現在はモンスターハンターらしくオニムシャザザミも戦うように仕向ける予定です。
ですがまずは更新頑張らないと……くそリオレイア亜種がつぇぇ(←作者が弱いだけ)
後書きにて報告があります。
モンスターを狩るハンターを統一しているのは、ハンターズギルドに他ならない。
モンスターも我々と同じ自然界に存在する生命であり、弱肉強食の世界で争う敵であり、共に自然を生き抜き競い合う同族である。
だからこそ必要以上の狩猟を禁じ、ハンターランクを設け、ギルドナイトを派遣することで、ハンターとモンスター両方の生存を図っている。
もちろんモンスターの情報収集にも力を尽くしており、危険度の設定、狩猟場の管理及び確保など幅広い調査を行っている。
最近では知識不足が故に、偶然の出会いで狩猟を試みる欲深いハンターなども居るが、そこは管理外だろう。
そんなハンターズギルドは、オニムシャザザミという甲殻種を稀有なモンスターとして認知しているらしい。
独立の種とも同種とも言いがたい「亜種」とは違う、原種から進化したとされる「変異種」。
イビルジョーによる食物危機や何らかの事情による急激な環境変化に対応し、進化してきたモンスター達の総称だ。
その種類が徐々に増えているという報告はあるが、未だハンターギルドの調査が浸透しておらず、生態はともかく進化の基準ははっきりとしていない。
そんな謎の多い「変異種」という定義が決まったのは、オニムシャザザミの存在が大きい。
新大陸であるユクモに突如として現れた甲殻種モンスター。その発見は奇しくもユクモ村創設とほぼ同期であったという。
発覚したのは、かつて新大陸のユクモ地方に乗り出した当時の漁船の子孫からの情報だ。
食用ザザミ一匹が漁船から逃げ出したという記録があり、そこから鬼鉄蟹に進化した可能性が高いと学者達の結果が出た。
いかに新大陸が広くとも、現時点で確認されている甲殻種は三種類のみで、しかも個体数でいえば三匹だけだ。
それが鎧蟹アラムシャザザミであり、刀蟹ツジギリギザミであり、氷晶蠍アクラ・アシュラである。
ツジギリギザミは非常に高い危険度を誇り、アクラ・アシュラは隠蔽と潜行が上手く発見が困難とされている。
しかし鎧蟹アラムシャザザミが成長した甲殻種、オニムシャザザミは別だ。
変異種の代表格とも言える彼は堅く臆病でありながらも、その存在は常に露見されており、ギルドでも常時報告が取れている。
さらに複数の鉱石を体内で合金し甲殻に反映させるという特殊性は、世界に一匹という事実が無ければ、捕獲して研究しておきたい所。
そして合金された甲殻は武器としての素材だけでなく研究用としての素材としても貴重な物で、売買しようとすれば高い金額が表示される。
最近新大陸の火山地帯に稀に出没するというウラガンキン変異種の素材の方が高いが、それでもハンターから見れば大金には違い無い。
しかも鍛冶屋職人達が防具の開発を計画中との事でその需要はより高まり、ハンター達の期待も増していく一方。
まさに生態的にも商売的にも価値がある、非常に稀有なモンスターといえよう。
所変わって樹海の奥地では、一人のハンターがせっせとツルハシを振るっていた。
ゲリョスSヘルムを装備している為に見た目は解からないが背丈は小さく、まだ年若い青年であることがわかる。
臆病なスポーツ刈りの青年。それがガラダという元鍛冶屋見習いハンターの特徴……のはずだった。
「おらぁ!おらぁ!だべぇ!」
それがどうだ。常に自信を持てず消極的な彼とは思えない程の鬼気を宿しているではないか。
続いてムダムダムダァと叫ぶのではないかと思わせる程にツルハシを振るい、金属片を採掘する。
しかも相手はオニムシャザザミ。眠っているとはいえ、ひび割れた甲殻に遠慮なくツルハシを振るっている。しかもブッチャーがヤドの天辺で寝ているし。
気合を込めるように叫び、ツルハシを振るい落し、甲高い金属音が響く。それでも眠っているオニムシャザザミ。
そんなガラダとオニムシャザザミを傍から見ているハンター……フィジク・ラメイラ・バルテトの三名は唖然としていた。
大人しい分類に入るガラダがあそこまで一心不乱になって採掘しているのだ。その豹変っぷりは驚きでしかない。
「凄い覇気だね……」
「ほんと。いくら貴重だからってあそこまで躍起になるなんて不思議ねぇ」
「いつもあんだけガッツがあったら、もっと頼もしくなるな」
三者三様に感想を漏らすも、当人は気にせずツルハシを振るい……やがて動きが止まる。
