ヤオザミ成長記   作:ヤトラ

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作者が設定した第三王女の人気っぷりに驚きました。この変態どもめ!(失礼



第22話「第三王女を捜せ!」

―捜索隊視点―

 

 はぁ……嫌だ嫌だ。なんで俺らが砂漠のど真ん中にいるんだろうな……俺が乗っているアプトノスが不機嫌そうに見えるよ。

 そりゃ、俺たち捜索隊は捜す事がお仕事だから仕方ねえんだけど……オニムシャザザミがいるって解かっていると不安でしかないぜ。

 こんな日中の砂漠で、あのワガママな王女様を探し出せなんて……一時期、ドスガレオスに襲われて大変だったのにさ。

 ハンターさんがドスガレオスを引き受けてくれたから、今は比較的安心して探せるけどよ……。

 

「隊長、オニムシャザザミを発見しました」

 

 俺の部下が目標を見つけたようなので、そちらに双眼鏡を向けてみる。ちなみに俺、見た目は無精髭の生えた親父だが、こうみえても隊長なの。

 うへぇ、いるいる。でっかいオニムシャザザミが、のっしのっしと暢気に歩いているよ。心なしか、のほほーんとしてんねぇ。

 しかもそのまま歩き続ければ、王国にたどり着いちゃうじゃん。やっぱオアシス目当てなんかね?

 歩いているだけならまだ無害なんだけどなぁ……盾蟹よりも大人しいって聞いたし。

 

 それでも俺達はオニムシャザザミを見張っておく必要がある。何故かっつーと、王女様があいつを捜しているに他ならねぇ。

 王女様が残したっていう置手紙には「オニムシャザザミを見に行く」とあったから、オニムシャザザミを見張っておけば王女が見つかるかもしれん、というのがセバスさんの案。

 ネコートさんの助力もあって、今ドスガレオスとその群れを狩猟しているハンターさん達にも、王女が見つかったら報告するようお願いしている。

 (ウチ)の都合で巻き込んだようで恐縮したんだが、ハンターさん達は気にしていない様子だった。これも依頼だからって諦めもあったが。良い人達だったなぁ。

 

「隊長、戻りました」

 

 お、別の捜索隊が戻ってきたな……あー、やっぱ駄目か?顔に出てるぞ。

 

「お疲れさん。……で?王女様は見つかったか?」

 

「いえ……残念ながら」

 

 やっぱりな。

 

 捜索隊の目の見える所に居ないどころか、王女がまた飛び出したと聞いた時から解かってはいたが。

 王女って良くも悪くも運と頭が良いから、一度飛び出すと中々見つからず、それでいて確実に生き延びてきた。

 モンスターが蔓延るこのご時世に、王族とはいえお子様が練り歩いて無事に帰還するだなんて、普通ならありえん。

 

 けどまぁ、ありえないといったら嘘になる。

 王家より受け継がれた加護か何かがあるんじゃないかって言われているぐらいの強運と、元ベテランハンターのセバスさんから学んだサバイバルと調合の知識。

 これらが合わされば、例え子供といえども生き残る可能性の方が高くなるのは必然。

 もし彼女が王女でなくハンターとして、いや探険家とかになったら間違いなく名に残る人物になれただろうに。つくづく憧れちゃうよ、王女様の才能には。

 

「……隊長?これからどうしますか?」

 

 おっといけねぇ。ボーっとしちまったか。

 

「王女捜索隊はこれまで通り探索を続けろ。俺達はオニムシャザザミの観察と将軍への報告の二部隊に分かれて移動する」

 

「了解しました!」

 

 元気良くて結構!活き活きしているねぇ~。

 とてつもないワガママで放浪癖があるのは面倒だが、なんだかんだで慕われているね、王女様。

 さーてと、嫌だが俺は将軍閣下にご報告に行きますかね……っと。

 

 

 

……まさかだが、王女は今頃オニムシャザザミのヤドの中に入ってたり……しないよな。さすがに。どんだけタイミング悪いんだよって話だ。

 

 

 

―王女視点―

 

 ほほぉ、オニムシャザザミのヤドはチャチャブーの住処となっていたのか!オニムシャザザミが歩く度に大きく揺れるのは面倒じゃが、中々に広いの!

