……最近になって「成長記っぽくない」と感想を頂いてそれに気づいた阿呆な作者もよろしくお願いします(汗)
2014/1/7:タイトル修正及び誤字修正
沼地と呼ばれるフィールドがある。正式名称は「クルプティオス湿地帯」。ここは一年の降水量が多く、湿気も多い地域だ。
そのうえ夜になると気温が低くなり寒冷地帯となる他、一部には毒沼と化する程の毒素や瘴気が渦巻く。
その濃度は高く、毒性を持つゲリョスや睡眠ガスを放つバサルモスが主な生息モンスターだと言えば解かるだろうか。
寒気が身体を襲う上、下手をすれば毒素が身体を蝕む。
オマケに背丈の高い草木が生える地帯は面倒だし、沼地によく見かけるブルファンゴやコンガ、ガブラスが地味に邪魔となる。
討伐や鉱石目的で向かうハンターにとっては油断できないフィールド……それが沼地である。
もちろん、こんなフィールドでもモンスターは普通に生息する。
毒素が全体を蝕むわけではないとアプトノスが歩き、ブルファンゴやモスがキノコを食す為にあちこちを探す。
そんな草食種を狙ったイーオスやゲネポスが洞窟を駆け巡り、それを追い返そうとババコンガがフンを投げる。
寒い洞窟内であろうとも健気に生きる彼らは、まさに人間とは比べ物にならないほどの適応力を持っていると言えよう。
むしろこの地帯はキノコがあちこちに生えている為、ある意味で食料も豊富と言えよう。
こんな毒の沼でも自然の恵みは広がっているのだ。環境が違い食物の種類が変わる程度でしかない。
そんなキノコを求め、オニムシャザザミはこの地に足を踏み入れた。
話は急に変わるが、ダイミョウザザミは基本的には暖かい地方を好む。
オニムシャザザミも例外ではなく、極端な寒さに弱いのか、凍土や雪山に足を運ぶことはない。
それは人間側にも周知されており、逆に雪が降り積もる地域に暮らす人々はオニムシャザザミの存在を微かにしか認知していない。
だが、意外にもオニムシャザザミは沼地に足を踏み入れた。
そこに、菓子ではない、本物のキノコの山があると本能的に理解しているからだろうか?
オニムシャザザミの食欲の高さを知っているハンターならそう判断しても可笑しくは無い。
甲殻種には寒さに強い種が存在しており、寒冷地への適応が不可能というわけではない。
雪が降る地方に甲殻種の姿を見た者は居ないだろうが、沼地の洞窟なら見たことがあるだろう。
ショウグンギザミやアクラ=ヴァシムがその一例。いずれも低温の地域にも生息する甲殻種である。
ショウグンギザミに至っては火山地帯にも生息する他、沼地の毒を体内に宿す特異個体が現れる程。
そしてオニムシャザザミの適応力は、それら以上の適応性の高さを秘めている。
かつて新大陸に迷い込んだヤオザミが、長い年月を掛け、多くの苦難を乗り越えてここまで成長したとなれば当然だろう。
食料を求めて西へ東へと足を運び、暖かい海辺や灼熱の砂原地帯、火山や渓流にも適応してきた。加えて幼生の頃から毒キノコ類を食してきた為、免疫力もずば抜けている。
そんなオニムシャザザミが沼地に適応できるかと問われれば……イエスと答えられる。
オニムシャザザミは、毒素渦巻く沼の中でも平然と歩き続け、薄暗い大地を散策している最中であった。
元を考えてみれば、ダイミョウザザミも夜の砂漠という寒冷に耐えることが出来る。
オニムシャザザミにとって、過剰な水分も、毒素も、そして湿気による冷え込みもどうということはなかった。
好奇心で寄ってたかるコンガ達を気にせず黙々とキノコを食し、満足に至っている。
そんなオニムシャザザミのヤドの中では、ある野望が成就されようとしていた。
最近オニムシャザザミにとって有益な存在と認識されつつある、しかし忘れがちな獣人種……奇面族のブッチャーである。
彼はオニムシャザザミのヤドを自分の住処とし、日々オニムシャザザミに珍しい食べ物を献上し、外敵から守ってもらっている。
いわば一種の共生ともいえるが、ブッチャーにとってオニムシャザザミとは強さの象徴――憧れなのだ。
そんな彼は、密かにオニムシャザザミの殻を集めることを日課としていた。
ひび割れから零れ落ちた殻の破片をコツコツと集め、少しずつ溜め込んできた、一見するとゴミの塊にも見えるそれら。
それらを奇面族の技術(ブッチャーは手先が器用なのだ)でまとめ、作り続けてきたものがあった。
ついに、ついに出来たでヤンス……わちきにとって最強のお面が!
破片とはいえ異常に硬い殻を必死で加工し、手を傷めてでも削り続けた最高の一品。
それこそが、真っ赤な鳥兜に見える、オニムシャザザミの殻から創り上げたお面である。
ブッチャーがズッシリと重いそれを両手で掲げると、嬉しそうに踊り出す……が、重いのですぐ止めた。
ブッチャーにとって最強といえるオニムシャザザミから出来たお面を自ら創り上げたのだ。喜びは人一倍だろう。
名づけるとすれば「鉄壁のお面」。どんな攻撃にも耐えられそうな強いお面だ。
さっそく装着しようと、今被っていたイャンクックのクチバシのお面を脱ぎ捨て、鉄壁のお面を被る(この間、僅か0.1秒)。
紅く重い鳥兜を被りフラつくブッチャーだが、彼は体で喜びを表現していた(どんな様子かは想像にお任せします)。
だが、ここでブッチャーにある異変が起こる。
お面を被って喜んでいたと思いきや、突然ピタリと立ち止まってしまう。
どうやらオニムシャザザミの素材で作ったお面の影響か、ボーっとしているようだ。奇面族の性格がお面に影響するとはいえ、ここまでとは。
沼地でのんびりと過ごしているオニムシャザザミと、そのヤド内でぼーっとしているブッチャー。
そんなオニムシャザザミを、ある影が見つめているとは、この時二匹は知る由もなかった。
―完―
考えてみれば、深海に生息する蟹は高温が吹き出る所に餌求めて集まるのもいるんですよね。
甲殻類って本当に頑丈だなーってつくづく思います。だから大好きです甲殻類(笑)
そしてブッチャーの新たな仮面が完成!咆哮にもビビらない鉄壁のお面です。
というか中々出番を与えられませんね。何のために登場させたんだ私(苦笑)
ではまた次回にお会いしましょう。読んでくれてありがとうございました。