R団のズッコケ3隊長と不思議少女    作:長星浪漫

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今まで触れていなかったのですが、この小説にでてくる四人の主人公はアローラ地方については知らないという設定です。
ポケモンの技に関しても、レベルで覚える技に関しては制限なく使うことができ、技マシン・教え技・たまご技に関してはゲームと同じで四つまでしか覚えられないという設定になっています。
ですので一匹のポケモンが五つも六つも技を使ったりするのであらかじめご了承ください。

前回のあらすじ
「サイホーンに乗ることで砂漠での有効な移動方法を手に入れたミモザ。ドサイドンの砲撃をかわし、近づいていくがドサイドンも手を変え品を変え攻撃を緩めない」


3-4「シューティングゲーム」

 四人は地面に転がるイシツブテを見て驚愕していた。

 

「あいつ、ポケモンまで弾にできるのかよ!」

 

「恐ろしいやつだ…」

 

 ゴクリとつばを飲み込むケン。ハリーはドサイドンの警戒を続けていた。

 

「また来るぞ!」

 

 ハリーの声に三人はドサイドンを振り返る。ミモザは即座にサイホーンを操り攻撃に備える。

 

「!気を付けろ!あいつ一つめの山と二つめの山を交互に打ってくる!」

 

 ハリーの言った通り大きい岩と小さい石が交互に飛んでくる。連続で打ってきたことから全員が“ロックブラスト”だと判断した。

 

「ちゃんと掴まってるの!」

 

 ミモザがリョウに警告し、サイホーンを動かす。ハリーが打ってくる順番を伝える。

 

「1.1.2.1の順番だ!」

 

 ハリーの言う通り普通の巨岩が二つ続き、イシツブテをはさんだあと、また巨岩が飛んできた。ミモザはサイホーンを巧みに操作し、ケンはエレキッドのパンチで岩を砕き、ハリーはアーボックをできるだけ高くたたせ、自分の位置を岩よりも上にしてそれでいてアーボックの回避率をあげる。さら三人が横並びになることで、イシツブテが飛んできた時に誰かがすぐに対応できるようにした。

 

「次は2.2.1!」

 

 ハリーがドサイドンの打ってくる順番をあらかじめ言ってくれるので対応もすぐにできた。“がんせきほう”を打ってくる時は装填から発射まで4、5秒時間が変わるので判断がしやすかった。

 連携プレーでどんどん進みドサイドンとの距離は三百メートルをきった。ここでドサイドンの動きが変わった。ハリーがすぐにみんなに伝える。

 

「おい!ドサイドンが三つ目の山に手を入れたぞ!」

 

 間をおかずドサイドンが“ロックブラスト”を二発打ってくる。すぐに手が伸びる。

 

「イシツブテだ!また曲がってくるぞ!」

 

 ハリーの警告を聞きミモザとケンはポケモンに指示をした。ミモザは左に、ケンはハリーの後ろに回り込みイシツブテに備えた。イシツブテはそれぞれ違う方向に回転し一匹はミモザとリョウの方へ、もう一匹はケンとハリーの方へ向かっていった。

 

(なんとなくさっきのイシツブテより動きが遅い気がするの)

 

 さっきまでのイシツブテよりも飛行速度が遅く、ミモザはサイホーンのスピードを緩めサイホーンの前をイシツブテが通るようにし、ケンとハリーはお互いのちょうど真ん中に来るように速度を調整し回避した。

 それぞれの思惑通りイシツブテがミモザの方はサイホーンの目の前を、ケンとハリーの方はアーボックとマルマインの間を飛んでいった。

 「完璧に回避できた」全員がそう思ったその瞬間、予想外の事が起こった。

 イシツブテの体が発光し放電を始めた(・・・・・・)

 

「きゃあああぁぁ!」

 

「ヴおおおお!?」

 

「うぎゃああ!」

 

「がっあああぁぁ!」

 

 全員が避けられるわけもなく電撃を受けてしまった。ポケモンたちも驚いて足を止める。その混乱を見計らいドサイドンは一つ目の山から巨岩を手に持ち“がんせきほう”を打った。せまる巨岩、全員が電気にしびれて動けない!そう思ったが一人が動く。

 

「ぎ、ぎぎるぎる!“きりさく”!」

 

