R団のズッコケ3隊長と不思議少女    作:長星浪漫

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VSドサイドンも結構書いている気がします。
そろそろ終わる予定です。 

あらすじ
「三人それぞれの戦いが始まった!」


3-6「反撃!」

 「マルマイン…」

 

 ワルビアルVSケン。ワルビアルがマルマインに“かみつき”今にも“かみくだこう”としている。ケンはそれをなすすべなく見ていた。そしてとうとうその時は来てしまった。

 

バキイィィン!

 

「マルマイィィン!」

 

 ケンの悲痛な叫びが響き渡る。砕けたマルマインが砕け落ち、そして消えた(・・・)

 

「!?」

 

 ワルビアルはマルマインが消えた場所を《くろいメガネ》を外してよく見た。しかし、その場所にマルマインの残骸はなかった。

 ワルビアルはまだマルマインを探している。その様子を見てケンは思わず吹き出した。

 

 

「ハーッハッハッハ!気づくのが遅いんだよ!こい!ルージュラ!こおりの技とエスパーの力で壁を作れ!」

 

 ルージュラが指示通りに氷の壁を作った。それを待っていたかのようにワルビアルの背後にマルマイン(・・・・・)が転がり込んだ。

 ワルビアルはマルマインを振り払おうとしたが、マルマインはぴったりとくっついて離れない。

 

「気づかなかったろう?お前がさっき噛み砕いたのは“ひかりのかべ”で作ったダミーだよ。あたりはまだ暗いし《くろいメガネ》をしてたからわからなかったろう?」

 

 マルマインが光を発し始めた。

 

「マルマインはさっき爆発に必要なエレクトンエネルギーをつかっちまったが、そのエネルギーはすぐにたまっちまうんだよな」

 

 マルマインの発光がさらに激しくなる。ワルビアルは最後のあがきとばかりに氷の壁に“かわらわり”をくらわせた。技を受けた箇所がひび割れる。だがルージュラはすぐにその箇所を修復する。

 

「残念だったな!これで終わりだ!マルマイン、“だいばくはつ”!」

 

 爆発の寸前、またワルビアルは氷の壁に“かわらわり”をぶつけた。

 

「無駄だってのに…」

 

 ケンは先程の規模のダメージだろうと思っていたが、先程と同じ攻撃にもかかわらず、氷の壁には先程とは比べ物にならないくらいのヒビが入った。

 

「はっ?なんで!?」

 

 壁を挟んだ向こう側になにかが落ちる。それはさっきまでワルビアルがつけていた《くろいメガネ》だった。

 

「まさか、それをさっき割った部分に入れてたのか!」

 

 先程の“かわらわり”は氷の壁を割ることのみが目的ではなく、割れた部分に《くろいメガネ》という“異物”を入れることで氷の壁の修復を邪魔するのが目的だった。ワルビアルのもくろみ通り、氷の壁にはケンたちが気づかないくらいの小さな“隙間”が生まれてしまい、同じ“かわらわり”でも威力に差が出たのである。

 ケンは氷の壁の修復を急いだが、マルマインの爆発はもう止まらない。

 

「ちぃ!くそおぉぉぉ!」

 

 ルージュラの必死の修復も間に合わず、氷の壁が完全に修復する前にマルマインは“だいばくはつ”した。

 

「ぐうぅ…!」

 

 爆風をもろに受けた氷の壁は一瞬爆風を防いだものの、ひびが一気に広がりそして爆風を受けきれず崩壊した。

 

「ぐうわああぁぁ!」

 

 ケンの体は爆風に吹き飛ばされ数十メートル先で地面に叩きつけられた。

 

「ぐぅっ!!」

 

 なんとか受け身をとったが、全身を強くうち痛みで動けなくなってしまった。ルージュラもひんし寸前の状態で近くに転がっている。マルマインは爆発した後、自動でボールに戻った。

 

「ぐくっ、ルー…ジュラ」

 

 ケンは痛む体を必死に動かしルージュラをボールに戻す。ボールを腰に納めあたりを見渡すと離れた所でワルビアルが完全にひんしになっていた。

 

「よし…ワルビアルは倒せた…がはっ、……リョウたちのか、せ…い、に………」

 

 ここで気を失った。空が白みはじめ、できた影がゆらりと揺れた。

 

 

 

 ハリーはガバルドンを追っていた。はるか後方で爆発音が聞こえた。

 

「!“だいばくはつ”か!?じゃあケンは勝ったのか?」

 

 今だ目が見えていない(・・・・・・・・)アーボックが地下を掘り進むガバルドンを確実に追っていた。

 アーボックやハブネークなどのへびポケモンには『ピット機関』と呼ばれる特殊な機関が頭部に備え付けられている。この機関は赤外線をとらえることができ、サーモグラフィーのように獲物を認識できる。

 ガバルドンの移動に合わせて“すなあらし”の範囲も移動しているため大体の位置はわかっているのだが、ピット機関のおかげでより正確な位置がわかった。

 

「じゃあそろそろこっちもとどめをさそうか」

 

