もう少し計画的にかけるように頑張ります。
あらすじ
「ハリーが迷子になった」
「ペロリー!」
すぐに反応したミモザはペロリームをくりだした。
「“わたほうし”!“アロマセラピー”!」
ペロリームがふわふわの“わたほうし”でミモザを可能な限り包み込み、“アロマセラピー”の香りで痛みを和らげようと試みた。
体が砂の上に叩きつけられる。
「ぐぅ!」
“わたほうし”がクッションになったものの、勢いを殺しきれず痛みで気を失いかけたが“アロマセラピー”の香りでなんとか意識を保った。
「がはっ、ごほっごほっ…」
咳き込み血が少し混じったたんを吐き出す。ドサイドンか攻撃の構えをとる。ミモザはまだ動けない。
「スリーパー!マネネ!“サイケこうせん”!」
スリーパーとマネネが虹色の光線をドサイドンに向けて放つ。ドサイドンがリョウの方を向く。その一瞬の隙にサイホーンがミモザの所へ駆け寄る。ミモザはふらつきなからサイホーンの背中によじ登った。
「はぁ、はぁ…ふぅ」
息を少しずつ整える。ドサイドンは上空のリョウに“うちおとす”と“ロックブラスト”を連射していた。
「わっ、あぶっ!マネネ、“リフレク…”わ~!」
あまりの猛攻に防御が少しずつ遅れていく。ミモザは背中についているギルガルドに手を伸ばしつかを握る。
「ぎるぎる、少しだけミモザを操ってなの」
ミモザの提案にギルガルドは体を振り拒否しようとしたが、ミモザの表情に揺るがぬ覚悟を感じいやいやながらミモザに従い能力を発動した。ギルガルドの目が光りミモザの意識に干渉をはじめる。
「くうぅ…」
ミモザが苦しそうに唸るがギルガルドを握る力は弱まらない。ギルガルドには人の心を操る能力を待っている。進化前のヒトツキやニダンギルを使えば遠隔操作もできる。そして操られた人間は例え素人でもまるで達人であるかのように剣を振るうことができるようになる。
「ねら…うの、は……よこ、はらのあた…り…!」
ミモザの瞳が赤く光り、意識がギルガルドと溶け合い一つになる。感覚が研ぎ澄まされミモザの視界は一点のみを見つめる。その間にもスリーパーのバランスが崩れかけている。ミモザの瞳が怪しく輝く。
「い…く、の」
サイホーンが“とっしん”でドサイドンに突っ込む。ミモザはギルガルドを左側に構える。ドサイドンはまだ気付かない。ミモザはまばたき一つせずに一点を見続ける。ドサイドンが殺気に気づいた時にはすでに目の前だった。
「“せいなる…つるぎ”」
一閃がドサイドンを切り裂く。人の手に待たれて技を放つことでより正確により強力に攻撃がヒットした。ドサイドンは二、三歩後退り膝をついた。サイホーンは少し距離をとってから足を止める。
「はぁ、はぁ…」
ギルガルドが能力を解除しミモザの手から離れる。ミモザはサイホーンにもたれかかり息を切らす。少しの間とはいえギルガルドに心を委ねたことで体力が削られ顔色が先程よりも悪くなっている。しかしミモザは歯を食いしばって体を起こす。
「これで、少しは…」
ミモザがドサイドンの方を見た。そこには怒りに顔を歪ませながら立ち上がっていた。
「まだだめなの…?」
ドサイドンのあまりのタフさに気が遠くなるミモザ。体から力が抜けていく。ドサイドンは“がんせきほう”を構えた。サイホーンはミモザの指示を求めたが、ミモザはそんな体力はなかった。ドサイドンの腕の筋肉に力が入る。今にも発射されそうになったその時、リョウが割り込む。
「スリーパー!“すりかえ”!」
“ヨガのポーズ”をしたスリーパーがドサイドンの岩石と自分の《くろいてっきゅう》を“すりかえ”た。急に重さが変化したのでドサイドンの手元が狂い“がんせきほう”はドサイドンの手前の砂をえぐった。
「スリーパー!ミモザの所へ!」
頷いたスリーパーがミモザの近くまで急いで向かった。地面に降り、ミモザに近づくと頭にヤドンを乗せた。
「え?なにを…?」
「“いやしのはどう”」
ヤドンからほわーんとした波動がミモザ、サイホーン、ギルガルドを包み込む。その波動はミモザの心を癒し、ミモザの体に力が戻っていく。
「大丈夫か?」