どうやら持ちきれるだけの分を採掘し終えたらしく、ザザメタル等の鉱石をかき集め始めた。
両手一杯に鉱石を抱いて、三人の元へやってくるガラダ。ホクホク顔である。
「終わりましたべー」
「お疲れ。頑張ったね」
「今まで見た事の無いぐらいに満足そうな顔してやがんなぁ」
そんなガラダをやや引き攣った笑顔で向かえるフィジクと、物珍しそうな顔をして呟くバルテト。
自分でも自覚しているのか、バルテトの指摘に困ったように苦笑いするガラダ。しかし喜びは隠し切れないようだ。
そんな彼らの横で乾いた音が響く。三人が振り向けば、そこには手を叩き注目を集めようとしたラメイラの姿が。
「さてと、沢山採掘したし、さっさと納品して帰りましょうか」
「そうだな。いつエスピナスの目が覚めるか解からないし」
御尤もだとフィジクが頷けば、長居は無用だと言わんばかりに三人は走り出す。
オニムシャザザミは眠っているままだし大丈夫だとは思いたいが、エスピナスの存在を忘れてはならない。
オニムシャザザミに突っ込んで骨を折った上に気絶したとはいえ、死んだわけではないのだ。怒りの矛先をこちらに向けるかもしれない。
突っ込んだ相手が悪かったとはいえ、相手はあのエスピナスだ。それなりの経験を持つ四人組とはいえ、若人ハンターに棘竜は大きすぎる。
元々相手にするつもりは無かったが、怒りに任せてこちらをターゲットにされてはたまらない。だから早々に逃げる。
まぁ、結果的に無事ベースキャンプに辿り着けたのだが。物事とは意外とあっさり終わることだってある、ということだ。
確かに途中でエスピナスに遭遇したが、逃げて姿を晦ませば済む話で、四人ともこれといった怪我はない。
ちなみに何故姿を晦ます必要があるかといえば、ただ逃げるだけではベースキャンプごと襲撃しかねないからだ。
「これでよし……っと」
ベースキャンプに置かれている納品BOXに一定数のザザメタルを入れたフィジクは、ほっと胸を撫で下ろす……が、どこか残念そうな顔をしていた。
ハンター達にはいくつか規律があり、一定以上のレア度を持つアイテムの受け渡しを禁止する、というものがその中の一つにある。
故に納品BOXにアイテムを納品して、その後減った分を仲間から分けてもらう、ということはできない。だから出す側は少し損をするのだ。
ちなみにジャンケンで決めたのだが、それでも溜息を吐くフィジクに三人は同情せざるを得なかった。
「一時はどうなるかと思ったけど、無事に終わってよかったわね」
「……おいガラダ、何ブツブツ言ってんだ?」
「……皆にお願いがあるだす」
仕事が終わったからとヘルムを脱いでいたガラダは、真剣な眼差しで三人を見つめる。
先ほどまで全力でツルハシを振るっていた事もあり、三人は何も言わず彼の言葉を待つ。
「うちの鍛冶屋でザザメタルと甲殻売ってくれねぇべか?市場価格の倍は払うべ」
唐突な出来事の後には唐突な事場が待っていた。ガラダの言葉に三人は声を失うほどに驚くばかりだ。
しかし両手いっぱいにザザメタルを持ち、こちらを見つめる眼差しは真剣そのもの。そもそもガラダはこんな表情で冗談を言うタイプではないし。
ザザメタルを含め、鬼鉄蟹の甲殻は非常に高い値段で買取される。最近では移動キャラバンの竜人問屋と呼ばれる者が多く取り寄せようとしている程。
貴重な素材であるが故にその売却値段は高く、数個買おうとするものなら並のハンターの所持金がスッカラカンになるほどにお高いのだとか。
それを倍の値段で買うと言い出したのだ。一体いくらするのかわかったものではない。
「そ、そんなお金どこに」
「ハンターで稼いだお金があるべ。使ったのは防具と武器の強化ぐらいだから余裕はあるだ」
フィジクの質問にガラダは答える。確かにガラダはあまりムダ使いをしない為、お金は日々溜まっていく一方だった。
「ハンターズギルドから何か言われないかな……」
「問題があったら諦めるべが……どうか、頼んなます!」
ラメイラの躊躇する発言にガラダは少し怖気づくものの、深く頭を下げて願う。
ハンター同士のレアアイテムの受け渡しは禁止されているとはいえ、自分が買うではなく親方の鍛冶屋に売りに出せと頼むとは、色々な意味で不安でしかない。
「故郷って確かドントルマから遠いんじゃねーか?そもそもガラダって親方に……」
「遠いからって諦めらねーでくだせぇ!親方が怖くて鍛冶屋目指してられっか!」
勢いよく食いつくガラダに強気なバルテトも後退りせざるを得ない。え?誰コイツ?的な意味で。
