何も終わってない作品を二つも書いておきながら、新たな作品に手を出した作者の作品。どうぞ、暇つぶし程度にお読みください。
なお、今回は短めです。二部が始まるから、始めるタイミングとしては良いかなと思ったので、急いで仕上げました。
それでは、どうぞご覧あれ。
これは一体、どういうことなのだろうか。
「……寒い」
「悪いね、事が事だから」
目的もなく、とある献血所に寄ったと思えば、いつの間にか俺は怪しげな男に連れられて、見ず知らずの土地に立っていた。俺の質問や、疑問にはほとんど適当にしか受け答えしてくれない為、どういう状況かも上手く把握出来ていない。
「……真っ白だ」
銀世界、というのはきっとこういう光景のことを言うのだろう。目の前の景色は一面どころか全面が雪。吹き荒れる豪雪も相まって、視界すらも認識出来ない程に白に塗り潰された光景だ。
「じゃあ、先に行ってるから。入館手続きが済んだらまた会おうね~」
「え、ちょっ……」
そして唐突に、俺をここに連れてきた男は仕事が終わったとでも言うように、言うが早いか、俺を置いて目の前にある大きな建物へと入っていく。せめてこういうのは、一緒に入るのが普通なのではないのか。
まぁ、じゃあお前にまともな感性が備わっているのかと聞かれたら、少し返答に困ると思うけれど。
それはそれとしてだ。この目の前に佇む施設こそ、先の男に俺をこんな土地へと連れてこいと命じた機関の総本山、人理継続保障機関フィニス・カルデアのものである。
詳細は欠片も教えられることなく、ほぼ拉致られた身としては恨みしか湧かないが、人間諦めが肝心とも分かっているので素直に帰るのは諦めるしかない。
なんせ、此処が何処かというのは、先程の男の魔術とやらで連れられた所為で微塵も分かっていない。つまり、諦める以外に、俺が生き残る術はないのだ。
肌に突き刺すような極寒の地の風は、一度訪れたことのある冬の北海道の気温が温かく感じる程に冷たい。いや、寒いというより、今は痛みに近い。早く温まらなければ、必ず凍死するだろう。
「……入るか」
帰宅という細やかな希望を捨て、青空など到底見えない悪天候から逃げるように、俺はその施設へと入る決意をする。
『――塩基配列、ヒトゲノムと確認。――霊器属性、善性・中立と確認。ようこそ、人類の未来を語る資料館へ。ここは人理継続保障機関"カルデア"』
中に入ってすぐ、見慣れない機械に囲まれたかと思うと、何かのアナウンスが流れ始めた。これがさっき言ってた入館手続きとやらなのだろうか? まぁ、厳重そうな施設だし、そんなものがあっても不思議ではないかもしれない。
『指紋認証 声紋認証 遺伝子認証 クリア。魔術回路の測定……完了しました。登録名と一致します。貴方を霊長類の一員であることを認めます』
「え……俺の情報、登録されてんの?」
衝撃の事実。初めて来た所なのに、既に俺に関する情報が把握されていた。俺自身は、未だ何も分からないというのに。本当に大丈夫なのだろうか、俺。
というより、何故霊長類の一員というような、変な言い回しをするのだろうか。こんな極寒の地に来るような、人間じゃない生物が果たして居るのかは疑問しか湧かない。物好き、なんてレベルではちょっと片づけられそうになさそうだ。
『初めまして。貴方は本日、最後の来館者です。どうぞ、善き時間をお過ごし下さい』
まぁそんな数ある疑問もアナウンスに答えられるはずもなく、機械は続けて心の籠っていない歓迎の挨拶を述べる。
取りあえず、これで入れるように――
『……申し訳ございません。入館手続き完了まであと百八十秒必要です』
――なった訳ではないようだ。まだ何かあんの?
『その間、模擬戦闘をお楽しみ下さい』
「……え?」
俺は今、不穏な言葉を聞いた気がする。
『レギュレーション、シニア。契約サーヴァント、セイバー、ランサー、アーチャー』
「おい、ちょっと待ってくれ。何で俺がそんな危険そうなことを――」
淡々と俺の意思に沿わず進められる状況に思わず抗議の声を上げる。意味がないと分かっていても、反射的に体は動く。
「――っと? 何、だ……?」
そこで、ふと違和感があることに気づく。
「意識が、薄れて……? ……やべ、眠い?」
瞼がゆっくり、ゆっくりと沈み始める。それに合わせ、体の力も抜けていく。催眠か何かだろうか。ここに来て分からないことが多すぎる。しかも、施行する能力まで奪いにきた。
『スコアの記録は致しま――。どうぞ気の向――ま、自由――楽しみ下――』
「スコア、とか……そんなの……楽しめるかよ……」
ゆっくりと床に体を伏せ、俺本人に対する気遣いもないアナウンスに悪態を吐く。気を抜けば、いつでも眠りに落ちそうだ。
『英霊――シス―ム"フェイト"、―動し。百――秒の間、マス――とし――善い経験―――ま―よう」
「英霊……? フェイト……?」
最後の最後まで、俺に疑問を残すアナウンスは流れる。
僅かに聞き取れた単語を呟くも、それは睡魔に優しく意識を刈り取られ、俺は静かに眠りに就いた。
――夢なのか、何なのか、判別すらつかぬ曖昧とした意識の中で、俺は漫画で見るようなゴーレムと対峙する人達を見た。
それが誰なのか。何故、彼らは戦っているのか。そもそも俺はどうして彼らの後ろでそれを見ているのか。やはり何も分からない。
ただ、分かることもあった。彼らは、ゴーレムの攻撃から、俺を守ってくれている。まぁ、理由は分からないが。
そんな彼らの一人の剣士が、ゴーレムの攻撃を受けて蹲る。急所に入ってしまったのか、苦しそうだった。
だから俺は、その時突然頭に浮かんだ呪文を唱えて、その剣士に手を向けた。何故そうしたのかはよく分からない。
けれど、その行いが良かったのか、剣士の傷は少しだけ治った。効果は薄いが、触れてもいない傷が治っていくその光景は、まるで魔法や魔術のようだった。
その後、その剣士がゴーレムを切り裂き、戦いは終わる。脅威はなくなり、俺は心底安堵する。
そこで、俺の意識は再び微睡み始める。夢か現か分からぬ場所ではあるが、きっとこのまま寝ればこの場所のことは忘れる気がする。
ふと、彼らが俺の方を向いていることに気づく。
その目には、不思議なものを見るような、そんな意図が感じられた。俺、何かしただろうか。
「あ、そうだ」
一つ、していなかったことがある。これは、たとえ忘れるとしても、しなければならないことだ。
「俺を守ってくれて、ありがとうございました」
戦っていた理由も、彼らが誰なのかも分からないが、少なくとも彼らは俺を守るように戦ってくれていた。だから、それに対してお礼を言うのはきっと当然だ。
彼らは何やら驚いた顔をしていたが、その理由を聞く前に俺の意識は遠ざかっていく。
その
いかがでしたでしょうか? と、言える程の量はありませんが(笑)
最初は結構セリフが原作通りのものになると思いますが、コツコツオリジナルを増やしながら書いていきたいと思います。
感想、意見、誤字報告等、お待ちしております。