R団のズッコケ3隊長と不思議少女    作:長星浪漫

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やっと次が書けました。
もっと早く書けるように頑張ります!
前回のあらすじ
「ボス戦が始まった」


3-5「乱戦」

 まずはケンがワルビアルにしかける。

 

「エレキッド!“でんきショック”」

 

 エレキッドの頭のコンセントからでんきがワルビアルに飛んでいく。しかし『じめんにでんきは効果なし』という鉄則のとおりワルビアルにはダメージすら与えられない。それどころかバカにされたと思い怒りだす。怒ったワルビアルが大きな口を開けエレキッドを襲う。

 

「エ、エレキッド!“かげぶんしん”!」

 

 エレキッドの分身がたくさん現れそのうちの一匹をワルビアルが噛み潰す。しかし歯ごたえはなかった。

 ワルビアルの周囲をたくさんのエレキッドが囲う。

 

(このまま徐々に体力を削っていけば…)

 

 ケンが持久戦を考えているとワルビアルは尻尾で地面を何度も叩きまくる。するとあたりに砂が巻き上がった。

 

「げほっ!ごほっ!なんだ!?」

 

 《ぼうじんゴーグル》をしていたが口元までは防御できない。砂煙がおさまり呼吸が落ち着いたケンが目にしたのはワルビアルに踏みつけられているエレキッドだった。

 

「エレキッド!」

 

 ケンに呼ばれ何とか動こうとするが、ワルビアルがさらに強くエレキッドを踏みつけた。

 

「も、戻れ!エレキッド!」

 

 急いでエレキッドをボールに戻す。モンスターボールの収納範囲に入っていればどんな状態でもボールに戻すことができる。トレーナーのポケモンの利点である。

 ワルビアルは少しバランスを崩しながらケンを睨み付けた。そして今度はケンが乗っているマルマインをターゲットにした。

 

「ひぃ!ルージュラ!“あくまのキッス”!」

 

 エレキッドに変わって出てきたルージュラが両手でワルビアルの上顎と下顎をまるでシンバルを叩くみたいにバシン!と閉じ、そこへあつ~いキッスをプレゼントした。

 ワルビアルはねむりこそ我慢したが、突然の出来事に確実にこんらんしていた。その隙にルージュラは下がりマルマインがワルビアルのそばまで近づく。ワルビアルほ頭を振りながらマルマインをその目でとらえた。それをケンは待っていた。

 

「今だぜ!“フラッシュ”!」

 

 マルマインから強い光が一気にあたりを照らし出した。まだ空は暗くしかもワルビアルは夜行性なので視界が完全に失われた。…とケンは油断してしまった。(・・・・・・・・)

 次の動きまで少し余裕があると思いほんの数秒指示が止まった。その刹那

 

「シャアアアァァ!」

 

 ワルビアルか正確な動きでマルマインの頭に噛みついた。

 

「マルマイィィン!!」

 

 マルマインの頭のあたりにワルビアルの牙がめり込んでいる。マルマインは血液は流れておらず外皮はプラスチックのようになっている。体内は血液の変わりにマルマインの爆発のためのエネルギー“エレクトンエネルギー”が流れている。なので本来なら噛みついた瞬間に“だいばくはつ”したりするのだか、先程サイホーンたちにエレクトンエネルギーを使いきってしまっていた。

 ビシビシという音と共にマルマインの頭にヒビが広がっていく。

 

「ああぁぁぁ!マルマイン!!くっそお、なんで目眩ましが効かなかったんだ…あぁ!?」

 

 ワルビアルの目元を見るとそこには野生のメグロコが結構高い確率で持っていることがある《くろいメガネ》がかけられていた。

 

「それが光を遮ったのか!」

 

 それに加えて《くろいメガネ》の効果であくタイプの技、つまり今現在マルマインに対して行われている“かみつく”からの“かみくだく”の威力が上がってしまっているのだ。

 

「マ、マルマイン!ど、どうしたらいいんだ?」

 

 ケンは必死に打開策を考えた。

 

 

 

 一方ハリーはスピードでガバルドンを圧倒していた。

 

「アーボック!“どくどくのキバ”!」

 

 アーボックがガバルドンにかみつこうとする。しかしガバルドンは身じろぎし寸前で致命傷をさける。

 

「アリアドス!“ねばねばネット”!」

 

 アリアドスの口から出された粘性の高い糸が網のようにガバルドンに覆い被さる。しかしガバルドンは背中の穴から思いきり砂を吹き上げ糸を取り払う。

 

「くっそぉ~なかなか動きをとめられないな…」

 

 ハリーは次の策にうつることにした。

 

「キリンリキ、“ちょうおんぱ”」

 

 ハリーが考えた次の作戦は、ボールの中から(・・・・・・・)キリンリキの“ちょうおんぱ”をガバルドンにかけることだった。この戦法はスオウ島での戦いで当時のR団幹部であり、ハリーの直属の上司であるキョウが使ったのを応用したものだ。見えない位置からの突然の“ちょうおんぱ”にガバルドンはこんらんしてしまった。

