【完結】猫娘と化した緑谷出久   作:炎の剣製

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更新します。


NO.080 混乱する各地の状況

 

 

 

 

 

爆豪の腕の治療を終えた出久。

一応は神経も正常に繋がったことを確信した出久であった。

当分は筋肉痛でうまく腕が使えないだろうが命あっての物種である。

しかしそれとは別に問題が発生した。

 

「はぁ……はぁ……」

 

爆豪は今にでも気絶してしまいそうな高熱を発症してしまったのである。

腕の乖離に加えて大量出血も重なって状況はまずい。

 

「かっちゃんはこのままにはしておけない……でも、飯田君も心配だ。―――洸汰君」

「な、なに……?」

「今からすぐに合宿施設に戻ろう。かっちゃんをまずは安静にさせないとだし……」

「わ、わかった!」

「それでだけど、僕の背中に乗って! 僕はかっちゃんを運ばないといけないから! それと事が済んだら洸汰君の力を貸して……」

「俺の……?」

「うん……」

 

それで一度出久は視線を今も燃えている森に向ける。

そして再度洸汰に視線を向けて、

 

「君の個性が必要だ。協力して……?」

「お、おう! 出久お姉ちゃんの頼みなら頑張る!」

「よし!」

 

そして出久は爆豪を腕に抱えて、洸汰を背中に背負って合宿施設まで走っていった。

マスキュラーに関しては当分は起きないだろうから駆けつけてくれるであろうヒーロー達が確保してくれることを祈る出久。

しかし、そんな出久達の後をつけるものがいた事を大猫変化した後のデメリットで個性が弱体化しているために五感強化もできていなかったために出久は気づくことがなかった……。

 

 

 

 

 

 

―――時間は少し戻って合宿施設の正門で荼毘の炎に包まれてしまっていた相澤はというと、

 

「……まぁ、そううまくいかねぇか」

 

荼毘はそう呟き、視線を上に向けるとしっかりと避けて無傷の相澤の姿を確認したのだ。

相澤はすぐさま荼毘がまた何かの行動に移す前に拘束して荼毘の上に跨って腕の関節を絞めることに成功する。

 

「目的・人数・配置を今すぐに吐け……」

「なんで?」

 

荼毘の適当な返しに相澤は腕の骨を折ることで返答した。

 

「こうなるからだよ……次は右腕だ。合理的にいこう。足の方まで掛かると護送が面倒だからな」

「なんだ? 焦ってんのかイレイザー?」

 

炎が浮き出たのを確認した相澤は個性で消して宣言通りに右腕を折る。

その時だった。

ドンドンドン!と何度も響く衝撃音が立て続けに響いてくる。

マスキュラーを壁に圧しつけて叩きつけている出久(フォウ)の拳の打撃音が合宿施設まで響いてきていたのだ。

それと同時に広場から逃げてきた峰田・口田・尾白の三名が姿を現す。

 

「先生ッ!」

「おまえら!」

「ッ!」

 

相澤の気が緩んだ隙を見計らって荼毘は抜け出すことに成功したが、

 

「(もう限界が近いか……)」

 

そう荼毘は心の隙で思っていた。

いまだに相澤の拘束の布が体に巻かれているが荼毘は余裕そうにこう言い放つ。

 

「さすがに雄英の教師を勤めるだけあるよ。なぁヒーロー?」

「ッ!」

 

相澤は拘束の布を再度強めようと引っ張ったはいいが、まるで荼毘の体が溶けるように、いや実際溶けて布はすり抜けて外れてしまった。

 

「生徒が大事か? 守り切れるといいな……。また、会おうぜ」

 

そう言い残して荼毘は完全に泥のように溶けてしまった。

荼毘の個性は炎ではなかったのかと相澤は思ったが、今現在考察をしているほど余裕もなく、逆に緊迫している。

峰田達にも「今のは!?」と聞かれるが相澤もどう説明しようがないためにその質問には答えずに、

 

「…………中に入ってろ。すぐに戻る」

 

相澤はすぐに駆けていった。

今のこの状況で襲われているであろう生徒達は如何に戦わずして苦労している事か。

責任はすべて俺が取る。

その思いでプッシーキャッツ……特にマンダレイに伝えなければいけない事があるが為に。

その道中で運よく相澤は出久達と遭遇する。

 

「先生!」

「緑谷!? おい、一体何が起こって――――……爆豪はどうした……?」

 

相澤は出久の腕に抱えられて大量の汗を掻いて青い顔の爆豪の姿を見止めて事情を聴く。

 

