R団のズッコケ3隊長と不思議少女    作:長星浪漫

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ポケモンSPECIALのR団の3中隊長ケン、リョウ、ハリーと自分のオリジナルキャラのR団の女の子ミモザのお話です。
 1-1でサカキによる修行が始まり、戦闘が始まる直前までを書いています。ポケモンSPECIALの世界観をなるべく変えずにいこうとはおもっていますが、所々個人的な解釈や時間軸の予想が入りますので、ご了承ください。  
 表現などにアドバイスなどいただければ嬉しいです。


1-2「森の中で」

 ケンタロスとキリンリキで移動中の四人は島の中にある森に向かっていた。

 

「とりあえず森に身を隠して作戦をねろう!」

 

「わかった!」

 

 いつのまにか島の地図を手に入れていたハリーの判断で四人は島にある森に入っていった。

 

 

 その頃サカキはデボン製の高級腕時計を見て三匹の手持ちに指示を出していた。

 

「10分たったな、ではお前たちには行動してもらう。…といっても指示は単純だ、『あの四人をたおせ』、手段はまかせる。いけ!」

 

 サカキの指示を受け、ニドキング、ドサイドン、ダグトリオの三匹はそれぞれ行動を開始した。

 その頃ケンたち四人は目的の森の中に入り、さらに森の中で一番高い木の上に登りあたりを警戒しながら今後の行動を考えていた。

 

「どうする?」

 

「とりあえずそれぞれの手持ちの確認をしておこう!まずはケン」

 

「おう」

 

 ケンは自分のボールを並べる。

 

「俺の手持ちは、ケンタロス、エレキッド、オクタン、マルマイン、ルージュラだ」

 

 次にもみあげ爆発のリョウがボールを並べる。

 

「ゲンガー、スリーパー、ヤドン、キリンリキ、マネネの五匹」

 

 最後に髪を結んだハリーがボールを置く。

 

「ベトベトン、スコルピ、マタドガス、アーボック、イトマル」

 

 三人はミモザの方を向いた。

 

「お前の手持ちも教えてくれ」

 

「…」

 

 ケンが呼び掛けたが、ミモザは虚ろな視線を向けるだけで答えなかった。

 

「これからの作戦に必要な情報なんだ」

 

「…」

 

 なんど呼び掛けても虚ろな目で見つめるだけで、答えないミモザ、しびれを切らしたリョウがミモザに歩み寄る。

 

「おい!聞こえてるだろ!」

 

 リョウがミモザに手を伸ばそうとした瞬間、

 

「危ない!」

 

 なにかに気づいたハリーがリョウの肩を引っ張る。同時にリョウの顔があった場所を何かが通りすぎる。

 

「わっ、おぅ?わぁっ!?」

 

「リョウ!」

 

 バランスを崩したリョウが木から落ちかけたのをハリーとケンが助けた。なんとか落下せずにすんだリョウは息を整えそしてミモザを睨み付けた。

 

「なにするんだ、お前!」

 

「…手持ち」

 

「は?」

 

 初めて答えたのと、リョウのものすごい剣幕に対して全く動じていない様子のミモザに驚き怒りが引いてしまった。そのミモザの前に片手に盾を持った剣の体のポケモンと青っぽい巻き毛に白い毛並みの猫のポケモンがミモザを守るように出現していた。ミモザはゆるりと指を指していく。

 

「ギルガルドの“ぎるぎる”、ニャオニクスの“にゃおにゃお”」

 

 次に腰のボールを指差し、

 

「クレッフィの“フィフィ”、ペロリームの“ペロリー”そしてフワンテ」

 

 手持ちをすべて紹介すると、ミモザは再び黙りこんだ。ギルガルドとニャオニクスはボールに戻らずミモザを守るように構えている。ケン、リョウ、ハリーはまだ怒りがおさまらなかったが、とりあえず手持ちを把握できたのでその場は我慢することにした。

 

「そういえばハリー、その地図どうしたんだ?」

 

 ケンがハリーの持っていた地図を指差す。ハリーはその地図を誇らしげに掲げて見せた。

 

「これか?これはサカキ様から“どろぼう”したんだ」

 

「えっ!?いつのまに」

 

「サカキ様がしゃべってる間にさ♪」

 

