R団のズッコケ3隊長と不思議少女    作:長星浪漫

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ミモザ(オリキャラ)の過去編第二話です。ちなみに原作の時間軸はFR.RGの少し後という設定です。

前回までのあらすじ
「イベルタルによって両親を亡くしたミモザ。屋敷に帰るもそこにはフレア団がいた。屋敷のメイドだったペパーにも裏切られ絶体絶命のミモザ!」

サカキが悪のボスの中で一番好きなので、かっこよく書けてれば幸いです。


2-2「路地裏の攻防」

「ペパー…?」

 

 ミモザの前にいたのはミモザが知っているメイドのペパーではなかった。笑顔だが、その目はとても冷たい。ペパーは不気味な笑顔をしたまま、しかし目はしっかりとミモザを見つめていた。

 

「三日前に旦那様と奥様のご遺体が発見されました。外傷はなく死因も不明でしたけど」

 

 ペパーは笑顔のままだった。ミモザの中の恐怖が膨らんでいく。そこへクセロシキが割り込んでくる。

 

「で?こいつは誰なんだゾ?」

 

 ペパーは思い出したようにクセロシキにミモザについて説明する。クセロシキはすべて理解し頷いた。

 

「なるほどなんだゾ。今の状況を説明してやるんだゾ」

 

「かしこまりました。クセロシキ様」

 

 ペパーはひとつお辞儀をしてミモザに現状を説明した。

 

「旦那様が亡くなられた場合ここの所有権は我々フレア団(・・・・・・・・)のものとなるように仕組んでおいたんです」

 

 ペパーはくすくすと笑った。そしてミモザにグッと顔を近づけると脳に焼き付いてしまいそうな邪悪な笑顔でにっこりと笑った。

 

「ちなみにキャロットは我々に賛同しなかったので手持ちと一緒に追い出しました♪あなたの味方はここにはいません。もう、ここにはあなたの居場所はないんですよ」

 

「…!」

 

 その言葉を聞いたミモザはその場に力なく座り込んだ。その顔からは表情が消え失せていた。それを見たペパーは頬をそめ舌なめずりをした。そして近くにいた赤スーツに指示を出す。

 

「この子を外に放り出してください」

 

 団員がそうしようとした時、クセロシキがそれを止めた。

 

「ちょっと待つんだゾ」

 

「どうされました?クセロシキ様」

 

「その娘は両親とあの場にいたということだナ?」

 

「はい、そのはずですが」

 

「あの日あの場所ではイベルタルの目撃情報があったんだゾ。ならイベルタルの力を視ているかもしれないんだゾ、フラダリ様もイベルタルの情報をほっしておられた…」

 

 クセロシキは髭をいじりながら思考を巡らせる。そして出た結論を命令として部下に伝える。

 

「その娘を捕まえるんだゾ!その娘の頭から直接情報を抜き取るんだゾ」

 

「は!」

 

 赤スーツがミモザに詰め寄る。ペパーは助けるわけもなく遠くで眺めている。

 

「や…ぁ…」

 

 ミモザは恐怖で体がすくみ動けなかった。赤スーツたちの手が伸びる。ミモザが諦め目を固く閉じたその時、ミモザのボールが開いた。

 

「うわぁ!」

 

 赤スーツが吹き飛んだ。ミモザが目を開けるとそこにはギルガルドがいた。

 

「ギルガルド…?」

 

 ミモザが状況がわからないままギルガルドをただ見つめる。すると袖をぐいぐい引っ張られた。見るとニャオニクスが引っ張っている。ニャオニクスの口がなにかを伝えようと必死で動いている。ミモザはなにも考えられずただそれを見ている。ギルガルドは団員がくりだしたポケモンたちを迎えうった。

 

「あれは旦那様のギルガルドと奥様のニャオニクス…」

 

 ペパーの表情が変わった。クセロシキがイライラと頭をかいた。

 

「小娘一人になにやってるんだゾ!早く捕まえろ!」

 

 クセロシキの怒声に団員たちが焦り出す。攻撃がどんどん激しくなりギルガルドが徐々に押され始める。ニャオニクスはそれを感じとり必死にミモザになにかを伝えようとする。

ミモザはそれをただ見つめる。唐突にニャオニクスにミモザの母の姿が重なる。

 

『逃げなさい!』

 

「ママ…?」

 

 目を見張るミモザ。

 

『俺たちの分も生きてくれ!』

 

 ギルガルドに父の姿が重なる。

 

「パパ…」

 

 ミモザの声が震える。その間も二人の声がミモザの耳に届いた。

 

『一緒にいてあげられなくてごめんね』

 

『俺たちの分も幸せになってくれ』

 

「パパァ…ママァ…!」

 

 ミモザに感情が戻り涙が溢れる。その様子を見て両親の幻がミモザを包んだ。

 

『さぁ、逃げるのよ』

 

『お前は俺たちの娘だ。絶対できる』

 

「でもぉ…」

 

 ミモザはさっきフレア団員から取り返した写真立てを抱きしめる。涙が溢れて止まらない。ギルガルドもそろそろ限界だった。

 

『ミモザ、生きて…』

 

『生きて』

 