 

 それにしても、奇面族を見たのは初めてじゃ。このチビは少々変わっておるが……。

 本によると大変危険な獣人種とされているらしいが、最近は人間に友好的な者も見つかっているという。

 このチャチャブーもそうなのだろうな。わらわをすぐに襲うことは無かったし……。

 

「ハグハグ」

 

 わらわが厨房から拝借したこんがり肉をやったら大人しくなったしの。

 チャチャブーとは肉が好きだと聞いていたが、まさかここまで大人しくなるとはな……よく見てみれば、アイルーに劣るとはいえ、中々かわいい奴ではないか。

 

「決めた!貴様はわらわの子分になるのじゃ!」

 

「キ?」

 

 チャチャブーが首を傾げてこちらを見た……と思ったら、ゲップしてきよった!汚っ!

 まぁ良い。アイルーなどに比べると人語に乏しいらしいし、そこは勘弁してやるとしよう。

 とりあえず後でマナーを教えてやるとして……今は内部探索じゃな!

 

 ここはガラクタまみれで面白いのぉ~!ほぉ、この変な形の石なんぞ興味深い!

 

「キ~、キ~!」

 

「ええい、離さぬか!」

 

 なんじゃなんじゃ、途端にわらわに抱きつきよって!わらわにケモナーの趣味は無いぞ!?

 いや、こやつにとってのお宝を盗られると思って警戒しておるのか?・・・この変な石も含め、どう見てもゴミとしか思えんが。

 しかし、そんなの関係あらぬわ!わらわの物はわらわの物、子分の物もわらわの物じゃ!

 

「キー!キー!」

 

「いた、いたたたっ!?」

 

 痛い痛い!ぬぅ、見た目によらぬ怪力よ!ポカポカ殴られただけでもメチャクチャ痛い!

 ……そこのお主!わらわは身体を鍛えているスーパーなレディじゃから、子チャチャブーぐらいなら平気なのじゃ!だから気にするな!

 にしても危ない奴じゃ!チャチャブーとはいえ無礼であるぞ!?じゃが貴様が手を出すというのなら……。

 念のためにリュックに取り付けていた、この装備が役に立つとはな!さすがわらわじゃ!

 

「フッフッフ……よかろう!わらわが直々に相手してやろうぞ!」

 

 見よ!爺から授かりし武器、片手剣を!わらわでも扱いやすい軽い素材で出来た一品じゃ!

 決して、爺の手作りのナイフと盾というサバイバル道具的な装備ではないぞ?ホントじゃぞ!?

 とにかく、ベテランハンターの爺より学んだ片手剣術の実力、この剣で見せてやろうぞ!さぁどこからでもかかって……おろ?

 

「キキ?キー!キッキー♪」

 

 あー!こら貴様、何わらわのリュックを漁っておるのじゃ!いくら貴様から見たら珍しい物でも……ギャー!わらわの替えのパンティーがぁー!

 

「止すのじゃ、返すのじゃー!」

 

「キー!キー!」

 

 こ、こら!それを被るでない!変態か貴様は!?返すのじゃ返すのじゃー!ええいこの、暴れるでない!子分の癖に生意気なー!

 

 

 

―第三者視点―

 

 アカムトルムの頭蓋骨の中でそんな珍騒動が繰り広げられている頃。オニムシャザザミは、風の流れに乗ってやってくる水分を頼りに歩みを進めていた。

 

 あらゆる環境に適応できるようになったとはいえ、生きる以上、水分は必要不可欠。より多くの水分を得ようと、果てにあるはずのオアシスまで脚を運んでいる。

 なにやらヤドが微妙とはいえ揺れているようで気になるが……放っておいて先を進むとする。

 

 やがてオニムシャザザミは、王国へと続く峡谷へとたどり着いた。

 この壁のように聳える谷とその間にある狭き道こそが、王国を守ってきたといっても過言では無い。

 もしこの道なりに続く谷間が無ければ、老山龍や砦蟹の行く先を理解し、砦や砲台を配置することは無かったのだから。

 それでもオニムシャザザミはオアシスを目指すべく、谷間にそって歩いていく。

 

 しかし……オニムシャザザミも確認できないほどに遠い先には、ある者達が陣取っていた。

 

 

 

