そして行き当たりバッタリな旅路故に今後の展開が少し迷走気味というね……ある程度のプロットはあって大雑把だしなぁ。
11/4:危険度リスト入れ替え
下位・上位・そしてG級―――ハンター達を大きく区別するとこのようにもなる。
狩猟を始めたばかりのハンター達は下位クエストから始まり、腕を上げて上位クエスト、そして狩猟と技を極めしハンターはG級へと昇っていく。
この序列はモンスターにも適用されることが多い。成熟して間も無い頃が下位、生き延びて成長していくにつれ上位・G級と認められていく。
モンスターの強さの基準は多々あるが、最も解り易いのは皮や鱗といった外皮である。
小さかろうが大きかろうが、生物とは育てば育つほど丈夫な体に育っていくものだ。弱肉強食の世界に生き抜くならば、それぐらいの成長速度が無くてはならない。
リオレイアで言えば体力や筋力の向上はもちろん、まずは全身を包む甲殻がより堅くなって「堅殻」となり、その堅殻がさらに厚みを増して重くなることで「重殻」となる。
生き抜き餌を豊富に食し外敵と戦う経験が募り、体が強く逞しく育つ。中身も当然だが、モンスターとはまず外殻が強くなっていくものだ。
さて、G級の世界となれば大型モンスターだけではなく、草食種も強くなっていくものだ。
特に乾燥地帯で見かけるアプケロスは中々の強敵で、尾を振り回す強靭な筋力や堅い甲羅を持っていた曲者でもある。
そんなアプケロスを捕食するモンスターは大抵が鋭い牙を持ち、頑強な顎を持つ。堅い甲羅を持つんなら噛み砕ける力があればいいじゃない、という肉食モンスターなりのアピールかもしれない。
それは食欲旺盛な両生種であるザボアザギル亜種も含まれており、その歯の鋭さと硬度、そして顎の力は凄まじい―――まぁ一番目立つのは伸縮自在な胃袋だが。
そんなG級の世界を闊歩するザボアザギル亜種の口が、オウショウザザミに迫ろうとしている。
もしオニムシャザザミのままだったら、甲殻に噛み痕ぐらいは残っていただろう。
分厚くなっただけで鉱石の質としてはG級のレベルに届かない為、もし噛み付かれたら大きな皹が出来る可能性が高い。
しかしオウショウザザミは違う。薄くはあるが超高密度に圧縮し合金された鉱石甲殻は、かのエルレライト鉱石にも勝る硬度を保っている。
―――故に、オウショウザザミの鋏にザボアザギル亜種は噛み付いたまま離れず、ブンブン振り回されていた。
鋭く何本も並んだ歯は甲殻に食い込みもしないが、逆に歯が折れたり砕けたりすることはなく、むしろ顎の力だけでオウショウザザミの鋏に食らい付くことに成功。
邪魔ったらしいとばかりにオウショウザザミは虎鮫ごと鋏を振り回して放そうとするが、流石に自身よりも大きな両生種を振り払うことは難しい。
虎鮫はといえば噛み付いたまま体を捻らせるデスロールで鋏をねじ切ろうとするが、予想以上に関節部が硬かったらしく、本来なら甲殻種の弱点である関節は捻れない。
炎天下の中、右へ左へと捻るザボアザギル亜種を振り回す蟹。極めてシュールな光景である。
虎鮫の意地と諦めの悪さはたいした物だが、いい加減に飽きたらしくとうとう鋏から口を離す。
解放されたオウショウザザミはそのまま鋏をぶん回して攻撃するが、虎鮫は離した際に吹き飛んで距離を取っていたので当たりはしなかった。
ならば接近してやろうとオウショウザザミは甲殻種とは思えぬほどのスピードで虎鮫に迫るが、虎鮫とて黙って殴られるわけではない。
化け鮫と呼ばれるザボアザギル原種には他のモンスターにはない能力がある。それは三段階の形状変化だ。通常状態が1つ、身に氷の鎧を纏うのが2つ、そして3つ目は空気を取り込んで膨らむというもの。
伸縮自在に膨らむ腹は空気を取り込むことで巨大な風船のように体を肥満化させ、しかし空気が詰まっているとは思えぬほどの重い攻撃を繰り出すという厄介なものだ。
亜種である虎鮫は体内の液体を瞬時に気化または液化させる能力を備えており、形状変化は2つしかないものの、めまぐるしいスピードで膨らんだりしぼんだりできる。
オウショウザザミの両の鋏が迫る中、虎鮫は一瞬にして腹を膨らませ、ボヨヨンと跳んで威力を殺すことに成功!
