前話の投稿後、感想でやたら上記のような台詞を頂きました。仮面ライダーの台詞だったのか……。
狙ってやったつもりなかったんですが……(苦笑)
2/5:サブタイトル微修正
オニムシャザザミといえば、最近ハンター達の間でウワサになっているモンスターが別にいる。
それがオニムシャザザミのヤドに住まう奇面族の子供……ブッチャーである。
奇面族はガス弾や地雷などを作ることのできる高い知能を持っていることで有名だ。
彼がオニムシャザザミのヤドに住まうのも、外敵から身を守る手段なのだろうと容易に考えられる。
だが、このブッチャーが非常に面倒な相手となる。
奇面族ならではの賢さ故か、様々な手段でオニムシャザザミを誘導する知恵を持っているのだ。
誘導といっても移動ではない。オニムシャザザミの攻撃本能を刺激させる、という厄介なものだ。
その一例を、これからご紹介するとしよう。
「……な、なんだっぺか、このチャチャブー……?」
ザザメタルを採掘していたガラダ達四人の前(というか頭上)に現れた奇面族の子・ブッチャー。
ヤドの上を陣取っていたかのように立っていたが、突如として飛び降り、四人の前で綺麗に着地。
そしそのまま目の前でボーッと立ち止まっているのだ。これにはハンター歴の長いフィジクやラメイラも首を傾げるしかない。
普通なら奇面族となれば問答無用でこちらに襲い掛かってくるのだが、このブッチャーに限りソレがない。
むしろ、着地しておいてなんでボーっと突っ立っているのか質問したいぐらいだ。しかし下手に刺激して襲い掛かっても困るのがフィジクとラメイラの考えだ。
ところがどっこい。この中にいる喧嘩腰ハンターは容赦しなかった。
「どりゃ!」
バルデトの たたきつける こうげき!
―ゴツン
こうかは いまひとつの ようだ。
「「なにやってんのーーー!?」」
バルデトの行動にフィジクとラメイラは叫び、ガラダに至っては挙動不審に陥ってしまった。
面倒なブッチャーが大人しくしているのならそれでいいはずなのに、どうしてこんなことをするのか。
それはバルデトの押しの強さに関係していた。
「だってボーっとしてんなら攻撃して追い返した方が早いじゃん。いつ攻撃してくんのかわかんねーし」
よほど仮面が硬かったのか、ジンジンとする手を振りながら答えるバルデト。
好戦的というか、考え無しというか……フィジクとラメイラはバルデトのこういった所に悩みを抱えていた。
しかし対する奇面族はといえば、狩猟笛で頭を狙ってぶっ飛ばされたにも関わらず、ゆっくりと起き上がっている。
どうやら平然としているようで、むしろ叩かれたことによって意識を取り戻したようだ。どんだけ硬いのやら。
やがてブッチャーは思い出したかのようにまたキーキーと鳴き叫ぶ。
ブンブンとハンマーのような杖を振り回しているところからして、どうやら出て行けと言っているようだ。
しかし払うようにして其の場で振り回しているだけなので、四人は何が言いたいんだろうと首を傾げるばかり。
するとブッチャーはおもむろに腰みのに手を伸ばし、黒い球体のものを取り出したではないか。
それが何なのか解からないが、四人は身構える。この時ばかりはバルデトも慎重に出るべきだと考えたからだ。
ブッチャーは四人のことなど知った事では無いとばかりに、手に持ったそれを上に向かって投げる。
―キィンッ!
(音爆弾!?)
突如として鳴り響く高周波に一同は思わず耳を塞ぐ。
辛うじて冷静であったフィジクが、先ほどの高音を耳にしたことでブッチャーが投げた物を理解したが、時既に遅し。
眠っていたオニムシャザザミとエスピナスが、突如として響いた高周波によって目覚めたのである。
爆音とは違う耳障りな高音は二匹の防衛本能を刺激し、まどろみをすっ飛ばして一気に覚醒へと導く。
喧嘩っ早いバルデトを除く三人はその様子を見て不味いと瞬時に察し、バルデトを押さえ込んでオニムシャザザミの陰に隠れることに。
オニムシャザザミはだらしなく下げていた鋏を瞬時に合わせ防御姿勢に入り、
エスピナスは丸まっていた状態から直に首を伸ばし、キョロキョロと慌しく周囲を見渡す。
幸いなのは二匹ともオニムシャザザミの死角に隠れているハンター達を見つけられず、何事かと見渡すだけに留まったことか。
それでも急な音に驚いた上に眠りを妨げられたことには違いなく、エスピナスは珍しく苛立っている様子。
エスピナスはグルルルと喉を鳴らす程に怒ってはいるが、オニムシャザザミが犯人だとは思っていない様子。
そんなエスピナスですら無視して防御姿勢のままでいるオニムシャザザミの傍らには、ハンター四人が隠れている。
ちなみにバルデトは戦う気満々で手足が動いているのだが、フィジクとラメイラに羽交い絞めされ、ガラダに口を塞がれているので無理だった。
モガモガと暴れるバルデトを押さえつけながらこちらに気づいていない二匹の様子を見て、三人はほっと一息。
しかし、ここでまたブッチャーが面倒を起こす。
「キー!キキー!キー!」
なんと、四人の傍でカツンカツンとオニムシャザザミの足を杖で叩き、注意を引き寄せているではないか!
青年とはいえ力強いバルデトを押さえている為に手で止めることは出来ず、声を上げることもできず。
無言で慌てる中、ブッチャーは彼らがここにいることを知らせるようにして鳴き、音を立てる。
―オニムシャザザミにではなく、エスピナスに向けて。
エスピナスはその耳障りな音を聞いてそちらへと首を向ける。
そこにはオニムシャザザミの陰にじっとしているハンター四人と、こっちだこっちだと言わんばかりに跳ねる奇面族の姿。
普段なら温厚でハンターですら目に留めないエスピナスだが、眠りを急に妨げた苛立ちからか、四人と一匹に向けて咆哮を上げる。
「ゴガオオォォォォ!」
―よくも起こしてくれたなぁー!
なお、上記の台詞はイメージです。
とにかく、眠りを妨げた高音はハンターの仕業だと思い込んだのか、エスピナスはハンター達に敵意を振りまく。
こればかりは羽交い絞めにしていたバルデトの拘束を解放し、武器を持って身構えるしかない。
「チッキショ、あのチビすけ!」
やっと解放されたことにより呼吸が安定したバルデトだが、彼は苛立って天を見上げる。
その視線の先には、ヤドの天辺で挑発の踊りを舞うブッチャーの姿。ザマーミロといわんばかりである。
そんなバルデトの舌打ちですらエスピナスは無視し、翼を広げ、怒りをあらわにし咆哮を上げる。
ちなみに、オニムシャザザミは「我関せず」とばかりに防御姿勢を崩さなかった。
―完―
せっかく寝かしてもランゴスタやカンタロスが起こしたという経験を持つハンターは多いそうです。
もし意図的に起こしたりするようなモンスターが居たら、それはもう面倒なことになってたでしょうねぇ……。