【完結】猫娘と化した緑谷出久   作:炎の剣製

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更新します。


NO.033 職場体験先を決めよう

 

 

 

とあるヒーローはとあるヒーロー事務所に電話をかけていた。

 

『……うちに電話をかけてくるなんていう物好きな奴は誰じゃ……?』

「相変わらずですね、我です」

『おお! お主か! それで今日はどうしたんじゃ?』

「ええ。とある占い系のヒーローに占ってもらった結果、例の子はそちらに行くことが70%確定しまして……」

『例の子というと……オールマイトの弟子かい?』

「ええ。それで多少はずるいとは思いますが折り入って相談があるのですが……」

『言ってみなさい』

 

こうして電話越しに話し合いはされていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

雄英高校1-Aの一同はコードネームもだいたい決まったので今度はどこに職場体験に行くのかを話し合っていた。

相澤からはオファーがあったものにはあらかじめリストアップされた紙を渡してその中から選ぶようにというお達しである。

 

「デクちゃんはどこにいこうとしているの?」

「うん。まだここって場所は決めていないんだけど、そういう麗日さんはどこに行くかもう決めたの?」

「うん!」

 

お茶子は話す。

雄英体育祭で爆豪との戦いで力不足を痛感したために、まずは接近戦の心得を鍛えるためにゴッリゴリの武闘派ヒーローである『ガンヘッド』の事務所に行くことに決めたと。

 

「強くなればね、それだけ可能性が広がるし、でもやりたいことだけしていちゃそれだけ見聞も狭まっちゃうからまずは自分にないところを見つけてみようと思ったんだ!」

「そっか! うん、いいと思うよ。麗日さん、近接戦闘を鍛えたらきっと強くなると思うから。一度でも相手に触れられればそれだけでどうにかできちゃうのにそこに接近戦が加われば鬼に金棒だよ」

「やだなー、そんなうまくいくとは限らないですよー」

 

ウフフ、アハハ……と出久とお茶子のいつもの日常の会話が行われる。

それを出久の後ろの席で座っている峰田は黙って聞いていた。

そして、

 

「ビバ・女子の会話はいいな!」

 

と、親指を立てながらも出久の感情で動いている尻尾を掴めないかと必死に実践していたり。

これで結構出久の尻尾はするりとかわされてしまう事が多々あり、いつも峰田は悶々とした気持ちを溜めていたりする。

そんなこんなで放課後になって出久は帰ろうとしたのだが、突然教室の扉が開いて、そこにはかなりの低姿勢のオールマイトの姿があり、

 

「わわ私が独特の姿勢でやってきた!!」

 

そんなこの1-Aでは最近になってはそんなに珍しい光景でもなくなってきたオールマイトの登場に、それでも出久は突然であったために、

 

「お、オールマイト? どうしたんですか……?」

「まぁまぁ……それより少し君に用があるから来なさい」

「わかりました」

 

出久はそれでオールマイトについていく。

そんな光景を見せられてクラスの一同は思う。

 

「やっぱり緑谷ってオールマイトの弟子っていう話は本当なのか……?」

「どうなんだろうね……? でも、あたし達以上に仲が良いのは見ててわかるし」

「ケロ。出久ちゃんも少し羨ましいわね」

「それが本当なら俺も鍛えてもらいたいよな! なぁ爆豪!」

「うっせー! 俺は別にそんな事で羨ましくなんか感じねぇよ!」

「本当かよ……?」

 

と、やはりそんな出久が弟子説が濃厚であるというのがみんなの共通の認識であった。

 

 

 

オールマイトについていく出久は人があんまり来ないところまで来たところで尋ねる。

 

「それで、どうされたんですか?」

「うむ。君にはたくさんのプロヒーローから指名が来ていると思うが、私からたっての頼みでよかったら行ってもらいたい場所ができたのだ」

「それってどなたの事ですか?」

「その人の名は『グラントリノ』。かつて私が雄英高校に通っていた時に1年だけだが私の担任だった方だ」

「え!? それって、まさかオールマイトの師匠ですか!?」

「そうだ。そしてグラントリノは当然ワン・フォー・オールの事もご存知であり、私の先代のワン・フォー・オール保持者であった人物の盟友でもあった」

「そんなすごい方がいたんですか!……でも、僕は聞いた事がありませんよ? そのようなヒーローの名前は……」

「なにぶんもうとうの昔に隠居したものだと思ったのだが、おそらく君の事を雄英体育祭で見て興味を持ってくれたのだろうな……。わ、私の指導不足を悟られたのか、どうかは、分からないのだが……かつての名で指名してくるとか……こえぇ、こえぇよ……」

