R団のズッコケ3隊長と不思議少女    作:長星浪漫

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前の話から少し間が空きました。やっと投稿できます。

前回のあらすじ
 ミモザの過去を知り、結束を少し強めた四人は次に砂漠地帯を目指した。

いつもより内容が長くなってしまいました。少しぐだぐだかも知れません。


3-1「ナワバリ」

 四人はそのまま砂漠地帯に入った。見渡す限り砂だらけでいくつか砂の丘がある。

 

「どこにいるんだドサイドン」

 

 四人は《ぼうじんゴーグル》にR団が独自につけた暗視機能と望遠機能を駆使してドサイドンを探していた。

 

「ドサイドンはでかいからな、いくら暗くても見つけるのはかんた…うわぉ!」

 

 急にキリンリキが傾き悲鳴をあげるリョウ。ケンタロスも砂に足をとられて動きづらそうだ。

 

「この二匹はもともと草原とかにいるポケモンなの、砂漠じゃ歩きにくくなるのはしかたないの」

 

 頑張って!とミモザに励まされケンタロスとキリンリキはやる気を取り戻した。そんな感じでどんどん進んでいくとハリーがみんなを止めた。

 

「おい、いたぞ!」

 

 ケン、リョウ、ミモザはハリーが示した方向を注視した。砂漠地帯のほぼ中央、そこに巨大な影がまるで要塞のように立っていた。

 四人が《ぼうじんゴーグル》でさらに詳しく確認すると確かにそこにはドサイドンがいた。

 

「ぐっすり寝ているの」

 

 ミモザが言うようにドサイドンは眠っていた。腕を下につきぐっすり寝ている。周りにはなにもいないし、なにもない。

 

「…どうする?」

 

「決まってる!今のうちに攻撃しよう!」

 

 とリョウ。

 

「落ち着けリョウ。ここは慎重に…」

 

 とハリー。

 

「とにかく近づこう。ケンタロス」

 

 ケンがとりあえず先に進もうとケンタロスに指示をだす。ケンタロスが砂に足をとられながらもドサイドンに近づくその後ろにキリンリキが続く。

 初めの位置から百メートルくらい進んだ時、ミモザの脳裏に急にあるビジョンが浮かんだ。

 

「キリンリキ!ストップなの!ケンタロスも!」

 

 突然大声を出されビックリしたケンタロスとキリンリキは急ブレーキをかけた。当然四人は慣性の法則で体が動き続け、後ろに乗っているミモザとハリーは前に乗っているケンとリョウにぶつかり、ケンとリョウは落ちそうになるのを必死にこらえた。

 

「おまっ…急にどうし…」

 

 リョウがミモザに文句を言おうとしたまさにその時、

 

 ガチン!

 

「わあぉ!?」

 

 地面から突然現れた大きな口が固い音と共にまるで仕掛けられていた罠のように閉じられた。そこは今まさにケンタロスとキリンリキが足を踏み出そうとしたその場所だった。

 

「なんだぁ!?」

 

「いや、ポケモンだろ!?」

 

「とにかく後退だ!」

 

 ケンたちはその「口」から距離をとった。すると、その「口」が姿を現す。

 

「ぎゃぎゃー!」

 

 地面から出てきたのは黒い眼鏡をかけたような小さなワニのようなポケモンだった。

 

「メグロコなの!」

 

「まだ出てくるぞ!」

 

 メグロコが次々と地面から出てくる。その中には二足歩行に進化したワルビルも何体かいる。

 

「囲まれた?!」

 

「いや、囲まれてはいないな…」

 

 ハリーが慎重に距離を計りながらメグロコたちを観察する。メグロコたちはこちらを睨んではいるものの特に攻撃をしてくる様子はなかった。地中を通って囲むわけでもなくただただこちらを睨んでいる。

 

「この状況から考えるにメグロコたちの目的は『敵を倒す』ではなく『ナワバリに入るな』だと思うの」

 

「そうだとしてもここをとおらなけりゃドサイドンの所へ行けないぜ!」

 

「わかってるの、でもなるべく騒ぎは起こさないようにいきたいの」

 

「じゃあ、迂回するか?」

 

「そうするの、どこかでメグロコたちのナワバリも途切れるかもしれないの」

 

