【完結】猫娘と化した緑谷出久   作:炎の剣製

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更新します。


NO.046 教師たちとの会談

 

 

 

「失礼します」

 

翌日になり、出久は朝一番で職員室へと顔を出していた。

数名の教師の人達が出久の方へと顔を向けてくる。

その中で担任の相澤がいち早く反応してきた。

 

「どうした、緑谷?」

「はい。オールマイトはいますか?」

「オールマイトか。少し待ってろ。おそらく仮眠室にいると思うから……」

 

相澤は気だるげそうに仮眠室の方に行ってオールマイトがいるかどうかを確認していた。

そしてしばらくして、

 

「緑谷、すまん。まだオールマイトは来ていないようだ……用件なら俺が聞くが?」

「えっと、はい……僕の未知の個性全部がやっと把握できましたので事情も含めて関係者の方には話しておこうかと思いまして……」

「なに……? 緑谷、お前まだ隠している個性があったのか……?」

 

相澤はそれで神妙な顔つきになる。

こうして出久が職員室に来るたびに個性が増えた報告を受ける相澤は少しだるそうだった。

 

「隠していたって訳ではないんですけど……昨日にやっと分かった感じです」

「そうか。それじゃお昼休みにオールマイトに声をかけておくから仮眠室に来い」

「はい。それとリカバリーガールと根津校長にも声をかけておいてくれませんか……?」

「ばーさんはともかく、校長にもか……? なにやらきな臭くなってきたな……」

 

相澤はそれで怪訝な表情をしながらも、了解の意を出した。

 

「ありがとうございます。結構やばめの力なんでできるだけ内密にしときたいものでして……」

「ふむ……優秀なお前がそこまで慎重になるのなら相当なもんなんだろうな。わかった。やっぱり場所は仮眠室じゃなくて会議室にしよう。そこなら防諜もできているから誰かに聞かれることは無いだろう」

「わかりました。それでは失礼しました」

 

出久はそれで職員室を出て行った。

それから数分して、

 

「みなさん、おはよう」

 

オールマイトが職員室に顔を出してきたので相澤がオールマイトに声をかける。

 

「オールマイト。少しいいですか?」

「相澤君? どうしたんだね? 少し真剣な顔つきだよ?」

「いえ、オールマイトが出勤してくる少し前に緑谷が職員室に来ましてね」

「緑谷ガールが?」

「ええ。なんでも緑谷が持っている個性が全部判明したらしく、お昼休みに俺とオールマイト、校長とリカバリーガールも呼んでなにやら込み入った事情を話したいそうです」

 

それを聞いたオールマイトは、

 

「(そうか……相澤君にも話すって事はワン・フォー・オール関連でも巻き込もうって事なんだね? 緑谷ガール……)わかりました。それじゃ相澤君も覚悟を持って聞いてやってほしい。相澤君にとっても驚きの内容だからね」

「ほう……? ではオールマイトも何枚か噛んでいる口なんですね?」

「まぁね」

 

そんな感じである意味怖い感じでお昼になるのを待つオールマイトであった。

相澤も相澤でようやく緑谷の秘密を知れる事に対して思う事があったりなかったり。

 

 

 

 

 

 

教室に入った出久はいの一番に爆豪のもとへと足を運んで、

 

「かっちゃん、少しいいかな?」

「あ? なんだ、デク?」

「うん。今日の放課後に話したい事があるんだけど……待っててもらってもいいかな?」

「ッ!……わかった」

 

昨日の今日でもう話す算段がついたことに多少の驚きを感じながらも爆豪も乗り気であった。たとえ、ある意味残酷な事を話される事になろうとも……。

だが、場所が悪かった。

出久と爆豪の会話は他のみんなにも聞かれていたという事に二人はうっかり気づいていなかったのである。

それゆえに、

 

「(デバガメはいけないと思うんけど……デクちゃんの事、もっと知りたい)」

「(コイバナかな!?)」

「(水臭いじゃないか緑谷君。俺にも教えてくれてもいいのに……)」

「(出久ちゃんの秘密……知りたいわね)」

 

と、ほとんどの者達に興味を寄せられていたのであった。

こういう時だけ感じる事は皆一緒という事か。

 

 

 

 

 

 

 

そして時間は過ぎて行って、お昼休み。

すぐに食事を済ませた出久は指定された会議室へと足を運んでいた。

その会議室にはオールマイトはもちろん、相澤に校長、リカバリーガールの姿があり、出久は多少の緊張を感じながらもオールマイトに「掛けなさい」と言われて対面席に座る。

 

「それで緑谷……このメンバーを集めたって事は相当の事なんだろうから、俺は知らないがオールマイト達はお前の事は大体は把握している口なのか?」

「はい。そうですよね? 校長先生もリカバリーガールも」

「まぁね。あたしはオールマイトの身体を診てきたからね。それにもう何度かそう言う話はしたじゃないさ?」

「うん。緑谷さんのことはオールマイトから聞いているからね。オールマイトが選んだ後継者だって事も」

「校長……後継者って一体?」

 