G級というだけあって分厚い皮をしており、オウショウザザミの超硬度と筋力を以てしても貫くことはできない。風船のように膨らんだが、人間でいえばバルーンを素手で殴るようなものだ。
そのまま虎鮫は勢いをつけて空高く跳びあがり、一気に急降下。空気が入っているとは思えないほどの重いプレスがオウショウザザミに襲い掛かる。
しかしそれで痛い思いをしたのは虎鮫の方。よりにもよって棘のように護石の欠片が生えた背面に腹をぶつけてしまい、鋭くないとはいえ棘が腹に食い込んでしまう。はっきり言ってこれ、チョー痛い。
ボディプレス故に腹が背面の殻に食い込みオウショウザザミに圧力を掛けるが、オウショウザザミ自体は潰され結構なダメージを受けるものの、棘が食い込んだ虎鮫の方が傷は深い。
痛みの余り口からブバっと空気を吐き出し、収縮した身体がゴロゴロとオウショウザザミの頭頂部から砂地に転がり落ちる。
側面を転がり落ちた虎鮫をオウショウザザミの振り上げた鋏が追い討ちをかけ、横っ腹に一撃をお見舞い。斜め上から下へ打ち込むようなボディーブローだ!
分厚い皮膚を持っているとはいえこの一撃は痛い。なんとか態勢を立て直そうとするものの、原種とは違い地中移動する事が少ないザボアザギル亜種に地中へ逃げようという考えはなかった。
そこでもう一度体内の液体を気化し、再び膨らむことで打撃の威力を抑えることに。ただし今度は後ろへ逃がすことはできない為、腹に与えるダメージは先ほどよりは痛い。
だが打撃の衝撃で膨らんだ身体が跳ねて行き、連続攻撃を避けることには成功。
虎鮫は軽く跳ねて態勢を立て直した後、正面を向いたオウショウザザミに口を向け、瞬時に液化した水を発射。ダメージは低いが、目くらましにはなったようだ。
大量の水を浴びて多少は怯んだオウショウザザミから逃げようと背を向ける虎鮫。幾多もの死闘を繰り広げたが故に、時には背を向けて逃げることも大事だと本能的に理解している。
しかしここで邪魔者……ブッチャーが動き出す。
虎鮫の尾びれに引っ付き、あろうことかクワガタのようなお面が食いついたではないか。
どういう仕組みかは解らないが頭頂部の大きな鋏で虎鮫の尾びれをつまむようにして挟み、逃げようとする虎鮫を食いとめようとするのだが……はっきり言えば無意味である。
せいぜい「なんか痛いなー」と思う程度だろう。故に虎鮫は跳躍を混ぜながら距離を離し、オウショウザザミから逃げ出す。
一方のオウショウザザミはといえば、去る者は追わずと言わんばかりに興味が失せ、砂に埋もれた餌を探すべくゆっくりと歩き出す。
オウショウザザミは迎撃するという考えは浮かんだものの、執拗に攻撃して来ず、むしろ向こうから逃げるというのであれば気にしはしない。
ザボアザギル亜種は確かに強敵だ。トリッキーな動きは身軽となったオウショウザザミの機動性を以てしても捌ききれるものではない……が、見事耐えることができた。
耐え切れたとはいえ、次に戦えばどうなるかは解らない。だからオウショウザザミは虎鮫が逃げ出したと解るや否や、まずは腹ごなしをせねばとセカセカと食べ始める。
再戦の可能性を考慮するかのように猛烈な勢いで食べるオウショウザザミ。
その視界にはその辺を歩くドスガレオスも含まれており、ギラリとつぶらな瞳を光らせた……ような気がする。
一方、ブッチャーはといえば。
「キー、キキキキキキィ!(どうだー!オラオラオラオラオラ!)」
虎鮫の背中の上で、ボカスカという効果音が似合う程に両手で握った杖を何度も叩きつけるブッチャー。
しかし厚い皮、それも背鰭付近という砂色に染まった皮膚では杖による一撃は微々たるものだ。
それより虎鮫は今さっき喰らいついたアプケロスの肉を貪るのに夢中だった。両生種ならではの食欲である。
打倒、オウショウザザミ!そう決めたかのように虎鮫はいつも以上の食欲を持ってアプケロスを食すのだった。
後日、G級クエストを管理するドンドルマの大老殿に、現在の旧砂漠の状況が説明された書類が緊急で通された。
その情報の1つに現在生息している大型モンスターのリストが載せられており、危険度順に上げるとすると以下の通りとなっている。
・オウショウザザミ
・ザボアザギル亜種
・ドスガレオス
最後あたりの名称を見た受付員はこう語る―――驚きのあまり思わず噴出してしまったわ、と。
そして不幸にも、ドンドルマへ運ばれる食料や機材が載せられた砂上船が旧砂漠を渡ろうとしていた。
―続―
防御力とパワーはオウショウザザミが上回っていますが、それ以上に虎鮫は動きが激しくてタフ。そんな奴です。
加えて虎鮫は体を膨らませることで打撃力を抑えることができます。けどボディプレスはオウショウザザミ相手には帰って弱点となるというね(笑)
つまり現在のオウショウザザミはG1クラス、と考えていただければと思います。強いけど今の彼ならこんなもんかな、という判断です。
次回は早いですがG級ハンターを登場させます。そのうちハンターでも募集してみようかなぁ……(ぉ