【完結】猫娘と化した緑谷出久   作:炎の剣製

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更新します。


NO.068 プールでの遊びと訓練

 

 

 

 

…………突然だが、峰田実はとある野望を抱いていた。

それは期末試験後の時までさかのぼることだが、峰田はとある女子達の会話を聞いていた。

その内容とは、

 

『えー? 夏休みの間、長期外出を禁止するーッ!?』

 

そんな芦戸の叫びとともにいろいろと盛り上がりを見せる女子達。

 

『それはしょうがないんじゃないかな? ほら、うちらUSJでヴィラン連合に襲われたわけだし……』

『そうだけどー……はぁ、新しい水着買ってあったのにー……』

『わたくしも親とともに海外に旅行に行く手筈でしたのに、残念ですわ』

『…………ちなみにどこに行く予定だったの?』

『ベネチアですわ』

『ブルジョワやー……』

『まぁ、みんなもどこかで遊びたいよね』

 

それで女子達はヒートアップしていく。

と、そこで葉隠がとある提案をした。

 

『それじゃーさ! 夏休みに学校のプールに集まらない!?』

『いいわね。それなら先生も許可してくれると思うわ』

『いいね! お金もかからないし! ね、デクちゃん!』

『う、うーん……そうだね』

『あれ? なんか浮かない返事だね?』

『それなんだけど、やっぱり女子の水着を着た経験がまだなくって、どうしようかなって……』

『それならちょうどいいから慣れておこうよ! いつまでも着ないままじゃもったいないよ!』

『そうだよ、緑谷! この際、着ちゃえよー』

『そうですわ!』

 

と、一層の盛り上がりを見せていた。

もうこの時点で女子全員がプールに来ることは必然事項となった。

峰田はそれを聞いて野望を抱いた。

女子の水着姿をこの目に納めないことには死ねないな!と。

それで同志である上鳴を誘って、女子が来ることになっている日と同じ日にプールの申請許可を出していた。

だが、ここで問題になってくることがある。

あの相澤の事だ。

もし峰田と上鳴だけで申請許可を出したら、怪しまれて許可が下りないかもしれない……。

それだけはダメだ!

女子の水着姿を見なければ!

そんな思いが峰田と上鳴を突き動かした。

それならば、木を隠すなら森の中、人を隠すなら人の中という言葉で、クラスの男子全員を巻き込んでしまえ!

申請内容は『強化訓練』とでっち上げておけばいいだろう!という事で飯田に連絡を取ったのである。

ただ、二人は真面目な飯田に連絡を入れる時点でもう正気ではなかったために、生半可に強化訓練などと言わなければよかったと、後に思うことになるのだが……そこは自業自得である。

 

 

 

 

 

 

出久はみんなとともに更衣室で水着へと着替えている途中で、

 

「うーん……やっぱり恥ずかしいなぁ」

 

と、目の前に学校指定のスクール水着を掲げて悩んでいた。

そこにお茶子が話しかけてくる。

 

「デークちゃん。大丈夫だよー、デクちゃんは可愛いんだからきっと似合うって!」

「麗日さ……ん゛!?」

 

出久が見た先ではまだ着替え途中で上半身が裸のお茶子がいたために、

 

「ご、ごめん!!」

「うん……? あー、そっか……」

 

お茶子は少し考えて、出久が性転換する一年位前まではまだ男子だったために見てしまって罪悪感を感じていることに気づいたのだ。

だけどそんなことを気にしていたらこの先女子として生きていけないだろうと、お茶子自身も『デクちゃんは女の子デクちゃんは女の子』と言い聞かせて平気そうに装って、

 

「デクちゃん、大丈夫だよ。男の子のままだったらどうだったか分からないけど、今はデクちゃんはれっきとした女の子なんだよ。だから裸なんて見られても気にしないよ?」

「そ、そう……?」

「うん。むしろ逆かもだし……」

「う、麗日さん……?」

 

そこで少し不穏な顔になるお茶子に思わず出久が聞き直す。

お茶子はそこで『はっ!?』と我に返り、『デクちゃんの裸が見れることがなんか嬉しい』なんて気持ちを察せられたらやばいと気持ちを落ち着かせることに成功する。

 

「とにかく! 大丈夫だよ。それにいつも更衣室でみんなで着替えてるじゃん? だからもう気にならないよ。ね、みんな?」

「そうよ、出久ちゃん。もう今更よ。最初の戦闘訓練の時にもとは男性だったってことを素直に話してくれたのだから、信頼できるって言ったでしょ?」

「梅雨ちゃん……ありがとう」

 

蛙吹にそう言われて少し気持ちが柔らいだ出久であった。

 

「それより、早くいこうよー! もうあたし達は準備はばっちしだよ!」

「芦戸もそんなに急かさないでいいと思うけどね」

「ノンノン! 時間は有限なんだからさっさと遊びたいよー。ね、ヤオモモ?」

「葉隠さん、そうですわね」

 

それで一同はプールへと向かった。

だが、行ってみるとそこには数名の男子の姿があった。

 

「あれー? みんなも今日使う予定だったの?」

「ああ。まだ来ていないが峰田君と上鳴君の二人に強化訓練をしようと誘われたのでね」

 

男子のみんなを代表して飯田がそう話す。

 

「峰田に上鳴が中心でグルか……何かよこしまな考えがありそうだね。あの二人が真面目に訓練なんて誘うわけないし……」

 

なかなかに辛辣な耳郎であった。

実際その通りなのだから否定はできないことに出久は「あはは……」と苦笑いを浮かべる。

 

