艦娘アパート   作:リバプールおじさん

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前回の後書きに黄色と書いた後オレンジに変わり、困惑している綿狐です。今回はあの人がきます。


第14話 話は弾むが相性は悪い

 

秒針が堅実に音を鳴らし、時の流れを報せる。

その時刻がもう少しで午前11時を迎えようとしていた時、俺は玄関近くで待機していた。

 

瑞鳳「ねえ、本当に来るの?」

加賀「少し緊張するけどいいのかしら?」

浅田「そんな緊張するならなんでここに居るんだよ」

飛鷹「いや...お分かりかと思いますが...酔っ払いがいまして」

隼鷹「頭痛い〜...........」

浅田「あの飲み会という名の乱痴気騒ぎか。もう2度とするなよ」

 

空母勢が解放祝いと言う事で飲み会を開催した。飲んだくれどもが集まりすぎて最早収拾がつかない事態にまで発展した。結局は全員が糸を切った操り人形のように眠った為深夜1時に収まった。

 

昨夜の出来事をそこまで思い出し、ゲンナリした時に玄関の安っぽい高音のチャイムが鳴った。

 

浅田「来たな。ちょっとお前ら和室で待機。はいはい、今出ますよーっと」

 

空母たちを和室へと押し込ませ、玄関の薄い扉を開ける。

 

男「どうもこんにちは。賠償金の支払いにやって参りました。この度はすみませんでしたね」

浅田「はじめまして、今回の抗争相手となった浅田幸治郎です。先ずは中へ」

 

若くして野党第1党の党首となった男、曽我 紀良がいた。

この男の名を知らない国民はおそらくいないだろう。毎日ニュースを騒がせ、その度に支持率を上げて居る。

そんな男がボロい家を3000万円をまるでティッシュの様に片手に持ちながら訪問していた。

 

 

 

 

浅田「そうそう、本当に使えない部下持つと苦労しますよね」

曽我「ええ、もどかしいモンですよ、自分の思い通りに動かないで働き掛けがマイナスに働く部下は」

 

意外と話が弾んでいた。この男、南と同じかそれ以上に賢い。こんなに高度な会話を話せる奴は久しぶり、あるいは初めてかもしれない。

 

その後も会話が弾み、いつの間にかもう、昼過ぎになってしまった。話した内容は大体100年後の日本の経済事情とかだ。

 

曽我「いや〜、あなた政治家になったらどうです?いい線いってますしコネ作っときますよ」

浅田「いや、遠慮しておきますよ。この職業で食って行くと決めたモノでね」

曽我「そうですか...それは非常に残念だ。貴方ならそこら辺の馬鹿なジイさん共よりよっぽどこの国のためになると言うのに...」

 

本当に残念そうに呟いて彼は部屋を出る。だが玄関に通じる襖はそちらではない。その襖の先にいるのは。

 

隼鷹「んお?」

 

空母勢。しかも彼女達には1人の男が来る、とは伝えておいたがどんな人だとは伝えていない。

 

つまりどんなやつかは知らない。

 

隼鷹「ん?おっさん誰だ?」

龍驤「ん?こいつがその政治家やあらへんのか?」

 

そうだよ、そうなんだよ。分かってるならそんな口調で話すなよ。

 

曽我「君達ですか。あまりフランクな口調で話さないでくれますかね?」

 

ボゴッとという音を立てて襖が凹む。

 

翔鶴「...........ッ!」

瑞鶴「ちょっと、なに人の家に金払いにきてんのに襖壊してんのよ」

曽我「...あまり怒らせるな。君たちと話せる共通の話題は存在しない」

そう言って曽我が右手を振り上げる。

 

曽我「...離しなさい」

浅田「断る」

 

曽我の右手を掴み思い切り握りしめる。ミシミシという音を立てて曽我の腕が軋む。

その腕を振り払おうとせずに彼は笑いかけてきた。

 

だからこちらも社交辞令として、笑いかけた。

 

浅田「オイオイ、まさかとは思うがこれ以上損害賠償を払いたいのか?」

曽我「まさか。これ以上愚弄すれば名誉毀損で300万円分捕りますよ」

浅田「おお、それは面白い!では器物損害で500万掻っ攫ってやりますよ」

 

アハハハハ、と笑いながら握る力は弱めない。古くなった柱がミシリ、と音を立てて軋むのを聴きながら笑いあった。

 

 

 

___

 

 

 

カツン、カツン、カツン。革靴が堅い音を響かせながらコンクリート製の床を歩いていく。今いるのは拘置所だ。

 

1つの牢屋の前で止まる。

 

尾長「お、おい!あんた!曽我さん!なんで裏切ってんだよ?あんたが経営するとこだろあれは!なぁ、頼むよ!早くここから出してくれ!まだあんたの役に立つからさ!」

曽我「........私の役に立つ?」

 

 

その男は、無邪気な子供が謎に直面したかのように首を傾げた。

 

曽我「なぜ私が役に立って貰う必要があるのです?貴方に加担出来るほどの仕事ではありませんよ。ここで死になさい」

尾長「あんたの建物だろうがアレは...........。勝手に主犯にしやがって!」

 

がしゃん、と牢屋を叩く。

 

曽我「クックック、あんた何ぞもう必要とされちゃいないんですよ。君達には分からない仕事しかしないのでね」

 

 

足早に、男は立ち去る。まるでこんな不浄な所にいてたまるか、というように。

牢屋の中の男は怒鳴る気力もなく、しばらく世話になるであろうコンクリートの立方体の空間を見渡した。







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