ヤオザミ成長記   作:ヤトラ

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ザザミたん可愛いよハァハァ。特に乗り状態の暴れっぷりが可愛らしいよハァハァ(←変態)
いやぁ、プレイ当初は久々のザザミに心打たれました。初の狩猟モンスターがザザミとなって「よっしゃ!」とリアルで拳を握りました。

ちなみにこの時期はまだモンハン4Gのストーリーに触れていません。少し前といった所です。
というかオンラインに入り浸っていてストーリーを進めていないというね(駄目ジャン)

10/19:誤字修正。ご指摘ありがとうございます



第53話「旧砂漠」

 突然だが現在バルバレが定住している地域は、かの有名な都・ドンドルマに程近かったりする。

 

 ドンドルマ―――険しい山間によって守られた、大陸の中心に聳える大都市。

 

 谷間から吹き抜ける風は風車の原動力となり、豊富な水源は多くの人々の暮らしを潤い、山の地形がモンスターを阻む盾となる。

 さらには古龍観測隊の本部である古龍観測所、古龍種ですら迎撃できる兵器の数々、そしてドンドルマ全てを仕切る超重要人物・大長老の存在もあり、このドンドルマは大陸内最大の都市として有名だ。

 最大規模の街とだけあって鍛冶の技術力も高く、重要都市故にアマチュアからベテランまで、数多くのハンターがドンドルマに寄せ集められている。

 現在はモンスターの襲撃によって半壊状態に陥っている為、復旧作業で数多の人々が忙しく街中を行き交っている。

 

 

 

 だからだろうか。旧砂漠で例の(・・)モンスター(・・・・・)が出没した事に、かの大長老ですら忙しさの余り気づかずにいた。

 

 

 

―――

 

 ギラギラと降り注ぐ太陽光を砂の1粒1粒が余すことなく受け止め、熱を発し砂地を灼熱に変える。砂漠が灼熱地獄と化している理由の1つだ。

 水があるといっても草木が無ければ熱を逃がす要素も無く、水辺から少しでも離れただけで熱したフライパンのような熱が大地から溢れ出し、不毛の土地と化している。

 それでもモンスターというものは逞しいもので、僅かな餌を求めて数匹のヤオザミが練り歩いていた。こんな小さな蟹も、いずれダイミョウザザミになるのだ。

 

 そんな砂地をグイグイと泳ぐ生物が居た。砂竜ガレオスである。

 魚竜種に分類されるが、海や川を泳ぐ水竜ガノトトスとは違い、こちらは砂を泳ぐ魚竜種だ。近似種として小型の魚竜種・デルクスがいる。

 エリア7を数匹のガレオス達が泳いでいるが、特に狩猟をしているわけでもなく、縄張りを主張しているのか個別に砂地を泳いでいるだけに過ぎない。

 

 そんなガレオス達の中に、落ち着きなく泳ぐガレオスが居た。

 背鰭はダイミョウザザミに食い千切られてボロボロだが、負傷とは思えぬほどに元気に砂中を泳ぎまわっている。

 このガレオスはまるで速さを競っているかのように素早く泳ぎ、有り余る元気を浪費するかのように跳ねて地上を見るのが好きだった。

 

―ザバン、ザブン。

 

 のんびり歩く仲間のガレオスを横切った。そのガレオスは特に気にせず歩き続ける。

 

―ザバン、ザブン。

 

 餌を食べていたヤオザミを跳び越えた。ヤオザミは驚いて横ばいで逃げた。

 

―ザバン、魚っ眩しっ!

 

 跳んだ瞬間、目に閃光が入り込んだ。ビックリして砂地に体をぶつけてしまった。

 

 

 ガレオスを襲った閃光の正体は―――蟹であった。

 

 

 ただの蟹ではない。全身を超密度によって圧縮された合金で覆った甲殻種・オウショウザザミである。

 オウショウザザミは隣に居るヤオザミと同じように、砂に含まれた餌を鋏でつまんで食べていただけだ。

 見た目こそ違うがこのヤオザミとオウショウザザミが同じ存在であると、オウショウザザミを知る者が見たら理解はするが納得はしないだろう。

 

 先ほどの閃光は、ガレオスが跳び上がったことで太陽光が良い感じに反射し、たまたまガレオスの目を直撃したに過ぎない。

 つまりたまたまオウショウザザミの傍を跳ぼうとしたガレオスが不運だった、ということだ。故に視覚が回復したガレオスは何かを訴えることなく、逃げるようにして砂の中に潜っていった。

 

 そして当のオウショウザザミも、何も知らずに餌を食べ続けている。相変わらず暢気というかなんというか……。

 

「キー、キーキィ(相変わらずでヤンスねぇ)」

 

