ヤオザミ成長記   作:ヤトラ

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リア友のすゝめでモンハンXX買っちゃいました。

未だに上位どまりだけど;
そのリア友が忙しくてなかなか遊べないけど;
オンラインで募集しても緊急オストガロア手伝ってもらえないけど;

それでも楽しいです(笑)

追記:後書きにて「モンハンデルシオン」の質問を一つ。


第79話「突撃!ドンドル守り隊!」

 ドンドルマの外壁の手前にて繰り広げられた、ハンター2名によるツジギリギザミの進路妨害(回避中心)。そこに割り込んできたのは、空高くより落ちてきた、背面に猫人族を乗せているオウショウザザミ。

 この豪雨の中、いかにして、そして何ゆえにオウショウザザミがやってきたのかを説明するには、数時間ほど時を戻す必要があった。

 

 

 

―――

 

 いかに鋼龍クシャルダオラと言えど、ドンドルマとその周辺に加え、遺跡平原にまで嵐の範囲を伸ばすことはできない。それ故にドンドルマに住む猫人族―アイルーやメラルーなど―は、最も近辺である遺跡平原の集落に逃げ込む者も多い。

 さらに遺跡平原には大人しいオウショウザザミとダイミョウザザミ亜種ぐらいしか大型モンスターが存在しない為、現在の遺跡平原は高い安全性が約束されている。

 

 だからだろうか、今日の集落には大勢のアイルーメラルーが入り込み、皆が手狭な思いをしていた。

 小さいながらも店を切り盛りするアイルー、配達を担当するメラルー、ただの観光客など猫人族にも色々ある。

 それでも誰も彼もが不満を漏らさず、むしろ自分達よりも技術力の高い人間が作った土産物を喜んで売買していた。逞しいものである。

 

 そんな中、一匹の焦げ茶色のアイルーがソワソワとした様子で集落の外―正確にはドンドルマの方角―を見ていた。

 気になったのか、1匹のアイルーが、嵐対策に入り口を塞いでいる大岩の前で佇んでいる彼女(一応メスである)に駆け寄る。

 

「ニャ、どうしたニャ、こげ茶の」

 

「ニャ~……アタチのお店、大丈夫かニャ~。心配ニャ~」

 

「お店ニャ?」

 

「こげ茶、ドンドルマでハチミツ屋さんを開いたばかりなんだニャ」

 

 そんなやり取りを見ていた別のアイルーが、首を傾げているアイルーに応える。

 こげ茶と呼ばれたアイルーはその通りだと言わんばかりに首を縦に振り、不安そうに大岩を見る。

 確かに開いたばかりの店が嵐で吹き飛ばされるかと思うと、胸が張り裂けそうな焦燥感に駆られるだろう。

 見れば他のドントルマ育ちの猫人族達も心配げに大岩を見ていた。家族や友人、中には恋人やお宝を心配する者もいるようだ。

 

 そんなアイルー達を遺跡平原育ちのアイルーが心配する中、ふと地面が揺れている事に気づく。

 

「ニャ、ニャニャニャー!」

 

「フニャーっ!?」

 

 突如として足元の地面が盛り上がり、数匹のメラルー達が地面から飛び出てきたではないか。

 驚いて毛を逆立てるアイルーを他所に、そのメラルー達に見覚えのある別のアイルーが駆け寄る。

 

「ニャ?未知の樹海に逃げ込んだんじゃニャイのか?」

 

「ヤバいニャ!激ヤバなショウグンギザミが樹海から出てきたのニャ!」

 

 どうやらこのメラルー達は未知の樹海を主な拠点としていた探検隊らしいが、妙に騒がしい。

 リーダー格のメラルーはともかく他のメラルーは恐慌状態に陥っているらしく、雨で濡れた体を拭こうともせず慌てふためいている。

 

「激ヤバなショウグンギザミ……それってツジギリギザミニャ!?」

 