 ハリーがアーボックの背中を蹴り高く飛び上がり、アリアドスの糸でパラシュートのようなものを作り落下速度を調整する。

 

「アーボック、“じしん”!」

 

 アーボックが尻尾を思いきりたたきつける。周囲が激しく揺れる。その振動は地下を掘り進むガバルドンにも伝わる。“じしん”は地面に潜っている相手には威力があがる。

 揺れが収まった頃にハリーが着地する。しばらくして地面がまた揺れ始める。

 

「アリアドス、音に気を付けろ、アーボック、今のうちに“たくわえ”とけ」

 

 ハリーは二匹に注意を促し自分も地面の下に注意をむける。アーボックは体をよじり体内にエネルギーを“たくわえた”。

 揺れが少しずつ大きくなる。

 

「!そこだ!」

 

 ハリーが自分達より三メートル程離れた地面を指差した。そこの地面が盛り上がりガバルドンが姿を現すと同時に“とっしん”してきた。

 

「アーボック!“アイアンテール”!」

 

 アーボックがガバルドンの前に立ちふさがり模様の描いたお腹を大きく広げた。体に力を入れ“アイアンテール”をガバルドンに向けて放つ。ガバルドンにヒットするが、じめんタイプにはがねタイプの技、しかもタイプの違うアーボックが放った“アイアンテール”が効くはずもなくガバルドンはその巨体をアーボックに思いきりぶつけた。

 

「シャギ…!」

 

 しかし直撃を受けたアーボックもまたほとんどダメージはなかった。それどころか“とっしん”したガバルドンの方がふらふらしている。

 

「最大限まで“たくわえた”防御力に“アイアンテール”で一時的に体を硬化させたんだ。そりゃあ痛いだろうな」

 

 まだ頭をクラクラさせるガバルドン。意識がもうろうとしていたため背中に乗った(・・・・・・・)アリアドスに気付かない。

 

「“ギガドレイン”」

 

 ハリーが静かに指示をだした。アリアドスはキバを先程アーボックが貫いた穴に突き刺しドレインを始める。ガバルドンが気づき振り払おうとしたときにはもうガバルドンは立っていることもできないほど体力を奪われていた。

 

「もういいぞ、アリアドス」

 

 アリアドスがガバルドンの背中から離れる。ガバルドンは地響きと共に崩れ落ちた。ハリーはガバルドンに近づき見下ろす。

 

「お前は強かった」

 

 ガバルドンの頭を撫でる。ガバルドンは抵抗もできない。ハリーはそれを確認するとガバルドンに背を向け離れていく。ガバルドンはこのまま見逃してくれるのかと思った。

 

「アリアドス、“とどめばり”」

 

「!」

 

 アリアドスのおしりの針がガバルドンに深く突き刺さる。ガバルドンは驚愕に目を見開き、やがてひんしになった。

 

「死にはしないだろうさ。だが動かれるのは厄介なんでな」

 

 ハリーはアーボックの頭を撫で、アリアドスの体を撫でた。

 

「よくやったぞ二匹とも。さて、リョウたちに加勢を…あれ?」

 

 ハリーはアーボックの背中に乗り周りを見渡す。辺り一面砂ばかり…そう砂ばかり。

 

「ここはどこだぁ!?」

 

 ガバルドンを追いかけるのに夢中でハリーは知らぬうちにケン、リョウ、ミモザのいた位置からかなり離れた場所まで来ていた。

 

「そういえば、さっきの爆発音かなり遠くから聞こえたような…」

 

 頭を抱えるハリー。しかしそんなことをしている場合ではない。

 

「早く合流しなければ!」

 

 アリアドスを体にまとわりつかせ、アーボックに乗りハリーは爆発音が聞こえた方角にできる限り急いだ。

 

 

 

 リョウとミモザはドサイドンの“ドリルライナー”に翻弄されていた。そんなとき後方で爆発音が聞こえた。

 

「きゃあ!」

 

「わあ!?」

 

 爆風が届いて驚く二人。振り替えると少し離れた所の地面がえぐれていた。

 

「マルマインの“だいばくはつ”か!?」

 

「そうみたいなの、あれ?ケンの姿が見えないの」

 

 サイホーンを操作しながらケンの姿が見えないとこを心配するミモザ。

 

「ハリーもいないの!とりあえずすぐにあの場所に行く…」

 

 サイホーンの舵を切ろうとした時、目の前にドサイドンが出てきた。

 

「くっ…!」

 

 慌てて方向を変える。“アームハンマー”を寸前で避け急いで距離をとる。ドサイドンはすぐに地面に潜る。

 

「今のうちにケンの所へ…」

 

「いや、このまま戦おう」

 

「リョウ!?でももしケンになにかあったのなら…」

 

「あいつなら大丈夫さ!」

 

 リョウは不安そうにするミモザの頭をポンポンと叩く。

 

「心配すんな、あいつらとは長い付き合いだ。ケンは絶対大丈夫だ。ハリーのことも心配すんな!俺たちを信じろ!」

 