「力は戻ったけど…なんだかまぬけな感じなの」
「ヤァン…」とミモザの頭の上のヤドンがないた。リョウはヤドンをボールに戻す。
「そんな生意気なことが言えるなら大丈夫だな」
リョウがわしわしとミモザの頭を撫でる。
「しかし、どうすりゃいいんだ?ここまでやってまだ動けるとか…本当に怪物だな」
「でもダメージは蓄積されているみたいなの」
“がんせきほう”の反動がとけ、ドサイドンが動き始める。
「とりあえず、俺はもう一度“ヨガのポーズ”で浮遊する。このR団製のトランシーバーで連携をとろう」
「わかったの」
ミモザはトランシーバーをもらい電源をつける。ドサイドンは遠距離攻撃では隙が大きいと判断し接近戦に持ち込むために“とっしん”してきた。リョウがスリーパーの技でマネネと浮かび上がる。ミモザはサイホーンを操りドサイドンの攻撃ラインから外れる。ドサイドンは“ふみつけ”で方向を変えつっこむ。
「さいさい!」
サイホーンはぎりぎりまでドサイドンを引き付け、そして回避する。回避した時にミモザはドサイドンがつけているプロテクターに入る小さなひびを発見した。
「これは、使えるかもなの」
サイホーンを常にドサイドンの方に向けながらミモザはトランシーバーでリョウに作戦を伝える。
「ひびを狙う?」
「そうなの、ひびを狙ってブロテクターの一部を壊してむき出しになった所を狙い打つの」
「やることはわかったが、それでたおせるのか?」
「プロテクターで守られてるってことはその下には弱い部分が隠されていると思うの。そこを狙えれば大ダメージを与えられるかもしれないの」
「なるほどな、でもさっきまでの攻撃でも壊れなかったんだぜ?」
「今度はあの場所に攻撃を集中するの」
「でもどうやってあそこをピンポイントで狙うんだ?」
「それは…きゃっ!」
ドサイドンの“アームハンマー”の余波をうけバランスを崩す。ひびをピンポイントで狙おうとしてもこれだけパワーがあると動きを止めるのも難しい。止められてもどう壊せば…と考えていた時、トランシーバーから二人とは違う声が聞こえた。
「動きはおれが止める!」
「「ハリー!!」」
アーボックに乗ったハリーが飛び降りてミモザの近くに降り立つ。
「アリアドス、“いとをはく”!」
大量の糸がドサイドンに絡み付く。さらにアーボックがその体で“まきつき”締め上げる。
「ぐがが…」
力任せに拘束を解こうとするが“たくわえて”いたアーボックは簡単にはほどけない。しかし少しずつ力負けしていく。
「ミモザ、どうするんだ?」
「…固いものを壊す一番簡単な方法は『暖めた後に一気に冷やす』のがいいの」
「なるほど、まかせろ」
リョウがボールを構える。
「アーボック、“ほのうのキバ”!」
アーボックがドサイドンを締めながら暑くなったキバをヒビが入っている箇所の近くに突き立てる。徐々にキバの部分から熱が広がっていく。あまりの熱さにドサイドンが暴れはじめアーボックの体が少しずつほどけていく。
「まずいな、よし」
ハリーがボールを投げる準備をした。
「いけ、
「えっ?」
ハリーがエレキッドを繰り出した。
「なんでハリーがエレキッドを?」
「ここに来るまでにケンから預かったんだ」
「ケン!?無事なの??!」
「うーん、無事だとは言い切れないけど…まぁ大丈夫だ」
「リョウ!ケン大丈夫だって…あれ?」
リョウがいなくなっていた。
(リョウ?)
ミモザがリョウを探しているとハリーが注意を促す。
「ミモザ!戦いに集中しろ!」
アーボックの体を引き剥がし最後まで噛みついていた“ほのうのキバ”も引き剥がされる。キバが刺さっていた場所は真っ赤になっていた。ドサイドンは次はアリアドスの糸を引き剥がそうとした。しかし、ダメージと疲労の蓄積にはじめの時ほどのパワーがない。その間にエレキッドがドサイドンに近づく。その右腕は冷気をまとっている。
ドサイドンがアリアドスの糸をすべて振り切った時、エレキッドの拳はドサイドンのブロテクターを狙っていた。
「“れいとうパンチ”!」
エレキッドのパンチが熱せられたプロテクターを一気に冷却する。
ビキィ!