一人だけ話に付いていけていない相澤だったが、そこはオールマイトが自身の個性の秘密を簡潔に説明する事ですぐに理解を得られた。

 

「………なるほど。だからオールマイトは緑谷をよく目にかけていたんですか」

「うん。隠していてすまなかったね」

「いえ。そんな事情だったなら話せなくても仕方がない事ですよ。と言う事は俺もその仲間入りと言う事ですか?」

「そうなるね。なるべく話しちゃいけないからね?」

「わかりました」

 

相澤も理解をした事で出久はさっそく話をしようと思い、口を開く。

 

「それではここからは僕の個性に付いてお話していきます。そうですね……今日早起きしてまとめた資料を渡しますのでそれを見てください」

 

出久はそれであらかじめ昨晩の夢で知った内容を分かりやすくまとめた紙を四人に配っていく。

四人はそれに目を通していって、次第に険しい顔つきになっていった。

当然である。

出久の持つ個性の一つ『生命力を奪う』ははっきり言ってヴィランと言われても否定できない力だからだ。

しばらくの沈黙の後に、

 

「………なるほど。確かにこれは内密にしておいた方がいい内容だね」

 

最初に校長がそう口を開いた。

鼠顔だから表情の変化があまり分からないが、それでも十分にショックは感じている印象である。

 

「そうかい……あの時の猫がね。超常以前から生きていたというのにも驚きだけど、複数の個性は元々ただの妖術ときたか。それなら複数持っていても不思議じゃないね」

 

リカバリーガールもようやく納得顔で頷いていた。

すぐに理解できたのには訳がある。

ステインとの遭遇で怪我をした出久だったが、リカバリーガールに治してもらおうと保健室に来て確認してみればいつの間にか傷どころか骨の軋みも全部治っていたのだ。

それを不思議に思ったが、生命力が勝手に治してくれていたのだから、それはもう納得するしかない。

 

「緑谷……それじゃお前は本当に今は寿命が一万歳以上はあるっていうのか……?」

「フォウにも確かめてもらいましたけど、最低でもそのくらいはあるという感じです」

「最低でも、か……お前はその『与える』個性で救える命を救いたいと資料に書いてあるが……相当使わないと一生分じゃ終わらないぞ? その覚悟はあるのか……?」

「はい。もうフォウの償いの手伝いをしていくと決めていますから」

「そうか……」

 

相澤はそれで黙り込んでしまった。

おそらく自分の生徒の事なのに助けてやれない悔しさからの沈黙だろう。

 

「緑谷ガール……」

「はい」

 

最後にオールマイトが口を開いた。

 

「君は、オール・フォー・ワンに狙われる可能性が出てきてしまった……雄英体育祭で君が見せた力でおそらくテレビの中継で見ていただろう奴は君の事に気づいているだろう。そしてまた傍に置こうとするか、それとも無理やり個性を奪うかしてくるだろうと予測する……」

「はい、僕もそれは感じました。だからという訳ではありませんけど、こうして皆さんに今回話をしたんです」

 

あくまで冷静にそう答える出久。

いつもの彼女ならきょどってしまうだろうが、フォウの過去を追体験した事によって精神的に少しだけだが成長してしまったのだろう。

 

「それで……これからどうするつもりなんだ? 支援はするつもりだが、公けに『与える』個性を公表するのはそれ相応のリスクが高いぞ?」

「はい。ひとまず『生命力を奪う』個性は隠す事にして、『与える』個性は……そうですね。『他人を治癒できる』個性にしてもらおうかと……」

「そりゃ名案だね。あたし以上に強力な治癒を施せるなんて夢のようだ。死んでなきゃどうにでもできるからね」

「はい。だから出来る事ならオールマイトの傷も治したいんですけど、もう、一度完治してしまったものは治せないらしくて……すみません」

「いや、その気持ちだけでも嬉しいよ。ありがとう、緑谷ガール」

 

それから色々と話し合われて一応のまとまりを見せて、話し合いは終わろうとしていた時に、

 

「あ! それとかっちゃ……爆豪君にもこの件を話そうと思っているですけど、大丈夫ですかね?」

「爆豪少年に……? でもそれだとワン・フォー・オールの事も話す事になるけど、大丈夫なのかい?」

「そこらへんはなんとか誤魔化してみます。話すのは僕の個性だけで……それなら最悪オール・フォー・ワンの事を匂わす程度で済むと思いますし」

「わかった。君の事を疑うわけではないけど、私の秘密はなるべく話さない方向で頼むね」

「はい」

 

こうして教師たちとの会談は終わっていった。

 

 

 




ある意味前半が終了です。
次の話でかっちゃんとその他との話になる感じですね。
まだ期末試験まで長い……。
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