 ギルガルドがミモザの背中から飛び出しせまる巨岩を鋼の体できりさく。二つに割れた岩が勢いを失い地面に落ちる。ドサイドンが悔しそうに地団駄を踏む。

 

「み、みみみんな、だいじょじょぶなの?」

 

 ミモザもしびれてロレツが回っていない。リョウがミモザの頭に手をおく。

 

「お前が大丈夫か?電撃直撃したんじゃないのか?」

 

「だだだ…ふぅ、さいさいの特性が『ひらいしん』だから威力は低下していたの」

 

 それでも完全には防ぎきれなかったので、少し影響をうけてしまったようだ。

 

「おれは大丈夫だ。エレキッドが“じゅうでん”したしマルマインもいるから」

 

 でんきタイプのポケモンのおかげででんきはケンまで届かなかったようだった。一番深刻なのはハリーだった。

 

「くっ、ああぁ…」

 

 ハリーはアーボックから落ち、体を痙攣させていた。

 

「ハリー!」

 

 三人がハリーに駆け寄る。ケンがハリーを抱き起こす。アーボックとアリアドスもまひし動けなくなっている。

 

「とりあえずこの二匹を回復するの!」

 

 ミモザが《クラボのみ》を二匹に与えまひを直す。ハリーは指一本動かせない状態だった。

 

「あっ、けけ、り…」

 

 言葉もうまく伝えられない。そこにドサイドンの“がんせきほう”が飛んでくる。

 

「ぎるぎる“キングシールド”!」

 

「マネネ“リフレクター”!」

 

 ミモザとリョウがハリーを守る。

 

「ケン!《カプセル》をハリーに食わせろ!」

 

「ああ!」

 

 ケンはアイテム袋からサプリメントケースのようなものを取り出した。ケースの中には十種類のカプセルが入っていた。ケンはその中の真っ赤なカプセルを取り出しハリーに飲ませる。しばらくするとハリーの痺れがなくなっていき、ほどなくして自分で立ちあがった。アーボックが寄り添いハリーを支える。

 

「あ~、びびったぁ~…」

 

 手を握ったり開いたりしながら痺れがないことを確認する。

 

「しかし、R団特製の《きのみカプセル》はかなりの効き目だな」

 

 《きのみカプセル》はR団が独自に開発した『人間のためのきのみ』だ。自然のきのみではポケモンには効果があっても人間にはポケモンほど効果がない。なので、きのみの成分を濃縮しカブセルにすることで人間にもすぐに効くようにしたのだ。

 

「にゃおにゃお“サイコキネシス”!もう大丈夫なの!?ハリー」

 

 ミモザがドサイドンの攻撃を防ぎながらハリーを気にする。

 

「ああ!すまん心配かけた」

 

 ハリーがアーボックに乗ろうとした時、ふいにさっきのイシツブテが目に入り驚きのあまりアーボックの尾を踏んでしまった。

 

「シャアアア~!」

 

「わあ!ごめん、アーボック!」

 

 痛がるアーボックをなんとかなだめ、ハリーはイシツブテを見た。

 

「おい、このイシツブテおかしいぞ」

 

「なにがだよ?」

 

 ケンがイシツブテを見ると目を真ん丸にして驚いた。

 

「このイシツブテ眉毛がある!」

 

「はぁ!?」

 

 ミモザとリョウもケン、ハリーの方を見た。そこには本当に眉毛と髪の毛のようなものを生やしたイシツブテが目を回して転がっている。

 

「おいおい!なんだそれ?」

 

「わからない、イシツブテの亜種か?」

 

「その眉毛みたいなのはなんなの?」

 

「よ、よし触ってみよう。エレキッド」

 

 ケンに促されエレキッドが恐る恐るイシツブテの眉毛(?)に触った。するとバチぃ!という音と共にでんきが走った。それはまるで静電気が出たみたいだった。

 

「このイシツブテでんきタイプだぞ!!?」

 

「いい~!?そんなことあるのか??」

 

「詳しいことはわからないの…それより!」

 

 ギルガルドが“せいなるつるぎ”で巨岩をきりさく。

 

「深く考えるのは後なの!今は『でんきを出すイシツブテがいる』って認識だけでいいの!」

 

「「「それもそうだ!」」」

 