「よかった……。先生、かっちゃんが今危ない状況なんです!」

「詳しく説明しろ……」

「すみません。あった出来事は洸汰君に聞いてください。洸汰君、説明できる……?」

「う、うん……」

「僕は飯田君達を助けに行かないと! 先生はかっちゃんをとにかく安静な場所まで運んでください! 腕が一回ヴィランに千切られちゃって!」

「千切られただと!?……いや、今は繋がってるな……治したのか」

「はい」

 

それで状況は察した相澤は今すぐにでも駆けていきそうな出久にとある事を伝える。

少し出久がハイになっている事を察しながらも……。

そして駆けて行った出久。

しかし、相澤は今この瞬間、なにがなんでも出久を連れて合宿施設まで護送するべきだった……。もうこの時点で手遅れだという事に気づけなかったのだ。

まだ意識が少なからずあった爆豪は朦朧とする意識の中でかろうじて震える腕を駆けていく出久の後姿に伸ばして、

 

「…………出、久……いく、な……」

 

だが、それが爆豪の限界だったのだろう……。

腕はダランと垂れてしまい気絶した。

 

 

 

 

 

 

 

 

広場では虎とマグネ。

そしてマンダレイとスピナーの戦いが繰り広げられていた。

虎の駆使する体術・キャットコンバットを何度も対応して弾くマグネ。

それだけで虎は強敵だと悟る。

マンダレイもスピナーの執拗に狙ってくる攻撃にウンザリしていたために、

 

「しつこっ……!」

「い……のはお前だニセモノ! シュクセーされちまっ……!」

 

スピナーが何十本もの刃物が縛り上げられている刃を振り上げた時だった。

 

「スマーッシュ!!」

 

そこに駆け付けた出久の足蹴りが刃に炸裂してバラバラに破裂する。

 

「えぇ!?」

 

いきなりの出久の登場にスピナーは素っ頓狂な叫びを上げる。

出久の方も猫の方の個性が弱体化しているのでワンフォーオールのみでの戦いで挑んだ経緯がある。

危なげなく着地した出久は叫ぶ。

 

「マンダレイ! 洸汰君は無事です!」

「緑谷さん!」

「そして相澤先生からの伝言です! テレパスで伝えてください!!」

 

一回呼吸を整えて出久は宣言する。

相澤の伝言内容を。

 

「『A組B組総員―――プロヒーロー・イレイザーヘッドの名に於いて戦闘を許可する!!』」

「(いいんだね!? イレイザー!)」

 

すぐさまマンダレイはその内容を全員にテレパスで伝える。

 

「ありがとう! 緑谷さんも早く避難を!」

「いえ、僕はもし傷を負っている人がいたら治癒して回ってきます! 飯田君も助けないとですし!」

 

そう言いながらも出久は駆けて行った。

肝試しのコースを駆けていけば誰かと遭遇するだろうという思いで。

 

「いいねぇ……さすがヒーローになりえる人材だな」

 

スピナーはそう言って走っていく出久を評価した。

 

「それと、さっきの立て続けの轟音……もしかしてマスキュラーがやられたのかしら? あのお嬢ちゃんに……」

「やけに冷静だな!」

「そうかしら?」

 

虎が隙をついてマグネに攻撃するが、マグネも余裕そうに交わす。

マグネとスピナーの視線の先には出久を追うようにとある仮面が見えていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのテレパスの報告を聞いて飯田と轟は今現在交戦中のヴィランと対決することを決めたが、攻めあぐねていた。

己の歯を刃と化して戦うヴィラン。脱獄死刑囚・通称『ムーンフィッシュ』。

彼は轟の氷を木と木を使ってまるで跳ねるように交わしていく。

飯田が攻撃しようと足に力を込めれば、すぐさま刃を使って空へと跳ねて制空権を確保する。

 

「戦いずらいな……」

「飯田! あまり出すぎるな! お前じゃ不利だ!」

「わかってはいるのだが……かなりあのヴィランは場数を踏んでいると見るな」

「あぁ……攻撃がまったく届かねぇ。おまけに……」

 

轟はチラッと周りを見回す。

燃えている森、そして反対側はガスが充満している。

下手に己の個性である炎を使えば爆発もあり得る状況であった。

 

「(うまく縛りくらってんな……こいつはやべぇな)」

 

おまけに轟は今現在B組の気絶している円場を担いでいるために足枷もくらっているので思うように動けない。

状況はいまだ不利であるのは変わらない事実であった。

打開策はあるのであろうか……?

 

 




謎の仮面の人は誰でしょう?(白目)

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