 

「よーし、今だぜ!アーボック、“どくどくのキバ”!」

 

 アーボックが素早い動きでガバルドンのがら空きになった背中に思いきりかみつく。しかしガバルドンは悲鳴ひとつあげずにこんらんによる挙動不審を続けている。

 

「ちゃんとダメージは与えられたのか?ん?どうしたアーボック」

 

 よく見るとアーボックが上顎を必死に下に動かそうとしていた。

 

「まさかキバが刺さらないのか!?」

 

 ガバルドンはかなり大きい体をもったポケモンだ。その巨体ゆえ蓄えている脂肪もそうとうのものになる。しかもこのガバルドンは群れのボス、普通のガバルドンよりも大きい。だから脂肪の壁も分厚くなっていた。

 

「くそぉ、アーボック、がんばれ!」

 

 ここはもう応援するしかない。 ひたすら応援するハリー。アリアドスはガバルドンの注意をそらそうとわざとガバルドンの視界に入っては出るを繰り返す。するととうとうアーボックのキバが少し刺さった。

 

「いよーし!て、わぁ!」

 

 キバが刺さった時、さすがに痛みを感じたガバルドンはこんらんが解け、アーボックが背中にいるとこに憤慨した。そして背中の穴のアーボックにもっとも近い位置からアーボックの両目めがけて勢いよく“すなかけ”した。

 

「シャアアァァァ!?!」

 

 目を攻撃されのたうつアーボック。ガバルドンがのしのしと体の向きを変えていきそして頭を振って砂を取り除こうとするアーボックの顔面めがけて自らの顔を思いきりぶつけた。

 

「…?!」

 

 脳を揺さぶられアーボックは気絶する。アリアドスがガバルドンの背後から攻撃をしかけるが、ガバルドンは後ろ足を持ち上げアリアドスの真上にドスンと落とす。

 

「アリアドース!」

 

 ハリーは顔を真っ青にしてアリアドスの様子を確認した。寸前で避けたらしく無傷だったが驚いて固まっていた。

 アーボックが目を覚まし身をもたげる。だがその瞬間、ガバルドンが体をユサユサと揺らした。

 

「なんだ?」

 

 アリアドスをなんとか自分のもとに戻し、アーボックはまだ開けられない目でなんとか状況を認識しようとした。

 ガバルドンが一声鳴いた途端背中の穴から砂が巻き上がった。

 

「今度はなんだぁ!?」

 

 “すなかけ”ではない、巻き上げられた砂はやがて渦を巻きドサイドンをよけながら広範囲に広がっていった。これは“すなあらし”だった。

 

「前が見えない!」

 

 《ぼうじんゴーグル》をしてはいたが、《すなおこし》に合わせた“すなあらし”で砂がはりつき視界が閉ざされそうになる。ハリーはゴーグルを何度もふきガバルドンをなんとか確認するが…

 

「あ、ちょ、逃げんじゃねえよ!」

 

 ガバルドンは“あなをほる”ですでに体の半分を地面に埋めていた。

 

「アリアドス、“いとをはく”!」

 

 潜る寸前、アリアドスの糸がガバルドンのおしりに付着する。そしてガバルドンは地中に潜っていった。

 

「このまま逃がしたら後々やっかいになるかもしれないしな…アーボック!」

 

 アーボックはすでに背中をハリーが乗りやすい位置まで下げていた。ハリーはそこに飛び乗るとアーボックに囁く。

 

「アーボック、『視える』か?」

 

 まだ目を開けられないアーボックはコクリと頷いた。あたりは広範囲の“すなあらし”で視界はほぼゼロだ。

 

「このくらいでおれたちから逃げられると思うなよ?」

 

 ハリーはアーボックに合図しガバルドンが逃げた方角に(・・・・・・・・・・・)移動をはじめた。

 

 

 

 その少し前、ミモザとリョウはドサイドンに“とっしん”していた。

 

「ちょちょちょ!ミモザ!なに突っ込んでんだよおぉぉ!?」

 

「いいから!さっき言った通りにやるの!」

 

 ミモザはドサイドンが“がんせきほう”を構えたのを見計らってサイホーンに“とっしん”を指示していた。つまり今二人は“がんせきほう”の発射寸前(・・・・・・・・・・・)のドサイドンに突っ込んでいるのだ。リョウはもう気が気じゃない。

 ドサイドンの腕の筋肉に力が入る。リョウはマネネをボールに戻しスリーパーを出す。一瞬サイホーンのスピードが緩まる。ドサイドンの腕の筋肉が極限まで収縮する。ミモザはその一瞬を見逃すまいと目を細める。

 

「ごあぁ!」

 

 “がんせきほう”が放たれる。ミモザはすぐに反応し、サイホーンを自らの手足のように動かす。サイホーンもミモザの意思を瞬時にくみ取り横に飛び退く。二人のギリギリ横を“がんせきほう”が通りすぎる。

 

「か…はあぁぁ!」

 