 そんなオウショウザザミの下へ、砂色のクワガタムシのようなお面を被った奇面族の子……ブッチャーが歩いて来た。

 両手で抱えるほどの量の熱帯イチゴを持っており、それを見たオウショウザザミは喜びを表しているかのように両の鋏を広げ、ブッチャーの元へ近づいていく。

 ブッチャーもオウショウザザミに捧げるつもりで持ってきたらしく、オウショウザザミの目の前でそれらを置く。手に持つ1個は自分の分だ。

 

 お零れを貰おうと忍び寄るヤオザミを大きな鋏で跳ね除けたオウショウザザミは、頭にブッチャーを乗せてムシャムシャと熱帯イチゴを食すのだった。

 

 

 

 天空山の禁足地から出て行ったオウショウザザミは、前のように食べ歩きの旅に出ていた。

 狂竜ウィルスを型破りなやり方で克服し、己の背面が甲殻によって覆われたと解った事で落ち着きを取り戻し、暢気で食いしん坊な性格に戻ったからだ。

 しかし過去のような臆病さは無く、時には自身に向かってきた敵を返り討ちにしてきた。原生林で突如として襲ってきた金獅子ラージャンもその内の1匹だ。

 ただし防御本能は健在で、自身よりも上の存在であれば逃げる習性はある。上位種のラージャンと戦う事を決めたのは、戦った中で自身の方が硬いと本能的に理解できたから。

 尤も、あのラージャンはまだ若く、もっと成熟していたらオウショウザザミですら危うかったことだろう。それだけの危険生物なのだ、金獅子という牙獣種は。

 

 以前の彼なら強そうというだけで逃げていた。しかし今のオウショウザザミは違う。

 基本的に自分からは戦わず、襲われた際は戦い、状況が悪くなると逃げる。攻撃性と防御性を併せ持つようになったオウショウザザミは、今後の方針を大きく変えようとしていた。

 ……とはいえ、根はダイミョウザザミらしい、穏やかで食いしん坊な甲殻種だ。食べ物や鉱石を求め、各地を練り歩く彼特有の性質も変わっていない。

 

 そんなオウショウザザミが原生林の次に訪れたのが、ここ旧砂漠ことデデ砂漠だ。最終的に砂漠へ辿り着くようになったのは、ダイミョウザザミとしての本能だろうか。

 昔と比べると地形がある程度変化しているが、かつて養殖用のヤオザミであった彼にとっては特に気にすることでもない。むしろ珍しい鉱石や昆虫を食べられてご機嫌のようだ。

 途中で二股に分かれた角を持つ珍しい甲虫種に襲われたこともあったが、大量の麻痺毒を持っていた為か早々にオウショウザザミの餌となった。残りはブッチャーのお面の材料に。不幸な虫だ。

 

 さて、そんなオウショウザザミは大きさこそ一回り小さくなったが、食欲は健在。

 それなりにあったとはいえ獣人が抱えるほどの量でしかない熱帯イチゴを食べ終えたオウショウザザミは、更なる獲物を求めて周囲を見渡す。

 ブッチャーもキョロキョロと辺りを見渡すが、ふと砂上に浮かぶ背鰭を見た。きっとあれはガレオスの背鰭だろう。

 カンカンとオウショウザザミの頭を小突いて注意を惹き、振り向かせて背鰭の存在に気づかせた。

 魚竜種の肝もオウショウザザミの好物だ。立派に伸びる背鰭からして大きな獲物だろうと判断したオウショウザザミは四足に力を込めて体を固定し、水ブレスを発射。

 

 水の線が砂上に聳える背鰭に目掛けて伸びていくが……それより先に背鰭の正体が姿を現し、空を舞った。

 

 

 

 知恵の高いブッチャーは勘違いをしていた。その背鰭はガレオスのものだと。

 

 

 

 知識が無いブッチャーは理解できなかった。その背鰭の正体がなんなのかを。

 

 

 

 砂の中から跳び出したのは、彼らも訪れたことが無い【氷海】に生息するザボアザギル―――その亜種である「虎鮫」であった。

 

 

 

 『G級の世界』を生き抜いた虎鮫の、無数の鋭い歯が並ぶ巨大な口が、オウショウザザミに迫る。

 

 

 




ザボアザギル亜種が予想外に強い……オンラインで4人掛りでも簡単に3乙してしまう程に。いやはや、Gの世界は強いですな。
そんなわけでオウショウザザミ最初のG級モンスターは虎鮫さんです。ちなみに虎鮫はエリア移動時以外は潜行しません。

次回、虎鮫と冠蟹の戦いをお楽しみに!

さーて、今日中にデルシオンを更新しないと(更新できるとは言っていない)

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