すごい音と共にプロテクターに大きなヒビが入る。ドサイドンが足元をふらつかせる。
「もうひとおし!“スピードスター”!」
エレキッドかたくさんの小さな星を放つ。何発かがひびに当たりそしてとうとう…
バキィィィン!!
完全にプロテクターの一部が壊れた。ドサイドンは焦り無我夢中で攻撃を始めた。エレキッドが吹き飛ばされ、アリアドスは糸をつかんで振り回されアーボックにぶち当てられる。
なんとか近づこうとするがあまりの剣幕に近づけない。
「あと一歩なのに!」
ミモザが次の攻撃案を考えていた時、目の前に誰かが“テレポート”してきた。
「え?」
「いいとこはもらってくぜ」
それはケンとリョウの二人だった。ドサイドンも突然現れた二人に驚き動きを止めた。そのチャンスをケンは逃さない。はじめから手に巻き付けていたオクタンが“ロックオン”した。
「“オクタンほう”!」
オクタンの口から放たれた墨の固まりがドサイドンのプロテクターがない箇所にクリティカルヒットする。
「ゴァァ…!」
攻撃を受けたドサイドンは一瞬時が止まったように動きが完全に止まり、そしてゆっくり地面に倒れこんだ。
ズシイィィィン
大きな音と共に今度こそドサイドンは完全に気絶した。
「やったぜっててて…」
ガッツポーズをしたケンが痛みに体を丸める。ミモザが心配そうにケンを支える。
「大丈夫なの?」
「あぁ、外傷はないし中も大丈夫だ。まだうちつけた部分が痛むだけだ」
ケンが腕を回しまた痛がる。ハリーとリョウはドサイドンの様子を見る。
「完全にひんしになってるな」
「プロテクターの下は本当に弱点なんだな」
「とにかく、ドサイドンを倒したんだから早く次にいこう。もう朝だ」
ハリーが見上げた空はすでに太陽が上りあたりが明るくなっている。ケンとミモザもハリー達と合流し、時間を確認する。
「あと六時間くらいだな」
「急がなくちゃな次はどこだ?」
「草原でニドキングなの」
「あいつかぁ、かなりの強敵だがなんだか今なら勝てそうな気がする」
「確かに俺たちなんか強くなったよな!」
リョウが力こぶをつくる。マネネが真似をする。
「だけど疲れもたまってるよな」
「とりあえずこれを食べとこう」
ハリーが《サプリケース》から赤黒いサプリを取り出した。
「《マトマのみ》と《ネコブのみ》と《ラムのみ》を混ぜたサプリだ。味は…まぁキツいが疲れをぶっ飛ばしてくれるぞ」
四人はそれぞれサプリを取り出し口に含む。
「!!!!」
四人の顔が同時に歪む。
「すっっっごくまずいの…」
「辛くて、甘くて、ねちゃっとしてるな」
「でもなんか元気でた!」
「よし!早く草原を目指そうぜ!」
四人はサイホーン、アーボック、マルマインに乗って砂漠地帯を後にした。
ドサイドンから四人が離れてから数分後、ケンとハリーに倒されたワルビアルとガバルドンがそれぞれ群れの仲間に支えられながら現れた。このチャンスに仕返しをしようと考えたのだ。攻撃の構えをとった時、とてつもない重圧が二匹と群れを包み込む。
『そこまでにしてもらおう』
たった一声だった。その声でその場にいるすべてのポケモンがその一点をみつめる。そこには砂漠地帯にいるはずのないスピアーがゆっくりと降りてくる。スピアーは手にしたボールを器用に使いドサイドンを収納する。
『協力感謝する』
スピアーは飛び立っていった。
スピアーが完全に見えなくなった時、まるで糸が切れたかのようにワルビアルの群れもガバルドンの群れも慌ててその場からにげだした。
ドサイドン編終了です!
自分で言うのもなんですが、長かったです。あと二話くらい短くするつもりだったのですが、うまくまとめられず少しだれてしまったかもしれません。
話事態は次で最終章です。いい作品にできるように頑張ります!