【完結】猫娘と化した緑谷出久   作:炎の剣製

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久しぶりに更新します。


NO.073 強化訓練後の風景

 

 

 

―――PM4:00……。

 

この時間までずっと強化訓練をやっていた一同は疲れに疲れ果てていた。

これでもまだまだ一日が終わっただけだというのだから眩暈がしそうな感じである。

 

だが、そんな時でもプッシーキャッツの面々は容赦しない。

 

「さぁ昨日に言ったよね!? 世話焼くのは今日だけってね!」

「己で食う飯くらい己で作れ! カレー!!」

 

疲れ果てている一同の前で調理前のカレーに使う具材が大量に置かれたテーブルで叫んでいた。

それを聞いて人の三大欲求には逆らえずにお腹を空腹で鳴らすものが沢山いる。

だが、まだ声高々に返事を返せるほどに回復などしてない。

よって一同はなんとか一言。

 

「「「「「イエッサー……」」」」」

 

その返事はまさに死に兵も同然のようだった。

 

「アハハハハ! 全員全身ぶっちぶち! だからって雑なネコマンマは作っちゃだめだからね? そうでもしないと本物な猫の緑谷も食べられないぞー!」

 

ラグドールのその一言によって数名がピクリと反応するが、敢えて無視を決め込むラグドールとピクシーボブ。

青春しているねー、ともう年齢的に少しだけ手遅れなことを思っていた。

 

「ふむ……確かにそうだな。災害時や避難先でヴィランの破壊行動によって行き場を失った人たちの心とお腹を満たすのも救助の一環……さすが雄英、無駄がない! みんな! 世界一旨いカレーを作ろうじゃないか!!」

 

飯田のまるで説明書みたいな言い分に一同も「おーう……」と拳を何とか上げていた。

相澤はそんな飯田を見て心の中で一言。

 

「(飯田、便利……)」

 

それから始まるみんなで楽しいキャンプタイム。

お米を炊くための飯盒を用意してレンガを積んで火を起こす。

さらには具材をカットしていくなどなど……。

一部始終を見ていくと、

 

「轟ー! 火ちょうだい!」

「デクちゃん、火を起こしてもらってもいいかな?」

 

と、炎が個性として使える二人がおもに駆り出されていた。

他にも八百万がチャッカマンを創造するなどして火に困ることなどはなかった。

ただ、爆豪は爆破の調整がうまくいかずにもろとも爆破させてしまい拗ねてしまっていたが……。

代わりに具材を切る担当に落ち着いていたのは才能マンゆえだったりした。

そんな爆豪の隣で出久も一緒にじゃがいもを切っていた。

 

「……おい、デク。てめぇ確か料理できたっけか? 妙に手際がいいが……」

「うん。お母さんに『せっかく女の子になったんだからいつでも料理ができるように!』って中学三年の時の間に色々と仕込まれたんだー……」

 

出久は「最初は何度も指を切ったりして大変だったなー」と当時の事を思い出しているのか呟いている。

爆豪はそんな光景を横から見ながらも様になっている出久の姿に何かしらの感情を覚えたが、やはりその気持ちがなんなのかに気づくのには至らなかったために「そうか……」と胸の鼓動を気にせずに具材を捌いていた。

 

そんな鈍感な爆豪とは裏腹に、出久の姿を見て胸ときめかせる者が数名……。

 

「ケロ。出久ちゃん……ただでさえあざといのに料理まで出来るだなんて……将来いい奥さんになりそうね」

「そうだよね、梅雨ちゃん!」

「緑谷の料理……食べてみてーな」

「いや、これから食えるだろ……」

「その通りだね☆」

 

と、色々と言われていたり。

そして始まる試食会。

各々で作られたカレーにお腹も空腹の限界に達していた一同(一部例外)は思いっきりがっついていた。

所々で普通なら微妙と言われるだろうが現状も相まって美味しい!という声が何度も聞こえる。

その中で異様にがっつく八百万。

強化訓練であれだけ糖分を摂取していたのだけれど、その分をすべて創造品に変換していたために意外にお腹に入る入る。

そんな光景を八百万の説明もあってか瀬呂が余計な一言を言い放つ。

 

「う〇こみてー」

「……………」

 

八百万、思わず轟沈。

 

「謝れー!!」

「すみません!!」

 

哀れ瀬呂は耳郎にしばかれた。

そんなわいわい楽しい食事会。

だけど出久は一人食事をしないで森の中に入っていく洸汰の姿を目撃する。

それで急いで一人分のカレーをお皿に盛って、

 

「ごめんみんな。ちょっと出てくるね」

 

と、言って洸汰の後を追っていった。

 

「…………」

 

みんなは食事に夢中だったために「分かったー」の一言で流していたが、爆豪だけは無言で出久の事を目で追っていた……。

 

 

 

 

 

 

 

洸汰はいつもの秘密基地に来て座って遠くを眺めていた。

この場所は一人だけを除いて誰にも知られていないホームだ。

たとえマンダレイに心を許したとはいえ、ここだけはまだ教えていないのだから筋金入りだろう。

そしてとある期待をしていた。

もしかしたら後を追って着いてきてくれるかもしれないという事を……。

 

「……あ、洸汰君。やっぱりここにいたんだね」

「出久お姉ちゃん!」

 

しかして思い人は来てくれた。

それだけで洸汰は気持ちがスッと楽になる思いであった。

あちらそこらでヒーローになりたい連中だらけで多少は出久のおかげで和らいだものの、ヒーロー嫌いはそう簡単にはぬぐい切れないものなのだ。

 