 リョウがまだ生きている自分に安堵する。ミモザはドサイドンと一定の距離を保ちながら周りを回る。ドサイドンは反動で動けない。ミモザはニャオニクスを出す。

 

「にゃおにゃお“エナジーボール”!」

 

 ニャオニクスが緑色のぷにぷにしたエネルギー球をドサイドンに飛ばす。しかしドサイドンは“アームハンマー”で叩き潰す。そして再び“がんせきほう”を構える。

 

「今なの!にゃおにゃお、もう一度“エナジーボール”!」

 

「スリーパー、“ねんりき”!」

 

 ドサイドンの“がんせきほう”の射程範囲に入りながら、二人は避けもせずに攻撃をしかける。ドサイドンは腕に力を入れ“がんせきほう”を打ち出……せなかった。

 

「!??」

 

 ドサイドンは何度も力を入れるが“がんせきほう”を打つことができない。混乱しているうちに“エナジーボール”と“ねんりき”がドサイドンにヒットする。

 

「があぁぁぁ!」

 

 ドサイドンかダメージに悶える。

 

「よっしゃあ!効果はばつぐんだぜ!」

 

 くさタイプの“エナジーボール”がドサイドンに大ダメージを与えた。ミモザは一度通りすぎサイホーンの方向を変え再びドサイドンに向き直る。

 

「“かなしばり”が効いているうちに攻めるの!」

 

「おう!」

 

 リョウはスリーパーをゲンガーに入れ換える。ミモザがドサイドンのすぐそばまで近づく。タイミングを見計らいそれぞれ攻撃を指示する。

 

「“せいなるつるぎ”!」

 

「“ナイトヘッド”!」

 

 ギルガルドが切り裂き、ゲンガーの両目が怪しく輝く。

 

「…!」

 

 ドサイドンが倒れ砂煙が巻き上がる。

 

「ぶわっ!」

 

「目、目が!」

 

 想像以上に砂が舞い上がり二人の視界を奪う。しかしものの十秒くらいで砂煙はおさまった。

 

「あっ!」

 

 ミモザが驚きの声をあげる。リョウもミモザの後ろから同じ場所を見て「あっ!」と声をあげた。

 

「ドサイドンがいない!」

 

 二人は慌ててドサイドンがさっきまでいた場所に近づく。そこには渦潮のような穴が空いていた。

 

「どこに行ったんだ!?」

 

「どう考えても地面の下なの!しかもこの堀跡から予想すると頭のドリルで掘ったみたいなの」

 

 唐突にミモザの頭にドサイドンの攻撃ビジョンが写る。

 

「リョウ!つかまるの!さいさい前進!」

 

 サイホーンがすぐに前進した。そしてさっきまで止まっていた場所に…

 

ザバアァァァヮ!

 

 と、まるで水から大きな魚が飛び出してくるようにドサイドンが地面から出てきた。

 

「うわあぁぁぁ!?」

 

 空中で体勢をかえ、“アームハンマー”を構える。そして落下に合わせて攻撃を繰り出した。

 

「さいさい!急いで!」

 

 ミモザに言われるまでもなくサイホーンはスピードをあげていた。すぐ後ろでドサイドンの“アームハンマー”が炸裂する。その威力はすさまじく、地面が大きく抉れ衝撃波がサイホーンを襲った。

 

「うわぁ!」

 

「きゃあああ!」

 

 サイホーンが吹き飛ばされミモザとリョウ、ニャオニクス、ギルガルド、ゲンガーが空中に投げ出される。ニャオニクスは咄嗟に“サイコキネシス”を発動し全員を助けようとしたが念動力を調整する時間がなく、自分とミモザにしか届かなかった。

 

「あぐっ…」

 

 ミモザとニャオニクスは衝撃をなんとか抑えられたが、リョウとギルガルド、ゲンガーは思いきり叩きつけられた。

 

「がっはぁ!」

 

 ギルガルドは鋼の体を持っているのでダメージはあまりなかったが、リョウは背中を打ちつけ一瞬呼吸が止まる。

 

「リョウ!」

 

 ミモザが助けにいこうとした時、地面が盛り上がる。

 

(しまった!)

 

 ペロリームを繰り出し“わたほうし”で自分とニャオニクスを包み込む。同時にドサイドンが地面から飛び出しミモザをペロリームごと吹き飛ばす。しかし“わたほうし”でガードしていたので衝撃とダメージが軽減される。

 

「さいさい!」

 

 空中でサイホーンをミモザの着地点に呼び飛び乗る。そのままリョウをなんとか拾い上げギルガルドをいったんボールに戻す。ゲンガーはリョウの影に潜んでいた。

 ドサイドンはいつの間にか地面に潜っていた。リョウは痛みがあるもなの軽傷だった。

 

(このままじゃいずれ追い詰められるの…!)

 

 二人を運ぶサイホーンの背後に“ドリルライナー”で掘り進んでくるドサイドンが迫る。




完読お疲れさまです。
段々一話の文字数が増えているのでもっとコンパクトにできるように努力します。。。


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