「サカキ様の隙をつくなんてすごいなハリー!」

 

「さすが元キョウ隊にいただけはあるな!」

 

「へへへ、そんなに誉めんなよ」

 

「たいした奴だよハリーは!」

 

 三人が盛り上がっているとミモザがのっそりと顔をあげる。

 

「気づいてたの」

 

「は?」

 

 また突然喋りだしたミモザに三人は反応する。

 

「気づいてたってどういうことだ?」

 

「その地図、わざと奪わせたの」

 

「なにを根拠にそんなことをいってんだよ」

 

「まずその地図、わざと分かりやすい位置に持ってたの。さっき、よく気づいたと言ってたけど、むしろ気づかないほうがおかしいの、あなたたちバカなの?」

 

「な、なにい!」

 

「お、落ち着けリョウ!相手は子供だろ?」

 

「子供でも言っていいことと悪いことがあるだろうが!」

 

「ミ、ミモザ!リョウに謝れ!」

 

「ツン」

 

 ミモザはそっぽを向いた。その行動がリョウの怒りの火に油を注いだ。リョウはケン、ハリーを振り払ってミモザにつかみかかろうとした。ギルガルドがそれに気づき、構える。

 

「おまえ…」

 

 しかし、その時森全体が揺れた。

 

「な、なんだ!」

 

 ハリーが木にしがみつきながらあたりを見渡す。するとケンが南の方を指差した。

 

「あっちを見てみろ!」

 

 ケンの指差す方向を見ると、木が倒れるのが見えた。同じ場所を見つめていると近くの別の木も倒れ始めた。

 

「おい、こっちに近づいてきてないか?」

 

「本当だ!」

 

「まさか、サカキ様のポケモン?」

 

 三人は顔を見合わせた。

 

「木を倒すくらいのパワーということはニドキングかドサイドンか?」

 

「どちらにしろヤバイ!早く行動をしなければ…」

 

 あわてふためくケンたち三人を見てミモザはため息をついた。

 

「あなたたち本当にバカなの」

 

「な、なんだと!?」

 

 リョウがミモザの言葉に反応する。ミモザは構わず続ける。

 

「時計を見てみるの。まだ、開始して20分くらいしかたっていないの」

 

「確かにそうだがそれがどうした?」

 

「私たちはポケモンに乗ってこの森まで約10分できたの、移動に適したポケモンでさえそれだけかかるの、足の遅いニドキングやドサイドンがこんなに早くこの森に到着するなんておかしいの」

 

 ミモザの説明に三人はなるほどと手を打つ。そこでケンがミモザに疑問をぶつけた。

 

「じゃあ、あの木を切り倒してるのは野生のポケモンか?」

 

「何いってるの?サカキ様の手持ちはもう一匹いるの」

 

「ダグトリオか?」

 

 ハリーとリョウはけらけらと笑った。

 

「ダグトリオは地面攻撃を主体にするもぐらポケモンなんだぞ?あんな芸当ができるわけ…」

 

「できるの、ダグトリオはあの見た目だけど“ひっかく”も“きりさく”も“いあいぎり”まで使えるの」

 

「そ、そういえばそうだった!」  

 

「本当におじさんたちはバカなの」

 

「な、なにおぅ!?」

 

「お、おじさん…」

 

 ミモザの言葉にリョウは怒り、ケンとハリーはショックを受けていた。その時また木が揺れた。

 

「うわわ!」

 

 慌ててケン、リョウ、ハリーは木にしがみついた。しかしミモザは木につかまれず、足を踏み外してしまった。

 

「きゃっ…」

 

 短く悲鳴をあげ、ミモザは落ちて行く。ギルガルドは木の上でどうすることもできずにあわてふためき、ニャオニクスはエスバーの力でミモザを助けようとするが、動揺しており、うまく力が使えず、ミモザの落下速度を少し遅くする程度にとどまっている。それでも落ちれば死ぬかもしれない高さと速度だった。

 

「ミモザーーー!」

 

 ケン、リョウ、ハリーの三人の叫びが森中に響き渡った。

 




読んでいただきありがとうございます!
次の話では戦闘をメインに書こうとおもっています。読んでいただいた方に楽しんでいただけるよう努力いたしますので、また読んでくださるとうれしいです。

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