 ケンたちがメグロコたちとの距離に気を付けながら動き始めたとき、群れの奥にボスとおぼしき影を見た。

 

「あれは…ワルビアルか?」

 

 ワルビアルはメグロコの最終形態。素早い動きと強靭な顎が武器だ。そのワルビアルは体長が二メートル程あり、かなりの存在感があった。しかしやはり攻撃をしてくる様子はなく、ただこちらを睨み付けるだけだった。

 

「ん?」

 

 ワルビアルを観察していたミモザが妙なことに気づいた。

 

「あのワルビアル…」

 

「どうした?」

 

「体中傷だらけなの、しかもあの様子だと最近できた傷なの。あっ、歯も一本かけてるの!」

 

 ミモザの言った通り群れの中で唯一進化しているワルビアルがいるのだが、そのワルビアルは体中に傷があった。

 

「確かに傷ついてるが別に変ではないんじゃないか?」

 

「野生ならとくにそうだな」

 

「でも見る限り他のポケモンもいないし、群れの中でも最終進化しているのはあの一匹なの、あそこまでの傷をつける相手がいないの」

 

 言われて三人は周りを見てみる。確かにワルビアルたち以外のポケモンはいないし、群れの中でもワルビアルほどの個体は確認できない。

 

「確かにいないな…」

 

「どうせ、転んだりしたんだろ?」

 

 と呑気にケンが言ったとき、急にメグロコたちの動きが止まった。

 

「なんだ?追ってこないのか?」

 

 リョウが【ぼうじんゴーグル】で見ると今四人がいる辺りから三百メートルくらいの所で止まっている。

 

「ナワバリを抜けたみたいだな」

 

 ケンとリョウかケンタロスとキリンリキを止め一休みする。

 

「とりあえず一安心だな」

 

「でも、気は抜くなよ!」

 

「ケンの言う通りなの油断は禁物なの」

 

「わかったよ…ん?どうした?キリンリキ」

 

 リョウがキリンリキのしっぽ(・・・)を振り返る。キリンリキのしっぽがしきりに辺りの臭いを嗅いでいる。

 キリンリキのしっぽにも小さな脳が入っている。考える力はないが、嗅覚は頭よりも何倍も強い。そのしっぽがここまで過剰に反応しているということは何かがあるということかもしれない。

 

「確かに気を付けないといけないな」

 

 ハリーがマタドカスをだした。ミモザもクレッフィをだしなにか(・・・)に備えた。

 十分ほど経過したがとくになにも起こらない。それでも警戒を緩めない四人。キリンリキのしっぽはまだしきりに臭いを嗅いでいる。

 

「なにも来ないのか?」

 

 ケンタロスに攻撃体制を指示し、自分も辺りを警戒するケン。

 

「とりあえず場所を変えるか?」

 

「そうするの」

 

 ケンタロスを前にして動き出したまさにその時、

 

ざばぁ!

 

 砂が流れるような音と共に大きな口がキリンリキをまさに噛み砕こうと現れた。 

 

「わああぁぁ!キリンリキ!“こうそくいどう”!」

 

 リョウが咄嗟に指示し、キリンリキが高速でその場から離れた瞬間その口が思いきり閉じた。

 

「攻撃は予知ができなかったの!」

 

 ミモザが驚きの声をあげ大きな口の主を確認した。

 大口の主はガバルドンだった。先ほどまで砂に埋まっていたため体から砂が流れ落ちている。ミモザはその顔を見てなぜ予知ができなかったのか理解した。

 

「このガバルドン眠っているの!」

 

 そう、ガバルドンは眠っていた。目を固く閉じ口をもぐもぐさせながら眠っていた。

 

「眠ってたら予知できないのか?」

 

「ミモザが予知できるのはあくまで自分に敵意がある場合だけなの。さっきの場合、このガバルドンが寝ぼけてミモザたちを食べようとしただけで攻撃の意志はなかったんだと思うの、だから予知ができなかったの」

 

「なんにせよ食べられなくてよかったぁ…」

 

 安堵の息をはくリョウ。

 

「でも、この辺りも通れそうにないなぁ…」

 

 ケンが周りを見てみるとそこかしこにガバルドンやヒポポタスがところ狭しと眠っていた。

 

「この辺りはガバルドンのナワバリか?」

 

「そうみたいだな…ん?あのガバルドン…」

 

 ハリーが一際大きいガバルドンを見つけた。通常のガバルドンの1.5倍くらいあるガバルドンが体を砂の上にだし眠っていた。

 

「でけぇ」

 

「ただでさえ大きいのにあのでかさはすごいな」

 

 ケンとリョウが感心しながらもっと近くで見てみようと近づいた。

 

「ちょっと!無闇に近づいたら危険なの!」

 

「大丈夫、そこまで近づかないからさ」

 

 ケンが笑いながらケンタロスを移動させ、その足がヒポポタスの寝ているそばに音もなくおろされた瞬間!

