ハイスクールD×D『if. Only one of existence 』   作:輝山口

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プロローグ2

そこは平原である。特に何の特徴も無い平原、そこには2つの存在が居た。一つは人間、まだ若く15、6歳程の青年。もう一つは龍、赤き肉体を持った龍。2つの存在が向かい合っている空間は驚く程静かだった。 

 

「明日は入学式だしこの頃溜まってるから程々にしとこう。」

 

伝説の存在と対峙しているというのにその青年は全く気圧されず、まるで友達のように気安く声をかける。

 

「…そうだな、溜まってる状態でやり過ぎると危険だからな。」

 

青年の態度に怒る様子も無く、赤き龍はその青年に返答する。そして次の瞬間、ズドンッ!という音と共に龍の拳が振り下ろされた。龍ならではの巨体とそれに合わぬ俊敏性で振るわれた拳による衝撃波は周囲の大地を吹き飛ばしていく。しかし、

 

「…ふむ、今のでもそこらの者共なら簡単に粉々になっているのだがな…、やはりこの程度ではまったく通用せんか。」

 

煙が晴れ衝撃波により出来たクレーターの中心には少し服が汚れただけの、無傷の青年の姿があった。

 

「いやいや、boostもなしの素のパンチでこれ程とは、全くもって恐ろしいよ。さすがは伝説の龍、赤龍帝ドライグだな。」

 

「それを無傷で済ますお前に言われても嫌味にしか聞こえんぞ、相棒。」

 

青年の言葉に呆れたように返すドライグ、それに対し笑みで返答する青年。

 

「次はこちらから行かせて貰うぞ」

 

今度は青年から仕掛けた。凄まじい速度で迫る青年をドライグは迎え撃とうとするが、青年が一瞬で視界から消え、頭上に現れる。尻尾ではたき落とそうとするが、少年がその尻尾に手を添えると振り下ろされた尻尾がまるでカーブを描くように曲がった。

 

「セアッ!」

 

そのまま拳を脳天目掛けて振るう。しかしドライグが身を屈めてしまった。人が身を屈めるならば意味はあまり無いだろうが、ドライグが身を屈めてしまうとその巨大故に出来るスペース(空白地帯)は大きく、拳が空振ってしまった。

 

その隙をドライグが逃す筈が無く、ガパッと口を開けると、貯めていた魔力の塊を、

 

『boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!』

 

「くらえ」

 

一気に放出した。

 

「こりゃ不味い」

 

青年はそう呟いた後、赤い閃光に呑み込まれた。

 

赤龍帝ドライグの能力の一つ、名は『倍加』、その名の通り能力は何かを倍加する事。ドライグはこれを自分のブレスに使い放った。元々強大な出力だったブレスはさらにその出力を増大させた。最上級悪魔だろうが天使だろうが消し飛ばすその赤い閃光。それをくらった青年は、

 

「無傷……か、流石だな。」

 

無傷のまま悠然とそこに立っていた。

 

「この程度では準備運動にすらならんか?」

 

「そんなことないさ、もう少しで消し飛ぶところだったよ。」

 

ドライグは青年の手に薄っすらとだが、魔力で出来たとても薄い壁を発見した。

 

「それで防いだのか?その薄さじゃ流石に防げはしないだろう。」

 

「まあね、これは魔力を出来るだけ圧縮してちょっと工夫しただけのただの魔力の壁。でもまあこれじゃあ真っ向からは受けられない。なら受け流せばいい。」

 

青年がやったことは、出来るだけ圧縮した魔力の壁を三角錐形に形成し、ドライグのブレスを受け流したのだ。

 

「さも当たり前の様に言うがそれ、かなり難しいぞ…」

 

ドライグが呆れてしまうのも無理はない。なぜなら、防御の魔法陣ではなく魔力そのものを圧縮してしかもそれを三角錐形に形成するのは至難の技だ。

 

更にそれを防御に利用するなど。無数の魔力の粒子をただ固めるのではなく、一つ一つ形状、繋がりを考え、イメージし、それを実行する。

 

これだけでも途轍もない集中力と技術を必要とする。そこから配列を模索し並べていく、少しでもズレがあれば、その箇所がブレスの衝撃に耐えられず崩れ、繋がりが途切れ魔力の壁は崩壊してしまう。

 

魔力を圧縮しているという事は、普通にするより更に多く、複雑になっていく。

 

今の彼では壁を作ったとしてもドライグのブレスを耐えるにはまだ足りない。

 

なので大気中に漂う魔力を利用し、魔力総量を上げた。しかしそれでもまだ足りない、そこで彼は角度を調整することにした。

 

受け止るのでなく受け流す事によって本来受け止められない火力でも流れる水の様に、向きを変える事でやり過ごしたのだ。それを何の補助も無くこなした彼の技術にドライグは舌を巻くばかりだった。

 

「透過を使えば今ので倒せたかもよ?」

 

「アホな事言うなよ。俺の透過能力は対象に間接的干渉、いわゆる特殊能力を透過する性質を与える力だ。お前の魔力の壁は特殊能力でも何でもない、直接的干渉に分類されるものだ。」

 

「そこらへんの判断は曖昧なんだよなぁ……ま、今後の課題だな。んじゃもう終わりにしようか。」

 

「ああ、もう起きる時間だろう。」

 

青年は地上に降りると右腕を突き出し左手を右手首に添え、重心を前に落とし指の先に魔力を集めていった。ドライグは先程と同じ様にブレスの構えを取り、口内に魔力を集めていく。そして放たれた2つの光線は空間を赤く染めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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