「あ、ありのままに今までの経緯を話すぜ。

 俺達は確か、クック先生に会いに行く為に新大陸から旧大陸に渡る船に乗っていたんだが、途中出会ったネコートさんに連行され、オニムシャザザミの足止めとして半ば強引にクエストを受けさせられたんだ……。

 緊急クエとか、集会所クエとか、そんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。もっと恐ろしい、ネコートさんの片鱗を味わったぜ……!」

 

「謎よ、ミステリーよ!」

 

「ジエン……違った、自演乙」

 

 ドスンと音を立てて大タル爆弾Gを道端に置きながら、レウス装備の男は呆れたように二人に向けて呟いた。

 そんなツッコミなど聞いていないかのように、自分のタル爆弾を置き終えたレックス装備の男とナルガ装備の女はネタを演じている。

 ナルガ女のは聞き覚えがあるが、レックス男のは世界の理を超えたかのようなネタだが……ここは置いておこう。

 

 レックスXにガンランスを装備した男はドドル、ナルガXに弓を装備した女はミラージャ、レウスXにハンマーを装備した男はダリー。

 彼ら三人は、イャンクックを愛するハンター達だ。見た目は似ているが、今の防具と装備は旧大陸使用のものに着替えている。

 彼は丁度ドドルの言った通り、イャンクックに会いたいと喚く二人の為に旧大陸に渡ろうとしたのだが、途中でネコートに頼まれて依頼を受けることになった。

 それがオニムシャザザミの足止め。相手はあの有名な巨大甲殻種ということもあり自分達でも不安には思うが、あくまで足止めで良いという。

 だからこうして罠代わりに爆弾を設置しているのだが……果たしてこれが通用するかといえば怪しい。頑丈な上にタフな奴だから。

 

「ダリー、あなたも思うわよね?これはミステリーよ!」

 

「知るか。足止めとはいえ国の一大事なんだし……ドドル、ミラージャを止めt」

 

「謎や!ミステリーや!ネコートさんぱないの!」

 

「ドドル、お前もかー!」

 

 緊張している自分が馬鹿みたいじゃないか。そう思ったダリーは、今もなおふざけている二人を怒鳴りつける。

 こんな二人だからこそ緊張しすぎることは一切なく、いつもの調子でクエストを受けることが出来たのだが……怒りの方が多いのは致し方ないだろう。

 

 こんなんでオニムシャザザミの足止めができるんだろうか……ダリーはゲンコツを喰らって大人しくなった二人を前に、憂鬱げな溜息を漏らした。

 

 

 

 そんなハンター達が準備を進めていることを知らないオニムシャザザミはといえば。

 

 アカムトルムのヤドの揺れが徐々に大きくなってきて、それどころではなかった。

 歩みを止めるほどではないが、少々やかましいと思えるほどに面倒がってはいる。

 こんなときにあのチャチャブーは何をしているのだろうかと、少し苛立ちを覚えてしまう。

 それでもオニムシャザザミは歩みを止めない。オアシスに辿り着いて水分を補給すれば、少しは苛立ちがおさまるだろうと思って。

 

 さらにそのアカムトルムの頭蓋骨内部では。

 

「こんのー!大人しくするのじゃ!返すのじゃー!わらわのお気に入りのポリタン人形―っ!」

 

「キー!キー!キー!」

 

「キーキーではないわ、このたわけ!」

 

 相変わらず王女とブッチャーが物の奪い合いを繰り広げていたのであった。その先を行けばハンターと遭遇すると知らずに、ドッタンバッタンと。

 

「それは食べては駄目なのじゃー!爺達お土産にと思って手に入れたガレオスイカじゃぞー!」

 

「キー、キー!」

 

 子供とはいえチャチャブーを押さえつけられる辺り、この王女も只者ではない。

 とはいえ、やっているのは子供の喧嘩に違い無いが。

 

 

 

―完―




ついにイャンクック愛好家(一部否定)トリオの名前が決まりました。はい、どうでもいいです。
彼らの活躍はモンスターハンターデルシオンで確認できます。装備がちょっと変更した程度です。

次回からはピクシブとは大分違う展開になるので、1から書き直す羽目になります。
なので更新が遅れるかもしれません。楽しみにしている方、どうかご了承ください。いざとなったら短編でも加えようかなと思います。
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