ガラダの故郷は確かに遠い。そしてガラダをぽっとハンターとして送り出した親方が早々と許すわけがないだろう。
しかし今のガラダなら親方を言い負かしてしまいそうだ。バルテド自身はガラダの親方にあったことがないが(他二人も同じ)。
「……そもそもどーしてそんな必死なんだ?」
バルテトの問いかけに、フィジクとラメイラはガラダを見て静かに頷く。
そもそもエスピナスがオニムシャザザミに突っ込んだ辺りから様子が変だったのには気づいていたが、ここまで豹変していたとは思わなかったからだ。
そんなバルテトの問いに、眉を深めて首を傾げ出すガラダ。言えそうで言えないもどかしさでも感じているのだろうか。
「なんつーか……オニムシャザザミを見て思ったんす!硬ぇ防具が造りてぇって!具体的な計画とかは説明しきれねぇべが、とにかく造ってみてぇんだべ!」
先ほどまでの勢いが途切れつつも、しかし前のような消極的な彼では無い何かを三人は感じていた。
曖昧ながらも自分が感じた事を伝えようとして必死に口を開こうとするも、それがハッキリと出来なくて苛立っているガラダ。
自分達はまだ若い。そこそこ腕が立つとはいえベテランとは程遠い存在でしかない。
しかし、ガラダと年が近いバルテトと、年長者とはいえ若いフィジクとラメイラは、今のガラダを見て思う。
「世界一硬ぇ防具さ造りてぇんだべ!」
―これが、夢を見つけ、その夢に向かって走り続けようとするハンターなのだろう……と。
樹海よりドントルマに帰宅した四人はさっそくガラダの故郷に立ち寄り、表向きには鍛冶屋に売り渡したということにして、ガラダに売却。
親方や鍛冶屋の弟子達に事情を説明したところ、親方は「そうか」とだけ言って、仲間達はガラダの金で買ったものだからとガラダに押し付けた。
三人がこれからどうしようかと話し合う中、ガラダだけは職場に赴いて作業着に着替え、ザザメタルの溶鉄作業に入る。周りに目を向けていないかのように、熱心に。
三人はその後姿だけ見て、静かに別れを告げて去っていった。ガラダは静かに「じゃあ、また」とだけ呟いた。
そう、確かにガラダは故郷に戻って鍛冶を始めたが、これは別れではない。
ザザメタルや甲殻は数十個という数を誇るが、これだけで防具が造れるなどとは思っていない。むしろ少ない方だと、この時ガラダは考えていた。
そもそも完成図ですらまだ出来てない中、まずはザザメタルを溶かしてみる事から始めようとしている。失敗の連続になることは覚悟の上だ。
それでもやってみなければ解からない。まずはザザメタルの本質を見極めること。その為にも、高熱に耐え、変形させることから始めなければ。
そしてザザメタルを集めるには、ハンターを続ける他ない。
慣れ始めてきたハンターを続ける方が、手っ取り早く防具となる素材や金を集められると思ったからだ。フィジク達にも話を通してあるし、続けることは困難にはならないだろう。
それに鍛冶を続けるのなら体力づくりと防具の見解を広めるのは必須。ハンターを続ければ広い世界を見て、知識を蓄えることができるはず。
しかし今後は、ハンター稼業と鍛冶屋としての修行、そしてザザメタルの加工と三つの工程に追われる日々に見舞われるだろう。
それでもガラダは、ザザメタルの加工を主に修行とハンター稼業を続けている。時には辺境の地へ赴き、地中に暮らす勤勉な一族に教えを請いもしたという。
あの甲殻種の頑丈さをこの目で見た感動を形にする為に。世界一硬い防具を目指す為に。ガラダはあの日から、弱い自分を変える事が出来たのだ。
―鍛冶屋で修行を続ける傍らでハンター稼業を続ける彼は、後に「鬼神」と呼ばれる防具の製作第一人者となる。
ちなみに、オニムシャザザミはエスピナスから逃亡し、新たな地へ赴いたという。
自分からぶつかってきたのに、エスピナスは傷ついた怒りをオニムシャザザミにぶつけようとしている。
怒ったエスピナスはとても怖い。オニムシャザザミはブッチャーをヤドに入れ、すたこらさっさと逃げ出したとさ。
さてさて、鬼を象る蟹は、次にどこへ向かうのやら。
―完―
エスピナス?おりますよ?活躍が少なかっただけです。
作者は勢いで書いているので、こういった不憫なキャラやモンスターがとても多いです。
ですがマンネリ化しているからかモンハンらしくなくなって来てるので、結構危機感を抱いてます(汗)
本編にもっと殺伐を加えたいものです。
思いつき&やる気向上の為、モンハンデルシオンの応募をここハーメルンで実施したいと思います。
詳しくは作者の活動報告をチェックしてください。