それと後書きにて今後の運営について発表しますので、お手数ですが読んでくれると嬉しいです。
10/13:投稿の際、一部改定及び修正
11/2:文章修正(段落付け・文章一部改定など
―鬼を追い払い、ある狩人が想いを告げている頃。
楽土と呼ばれる島は、実は未だに謎が多い。というのも、一度は鬼鉄蟹を退け島を手に入れたものの、わずか1年では探索が隅々まで行き渡らない為である。
そもそも楽土とは、オニムシャザザミがそこへ移り住んだからこそ発見できたものだ。だからこそ豊富な自然や古代遺跡を発見できたともいえる。
だからこそハンターズギルドは、オニムシャザザミ撃退の為にクエストを発注し、その証である黒玉を手に入れる必要があった。
黒玉のおかげで大型モンスターが警戒し陸地に入り込まないとはいえ、海に住まうモンスター達には通用しないという欠点もある。
楽土周辺の海には、意外にも多くのモンスターがうろついている。エピオスを始め、ラギアクルス、ガノトトスなどといった大型の水棲モンスターまでもが、楽土の恵みを求めてやってくるのだ。
幸いな事に、陸地に住まう大型モンスターはオニムシャザザミただ一匹で、しかもちょっかいさえ出さなければその恵みを分けて貰える。
逆にここを縄張りとしようとでしゃばるものなら、オニムシャザザミが襲い掛かり、海に叩き落とされるのがオチだ。
だからこそ楽土の陸上には鬼を除く大型モンスターが存在せず、平和な自然界が保たれている。
逆に言えば海中には大型モンスターがいくつか存在しており、海を渡ろうとすれば危険が伴う。
―とある海域を除けば、だが。
実はこの楽土周辺の海底には、多くの古代遺跡が沈んでいる。
大昔は陸上だったのか、或いは海底に築いた都市なのかはわからないが、神殿のような町並みが存在している。
今は全て海の藻屑となって崩れており、人間ではなく魚やモンスターの住処となっている。
しかしそれらは考古学者から見れば涎が垂れるような考古学的遺産であり、過去の歴史の一部を知る重要な手がかりでもある。
残骸の中には宝と呼べるような物も眠っているかもしれないのだから、今後の調査次第では期待が持てそうである。
そんな海底遺跡に人々が気づかなかったのは、先も言った大型の水棲モンスターの存在もある。
そしてもう一つの理由が1年間という僅かな期間だ。陸地ばかり目を向けていて、水中深くまでは人の手が回せなかったのである。
再びオニムシャザザミが追い払われたことにより見つかる可能性が高まるが、それは置いておこう。
その海底神殿を道なりに行き、楽土へと向かう先に、そこはあった。
楽土を人工的に掘り進んだような洞窟。その奥の奥……楽土の中心部へと続く暗き道を進んでいく。
下へ下へと続くその道は、発光体を持つ海藻類しか灯りが無いため、古代から住まう鮫や奇妙な魚が泳ぎまわっている。
―まるで奈落の底に繋がっているような暗闇の道。その最深部にそこはあった。
岩壁に突き出た水晶とピュアクリスタルが楽土から漏れる僅かな太陽の光を受け、乱反射と増幅を繰り返して照らされた空間。
そこはモガの村にあるという海底遺跡と酷似しているが、規模が違っていた。
まるで楽土の地面を円筒状にくり貫いたような空間は、中央の舞台を眺める為の歌劇場のよう。
岩盤に張り付くように築かれた遺跡は、水以外の脅威とは無縁であったのか、当時の面影が綺麗に残っていた。
そして極め付けは上下の空間。上も下も果てしなく遠く、上には輝く光が、地面には奈落の闇へ続く割目が存在いていた。
時を刻むのをやめてしまったかのような空間の中央。そこで唯一時を刻んでいる存在……ある巨大な生命体が陣取っていた。
―ナバルデウス。
ラギアクルスに酷似した巨体を持つ、未だに解明されていない古龍種だ。
確認されている固体といえば、白き大海龍ナバルデウスと、その亜種……金色に染まる皇海龍。
だがこの深き眠りに入っているナバルデウスは、そのどちらでもなかった。ラギアクルスと同格の大きさを誇るが、原種や亜種に比べると小さく見える。
深遠のような限りない黒に近い青。その硬い皮膚には幾つもの傷があり、見る者に貫禄を与えさせられる。
ただの幼生体なのか、それとも別の生き方を選んだ亜種なのか。それは彼だけが知っている。
ふと、ナバルデウスは覚醒したかのように一気に目覚め、上を見上げる。
―上からオニムシャザザミが降ってくる。それも隕石と紛うことない速さで。
ナバルデウスは、最初からその落下を読み取ったかのように中央から少し移動する。
その直後、オニムシャザザミは海の底へと落ち、海底遺跡を大きく揺らした。