「まぁ、とにかく準備運動をいたしましょうか」

「「「さんせい!」」」

 

 

それで準備運動を始める女子達。

と、遅れて上鳴と峰田がプールにやってきて、なぜかこちらを見てきてがっかりそうな顔をしている上鳴と対照的に「スク水もいいものですね……」とごちる峰田の姿があり、

 

「やっぱりね……大方うち達の水着姿を見たいが為だったんだね」

「否定できないところがなんとも……」

 

そんな峰田と上鳴の二人は飯田に「感動した!」と叫ばれながらも強化訓練に連行される様を見て、

 

「うん……南無」

 

出久も思わず手を合わせるしかできなかった。

それはともかく、

 

「それじゃ遊ぼう!」

「「「おー!」」」

 

女子達は男子と違って日光浴目的で来たために特に鍛えることはしないのだが、それでも出久は鍛えたいなぁ……とは思っていた。

だが、その前に問題があった。

性転換して猫娘の姿になる前だったら平気だったのだが、猫娘になったことで猫の苦手なことも体現してしまったために、

 

「…………(そぉーーー)」

 

いざ、プールに足を入れようとして何度も足を引っ込めるという行動を繰り返していた。

 

「デクちゃん? どうしたの……? 早く入ろうよ」

「そ、そうなんだけど……どうも猫ゆえに水に苦手意識があるみたいで……入るのに抵抗があるんだ」

「あら。出久ちゃん、USJの時に普通に水難エリアに入っていなかったかしら?」

「あの時は生きるか死ぬかで必死だったからね……」

「そうだったわね」

「でもさー、そんなこと言ってたらヒーローなんてできないよ! さ、気をしっかり持って入ってこう!!」

 

と、芦戸に背中を叩かれてプールに入ってしまう出久。

 

「うー……ひどいよ、芦戸さん……」

「ごめんごめん。でも入っちゃえばどうってことないでしょ?」

「まぁ、そうだね」

「それじゃ緑谷もプールに入ったってことで、ビーチボールがあるから遊ぼう!」

 

それから女子達はビーチボールで遊んでいるのであった。

一方で男子たちは文字通り強化訓練をやっていて峰田と上鳴はある意味死にそうになっていた。

そんな対照的なことをしている一同。

 

そんな時に遅れてとある二名の男子。

爆豪と切島の二人がプールへと足を運んできた。

 

「あ……かっちゃんだ……」

「ホントだね。あれ? デクちゃん、なんか顔が赤くなってない……?」

「そ、そうかな……? 不思議だねー」

 

紛らわすようにそう話す出久であったが、つい先日にいきなり爆豪に詰め寄られてきた光景を思い出してしまい、爆豪の顔をうまく見れないのだ。

そこでお茶子のセ〇ムセンサーが反応を示す。

 

「……デクちゃん? 爆豪君となにかあったの……? よかったら話してくれないかな?」

「え、えっとー……」

「なんか反応が初心っぽいね……気になるね」

「ちょっと耳郎さんに麗日さん。無理に聞き出すのはダメですわよ?」

「そういうヤオモモもなんか気になる感じだねー」

「なんか気になるー! 聞いたらキュンキュンしちゃう予感がするよー!」

「出久ちゃん、無茶でなければ話しちゃいましょう」

「…………」

 

退路がなくなったことを自覚した出久は細々としながらも話していく。

それを聞き終えて、

 

「やっぱり! なんかすごいキュンキュンするよー!」

「爆豪君……やっぱりどうにかしないと……」

 

と、黄色い叫びをあげる芦戸達と、一人麗らかではない顔をしていた麗日お茶子であった。

爆豪の明日はどっちだ……?

 

 

 

そして残り時間も少なくなってきたときに男子勢がプールで一位を決めるとか話しだしたので、女子達は応援をすることになった。

三組に分かれてそれぞれ勝負が行われて、残ったのは爆豪、轟、飯田の三名。

三人はそれで一度女子達……特に出久の方へと向いて、

 

「みんな、見ていてくれ!」

「俺が勝つ……!」

「ぜってー負けねぇ!!」

 

と宣言をしていたために、

 

「んーーー……なんかあたし達は眼中にないかもねー……」

「そうだねー」

 

芦戸の言葉がそのほとんどを物語っていた。

出久は出久で普通に応援していたために、まだまだ恋に発展はしなさそうにないのを窺えたので余計に女子達は気持ちがムズムズしだしたそうな。

だが、結果は相澤が指定の5時を過ぎたといって勝負はお預けになってしまい、男子三人はやりきれない感じだった。

そして帰りの事、

 

「かっちゃん、残念だったね……」

「まぁな。だがぜってぇ俺が勝ってたぜ!」

 

と、普通に会話をしている二人を見て一同は「仲良くなったなー」と思う次第であった。

さて、それはともかくもう少しで強化合宿である。

 

「みんな、強化合宿頑張ろうね!」

「「「うん!」」」

「「「おう!」」」

 

みんなで掛け声をあげて、強くなるぞと誓った。

果たして強化合宿は無事に最後まで終わるのか否か……。

 

 

 




こんな感じでプール話でした。
かっちゃんは結局不幸な目に合いそうな星の生まれですよね。



そして政田正彦様より第三弾目の挿絵を頂きました!
出久の想像と妄想の水着姿です。
ありがとうございます!
期待以上の出来で戦慄を覚えました!



【挿絵表示】



そして峰田と上鳴の背後に迫るこのお茶子の迫力と貫禄よ……。

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