 

「ぐがああぁぁぁ~~~~ZZZ!」

 

 その場にいる全てのヒポポタス、ガバルドンが一成に鳴き始めた。

 

「うわああぁぁぁー!??」

 

 四人はあまりの爆音に耳を塞ぐ。

 

「なんだ!?どうしたんだ!??」

 

「み、みみが~~~!!」

 

「こ、れは…“いびき”な、のぉぉぉ…」

 

 ミモザは爆音に耐えながら現状を冷静に分析する。

 

「なんで、きゅ、うに!!ケ、ケンタロス?大丈夫か?」

 

 ケンタロスとキリンリキにはガバルドンたちが奏でる不協和音がかなり堪えるようで、こんらん状態になりかけていた。

 

「と、とりあえず距離をとろう!」

 

 ケンとリョウはそれぞれケンタロスとキリンリキに離れるように指示した。二匹はよろけながらもガバルドンたちから離れていく。そしてガバルドンの群れの一番端のヒポポタスから二、三歩離れた瞬間、あれほどうるさかった“いびき”がピタリとやんだ。

 

「や、やんだの?」

 

「うはぁ~、鼓膜が破れるかと思った…」

 

「でもなんで急に“いびき”がとまったんだ?」

 

「………もしかして」

 

 ミモザはリョウにまたガバルドンの群れに近づくように頼んだ。リョウはかなり嫌そうな顔をしつつもキリンリキに少しずつ近づくように指示した。キリンリキがドキドキしながら群れに近づく。そしてキリンリキの足が群れのはしにいる一匹のすぐ近くにおろされた時、そこにいたヒポポタスが“いびき”をかきはじめ、それに呼応するように群れ全体が“いびき”をかきはじめる。

 

「わあああぁぁ!」

 

 四人はすぐに耳を塞ぐ。

 

「や、やっぱり…」

 

 キリンリキがゆっくり群れから離れるとピタリと“いびき”が止まる。

 

「耳が痛いのぉぉ…」

 

「俺もだよ!それで?なにかわかったのか?」

 

「さっきのメグロコと一緒なの、ナワバリに入る敵を攻撃するんだと思うの」

 

「じゃあこの群れを突っ切るにはあの爆音を我慢しなくちゃならないのか」

 

 このケンの発言にケンタロスが振るえた。

 

「大丈夫だケンタロス、そんなことしないよ。見えるだけでも結構いるしな」

 

「無理矢理突破したら俺たちよりケンタロス、キリンリキのほうがどうにかなってしまうしな」

 

「じゃあ迂回するか」

 

 四人はガバルドンを刺激しないように移動を始めた。その途中でミモザは先ほどの大きなガバルドンを見た。

 

(やっぱり傷ついてるの)

 

 そのガバルドンは背中の穴付近に大きな切り傷があった。歯も一本なくなっていた。

 

(さっきのワルビアルとけんかしたのかな?)

 

 なんとなく気になったがとりあえずガバルドンの群れが途切れる場所を探して進んだ。

 

 

 

 「やっと途切れた…」

 半円を描くように二十分くらい歩いてやっとガバルドンの群れが途切れた。

 

「なんだか、円を描くようにナワバリがあるような気がするの」

 

「そうなのか?まぁさっさとドサイドンのところに行こうぜそろそろキリンリキとケンタロスも体力がやばいぞ」

 

 キリンリキとケンタロスを見るとかなりつらそうだ。リョウとハリーが《きのみジュース》を飲ませている。

 

「あまり、時間もかけられないの。とりあえずドサイドンの所に向かうの」

 

 少し休んでドサイドンの方に向かおうとした時、ドサイドンがいる方向から何かが砂煙を巻き上げながらミモザたちに向かってきた。

 