 

次第に言葉が震えてきているオールマイトの姿に、出久はどんな恐ろしい人なのだろうと逆に興味を抱いていた。

そんな事もあり出久はグラントリノの事務所の場所が書かれた紙を渡されたのだが、

 

「でも、オールマイト」

「ん? なんだい……?」

「当然ワン・フォー・オール関連で鍛えてくれるのはありがたいのですけど、僕の猫の方の個性も活用法とか色々と鍛えたいんですけど……どうにかなりませんかね?」

「そうだな……よし。相澤君に少し相談してみようか」

 

それで二人は職員室に行って相澤にその件を相談したらこう返された。

 

「……ちょうどいいところに来たな、緑谷」

「はい?」

「その件なんだが、ちょうどそのグラントリノという方と、もう一方でお前の個性を鍛えるのに適したヒーロー達が共同でお前の面倒を見てくれるとか言う話がさっきいきなり入ってきた」

「えっ!? そんな都合よく行くものなんですか!?」

「相澤君、それは本当かね……?」

 

出久とオールマイトは半信半疑だった。

まさかそんなに都合がいい事があるものなのかと……。

 

「俺もそれは思ったんだがな、そのもう片方のヒーロー達のヒーロー名は『ワイルドワイルドプッシーキャッツ』だ」

「ワイルドワイルドプッシーキャッツですか!? あの山岳救助で活躍している四人組のヒーロー!」

「ああ。話によれば前半は緑谷の個性を鍛えるために二組で共同で山岳救助での現場で鍛えた後に、後半はグラントリノという方が町の視察も兼ねて彼女らとはそこで別れて見回りをするという話だ」

「かなりうまい話ですね……」

「だからな。このチャンスは逃すんじゃねーぞ?」

「わかりました!」

 

相澤にもそう言われてもう出久は行く場所が決まった瞬間だった。

 

「それでは緑谷ガール。死なないように頑張って来なさい」

「オールマイト……その不安を煽る発言はやめてください……。でも、はい!」

 

出久とオールマイトがそんな会話をしている中で、

 

「(そう言えば……飯田の奴は行く場所は保須市のヒーロー事務所だったな……飯田の家族の事情が関係している場所……ヒーロー殺し……俺の考えすぎか?)」

 

そう考えていた。

だが、そんな事もあったがあっという間に職場体験当日となって、

 

「それじゃお前ら。コスチュームは無くすんじゃないぞ?」

「「「はーい!」」」

「伸ばすな! しっかりとはい!と答えろ」

 

相澤に注意されながらも、各自でどこに向かうのか話し合っている中で、

 

「飯田君……」

「緑谷君に麗日君……どうしたんだい?」

「もし、なにかあったらすぐに相談してね? 友達でしょ?」

「うんうん……」

 

飯田はそれで笑みを浮かべながらも「ああ」と答えていた。

出久はそれをただで見送るつもりはなかったために、

 

「もし、何かあったらお願いね……?」

「にゃっ!」

 

一匹の猫が飯田の後を付いていったのであった。

もしもの保険であるのは出久でも分かっているが、そのもしもが起きたら大変だからだ。

こうして出久も心配はすれど、まずはグラントリノのヒーロー事務所のある場所へと向かっていった。

そして新幹線で45分の場所にその事務所はあったのだが、

 

「なんか、すごいぼろい……」

 

見た目がすごいぼろい事務所があったために、少し入るのを躊躇う出久であったが、意を決して中へと入っていく。

 

「雄英高校から来ました。緑谷出久です……」

 

中に入ってみれば電気は点いておらず、少し薄暗い。

だが、それよりも衝撃的な光景を目にする事になる。

 

「し、死んでる―――!?」

 

そこには赤い血の様なものをぶちまけて倒れている人の姿があった。

 

「生きとるよ」

「い、生きてる……? よかった……」

 

それが出久とグラントリノとの最初の出会いであった。

 

 

 




UAが100000を越えました。
お気に入りも1368件もあり、ありがとうございます。
これからも頑張ります。

さて、これからワイプシ達とも絡んでオリジナル展開となります。
上手く書けるか分かりませんが頑張っていきますね。

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