【完結】猫娘と化した緑谷出久   作:炎の剣製

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更新します。


NO.062 期末試験の翌日

無事……無事?、期末試験が終了した翌日に教室ではそれはもう落ち込む姿が目立つ四人がいた。

切島に砂藤、芦戸に上鳴の四人であった。

四人は非常に暗い表情をしながらも、

 

「みんなぁ……お土産話、楽しみに……ヒッグ……してるねー……」

「芦戸さん! それにみんなも! まだ分からないよ! もしかしたらどんでん返しがあるかもだよ!?」

「おい、緑谷……それは口にしたら無くなるパターンだ……」

 

出久の発言に思わず瀬呂がツッコミを入れる。

分からなくもない。

相澤はこう言っていた。

期末試験で合格できなかったものはもれなく補習だ!と……。

 

「うるせぇ! 期末試験で赤点取ったらもれなく林間合宿は行けずに補習地獄なんだぞ!? そして俺らは実技試験でクリアできず……これも踏まえてまだ分らんのなら貴様らの偏差値はサル以下だーーー!! おぉっ!? やわらけ!?」

「キャアーーー!?」

 

上鳴の行き過ぎた行動が思わず出久の胸に指を突き刺して触れてしまうという暴挙に、出久は羞恥から叫び声を上げ、聞いていた峰田が思わず叫んだ。

 

「おい上鳴! 何どさくさ紛れにそんな羨ま憎たらけしからん事してんだよ!! おいらも混ぜろ!!」

「てめぇら……なにしようとしてんだ!? あぁんッ!? 特にあほ面! てめぇちょっと後で顔貸せよ、おらぁ!!」

「上鳴くん……ちょっと逝コウカ……?」

 

最近もう遠慮がなくなってきた爆豪と、出久のセ〇ムなお茶子様によって上鳴はのちに地獄を見ることになる。

そんな騒ぎの中で瀬呂が呟く。

 

「だけどよ……俺も微妙でわかんねーんだよな。峰田のおかげでクリアはできたものの、途中から寝てただけなんだぜ?」

 

そう、瀬呂の判定は今一わからない。

果たして赤点なのか、それとも合格できているのか……。

その結果を知らせるものが『バンッ!』と扉を思いっきり開きながらやってきた。

 

「席に着け! 予鈴はなってんぞ!」

 

相澤が教室に入ってきたのだ。

それですでに全員は席に着席していた。

教育が行き渡っている証である。

 

「おはよう。それじゃまどろっこしいのは非合理的なんでさっさと期末試験の結果を教えようと思う」

 

それによって緊張する一同。

相澤はそんな空気の中で、だが普通に言葉を話してく。

 

「……非常に残念なことながら、数名が赤点になってしまった。それなので……林間合宿は全員で行きます!!」

「「「「どんでん返しだーーーーー!!!!」」」」

 

いよっしゃー!と拳を振り上げる赤点者達。

そして、

 

「筆記試験では赤点はいなかったが、実技試験では切島・芦戸・上鳴・砂藤……そして瀬呂が赤点だ」

「行っていいんすか、俺達!?」

「今から説明するから落ち着け……」

 

そんな中で、

 

「確かに……確かにクリアしたら合格とは言ってなかったもんなー……クリアできずより恥ずかしいぞ、これ……」

「瀬呂くん、ガンバ……」

「ありがとう緑谷……」

 

顔を押さえて落ち込む瀬呂に出久が慰めの言葉をかけていた。

 

「今回の試験は我々ヴィラン側が生徒たちに勝ち筋を残しつつも、どう課題に向き合うかを見させてもらった。そうでなければ、お前らの今の実力じゃ合格できたからと言って慢心しないためにここではっきりと言っておくが詰むやつらが多かっただろうからな……」

「本気で叩き潰すというのは……」

「当然追い込むためだ。はなからぬるい演習内容だったらお前らは必死にすらなんねぇだろ? そもそも林間合宿はお遊びに行くんじゃない。強化合宿だ。そこんところを勘違いしている生徒が多いようだったみたいだがな……だからな、赤点を取った奴らこそがここで力をつけてもらいたんだ。まぁ、ようするに……合理的虚偽って奴さ!」

「「「「「ゴウリテキキョギィーーーーー!!」」」」」

 

相澤のその言葉によって万歳三唱をしまくる赤点生徒たち。

だが、納得できない生徒が一人。

 

「またしても……またしてもしてやられた! さすが雄英だ! ですが! 二回も虚偽を重ねられると信頼が揺らぐのではないかと!!」

 

飯田がそこで席を立ちながら相澤に進言する。

 

「飯田の意見はごもっともだ。確かに、反省はする……だが、ただ全部は嘘ではないってだけだ。赤点は赤点だ。よって赤点者達にはもれなく別途に補習時間が設けられている」

 

それを聞いて喜んでいた五人の動きがピタッと止まる。

恐怖。なんという恐怖!