「はい。カレー持ってきたから食べて。お腹、空いてるでしょ?」

「……うん」

「だけど、やっぱりまだあの空気はダメ……?」

 

カレーを食べ始める洸汰にそう話しかける出久。

洸汰は少し間を置いて「うん……」と頷く。

そんな洸汰に対して出久も「そっか……」とそれ以上は追及しなかった。

 

「でも……」

「でも……?」

「出久お姉ちゃんだけはなぜか見ていてもイライラしないんだ……まだ物心つく前の幼かった頃に感じたお父さんお母さんみたいな安心感があるんだ」

 

今でも十分幼いけどね……と出久は心の中で思った。

空気は一応読めるのである。

まだ5歳なのにもうこんなに達観してしまって……将来苦労しそうだねと思う。

それが自身も原因の一端を担っていると分かっていない出久も出久だが……。

 

「……俺、出久お姉ちゃんと関わることができてよかったと思う……まだヒーローに対しては苦手な感情が上回っちゃうけど、それでも俺もお父さんやお母さんのように立派な人になりたいって最近思い始めて来たんだ……」

「洸汰君はやっぱりどこか少し大人びているよね……普通なら5歳でそこまで深く考えられないと思う。少なくとも僕はそこまで考えてなかったからね」

 

考えられる余裕もなかったしね……とは口には出さない。

当時を振り返るとよく性格が捻くれなかったと当時の自分を褒めてやりたいほどだ、と。

 

「出久お姉ちゃんの当時ってやっぱり……無個性だったから……そういう事なのか?」

「……やっぱり洸汰君は敏い子だね。うん、色々ショックが酷かったからね当時は……」

 

と、昔の話をしそうになった時に、出久の猫の耳がわずかな音を感じて、そして嗅覚で誰の匂いかもすぐにわかったために、

 

「かっちゃん……? そこにいるの?」

「ッ……」

 

すぐにバレてしまったためにバツの悪そうな顔をする爆豪。

あの時に出久の後を追いかけてきたのだ。

そして洸汰と仲良さげに話をしている中で、洸汰が出久が無個性だったことを知っていることに驚いてつい体を震わせてしまったのだ。

 

「わりぃな、デク……後をついてきちまって……」

「ううん、いいよ。でも、この場所は洸汰君の秘密基地だから他の誰にも教えないでね?」

「おう……」

 

そんな、出久と爆豪の会話を洸汰は無言で聞いていた。

そして出久の表情もしっかりと見ていたためにその変化にもすぐに気づけた。

爆豪が現れた途端に先ほどまで自身に見せていた表情とは全く違う、まるで、そう……安心しきったような表情を浮かべる出久に洸汰はこんな表情もするんだ……という気持ちより先に嫉妬心が表に出てきていた。

 

「おい、お前……」

「……あん?」

「お前は出久お姉ちゃんのなんなんだ? それに“デク”ってなんなんだよ? あの浮かぶ女も言っていたけどなんかお前の言うあだ名にはなんか含みのあるような感じがした……」

「洸汰君、それはね……」

「出久お姉ちゃんは今は黙ってて。考えたくないけど出久お姉ちゃんは昔は無個性だった。そしてデクってあだ名……そこから出てくる答えは『木偶の棒』から取ったんじゃないかって……」

「ッ……!」

 

それで爆豪の表情はわずかに歪む。

核心を突かれたようで過去の自身を殴ってやりたいほどには定着してしまった出久の蔑称。

 

「無言ってことはそうなんだな……? お前、出久お姉ちゃんから離れろ!!」

「あ゛!? なんでてめぇに指図されなきゃいけないんだよ!!?」

「こ、洸汰君落ち着いて……今はもう仲は改善出来てるから……ッ!!」

「それでも、出久お姉ちゃんはそれできっといじめられてきたんだろ!?」

「それは……」

 

出久も本当のことな為に口を噤んでしまう。

 

「ここから、出てけ!!」

 

ついには爆豪は洸汰によって秘密基地から追いやられてしまった。

そしてしばらくして洸汰も「ごめん、出久お姉ちゃん……でも、俺も我慢できなかった……ごめん……」と言って出久より先に施設へと帰ってしまった。

一人取り残されてしまった出久は空を見上げながら、

 

「どうして、こんな事になっちゃったんだろう……」

 

と、己の不手際もあるゆえに途方に暮れるのであった。

こうして二日目の夜は更けていく……。

 

 

 

 

 

 

 

それぞれの感情や思いがぶつかる中で、別の場所ではここにはいてはいけない連中が集まりだしていた。

 

「―――今回はあくまで狼煙だ。虚ろに塗れた英雄たちが地に堕ちる。その輝かしい未来の為のな……そして最重要標的は…………『猫』だ」

 

荼毘と呼ばれる男がそう言葉を発した。

 

 

 

 




ちょっと展開を変えていきましたよー。
ここからかっちゃんと洸汰はどうなるのか……。






そして久しぶりに更新でしたが、すみませんでした。
白状しますと(分からない人はごめんなさい)前回の更新からずっと艦これでイベントに熱中していました。
ゴトランド(二隻目)が掘れないこと掘れないこと……。
丁練度Eー5-3を226周回(全部含めると300周回は普通に超えています)もしてやっと掘れました。
前回のイベントのIowa掘り(342周回)に比べれば楽でしたが、それでも苦痛でしたね。
今日イベントが終わったら続いて秋刀魚イベ(知らない人にとってはなんのこっちゃ)も始まりますので大変です。

でも、秋刀魚イベは秋刀魚を集めるだけですからそこまで大変な感じではないのですぐに執筆に取り掛かれると思いますので安心してください。

以上。どうでもいい報告でした。
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