 その曖昧な呼称が通じるショウグンギザミは只1匹……海から渡ってきたというショウグンギザミの変異種だ。

ここ最近、未知の樹海で暴れまわっているというツジギリギザミの恐ろしさは遺跡平原のアイルー達にも伝わっているらしい。

 

「そうなんだニャ!変なハンターさん達を追いかけて、いつのまにかドンドルマに向かっていくのを見たニャ!」

 

「にゃ、にゃんだってー!?」

 

 ツジギリギザミがドンドルマに向かっている―――それを聞いてしまったアイルー達―特にドンドルマに居つく者―は一斉に振り返り、リーダーメラルーに詰め寄ってくる。

 

「にゃんにゃんだそのハンターさん達!」

 

「許せんニャ!」

 

「それよりツジギリニャ!どうするニャ、どうするニャ!」

 

「アタチのお店が~!」

 

「そんニャことオイラに言われても~!」

 

 もはやモフモフおしくら饅頭状態。様々なアイルー達が困った困ったと詰め寄ってくる。

 それだけツジギリギザミの危険性は認知されており、下手したらクシャルダオラよりドンドルマを破壊しかねないからだ。

 

 

 

―そんなアイルーメラルー達に、1匹のメラルーが立ち上がった!

 

 

 

「僕に良い考えがあるニャ!」

 

 そのメラルーは困り果て慌てている猫人族達に聞こえるよう、入り口の大岩の上に仁王立ちしていた。

 その主張に大勢のアイルーとメラルー達の注目を集め、騒動を一時的とはいえ治めるに成功。

 

「ニャ、青毛の」

 

 そのツルハシを背負うメラルーは青い毛を持っていた。それだけで彼が何者かをある程度の猫人族は認知する。

 彼はユクモ村から海を渡ってやってきた商隊のリーダー格で、ドンドルマ付近の砂漠で鉱石を採掘し、それを故郷に持ち帰ろうとした所へ足止めを食らっていたのだ。

 

「良い考えって、あのツジギリギザミをどうにかするとか言うんじゃないよニャ?」

 

「その通りニャ!」

 

「バカ言うんじゃないニャ~!」

 

 黒いメラルーが走り出し、青毛メラルーに向けてネコまっしぐらの技!しかしガードされた!

 攻撃を弾かれ錐揉み落下する黒メラルーを他所に、他のアイルー達は青メラルーのしようとしていることに唖然としていた。

 

 特にツジギリギザミの恐怖を見たアイルーやメラルーは無理だと言わんばかりに首を振っている。

 何せ狂竜ウィルスに浸食されているだけでなく、あの切れ味と凶暴性は恐怖を感じさせるばかりだ。ハンターならともかく我々アイルーメラルー程度では全員が力を合わせても敵わないだろう。

 

 

 彼らがツジギリギザミへの不安と恐怖で満ちていく中、青メラルーは自信を持ってこう言う。

 

 

「今この遺跡平原にはヤツ(・・)が居るニャ!そいつを利用すれば対抗できるはずだニャ!」

 

 

 

―――

 

 そんなアイルー達を他所に、オウショウザザミは相変わらずだった。

 クシャルダオラが出ようがツジギリギザミが向かってようが、自身に危険が訪れない限り彼はマイペース。少々風が吹いているものの遺跡平原は平穏そのもので、呑気に草を食べているケルビ達を背景に、ダイミョウザザミ亜種と食事を共にしていた。

 

 鋏でチマチマと虫や実を摘まんでは口に運ぶを繰り返す中、鳥兜を被っているチャチャブーことブッチャーは別行動をしている。

 別行動と言っても距離はさほど離れておらず、武器である杖の手入れをしていたようだ。先端の古くなった鉱石を新しいものと交換するらしい。

 機嫌よく新しい鉱石を棒切れに巻き付けている中、ブッチャーはふと顔を上げ、ある存在を目の当たりにする。

 

 

―そこには、ガンキンSネコヘルムを被った、焦げ茶色の猫人族が立って居た。

 

 

(大丈夫かニャこげ茶……確かに僕はあのチャチャブーを説得する必要があるーって言ったけどニャ)

 

(いや焦げ茶が、チャチャブーと対話したことがあるからアタチがするーって言って……本当かニャ?)