 両親の声がミモザの中でどんどん大きく響いていく。ミモザの体に力が入っていく。ミモザは少しずつ立ち上がる。そして震えながらも立ち上がった時、両親の最後の声が聞こえた。 

 

『ミモザ…愛してる…』

 

「…ギルガルド!“せいなるつるぎぃぃ”!」

 

 ミモザの指示にギルガルドが即座に反応する。『ブレードフォルム』に切り替わり周りの敵を一掃する。

 

「ニャオニクス!“サイコキネシス”!」

 

 ニャオニクスの目が光り、さらにいつも閉じている両耳が大きく広げられその中にある目のような模様があらわになった。

 

「まずい!全員、身を守レ!」

 

 クセロシキが慌てて指示をだしたが遅かった。ニャオニクスがサイコパワーを完全解放し、“サイコキネシス”を発動した。ミモザを中心に強力な力が放出され、ポケモンもろともトレーナーも吹き飛ばす。ペパーは手持ちのレパルダスをだしクセロシキを守る。その場の誰もがミモザから注意をそらした。

 

「逃げなきゃ…!」

 

 その間にギルガルドとニャオニクスをポールに戻し、ミモザは必死で逃げた。 

 

「くっ、その娘を逃がすんじゃないゾ!早く捕まえるんだゾ!」

 

 後ろでクセロシキの声が聞こえたがミモザはもう振り返らなかった。ギルガルド、ニャオニクス、クレッフィ、ペロッパフの入ったボールを抱きしめひたすら走った。その目にもはや涙は浮かんでおらず、決意と覚悟が見てとれた。

 

「生き抜くの、絶対!」

 

 ミモザはあてもなくただ前へ前へと走っていった。

 

 

 

ー現在ー

「これがミモザが大きな黒い鳥ポケモンを怖がる理由なの」

 

 ミモザが話終える。  

 

「…」

 

 しかし、誰もなにも返さないので三人を見ると鼻水をたらしながら号泣していた。

 

「ヴぇ、ぞんな過去があっだのが」

 

「ちきしょう…フレア団、悪い奴らめ!許せねぇ!」

 

 リョウが拳で地面を叩く。ミモザは「R団も悪の組織なの」と思ったが口には出さなかった。洞穴の奥を見るとあのおじいさんみたいな見た目のドラゴンポケモンも泣いていた。ケンが鼻水をすすりながらミモザの手を握る。

 

「ミモザ!辛いのに話してくれてありがとう!」

 

 また鼻をすする。

 

「俺たちは仲間だからな!もう寂しい思いはさせないからな!」

 

「ケンのいう通りだ!」

 

「うんうん!」

 

 リョウとハリーもそれに同意する。ミモザは嬉しいやらおかしいやらとにかく妙な気持ちになった。感情が収まるまで三十分ほど待って、ハリーがふと疑問に思ったことをミモザに聞いた。

 

「じゃあR団員になったのはなんでなんだ?カロス地方にはR団の施設はないだろう?」

 

 ミモザは三人が具を色々いれてくれた必用以上に豪華なスープをすすりながら答える。

 

「それはさっき話した出来事のあとなの…」

 

 ミモザが再び過去を話始める。

 

 

 

ー再び五年前ー

 フレア団から必死に逃げてミモザはミアレシティまで来ていた。身寄りのないミモザはそこでストリート生活を余儀なくされた。他のストリートチルドレンに見つからないようにしたり、逆に助けを頼んだりした。特に食料の調達に苦労した。はじめは道中拾った『きのみ』を食べていたがすぐになくなり、路上で物ごいをしたりしたが、誰も振り向かないし、助けない。時にはニャオニクスたちに食べ物を盗ませたりしていた。

 心配事はこれだけじゃなかった。フレア団も警戒しなければならない。実際何度も追いかけられた。そのうちそれを目撃していた他のチルドレンがミモザを避けるようになった。ミモザの心はどんどん暗くなっていった。

 

 

 

 そんな生活が三週間ほど続いたある日、とうとうミモザは二人のフレア団員に路地裏に追い詰められた。二人は男でどっちもニヤニヤしている。

 

「やぁっと追い詰めたぜお嬢様?」

 

「さぁ、観念しな」

 

 ミモザの手持ちは過酷な日々がたたってもはや戦える状態ではなかった。

 ミモザは通りの外を歩く人達に助けを求めた。しかし誰もミモザに気づかない。いや、何人かは目があったが関わりあいたくないというようにさっさと通りすぎてしまう。ミモザはその現実に絶望した。目の前のフレア団員はニヤニヤといやらしい笑みを向けてくる。打開策が全く浮かばない。

 

(もうダメなの)

 

 ミモザがあきらめかけたその時、一人の男が路地に入ってきた。

 

「そこでなにをしている?」

 

 その男は低く威圧的な声でそう質問した。フレア団の二人とミモザはその男を見た。黒い革靴に黒いズボン、黒いコートに黒いハットと全身黒一色だった。

 フレア団の一人がめんどくさそうに対応する。

 

「おいおっさん!痛い目見たくなかったら回れ右してとっとと失せろ」

 