 四人は再度自分のポケモンにまたがると移動を再開した。今度はまひしないようにアーボックとアリアドスに《じゅうでんち》をもたせた。ドサイドンの攻撃はさらに激しくなったが、手の内がわかった四人はすぐに順応し、攻撃を掻い潜っていく。そしてとうとう百五十メートルあたりにとらえたとき、なにを思ったかドサイドンが空に向かって“がんせきほう”を二発打ち上げた。二発目は一発目に当てて巨岩は二つとも空中で砕け散る。四人は突然の奇行に警戒心から歩みを止めた。しかし、なにも起こらないのでドサイドンへの攻撃を始めようとした時、ミモザの脳裏に別の二匹のポケモンの攻撃ビジョンが映る。

 

「ケン、ハリー!二人に攻撃が来るの!」

 

 現在四人はサイホーンを中心に両側にケン、ハリーがいるという並びで行動していた。また電撃をもろにくらった場合サイホーンの『ひらいしん』でダメージを軽減しようという魂胆だった。

 その両側の地面が盛り上がり二つの口が現れた。

 

「どわっ!」

 

「この口は…!」

 

 ケンの方にはギザギザの牙が並んだ口が、ハリーの方には歯は少ないがとてつもなく大きな口が地面から現れて二人に噛みつこうとした。

 

「マルマイン!」

 

「アーボック!」

 

 マルマインは電気を自分の下部に集中させより高く“でんじふゆう”をし、アーボックは地面を思いきり尻尾で叩き、ブレーキをかけた。二人ともギリギリのところで攻撃をかわしたが、ケンの方はバランスを崩し面白い格好で地面に落ちてしまう。

 

「ケン!」

 

 ミモザが止まろうとしたがケンは指をたてて「大丈夫」のアピール。

 

「おれは大丈夫だ!それよりなんだこれは!」

 

 砂から頭を抜き出し、ブルブルと頭を振る。ハリーはアーボックから降り、アリアドスを前に展開する。同時に地面から二匹のポケモンが現れる。

 牙が一本かけ頭に傷を負ったワルビアルと背中に傷があり歯が一本折れたガバルドンが出てきた。

 

「さっきの二つの群れのボスなの!」

 

 ミモザの言う通り砂漠に入って始めに見つけたメグロコとヒポポタスの群れのボスだった。二匹は攻撃が外れたと分かるとドサイドンの方へ下がっていった。するとドサイドンは低い声で鳴く。

 

「ゴガガガ…」

 

 その声にワルビアルとカパルドンは体をピクリと震わせ必死の形相で襲いかかってきた。その様子を見たミモザはずっと感じていた違和感についてある答えにたどり着いた。

 

(そういうことだったの)

 

 メグロコとヒポポタスの群れがなぜ円を描くように作られていたのか?それはミモザたちをサイホーンたちがいる場所へ誘導し、さらにドサイドンの射程ライン上にこさせるためだった。

 そしてなぜボスのワルビアルとガバルドンが黙って従っているのか?その答えは二匹の傷ついた体にあった。サカキに命令されたドサイドンは自分のスピードでは追いかけるには向いていないと判断し、自分の得意なフィールドに赴くことにした。そこで始めからいた群れのボスの二匹が侵入者であるドサイドンに攻撃をしかけた。しかし、サカキによって育てられたドサイドンは圧倒的な力で二匹を完膚なきまでに叩き潰した。その時にできたのが今の二匹の傷だ。

 二匹を倒したドサイドンは二匹を群れごと利用することを思いつき今の状態になったのだった。

 

「弱肉強食、それはポケモンの世界でも絶対なの」

 

 向かってくるワルビアルとガバルドンをケンとハリーが押さえる。

 

「ここは分担した方がいい!」

 

「リョウとミモザはドサイドンを頼む!」

 

「わかった!」

 

 ケンはワルビアルをハリーはガバルドンをそしてミモザとリョウはドサイドンを相手にすることになった。

 ワルビアルは“つけあがり”すばやさが上がる。ガバルドンは『すなおこし』て天気をすなあらしに変える。ドサイドンは“こわいかお”をした。

 四人はそれぞれの手持ちを場に出し戦闘の準備をした。にらみ合う四人と三匹。

 

「絶対に勝つの!」

 

 ミモザの言葉と共に戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 




読んでいただきありがとうございます!
毎回展開が似かよらないように注意していますが、もし似かよっていたらごめんなさい!
次は再びバトル回です。冷める前になるべく早く投稿します!

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