浅田「で、何しに来た」
土曜日の昼下がり。俺は来訪者を仕事用の椅子に腰掛けながら見下ろしていた。
浅田「高橋さん」
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話は数日前に遡る。俺は金剛を伝にして従業員数人に集まってもらった。
浅田「とりあえず、だ。話があるんだけどね。何で...」
従業員「労基署に行かないか、ですか?」
浅田「あら、話が早い」
従業員「昔そういう方が同じ質問をされたもので」
ふーん、と呟きながらその同業者に想いを馳せる。訴えただろうにこの体制が今でも続いているという事はあまり腕のいいヤツじゃなかったんだろうな、と考えを巡らせた。
だが自分はその程度ではない。やるなら生殺し。この世界で実践を積み重ね続けるとどこまで追求すべきか、どこで手を止めるかの塩梅が分かってくる。
今回は裁判に持ち込む話じゃない。事前に和解金を持ってこさせれば済む話。
と、言うわけでこのままだと30万円一人ずつに払う羽目になるが今なら10万円にしておく、と言う通告書を送っておいた。
そのまま払ってくれたならよし、払わないのなら徹底的に潰す、と思っていたのだが今回は前者だったようだ。
高橋「あのー...すみませんでした」
浅田「いや、俺じゃねーだろ謝んのは。ほら、行ってこい」
従業員のいる部屋に問答無用でぶち込んだ。
その後の怒声がなかなかに汚いものだったが気にしない。接客業に携わる人間とは思えないほど汚かったが気にしない。
金剛「スッキリしたデース」
浅田「物理的に?」
金剛「いや、Heartデスヨ」
浅田「そいつは良かった」
そう行って一息ついてから茶を啜った。
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とある国、とある沿岸部にて。
『大佐。我が国の領域に国籍不明の船舶が突如出現しました、どうしましょうか』
『沈めろ。我が国の領土の侵犯は許されん』
『はっ!』
『....。』
『どうした?』
『....しません』
『は?』
『敵艦が....撃沈しません....!』
『爆撃です!敵艦が攻撃を開始して来ました!』
『....国連に応援を要請しろ!それまで砲弾を撃ち込め』
『了解しました。海を監視して来ます』
そう言って将官は一人、基地を出る。その“敵艦”が、異形とも、人類の今後100年の災厄になるとも知れず。
その哀れな一人の将官は確かに見た。砲撃の中、自らに向けられた閃光。
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浅田「へーぇ、ずいぶん珍しい来客じゃん」
曽我「そんなに珍しいかい?」
浅田「普通なら議員が来る家じゃねえからな、ここ。ファミレスのパフェ3つでも奢らせるような貧乏人の家だ」
曽我「何だいそれは...。まあそれよりも大切な話があるんだ 。少しばかり協力を要請したい」