浅田「いや嘘だろお前流石に冗談キツイぞ」
曽我「いやいや本当なんだって。これ実はお前ら監視するために用意したスパイロボットなんだわ」
瑞鳳「いやいやいや、ちゃんと猫だったでしょ?」
曽我「いやいやいやいや、凄く精巧に作ったんだわ、これ。これをスパイにする引き換えにあの君の友人は開放したから。なんて言ったっけ....井上?」
浅田「あー!アイツだから全然話してこなかったのか!じゃねえよ何市民監禁してんだ」
曽我「いや、大丈夫。アフターケア万全だから」
浅田「あっそう」
瑞鳳「やけにアッサリだね」
だって大丈夫だろ、と思いながら
浅田「で?早く要件を言えよ、そんな生ぬるい話し合いのために来たんじゃないだろ。もっと話を進めろ」
曽我「バレるよなぁ。とりあえず話としてはお前には艦娘を率いてほしい」
浅田「や。だ。」
瑞鳳「ええ!?なんでなんで!?幸治郎絶対素質あるよ提督の!」
浅田「ヤダね絶対やらないぞ!もうちょっと性格のいい奴がやる奴だろ!死んでもやらん!」
結局曽我に怒鳴られたので渋々引き受けた。だって時の人に逆らうと晒されるし。
浅田「そう言えばさ、その深海棲艦って何の問題がある?ただ侵略するだけか?」
曽我「雨が降る」
浅田「は?」
曽我「三日おきに赤い雨が降る。ちなみにこの雨は強酸性らしくて人体に触れると肌が溶けて作物も育たない」
浅田「今すぐ倒すぞソイツら」
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浅田「とりあえずこことは暫くお別れだな」
そう言って事務所の片付けをしていた。人生の大半の時間をここで過ごした。自分という人間は床下の読書始まっていたのだろうな、と思う。では自分が終わるのは何処だろう、と思いを巡らせる。
願わくば。
浅田「畳の上で死にたいな....」
そう言って書類整理を再び始める。そう言えば艦娘というのは人間に比べて寿命が長いそうだ。出来れば艦娘には正しい死に方をしてほしい。多分だけど、まだ見たこともないけど、化け物と戦わされて死ぬのは間違ってる。
きっと死んだ後に他人が『あの人は幸せだった』と言えればそれは胸が張れる死に方だ。
でもそれまでは。
浅田「....面倒臭がらず行くか」
そんな風に呟いて床下を覗き込む。
そこにあったのは積み重なった本ではなく。
小さな空飛ぶ人。
その小さな不思議な生命はこちらに気がつくと小さく微笑んだ。
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その後、なんか黒いのは想定外のスピードで日本に攻め入って来た。と、言うよりアメリカ、ヨーロッパ、中国、朝鮮半島、ロシアにも。
とにかくここの共通点は『第二次世界大戦に参加した国である』という事。
瑞鳳「ねえ幸治郎」
浅田「どうした」
瑞鳳「この戦争どれくらいまで続くと思う?」
浅田「分からん、でも俺たちの孫の代には終わらせたいな」
瑞鳳「孫まで?そんなにすぐ終わるかな?」
浅田「今の世代の提督は皆優秀だ。でも全員がそのスキルを子供に継承させるとは考えにくい。戦死者だって少なからず出るわけだし。だからまだ孫までなら人材は残ると思う」
瑞鳳「ふーん...。そっか」
浅田「....まぁでもその為にはちゃんと次の世代に伝えるのが重要であってだな」
そう言って目の前にある書類をほっぽり出して瑞鳳の隣に座る。
その柔らかい腹を突いてこう言った。
浅田「どうだ。次の世代...作ってみねぇか?」
綿狐先生の次回作にご期待しないで下さい!