もうもうと煙が漂う中、オニムシャザザミは何事も無かったかのように姿を現した。
鋼鉄の身体を持つオニムシャザザミにとって、深海の水圧だろうが急降下による落下だろうがへっちゃらである。
加えてこのオニムシャザザミは、なんと海中にだって適応可能だ。元は蟹だとはいえ、凄まじい適応力である。
やがて自分の重みで出来た穴から這い出ると、浅瀬へと続いている洞窟へと足を進める。
水中だからかいつもよりも早く移動しており、どことなく、早くココを出たいという焦りを醸し出していた。
一方のナバルデウスはといえば、突然の来訪者に驚きはしたものの、襲うことは無い。
なんだこいつか、と言わんばかりにオニムシャザザミの姿を確認した後、再び中央に戻る。
実はこのナバルデウス、以前にもオニムシャザザミに会ったことがある。といっても今回のように、お互いに闘争心はなく、通り過ぎただけなので何も起こりはしなかった。
海で暮らすナバルデウスにとって、陸地に住む生物のことなど気にも留めない。それに自分から縄張りから出て行くのだから、襲う理由もないし、関わる理由もない。
眠いからさっさと帰れ、と言わんばかりに尻尾を軽く振り、オニムシャザザミを見送った後で深い眠りに付くのだった。
その島が、鬼の住む楽土と呼ばれていることに間違いはなかった。
ただ間違えたことといえば、支配者は二匹存在していた、という誰も知らない事実。
陸地にはオニムシャザザミが、深海にはナバルデウスが支配者として君臨していた。
ただ、このナバルデウスの存在を知るのは、恐らくずっと先になるだろう。
何せ彼が居る場所は深海の海底遺跡だ。人の手が入るには相当の時間が掛かることは間違いない。
―自分から上へ登ってくるのなら話は別だが。
ともあれ、ナバルデウスは今もなおここで眠っている。
いつしかハンターが襲ってくるという考えすらなく、ただ己の時間を生きていく。
人が海に住む鬼の存在に気づくのはいつになるのか。それは神のみが知ることである。
さて、話は逸れてしまったが、オニムシャザザミはようやく日の光を目の当たりにする。
ようやくとはいうが、海底都市にたどり着くのにかかった時間は数十分程度でしかない。
そのままオニムシャザザミは海底都市の道を、割と早いペースで歩いていく。
目指すは大陸。楽土以外の、自分の食欲を満たすことのできるどこか。
オニムシャザザミは海を歩きながら、今日も今日とてのんびりと生きていくのである。
―完―
いつもヤオザミ成長期を読んでくれてありがとうございます。おかげさまでUA数やお気に入り件数が増えつつあります。
過去から読んでくれた方も多く、ハーメルンに投稿してよかったと心から思っております。
ただ、やはりピクシブとは違って読者様の感想も多く、考えさせて頂いた感想も頂きました。
ハンターがモンスターを狩猟する理由が酷いと改めて気づかせてもらい、
ハンターズギルドという公式設定を無視しているのではと自覚させて頂き、
章毎に本編と変異種編を分けたけど逆に読みづらいという指摘を頂きました。
にじファン時代やpixivでは頂けなかった、大変貴重なご指摘です。ありがとうございました。
これらのご指摘を頂いてから、色々と考えるようになりました。
ご存知の方がいるかもしれませんが、当作品はpixivの方が最新話まで更新しています。
ですがそれを見ると確かに理不尽で公式設定を無視している部分も多く、修正が必要だと考えています。
その他、pixivからハーメルンへ完全移植するべきか、モンスターハンターデルシオンをここで公開すべきか、変異種編を別投稿すべきか。
元々作者は優柔不断な所や集中力が持続しないもあり、色々と悩んでしまいます(汗)
そんなこともありまして、こちらでの更新が少し遅れます。
遅れると言っても、これまでのように連続投稿せずに一話投稿だけになりますが、周に一度は確実です。
今後の小説作成も含め、作品の修正や行の整理、応募や別投稿を考慮するとなると時間が掛かりそうなので(汗)
基本方針としては作品の修正を主にやっていきます。下手すると膨大な量になりかねないので(汗)
これらに関して皆様からご指摘やご意見などありましたら、是非お聞かせください。
この作品はにじファン時代より、読者様の感想や評価、ご指摘とリクエストで構成してきましたので、読者様と作るモンハン小説も同然です。
読者様に甘えるようで情けないですが、どうかよろしくお願いします。
ちなみに作者の主な参考書(?)は「モンスターハンター大辞典Wiki」というサイトです。
未熟で知恵が浅い作者ですが、これからもコツコツ頑張ります。