「な、なんだ?」

 

 ケンが《ぼうじんゴーグル》で砂煙の正体を確認する。そしてその正体を認識した瞬間

 

「やばい!逃げろぉ!」

 

「えっ!?」

 

 状況がわからないままキリンリキとケンタロスが脇によける。その間を大量のサイホーンが物凄いスピードで通過した。

 

「サ、サイホーン!?」

 

 ケン、リョウ、ハリーがサイホーンに気をとられているとき、ミモザは次に備えていた。

 

「ぎるぎる!にゃおにゃお!フワンテ!」

 

 ミモザのボールから三匹が解き放たれる。ミモザの見据えるその先にはサイドンが数体突っ込んできていた。ミモザの行動に気づいた三人、ケンとリョウはキリンリキとケンタロスに指示をしなくてはならないので、ハリーが応戦する。

 

「アーボック!」

 

 アーボックが現れ、サイドンを見据える。そして、

 

「“へびにらみ”!」

 

 アーボックの両目が怪しく光る。同時にサイドンのうち三匹程の体がまひし、たまらず転んでしまった。それにつまずく形で後続も転んでいくがそれを回避したサイドンがまだ十匹程いる。

 

「にゃおにゃお!“テレキネシス”!」

 

 ニャオニクスがエスパーの力で対象を浮かせようとする。しかし、浮かせたのはサイドンではなくサイドンの前方の砂。

 

「フワンテ!“ふきとばし”!」

 

 フワンテが浮かべられた砂のかたまりに向かって強烈な風をふきつける。飛ばされた砂がサイドンたちを襲う。それを見てハリーが注意する。

 

「じめんタイプにその攻撃は意味がないんじゃないか?」

 

「ダメージが目的じゃないの」

 

 その言葉の真意はすぐにわかる。飛ばされた砂はサイドンたちの顔面(・・)をとらえた。

 

「ゴアァ…!」

 

 砂が目にはいったサイドンはたまらず動きを止める。

 

「ぎるぎる!“せいなるつるぎ”!」

 

 そこにすかさずギルガルドが斬りかかる。効果抜群で四匹のサイドンが倒れる。しかし、全部はさばききれない。残ったサイドンがミモザを襲う。

 

「くぅ…」

 

 ニャオニクスのエスパーの力でなんとか回避した。しかし攻撃は止まらない。次の一手を考えているとき後方で叫び声が聞こえた。

 

「わああぁぁ!」

 

「!」

 

 振り返るとケンとリョウが戻ってきたサイホーンに囲まれていた。見たところ攻撃が間に合わない状況だった。ミモザは咄嗟にニャオニクスへの指示を変えた。 

 

「にゃおにゃお!“サイドチェンジ”!」

 

 ニャオニクスの姿が消え、いつのまにかケンとリョウの場所にいたフワンテと入れ替わる。そして、ニャオニクスは“エナジーボール”を打ちはなった。緑色の球がサイホーンの群れを蹴散らす。とりあえず危機を脱したケンとリョウはミモザに礼をいう。

 

「助かったよ、ミモザ…」

 

 しかし、ミモザは答えられる状況ではなかった。

 

「ぎるぎる、“キングシールド”…きゃあ!」

 

 ニャオニクスの攻撃ができなくなり、ギルガルドが急いで防御に入ったが、タイミングが遅くサイドンの攻撃の余波をくらい吹き飛んだ。サイドンが追撃を行う。

 

「ぎ、るぎる…!“てっぺき”…!」

 

 ギルガルドが『シールドフォルム』のまま物理防御をぐーんとあげる。そこにサイドンたちが自分達へのダメージを気にせず攻撃を繰り返す。ミモザは必死にそれに耐えている。

 

「ミモザ…」

 

 ケンたちはその様子を見てショックを受けた。

 

(俺たちはなにをやってるんだ…!)

 

 サイホーンたちの攻撃にパニックになった挙げ句、自分達よりはるかに幼い女の子に守られ、しかもその子を危険な目に合わせている。

 

(なにがエリートだ…)

 

(このままじゃダメだ)

 

(流れを変えるんだ!)

 

 この時、ケン、リョウ、ハリーの中でなにかが弾けた。

 




お疲れさまでした。
最近仕事が忙しいので次の投稿も遅くなると思います。長い目どお待ちください。
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