掴もうとして……その手は空を掴んでいた。

 

「なっ!?」

 

レシプロバーストでまだ加速中の飯田はすぐに振り返るが、そこには子猫の姿になって回避していた出久の姿があった。

 

「くっ! またしても同じ手を食らって!! だが!」

 

まだ8秒の時間があった。

その間に決める!そう心を決めた飯田だったが、そこで出久は子猫の姿から一気にまるで虎の様な人間と同じ大きさに変化して飯田に向かってタックルをかました。

これによってさらに小回りが利くようになった形態だ。

 

「ぐっ! そのような中くらいの変化も出来たのか!?」

「にゃう!!」

 

タックルをかまして飯田が吹っ飛ばされてレシプロバーストも時間オーバーで終了してしまい、出久はそのまま人の姿に戻ってワン・フォー・オールを使って飯田を思いっきり殴り飛ばして地面に倒れたところを馬乗りになって押さえつけて爪を出して顔の前に晒しながら、

 

「これで……決めかな?」

「確かに……もうレシプロバーストを使いきってしまっては俺は太刀打ちできない。降参だ……」

「飯田君! 降参によって緑谷さんの勝利!」

 

それによって出久の決勝進出が決定した。

峰田とかが「飯田ぁ、馬乗り羨ましいぞ!」と叫んでいたが特殊性癖を患っているものしか反応していなかったり……。

 

出久がすぐに始まるだろう決勝戦を控え室で爆豪の戦いを見ながら、見学していた。

爆豪と常闇の戦いは先ほどとは違い、終始常闇の防戦一方だった。

出久はそれはどうしてか?というのはすぐに気づいていた。

 

「かっちゃん……無意識に常闇君の弱点を分かってる」

 

そう、常闇の弱点は炎、光と光る物なのだ。

闇を保つことが出来ずにどんどんと黒影(ダークシャドウ)が弱くなってしまうのだ。

だからたとえ暗闇の中でも光系の攻撃を受けてしまえばすぐに弱体化してしまう。

そこをどう克服するのかが今後の常闇の修行次第だろう。

 

そしてあっという間にフラッシュをくらってしまい、爆豪に押さえつけられる反対の手で爆破をし続けられてしまい降参した。

 

『爆豪の勝利! これにて決勝戦への切符を掴んだ二人が決まった!!』

 

プレゼント・マイクがそう叫ぶ中で、爆豪はとある事を思っていた。

 

「(デク! 戦闘訓練の時の中途半端に終わっちまった戦いのリベンジをつけてやるぞ!!)」

 

と、気合を入れていた。

 

 

 

 

それを観客席で見ていた一同はというと、

 

「次は緑谷君に爆豪君か……決勝戦とはいえあまり見たくない戦いかもしれないな」

「飯田君、そうだね。デクちゃん大丈夫かな……?」

「きっと大丈夫だろう」

 

そう話していた時に突如として鳴る飯田の電話。

お茶子に断りを入れて静かに聞こえるところまで行った飯田は電話に出る。

 

「もしもし……」

『天哉! 落ち着いて聞いてね! 天晴が、兄さんがヴィランに……!』

「ッ!?」

 

それによって飯田の心に濁りが出来てしまう事になる。

 

 

 

出久がいる控え室に飯田はすぐに向って、

 

「緑谷君……」

「飯田君? どうしたの?」

「…………ああ。決勝戦前にすまない、突然だが早退して緑谷君の試合を見れない事を許してくれ……」

「なにか、あったの……?」

「インゲニウムが……兄さんがヴィランにやられた」

「インゲニウムが!?」

 

それで出久も顔を蒼白にする。

 

「決勝戦前に不安な事を言ってしまいすまないと思っている。だけど、緑谷君は気にしないで決勝戦を挑んでくれ」

「で、でも……」

「頼む。俺の分も全力で戦ってくれ……」

 

その飯田の言葉に、出久は無言で頷き、

 

「うん。飯田君の分も頑張る……インゲニウムの無事を祈っているね」

「ありがとう。ではな!」

 

飯田はそれで早退をしていった。

出久はインゲニウムの無事を祈りながらも決勝戦へと臨むことになった。

 

 

 




原作通り、インゲニウムはやられてしまいました。
ビジランテでは結構まともなヒーローな感じのインゲニウムですが、なんでこうなってしまったのでしょうね……。
まぁ後は爆豪との試合ですね。頑張ります。

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