相澤から話される次の言葉に戦慄を感じながらも聞かないわけにはいかないのが生徒の役目。

 

「隠しても仕方がないが、ぶっちゃけると雄英に残っての補習よりキツイからな。地獄に身を投げる覚悟だけはしておけ。いいな……?」

 

ニヤッと愉悦の笑みを浮かべる相澤。

その笑みは教師としてどうなんだ!?と言わんばかりの表情に、赤点を取っていない者達でさえ五人に同情の眼差しを贈らざるえないのであった。

 

「そんじゃ……気を取り直して合宿のしおりを配っていくから後ろに回していけ」

 

淡々と進められていく時間が、返って五人にはまるで断頭台に歩いていくような、そんな空気を感じざるえなかった。

表情が暗いこともさることながら、嬉しいのか悲しいのか分からない。

そんな気持ちの現れでもうどう表現していいのか分からない。

ただ、一言……相澤は鬼だ、と改めて思わずにはいられなかったとは五人の後の発言である。

 

 

 

 

 

 

「まぁ、なにはともあれ……全員で林間合宿に行けるのはよかったね」

 

尾白のその発言に複雑な気持ちながらも頷く一同。

しおりを見ながら話し合う姿が見られる。

一週間による強化合宿。

一週間は短いと思うなかれ、着替えなどの荷物も多くなるために、各自で何を持っていくかで討論が交わされていた。

 

「水着とか持ってねーや。購入しておかないとな」

「暗視ゴーグルも必須だぜ!」

「なんか、峰田ちゃんがそういうのは裏がありそうね」

「そそそ、そんなことないぞ!?」

「峰田……もう少しポーカーフェイスを覚えようぜ?」

 

みんながそう騒ぐ中で、

 

「デクちゃんは水着とかどうするの? 中学の時とかではずっとプールの授業は見学していたって聞いたけど……」

「うん。あはは……どうしよっか。女性用の水着なんて学校指定のしか持ってないし、いざ着るとなるとまだ恥ずかしいし……」

 

そう恥じらいながら話す出久の発言に、聞く耳を立てる一同。

そして男性陣は思い浮かべる。

出久の猫耳しっぽなあざとい水着姿を……。

 

「いい……」

 

妄想に関しては1-Aでは右に出るものがいない峰田がそう一言発言しながらも鼻血を出しながら静かに倒れた。

他にも峰田には及ばずとも他の女子たちの姿も想像してしまうのは男の性で仕方がなくそれぞれ顔を赤くしてしまう男性陣。

 

「こらー! 男子ども! 変な想像すんなー!!」

 

芦戸が女性陣の代表としてそう叫んでいた。

 

「と、とにかくそれぞれ必要なものを買っておいたほうがいいだろう!」

「飯田。誤魔化し方がわざとらしいよ?」

「そ、そんなことはないぞ!」

 

飯田(それに轟)は一度出久の裸姿を拝んでしまったことがあるために、真面目な性格も相まって想像しないように必死に脳内で念仏を唱えていて表向きは普通にしているのであった。

ただ、お茶子のジトっとした目があり、悟られているのは分かり切った事実ではあるが……。

そこで空気を変えようという感じで葉隠がみんなにある提案をする。

 

「それじゃさ! 明日休みでテスト明けだし、A組みんなで買い物に行かない!?」

「それはいいね!」

「うん、行こうか!」

「決定!」

 

それで満場一致とかいかずとも(爆豪はめんどくさい、轟は母の見舞いに行くという理由で)みんなで買い物に行くことが決定した瞬間であった。

果たして楽しい気分で終わるのか否か……。

 

 

 

その一方で裏側では死柄木弔率いるヴィラン連合の動きが活発になってきているというのは、出久達にとって決して良いことではないだろう……。

 

 

 




次の話ではヴィラン連合や買い物などで話を書こうかと……。

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