 もう一人も黒一色の男を威嚇する。

 

「そうだぜ、俺たちはフレア団っていういかした組織の人間なんだがよ、その中でも結構強い方なんだ。今なら見逃してやるから…」

 

「なにをしている?」

 

 その男は同じ質問を繰り返す。あくまでフレア団の二人に現状を説明させるつもりのようだ。フレア団の二人は男の態度に腹が立ったが、なるべく冷静を保ち男の問いに答える。

 

「ちっ…!見ての通りだよ、このガキを捕まえようとしてるんだ」

 

「誘拐か?」

 

「あぁ、そうだよ。…ていうかお前、ここまで知られちゃもう逃がさねぇぞ?」

 

 フレア団の二人が男の方を向き腰のボールを取り攻撃する。

 

「ホルード!“たいあたり”!」

 

「ヤンチャム!“バレットパンチ”!」

 

 フレア団の投げたボールからホルードとヤンチャムが現れ攻撃を出す…次の瞬間、二匹のポケモンはフレア団の後方で氷づけになっていた。

 

「はっ…?」

 

 フレア団の二人は何が起こったのかわからず氷づけになった自分のポケモンを呆然と見つめていた。一方男は被っているハットを取った。

 

「お前たちがおれを敵と認識するまでに五秒」

 

 歩き始める男。

 

「ボールに手を伸ばしポケモンを選択するまで六秒、ボールを投げポケモンが出現するまでにさらに六秒、技を指示し技の実行まで最短で三秒」

 

 男がフレア団の二人の間を通り抜ける。二人はまるで蛇に睨まれたように動けなかった。そして怯えるミモザの前に立ちフレア団の方を向く。そして右手に開いた状態のモンスターボールが二つ(ふたつ)乗せられていた。男は目だけを獣のようにぎらつかせる。

 

「合計約二十秒、それだけあれば十分な指示ができる」

 

 さっきまで男がいた場所には二本の角から冷気を出しながらパルシェンがこちらを見ている。フレア団の二人が我に返り動こうとするとその背中に針が押し当てられる。

 

「ひっ…」

 

 フレア団の背後にいつの間にかメガスピアーがいつでも攻撃できる体制でにらみを効かせていた。男はポケットに隠していたキーストーンを眺めながら満足そうに頷いた。

 

「先日習得したメガシンカ、スピアーの能力ご格段に上がっている。素晴らしい」

 

 こんな状況で笑みを浮かべるその男を見てフレア団の二人とミモザはぞっとした。

 

「お、お前…何者なんだ?」

 

「俺か?そうだな名乗るくらいしてやろう。俺の名前はサカキだ…覚えなくていいぞ」

 

 サカキが片手を挙げるとスピアーが針を降ろした。フレア団の二人は急に解放されその場でたたらを踏んだ。

 

「これで力の差が分かっただろう?これ以上は時間の無駄だ」

 

 サカキの目付きがさらに鋭くなる。フレア団の二人はその視線だけで今にも気絶しそうだ。

 

「とっとと俺の目の前から消えろ」

 

「ひ、ひいぃぃぃー!!!」

 

 フレア団の二人はホルードとヤンチャムをボールに戻すと我先にとその場から逃げていった。

 ミモザは今自分を助けてくれた男ーサカキを見上げた。サカキはパルシェンとスピアーをボールに戻すとミモザを見下ろした。 

 

「無事か?」

 

 サカキが手を差しのべる。しかしサカキをまだ信用していないミモザはサカキを睨み付けながら体をひく。サカキは差しのべた手を引っ込め、肩をすくめた。

 

「まあ、仕方ないか」

 

 サカキはコートの内ポケットを探り、《げんきのかけら》と《かいふくのくすり》をいくつか取りだしミモザの前に置いた。ミモザは行動の真意がわからずその道具とサカキを交互に確認する。最後に少しばかりのお金を置いて帽子を被った。

 

「メガシンカを試すことができた礼だ。要らなければショップにでも売れ」

 

 そう言い残しサカキはきびすを返した。その様子を少し離れた所で見るフレア団の二人。

 

「おい、本当にいいのか?」

 

 一人が恐る恐る確かめる。するともう一人が右手を振り回して答える。その手にはスイッチのようなものが握られている。

 

「ペパーさんが言ってたんだよ『多少傷ついてもいいですから連れてきてくださいね、“これ”使ってください』って渡されたんだよ!」

 

 フレア団員か手に握っていたのは起爆スイッチだった。さっきのどさくさにまぎれて設置していた。

 

「俺たちもギリギリなんだ、悪く思うなよ!」

 

 フレア団員は震える指でスイッチを押した。

 

ズガアァァァン!

 

 爆音と共にミモザの後ろの壁が崩れた。

 

「!」

 

「ダグトリオ!」

 

 ミモザとサカキが同時に反応した。ミモザは自分の手持ちか入ったボールをかばい、サカキはミモザを助けようとダグトリオをくりだした。サカキがミモザに覆い被さった時、二人の上に大量の瓦礫が降り注ぐ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れさまでした!
次で過去編は終わりにするつもりです。どきるだけ早く書こうと想いますのでよろしくお願いします。
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