 自信に満ちた顔で自分の胸をたたくリョウ。その顔を見たミモザはとりあえずその言葉を信じることにした。そして地面が盛り上がりドサイドンが現れる。

 

「わっわっ」

 

 ミモザがすぐにサイホーンを操作しぎりきりでかわそうとするが、ドリルの先っぽがサイホーンの体をかすめた。

 

「どおい!?大丈夫か?」

 

「さいさいが疲れてきたの、このままだといずれ攻撃があたっちゃうの」

 

「どうすればいいんだ!?」

 

「少しでもサイホーンにかかる重さが減ればいいの…でもぎるぎるは攻防に必要だし…」

 

「軽くなればいいんだな?」

 

 リョウが腰のボールに手をかけ、つかんだボールを開放する。

 

「いくぜスリーパー!」

 

 ボールの中からスリーパーが現れた。そしてサイホーンにかかる重量が増える。

 

「ちょっとなにやってるの!これじゃあさらに遅くなるの!」

 

「まぁまてよ」

 

 リョウはマネネもボールから出しなにかを指示した。そしてスリーパーに命令をだす。

 

「スリーパー、“ヨガのポーズ”」

 

 スリーパーがサイホーンの上で座禅を組み“ヨガのポーズ”をきめる。いや、スリーパーだけではない。リョウとマネネも同じポーズをした。

 

「ちょっとぉ!?なんでサイホーンの背中でヨガ教室やってるのぉ!?」

 

 ミモザが「ぎるぎるで切ってしまおうか?」と暴力的なことを考えていると、リョウが次の行動を開始した。

 

「スリーパー、“ねんりき”!」

 

 スリーパーが目をつむりながら振り子を激しくなる動かし始める。するとスリーパーの体が浮き始め、それに反応するかのようにリョウとマネネの体も浮き上がる。その様子にミモザは目を見張った。

 

「そんなことができたの!?」

 

「昔、サントアンヌ号を奪おうとした時に使った戦術だ。維持に結構気力がいって長時間使えないから温存してたんだが、そろそろ使いどきだと判断した」

 

 スリーパーを頂点に三角を描くようにリョウとマネネが座する。リョウたちが離れたことでサイホーンのスピードがアップした。

 

(これなら!)

 

 ドサイドンが“ドリルライナー”で地面から現れるが、それをいち早く察知していたミモザはすでに攻撃の準備を整えていた。

 

「“つのでつく”、“せいなるつるぎ”」

 

 サイホーンとギルガルドがドサイドンのがら空きになっている腹のあたりに攻撃を加える。攻撃はヒットしたが、ダメージはほとんどないようだった。

 ドサイドンはサイホーンの上に乗っている人数が減っていることに気づき、地面にもぐらずにいなくなったリョウを探す。

 

「スリーパー、“さいみんじゅつ”!」

 

 “さいみんじゅつ”がヒットし、ドサイドンの体勢が揺らぐ、そこへギルガルドをひっこめニャオニクスに入れ換えたミモザが攻撃を行う。

 

「にゃおにゃお、“エナジーボール”!」

 

 緑の球状のエネルギーがドサイドンにあたるが、やはり決定打にならない。ドサイドンが近くにあった岩を手のひらの穴に詰め空にむける。ミモザが行動の目的に気づきリョウに警告する。

 

「リョウ!“うちおとす”つもりなの!」

 

「まかせろ!予想済みだ。マネネ、“リフレクター”!」

 

 リョウたちを包み込むように透明の膜が現れ、ドサイドンの攻撃を防ぐ。

 

「ゴアアアァァァォォ!!!」

 

 “いかり”に任せ“ストーンエッジ”を連打する。先の尖った岩がいくつも“リフレクター”にあたる。“いかり”のボルテージがあがりどんどん攻撃力が上がっていく。

 

「おぅ!ちょっとやべぇ!!」

 

 予想をはるかに越える連撃に“リフレクター”がどんどん薄くなっていく。

 

「まかせるの!さいさい、“みだれづき”!」

 

 サイホーンがそのつので“ストーンエッジ”を砕く。ドサイドンはさらに攻撃を苛烈にさせる。ミモザは“ストーンエッジ”を破壊するのに気をとられ過ぎてそれ(・・)に気づけなかった。気づいたときにはドサイドンの“アームハンマー”が間近に迫っていた。

 

「ぎ、ぎるぎる!」

 

 ギルガルドがほぼ自分の意思でボールから出てきて“キングシールド”をはるが、近過ぎてギルガルドごと殴り飛ばされた。

 

「ミモザぁ!」

 

 ミモザの体はまるで紙のように簡単に飛ばされた。




お疲れさまでした!読んでいただきありがとうございました!
ここで補足です。
ドサイドンは本来特殊攻撃に弱いですが、『地のエキスパート』であり、元カントー最強のジムリーダーのサカキが育てたので弱点もある程度は克服できている…という設定です。
無茶も多いと思いますが何卒暖かい目でお読みください。

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