 

(そもそもなんでガンキンSネコヘルムなのニャ?)

 

 遠くでヒソヒソニャーニャーと声が聞こえるが、戦慄を覚えているブッチャーはそれどころではなかった。

 何しろ目の前の猫人族からは決死の気配を漂わせているような気がして、彼または彼女に応じなければならないという気になってしまう。

 思わずブッチャーは新調した杖を持って構え、目の前の焦げ茶アイルーと対峙する。

 

 

 そうして2匹の間に風が吹き……こげ茶が動き出す。

 

 

▼こげ茶は 不思議な踊りを 踊った。

 

 

▼ブッチャーは 思わず 踊り出す!

 

 

▼踊る2匹の 心が 通じ合っているようだ……。

 

 

 そうして不思議にして奇妙な踊り(どんな踊りかはご想像にお任せします)を続けること暫く。

 2人はガッチリと握手を交わし、ブッチャーが無言で頷き、こげ茶が握る手に力を込めて返す。

 

(え、何ニャ?話が通ったのかニャ?)

 

(話っていうレベルじゃないけどニャ……)

 

(これがいわゆる肉体言語(ボディランゲージ)って奴ニャ?)

 

 とりあえず外野のメラルー達は2匹の話が通じたものと捉え、ひとまず一安心。

 次の作戦に移行しよう、と言わんばかりに青メラルーは無言で頷き、準備を始めるのだった。

 

 

 

―――

 

 唐突だが、オウショウザザミの大好物は何かと言われれば、キノコ類のマンドラゴラと上がる。

 成長につれて良質な鉱石類を食すことが増えたとはいえ昆虫類やキノコ類の方が美味いらしく、特にマンドラゴラは見つけ次第すぐに駆け付けて食べる。

 

 空中にマンドラゴラの山が浮かんでいた場合、即座に反応して其方に向いてしまうほどに。

 

 眼前には紐で括られた網一杯に詰まっているマンドラゴラがブラさがっている。

 無機質な黒い眼がキラキラと輝いてみえるほど、オウショウザザミはマンドラゴラをジッと見つめていた。

 ちなみにダイミョウザザミ亜種は気にせずお昼寝。例えどこからやってきたかも解らないメラルーが群がっていたとしても。

 

 

 オウショウザザミも気にせず鋏を伸ばしてマンドラゴラを取ろうとするが、スイっと離れていくので、一歩近づく。

 

 

 それに合わせて離れる。また一歩近づく。

 

 

 それでも離れていく。鬱陶しくなったので歩いてみるが、それでも近づけない。

 

 

 ムキになったのか、甲殻種に似合わぬ速度で走り出す!だが追いつけない!ムキーッ!

 

 

 

(やっぱりバカだニャ~)

 

(食い意地が張っているニャ)

 

(待っててねアタチのお店!)

 

(旦那を誘導するたぁ、コイツら頭良いでヤンスなぁ)

 

 オウショウザザミの食い意地に呆れる青メラルーとアイルー、店を守るべくしがみ付く焦げ茶アイルー。

 そんな猫人トリオを尊敬の眼差し(?)で見つめるブッチャー。それでいいのか自称オウショウザザミの子分。

 ダイミョウザザミ亜種に群がっていたメラルー達は、ブッチャーのアドバイスで定めた居残り組らしい。

 

 

 

 かくして、マンドラゴラで誘導されたオウショウザザミは、ドンドルマへと向かっていく。

 

 

 

 その漲る食欲故に、この先に存在する古龍種と変異種の存在に気づかぬまま……。




そして前回の最後当たりの展開になると。

感想・誤字報告・誤字修正等お待ちしております。
いつも助かってます。ありがとうございます。

読者様に質問:
「モンスターハンターデルシオン」という私の二次作品がありますが、更新を止めようと思ってます。
ですが感想で希望者が一人居たので、せっかくだからご意見等ありましたら感想かメールでお願いします。

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